「女性のメルヘンな部分を信じていたい」高橋 優、高校生の青春にときめく。
俳優として初の映画出演に「大根に思われないか、不安で、不安で…」ともらすシンガーソングライターの高橋 優。これまでにもカメオ出演はあったが、セリフのある役は今回が初めて。「音楽活動では一切の迷いもないけれど、俳優は違うので…」と謙遜するも、劇中で見せている芝居は、演技初挑戦とは思えないほどナチュラルなものだった。音楽で生きていくために、映画館でアルバイトをしていた時代から、俳優として映画初出演を果たす今の気持ちまでを聞いた。
撮影/祭貴義道 取材・文/馬場英美 制作/iD inc「彼氏とうまくいってる?」姪と恋バナをしてます
- 普段はシンガーソングライターとして活躍されている高橋さんですが、今回の『honey』で映画初出演、本格的な演技に初挑戦されました。まずは出演オファーを聞いたときの感想を教えてください。
- だんだん年を取ってくると、新しいことにチャレンジする機会が少なくなってくるのかなと思ったので、わりと率先して、ぜひやらせてくださいとお話しました。
- 本作は“超”ヘタレでビビリな高校生である小暮奈緒(平 祐奈)と、“超”不良と恐れられている青年・鬼瀬大雅(King & Prince/平野紫耀)の青春ラブストーリーです。高橋さんが演じられたのは、奈緒の叔父・小暮宗介で、幼い頃に事故で両親を亡くした奈緒の親代わりであり、彼女のことをとても大切に思っている優しい叔父さんですね。
- たしかに宗介はとても優しい男だと思います。ただ、彼の優しさというのは、完成されたものではないんですよね。それは僕の中での役作りで一番肝になった部分で、宗介は“大人になりたい大人”なんだと感じるんです。
- “大人になりたい大人”というのは?
- いつもは優しいのに奈緒を大切に思うあまり、鬼瀬との交際を許せず、急に怒鳴ることがあったりして…けっこう空回りしているところがあるんですよね。あと、奈緒を育てるために自分の夢をあきらめたという部分もあって、意外と宗介の心の中にはふつふつと煮えたぎるものがあるのかなと。そこが自分と共通する部分でもあったので、わりと宗介はとらえやすいキャラクターでした。
- 高橋さんの中にもふつふつと煮えたぎる部分があるんですね。
- ありますね(笑)。だから、曲を書いているんだと思います。
- ほかに宗介との共通点はありましたか?
- 僕にも奈緒と同世代の姪っ子がいます。姪と甥を合わせて5人いるんですけど、やっぱりかわいいですよね。だから、宗介が奈緒を大切に思う気持ちはよくわかります。
- 宗介のように、姪っ子さんや甥っ子さんに何かしてあげることは?
- 毎年、誕生日には必ずプレゼントを贈っています。あとは、何かの試験を受けると聞いたら「どうだった?」と電話をするし、「彼氏とうまくいってる?」と聞いたりもします。
- そんな話までするんですか!?
- しますね。一番下の姪っ子が小学2年生なんですけど、この前も「隣の席の○○くんがいじわるをしてきて〜」と言うから、「それは△△(姪)のことが好きなんじゃないの〜?」と話したりして。それってじつは恋バナなんですよね(笑)。そういう親には言えないことも話してくれたりするので、親戚のおじさんって、けっこう得なポジションだなと思います(笑)。
- それはたまらなくかわいいですね(笑)。
- めちゃくちゃかわいいです(笑)。僕、子どもが大好きで、そうやって子どもと対等に話す時間が楽しいんですよね。
映画の“鬼キュン”な高校生活は「完全に憧れ」
- 本作では奈緒と鬼瀬が織りなす“鬼キュン”な初恋模様が描かれます。恋のときめきやもどかしさなど、青春のキラキラが詰まった作品になっていますが、高橋さんの高校時代はいかがでしたか?
- 僕の高校時代は何もなかったですね(笑)。奈緒たちのような高校生活は完全に憧れです。だから、映画を見ていて、めちゃくちゃ“鬼キュン”しました。
- 具体的にはどういったところに“鬼キュン”されましたか?
- 奈緒たちの高校に(西垣)雅(SUPER☆GiRLS/浅川梨奈)という女の子が転校してきて、鬼瀬と教室でふたりきりになるシーンがあるんです。雅が告白しかける感じになるんですけど、そこに奈緒が走ってやってきて「私も好き!」と言うシーン。教室でコクるのもそうだし、かわいい女の子ふたりから告白されるなんて最高じゃないですか。あんな青春が自分にもあったら、たぶん人生が変わっていただろうなと思います(笑)。
- もし高校時代の自分が奈緒たちのキラキラした青春を見たら、どう感じたと思いますか?
- 普通にいいなぁと思っていたでしょうね。
- 「何だよ、あいつら!」となったりはしてないですか?
- なってないと思います。自分が卑屈になってきたのは、わりと最近のことなので(笑)。当時のほうがそういうものにピュアに憧れていたんじゃないかな…と。
- 卑屈になってきたのには、何か理由があるんでしょうか…?
- 年齢を重ねて、意外と女性もズルいということがわかってきたからかな(笑)。たとえば、自分をよく見せるために、友達づてに悪口を言って、恋敵を引きずり降ろそうとしたりとか。もちろん、そんな女性ばかりじゃないと思うけど、そういうのを聞けば聞くほど幻滅しちゃいますよね。そういう意味では、僕のほうがメルヘンなものを信じていたい男なんでしょうね。
- なるほど。だから、この映画にも“鬼キュン”したんですね。
- そうかもしれないです(笑)。
神木隆之介に演技相談。ふたりで“頭ポンポン”しあった
- これまでにもドラマ『釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜』(テレビ東京系)に友情出演されたり、『オトナ高校』(テレビ朝日系)にゲスト出演されたりはしていますが、今回、本格的な映画デビューにあたり、どなたか俳優の方に相談されることはありましたか?
- はい。神木隆之介くんに相談しました。ふたりで食事に行って、宗介の行動に対して「自分ならこうする」という演技を目の前で見せてくれました。
- 具体的には、どんなことを?
- 宗介が奈緒の頭をなでるシーンがあるんですけど、僕は34年間生きてきて、一度も女性の頭をなでたことがないんです。というのも、頭をなでるのは人を見下す行為だと思っているので。でも、脚本のト書きに「奈緒の頭をなでる」と書いてあったので、神木くんに相談して。
- どんな答えが返ってきましたか?
- 親戚の叔父さんというだけならクシャクシャとなでてもいいと思うけど、そこに男女の何かがあるなら、ポンポンとやったほうが意味が深まるんじゃないかと教えてくれました。
- 神木さん、さすがですね。
- 本当にさすがですよね。僕も神木くんに頭ポンポンしてもらいましたもん。しかも、最初はテーブルをはさんで座っていたんですけど、話しているうちにヒートアップしてきて、横並びに座って、お互いにポンポンしあうという(笑)。
- 何も知らない人が見たら、関係を怪しまれそうですね(笑)。
- しかも、かなりの至近距離でポンポンしあっているんだから、完全にボーイズラブの世界ですよね(笑)。でも、神木くんは本当に真剣に向き合ってくれて、感謝しています。