「撮影がなくなればいいのに」ギリギリの精神状態で挑んだ

松坂さんは毎作品、現場に入られるごとに、しっくりとくる楽曲を1曲決めて、撮影期間中に繰り返し聴かれているそうですね? 映画『キセキ ―あの日のソビト―』ではPay money To my Painの『Rain』、NHK連続テレビ小説『わろてんか』ではBUMP OF CHICKENの『リボン』だったとのことですが、 本作では何を聴かれていたんですか?
それは…内緒です(笑)。
内緒なんですか?
マジシャンの種明かしみたいなものなので。映画が公開されてからならいいんですけどね(笑)。
普段から選曲に関してはどのように?
たいてい偶然、「これだな」ってなるんです。人って日常的に意識しないでいろんな音を聴いているものじゃないですか。自分の意識が作品に入るモードになってくると、それが引っかかる瞬間があるんですよね。「あ、これいいな」って。
それは、これまでにも聴いていた曲の場合もあるし、ふとした瞬間に聴いた知らない曲の場合も…?
どちらもありますね、不思議なんですけど…。
では、撮影を通じて、もっとも大変だったシーンは?
いやぁ…どのシーンも大変だったわぁ…(嘆息)。大変じゃないシーンはひとつもなかったってくらい、すべてにおいて地獄のような撮影でした(笑)。
地獄!? そこまでですか。カメラが回っていないときの精神状態は、どんな感じだったんでしょうか?
ギリギリの状態でしたね。毎日のように「明日、どうにかして撮影がなくなればいいのに…」って思ってました(苦笑)。
そこまでの苦難のうえで作り上げたこの作品を、ご自身でご覧になってみていかがでしたか?
日本映画っぽくないなと思いました。どちらかというとフランス映画のような感じと言いますか。この作品、撮りようによってはメチャクチャ生々しくも撮れるんですよね。でも、そんな生々しさを120分見せられたら、お腹いっぱいになっちゃうし、それこそ作品の意図が伝わらなくなっちゃう。
なるほど。
そこで、映画ではなくCMを多く撮っているカメラマンさんを起用したりしていて、変な生々しさがないんですよね。そういう見せ方は、さすが三浦さんだなと思いました。
舞台ではなく、映画ならではという点で、ご自身のセックスシーンや表情はいかがでしたか?
舞台では表現できない作品になっている、というのを改めて感じましたね。舞台だとどこにフォーカスするのかはお客さんによって違うし、より客観的に上からのぞき込むような感じだと思うんです。映画では、この作品の意図をカメラで捉えて編集することで、しっかりとお客さんの目をそこに集中させているんです。それは、この作品にすごく合っているなと感じました。

自分をさらけ出すことができる、優しさがある映画

どう解釈するかは観客の自由ということもおっしゃっていましたが、松坂さん個人の見解として、この映画は何を伝えようとしている作品だと考えますか?
それこそ先ほど、どうしても「セックス」や「エロ!」という切り口でこの作品が紹介されることが多いと言いましたが、そういう記事を書かれた記者の方々も、実際に映画を見ていただくと、まったく違った感想を持たれるんじゃないかと。
そう思います。
セクシャルなもの、体の交わりってすごく繊細なものじゃないですか。言いにくい部分もあるし、壁もある。そのハードルを下げてくれる優しい映画だと思います。
たしかに、一生を誓う愛とは違うかもしれませんが、優しさのある映画ですね。
女性の友達同士でもカップルでも、そういう会話がしにくいことってあると思うんですけど、この映画を見ることで、自分の中にある“やわらかい”部分を提示しあって、話ができるんじゃないかと感じるんです。
映画の中では“言葉”を使わずにコミュニケーションを深めていきますが、それを見ることで、会話が弾むというのは逆説的ですね。
面白いですよね。実際、いまこうしてこの映画を通して、会話がしやすくなっているじゃないですか?(笑) コンプレックスや触れられたくない部分を意外と簡単に共有できるようになるし、そうすることで人生が豊かになったり、視野が広がるのではないかなと思います。
改めて、松坂さんにとって「セックス」とは?
やっぱりコミュニケーションのひとつですかね? 繊細かつ、かなりプライベートな部分を共有する行為だと思いますし、セックスを通じてコミュニケーションを取ることで、互いの仲はより深まるのではないかと。そういう意味で、上質な会話のようなものなのかもしれません。
この作品と出会う以前と比べて、セックスに対する意識は変わりましたか?
それは大きく変わりました。それこそ、学生の頃なんて、深いことは考えていなかったですし(苦笑)。この作品を経て、より優しい気持ちになれたし、それぞれコンプレックスとかを持っていると思うけど、それを相手が自分の前でさらけ出してくれたときに、しっかりと受け止めてあげられるようにしようって思えるようになりました。
最後に、とくに女性に向けて、この映画を楽しむポイントをお願いします。
余韻ですかね? 何度も言いますが、入口はどこからでもいいんですけど、映画が終わった後に残る余韻まで、存分に楽しんでもらえたらうれしいです。
松坂桃李(まつざか・とおり)
1988年10月17日生まれ。神奈川県出身。A型。2009年、『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)のシンケンレッド役でデビュー。映画『ツナグ』、『今日、恋をはじめます』などで立て続けに主演を務める。2012年、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』でヒロインの夫を演じ話題に。2017年は主演ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』や、スペシャルドラマ『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』(ともに日本テレビ系)が放送され、映画『彼女がその名を知らない鳥たち』も公開。2018年もNHK連続テレビ小説『わろてんか』に加え、映画『不能犯』、5月12日公開の『孤狼の血』など話題作への出演が続く。

出演作品

映画『娼年』
2018年4月6日(金)TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
http://shonen-movie.com/

©石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

サイン入りポラプレゼント

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応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2018年4月5日(木)18:00〜4月11日(水)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/4月12日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月12日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月15日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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