
ゲーム実況で登録者150万人突破! ポッキーが人気YouTuberになるまで

浅草花やしき。普段は最先端のゲームをプレイし、その模様を実況付きでネット配信しているYouTuberのポッキーが、浴衣姿で日本最古の遊園地の、いつもとは少し勝手が違うレトロなゲームに興じていた。驚いたのは、普段とは異なる黒いマスクを着用しているのに、彼をポッキーと認識し、声をかけてくる人たち、しかも小さな子どもたちがいたこと! “若い世代を中心に人気の”などという枕詞以上の、幅広い層に彼が支持されていることを実感させられた。
撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
ゲーム好きは父親譲り? ポッキーの少年時代
- 日本最古の遊園地はいかがでしたか?
- レトロゲームが面白かったですね。感覚的に、(普段のゲームの)コントローラーとは違うので難しいですけど。射的が楽しかったです!
- 親子連れの客が中心の花やしきで、ファンから声をかけられるとは…。
- わりとみなさん、気づいて声をかけてくれますね。普段は同世代の人が多いですけど。
- 芸能人はプライベートで変装のためにマスクを着用することがありますが、ポッキーさんの場合、普段からマスクしているので、変装にならないですしね(笑)。マスクの着用については、特別な思い入れがあるんですか?
- 僕がネット配信を始めた頃は、ゲーム実況者はマスクを着けているのが当たり前だったんですよね。それでなんとなく、僕もマスクして…。そのまま取る機会もなく、いまに至るという感じです。


- とくに「何が何でも顔を隠したい!」というわけでもなく?
- そうですね。というか、マスクしていてもけっこう、顔が出ちゃってますしね(笑)。
- YouTubeでゲーム実況を始めたのは2011年ですよね?
- そうですね。ただ、それ以前からチャンネルは持っていて、動画をアップしていたことはあって。そう考えるともう長いですねぇ…。
- そんなポッキーさんのここまでの軌跡を、じっくりとうかがっていきたいと思います。少年時代はどんなお子さんでしたか?
- 子どものときからゲームは大好きでしたね。父が遊んだ初代のプレイステーションが押し入れから出てきて、それで遊んだり、友達の家に集まってTVゲームをしたり。ただ、小学生の頃はゲームだけでなく、外でもよく遊んでました。キックベースが流行ったり、父とキャッチボールしたりしてましたね。

- 最初にプレイしたのが初代のプレステ?
- ファミコンもありましたよ。よく遊んだのを覚えてます。父と一緒によくプレイしていましたね。
- お父様がゲーム好きなんですね。
- そうなんです。だから、小さい頃から普通にゲームが近くにある環境でした。とくにマリオのゲームが好きで、誕生日プレゼントに初めて自分用に買ってもらったソフトも、マリオのゲームでしたね。
- 学校ではどんなタイプの生徒でしたか?
- わりと人見知りするほうで、女子とはあまり話せず(苦笑)、男子の友達とワイワイ遊んでました。でも、中心にいてワーッとみんなを引っ張るような子ではなかったです。

- 習いごとやスポーツはやっていなかったんですか?
- 中学の部活で卓球をやってましたね。一応、レギュラーではあったんですけど、そこまで熱心な部員というわけでもなく…。
- 体を動かすのはあまり好きではない?
- あ、でもランニングは好きなんですよ。
- ランニング? 意外な趣味が…。
- スタミナだけはあって、クラスでも走れるほうでした。最近は全然、体を動かしてなくてなまってますけど…(笑)。


- やはり、子どもの頃から一番夢中になっていたのはゲームですか?
- そうですね。家に帰ってずっとプレイしていたし。あ、でも手で何かを作ったりするのも好きでした。親に買ってもらった木の組み立てパズルでよく遊んでましたね。機械をいじったりするのも好きです。
- TVや漫画、音楽など、ゲーム以外でハマったものはありましたか?
- 映画は昔から好きですね。いまでも映画館にはちょくちょく行きます。『アイアンマン』が大好きで、シリーズ全作を2回以上は見てます。ハリウッド映画、とくにマーベル作品が好きなんです。マンガだと、『こち亀(=こちら葛飾区亀有公園前派出所)』(集英社)は単行本を持ってましたね。
- 『こち亀』? それもまた意外な好みです。
- 『こち亀』って、ある意味で情報漫画なんですよね。毎回、新しいことや流行りのことを知れるのが楽しくて、よく読んでました。
- 子どもの頃の将来の夢は?
- パイロットにずっと憧れていました。

ゲーム実況を始めたきっかけ「すごく楽しそうに見えた」
- インターネットは子どもの頃から当たり前にあったかと思いますが、パソコンには早い段階から慣れ親しんでましたか?
- パソコンも父が持っていたのを使っていましたね。中学に入った頃に、貯めていたお年玉で初めて自分用のデスクトップを買いました。初めてゲーム実況したのも、そのパソコンからです。自分で投稿するようになる前から、YouTubeやゲーム実況を見たり、音楽を聴いたりしてましたね。
- ポッキーさん自身は、ゲーム実況の面白さ、魅力はどんなところにあると感じていますか?
- いろんな人のコメントやツッコミと併せて、ひとつの動画として見て面白いんですよね。ゲームがうまい人の動画を見ると、自分ではできないプレイを楽しめるし。僕自身、かなりやりこんでいるゲームの動画を10分ほどに編集してアップするんです。そうすると、時間がなくてあまりゲームをやりこめない人でも楽しめますよね。

- ゲーム実況もいろんなジャンルに分かれますが、ポッキーさんは…。
- 僕はホラーゲームをやることが多いですね。僕が驚いたり、怖がったりする反応を見て楽しんでくれる人が多いんじゃないかなと思います。ホラーに限らず、全体的に物語がどうなるのかを楽しむゲームが多いです。
- 子どもの頃はマリオが好きだったとおっしゃっていましたが、徐々に好みが変わってきた?
- マリオから徐々に、RPGにハマり始めて。映画が好きというのもあるけど、物語性の高いものを見るのが楽しくなったんです。プレイしながら自分で物語を紡いでいくような面白さがあります。

- 実況とは別に、これまでで一番やりこんだゲームは?
- ゲーム実況でアップしたことはないんですけど、『モンスターハンターポータブル 3rd』ですね。
- そうやって自分でプレイをして楽しむだけでなく、ゲーム実況として配信するようになったきっかけを教えてください。
- 他人からコメントしてもらいながらゲーム実況している方々が、すごく楽しそうに見えたんですよね。最初は、同じゲームを一緒にプレイする人を募集しているのを見つけたんです。
- ネット上で?
- はい。周りの友達でそのソフトを持っている人がいなくても、ネットでリクエストすると集まるんです。そうやってみんなでプレイしたり、プレイヤーと視聴者がコメントをやりとりするのがすごく面白そうで、自分も実況をやってみようと。

- 最初は緊張しました?
- ムチャクチャしましたね(笑)。まず、家でひとりでしゃべるということがないですから。最初は敬語で、かしこまった感じで話してました。だんだん登録者数が増えていく中で、少しずつ自分を出して、ハジけられるようになっていきました。
- 最初の投稿への反応は?
- 3コメくらいでしたね(笑)。当時はゲーム実況ってジャンル自体、まだまだ未開拓でしたし。
- 少しずつ登録者が増えていって…。
- すごく不思議な感覚でした。自分で一度プレイして、その動画を編集するんですけど、その段階で、これが面白いのかどうか自分でわからなくなってくるんですよ。これはどうかな? と思ってアップしてみると、反応が良かったりして。

- 自分なりに、プレイや編集で工夫をされたりも?
- 最初の頃は、いろんな人の動画を見て参考にしてたんですけど、一番大きいのはコメントですね。みんな、とにかく正直に「ここはこうしたほうが…」とか「これはいらない」とか言ってくれるんです。
- 数字的には、何か大きなきっかけがあって爆発的に視聴者が増えたりすることはあるんですか?
- いや、ゲーム実況は基本、徐々に視聴者が増えていくジャンルだと思います。ゲーム実況以外の、面白い動画を投稿するようなジャンルだとバンっと跳ねることもあるんでしょうけど、ゲーム実況はゆっくりと視聴者がついてくる感じです。僕もゆっくりと数字を伸ばしていきました。