すしらーめん《りく》が大学生YouTuberに!“面白い”を追求する4年間の旅をする
“新鋭”や“中堅”などという言葉はもはや当てはまらない。チャンネル登録者数は210万人超え。10代にしてトップYouTuberの仲間入りを果たした、すしらーめん《りく》。そんな彼がこのたび高校を卒業。4月から大学へ進学することを決めた。すでに“プロ”として立派に独り立ちする実力を兼ね備えた彼は、なぜ大学へ行くのか? そこで何を学び、何を手に入れようとしているのか? 愛犬・ウェーブと戯れるこの小柄な18歳の青年の内には、壮大な夢が詰まっている!
撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.ヘアメイク/堤 紗也香
“なぜ動画を作ってきたか”受験が自分を見つめ直す機会に
- まもなく高校の卒業式を迎えますが(※取材が行われたのは2月下旬)、現在の心境は?
- 複雑な気持ちですね。部活のように高校生活にすべてを注いでやってきたので、終わっちゃうかと思うと…。いや、YouTuberとしての活動は終わんないし、やることは変わりないんですけど(笑)。
- とはいえ、生活の基盤が変わりますし…。
- “高校生YouTuber”と言われてきたし、いままでやってきたことすべてが高校生活の中で起こったことなので、これからどんな感じになるのか…? うれしいような寂しいような気持ちです。
- 前回、お話をうかがった際に「受験ヤバい!」とおっしゃってました(笑)。
- 自分はふたつのことを同時にはやれないタイプ。それもあって、一時的にYouTuberとしての活動を休止して受験に集中していたんですけど、それでもかなり大変でした。受かったときはホッとしましたね。追い込まれて一時期、体重がものすごく減ったりしましたし…。
- 具体的にはどういった部分が大変でしたか? 毎日、机に向かってひたすら勉強するという日々だったんでしょうか?
- 「何のために何をやりたいのか?」ということを説明するための論文や、面接の準備に時間を割きました。とくに僕が志望していた大学は、すごく面接を重要視していて。そこで「なぜ自分はYouTuberとして動画を作ってきたのか?」を深く、深く考えて…。
- YouTuberであるという特性を活かしての受験だったんですね。
- なので、自分を見つめ直す機会になりました。考えれば考えるほど、よくわからなくなりつつ…(苦笑)。
- 面接官にとっても、もしかしたらYouTuberを面接するのは初めてのことだったかもしれません。
- たしかにそうかも(笑)。
- 具体的に大学で何を勉強し、どういうことができるようになりたいと考えていらっしゃいますか?
- 最初は「作ること」が大好きだったので、自分が作りたいものを作れるようになるための勉強をしたいと考えていたんです。
- どちらかというと理工学的な?
- ただ、受験の過程で自分を見つめ直す中で「やっぱり自分には動画しかない」と強く感じたんです。これまでずっと頑張ってきたのも動画だし、これからももっと動画を中心にやっていくべきなんじゃないかと。
- なるほど。
- 面白い動画に正解ってないじゃないですか? 「面白い」って何なのか? すごく漠然としているんですけど、4年かけて「面白い動画」を追求したいなと思ってます。
- 機械的なことや物理、化学を専門的に学ぶというよりも「面白い」って何なのかを? ある意味で哲学的ですね。
- そうですね。もっともっと僕自身、楽しまないといけないし、じゃあ楽しいって何なのか?と。ものを作るための知識も必要ですが、そこは頑張ってこれまで以上に自分でいろいろと学べたらいいかなと。実際、すさまじいジャンプ力を持っていたり、ロケットパンチが飛び出したりするロボットとかを作りたいって気持ちは変わらないんですけど(笑)。
- そのあたりの発明家気質、物理的な探究心は変わらないんですね。
- 動画に出さなくてもいいから、いろいろ作りたいですね。たいていが「それ何になるの?」っていう意味のないことなんですけど(笑)。
大学生活に期待すること「積極的に外の世界と関わりたい」
- 大学生活に期待していることはありますか?
- 最近、大人の方々と触れ合う機会が多くて、そのたびに「うわぁ、スゴいな」と思えることがたくさんあるんです。みなさん、すごく人生を楽しんでいて、そういう人に会うと刺激を受けて、頑張ろうって思えるんです。大学でもそういう人と積極的に関わっていきたいんですよね。
- 刺激的な人との出会いですね。
- そうやって人との出会いを通じて、自分が見えてくる部分もあるのかなと。いままで、急いで学校から帰って動画を作って…という生活でガムシャラにやってきましたけど、積極的に外の世界と関わって、周りの人のことを知り、自分のことも知ってもらえるようにしたいですね。
- サークルやバイトなど、いわゆる大学生らしい活動に興味は…?
- YouTuberサークルとかないですかね?(笑)
- いまどきの大学なら、あってもおかしくないですよね。「君もすぐにYouTuberになれるよ!」って勧誘されたり(笑)。
- いいですね、それ(笑)。まあ、サークルに入ることはあまり考えてないけど…あ、最近、動画の編集にすごく時間がかかるんですよ。そういう意味で、パソコンサークルみたいのに入って技術を学んだり、みんなと協力し合って…というのはできたらいいかも(笑)。
- 編集技術に限らず、あらゆることを研究したり、サークル活動で楽しんでいる人がいるのが大学という場所ですから、りくさんの探求心にヒントを与えてくれる人たちが大勢いるはずです。
- そうですね! すごく楽しみになってきました(笑)。
- バイトをする時間はさすがに…。
- でも、してみたいですよね。いろんなところで働いてみたいです。
- 居酒屋で働いてみたり?
- 楽しそうですね(笑)。
- サークル、バイトときたら、次は合コンですね!
- そうなんですか?(笑) 合コンは…行ってもアガっちゃって何も話せずに「それでは失礼します」とかなりそうな…。
- 連絡先の交換とかは…?
- 絶対にできなさそうですよね…(苦笑)。
投稿のペースはゆっくりでも、納得いくものを出したい
- では、動画作りに関してうかがってまいりますが、そもそも現在、動画の投稿頻度が月に2、3本という状況ですね。これは受験との両立の影響なのでしょうか? それとも物理的な問題なのか、もしくは戦略的なもの?
- 先ほども少し言いましたけど、いま、動画の編集にものすごく時間がかかるようになっているんです。急にそうなってしまって、自分でも理由はよくわかってないんですけど…。昨日も朝から夜中までずっと編集作業だったけど終わらないような状況で。いまは、だいたい編集だけで3日くらいかかってるのかな?
- 実験をしたり、いわゆるネタの撮影があって、そのうえでその素材を編集するために3日かかる?
- これまでも自分が納得できるクオリティになるまで編集しよう、納得がいくまでは出さない、というのは決めていたんですけど、自分にできることがどんどん増えてきたことで、より時間がかかるようになったのかな?
- ご自身の編集技術が上がったことで、妥協せずにできるところまでやるので時間が必要に?
- 100のことを思いつくなら、そこまでやりたいけど、100が200、300と、どんどん上がってきてるのかもしれないです。それは悪いことじゃないんですが、早くできるようにもなれたらいいなと。
- YouTuberの中には、視聴者に忘れられないようにするためにも「1日1本投稿」をルールとして掲げている人も多いです。それこそ最近になって、ようやくHIKAKINさんがそうした状況に対して「働き方改革」を掲げています。そういう意味では、りくさんは、もともと「1日1本投稿」という流れからは外れていますね。
- 僕自身、そこはずっと、自分が満足のできるものしか出したくないという思いでやってきました。ポンポンと次々と作ってたくさん見てもらうよりも、自分が本当に面白いと思うものをゆっくりでいいからひとつひとつ見てほしいと。
- 「量よりも質」ということを最初から大切にされてきたんですね。
- 昔はよく「毎日投稿したほうがいいよ」と言われました。でも自分の中に確信――何にそこまで確信があったのかわからないけど、面白いものしかないチャンネルができたら最高だなって思っていました。
- 数合わせや妥協した動画が一切ない、「全部面白いです」と自信を持って言えるチャンネルにしたいと。
- それには結局、1本1本を本気でガムシャラにやるしかないんですよね。その結果として、それを認めていただけるようになって、多くの人に見てもらえるようになったんだなって。自分でハードルを上げすぎて、つらくなることもあるし(苦笑)、自分との戦いでもあるんですが、仲間や友達に助けてもらいながらやっている状況です。