「10年にひとり現れるかどうかの奇跡」高良健吾×城田 優をむすぶ深い信頼と絆。

WOWOWにて放送される『連続ドラマW バイバイ、ブラックバード』で、借金のかたに連れ去られる運命の男、星野一彦を演じる高良健吾と、星野を監視する怪女、繭美を演じる城田 優。物語は、星野が5股をかけていた女性たちへの“お別れ行脚”に同行する、繭美との珍道中からスタートする。スピード感のある言葉のキャッチボールが小気味いい今作は、人生を生きるヒントがぎっしりと詰まっている。雄弁に語る城田に、やさしい眼差しを向ける高良。ふたりのやり取りからも、信頼と絆でむすばれているのがわかる。この凸凹コンビ、プライベートでも親交を深めていったようだ。

撮影/宮坂浩見 取材・文/花村扶美 
スタイリング/黒田 領(VIVID) ヘアメイク/竹下フミ(竹下本舗)

登場人物が魅力的で、想像する楽しさをかき立ててくれる

今回の『バイバイ、ブラックバード』は伊坂幸太郎さんの小説が原作ですが、伊坂さんの作品にはどういう魅力を感じますか?
高良 僕は9年ほど前に『フィッシュストーリー』という映画に出演させていただいたことがあるんですけど、伊坂さんの小説は次のページが気になって早くめくりたくなる、そんな魅力があります。
城田 映像作品はいくつも見てるんですけど、小説は読んでいなくて。残念ながら読書をしないので申し訳ないんですけど…。ラストは絶対、余韻というか何かしら心に残るものがあるなという印象を受けました。
今作についてはいかがでしたか?
城田 星野や繭美のキャラクターがすごく魅力的に描かれていて、想像する楽しさを何倍にもしてくれるなと思いました。
高良 わかる、わかる!
城田 “あのバス”という言葉が出てくるんですけど、それが何なのか最後までわからない。でも、それを想像させるというか、夢の世界に連れて行ってくれるんですよね。
▲高良健吾
今作では、高良さんが5股男役、城田さんが怪物女役ですが…。
城田 “5股と怪物”って、ざっくり紹介しましたね。でもまぁ、その通りなんですけどね(笑)。
すみません(笑)。高良さん演じる星野は“あのバス”で連れて行かれる前に、5人の恋人たちに会ってちゃんと別れを告げたいと申し出ます。その見届け人として仕方なく同行することになったのが、城田さん演じる大柄な女性、繭美です。おふたりは役作りをどうされましたか?
城田 健吾は俺が紹介した女性と5股して。
高良 さらに借金もしました。
城田 で、俺はいろんな国に行って、暴れまくって怪物の称号を手に入れて。
高良 そして、誰かれかまわず暴言を吐いて。
城田 アハハハ。書かないでくださいね、冗談ですから(笑)。
(笑)。本当のところはいかがでしたか?
高良 役作りというより、目の前で起きる出来事に迷わない、ということを意識しながら演じました。
城田 星野は5股をかけているという自覚がない人なんですよ。めちゃくちゃ人のいい馬鹿で、残念な失敗をしてしまったがゆえにバスに乗せられてしまう運命に(笑)。いいやつなんですよ。
誰にでもやさしいからこそ、5股をかけてしまうという。
高良 やさしさというか、馬鹿正直なんです。星野は、普通の人と感覚がズレているんですよね。
城田 だけど最近、星野の気持ちがわかるようになった。
高良 どういうこと?
城田 俺、助けを求められたりすると、それに応えてあげたいと思っちゃうんだよね。
高良 優くんはやさしいからね。
城田 その延長に星野がいるのかなと思って。
▲城田 優

ブラジャーをすると、女性の気持ちにスイッチが入るんですよ

城田さんは繭美を演じるにあたって、脱毛されたそうですね。
城田 はい。二の腕まで脱毛してツルツルになったんですけど、なぜか今、左手の親指のつけ根にだけ、毛が生えてきちゃって。
高良 それ、ちょっと不思議だね(笑)。
城田 顔のエステにも通ったよ。
より女性に近づくために?
城田 女性らしい女性を演じようとは思わなかったけど、女性らしい顔のラインを作るために。
城田さんが女性の姿で現れたとき、高良さんの感想は?
高良 何の違和感もありませんでした。僕、この現場に入る前に、繭美役が誰になるのかすごく興味があったんです。それで、優くんが繭美役だって聞いたとき、あぁ、そういう攻め方があるんだなと思って、優くんと会うのがすごく楽しみでした。
城田さんは、女性の仕草を研究したんですか?
城田 いえ、そこはあんまりしてないです。というのも繭美は、化粧やネイルをしていたり、髪型や服装は女性ですけど、本人は女性らしく生きようとは思っていないんです。椅子にドカンと座って、ビールを飲んでゲップしたりするくらいだから。
高良 女性らしいところを出したくないのかも。
城田 そう。でも、無意識のときにフッと女性らしさが出ちゃうときがある。たとえば、耳かきをしているときとかね。もともと監督からも、女っぽくしようとしなくていいって言われてたので。でも女性のつもりで演じてましたよ。変な話、ブラジャーをつけると女性の気持ちにスイッチが入るんですよ。
そういうものですか?
城田 そうなんですよ。
高良 繭美の格好をしてるときに、僕が優くんのことを触ると恥ずかしがるんです…。
城田 着替えてるときに、健吾が覗きに来ると超恥ずかしい(笑)。ちょっとやめろよ! みたいな、ホント変な感覚。
高良 優くんの色っぽさは、優くんがもとから持っている品の良さなのかなって思う。だから繭美が下品すぎないんです。
城田 そう?
高良 言葉が乱暴だったり、性格も明らかにゆがんでいるけれど、優くんが演じる繭美だから許せるのではないかな。

繭美を作るために健吾のことは毎日、罵倒し続けた(笑)

星野はずっと繭美に怒鳴られ続けてましたよね。
城田 本番じゃないときもずっと怒鳴ってました。
繭美が憑依した感じだったんですか?
城田 よく役者さんのなかに「役が抜けなくて」って言う人がいるけど、俺、そういうことがまったく理解できない人間だったんですよ。でも、今回はそういう感覚が初めてわかった気がしましたね。
高良 基本、優くんは温厚だもんね。
城田 そう、普段はおだやかな性格だし、ラブ&ピースな人なのに。だから、繭美を作るために健吾のことは毎日、罵倒し続けた(笑)。
高良 そうだった。
城田 カメラがまわっていないときも、「お前、ゴミみたいな顔しやがって」ってずっと言っていて。
高良 しかも、朝イチから(笑)。
城田 でも罵倒し続けると、不思議と自分がトゲトゲしくなっていくのがわかるんですよ。役柄的にはよかったんですけど。本番もそのままの気持ちで臨めたから、リアリティのある空気が作れましたね。
高良 監督からも「もっとやさしさを消して」と言われていたしね。
城田 最初の本読みのとき、「城田くん、人の良さが出てるよ」って。「もっとトゲトゲしく鋭く」って言われたから、どうしたらいいのかかなり悩んだ。でも、健吾をののしり続けたおかげで、やっと繭美になれたんだよね(笑)。
高良 映像で星野と繭美の2ショットを見たとき、いいコンビだと思った。最初は、どう映るのか不安だったけれど、まったく違和感がなかった。
城田 本当にそうだね(笑)。
今回の撮影で印象深い出来事はありましたか?
高良 印象深いというか、7、8月の真夏に真冬のシーンを撮ったから、それが何より大変でした。
城田 俺もそう。だって汗だくでしたから。カツラかぶってるし。
高良 さらに優くんは、冬物の上着を着てるし。
城田 あれはめちゃ暑かった! 家のなかのシーンも空調の音が入らないように、エアコンを切って撮影するからツラかった。まる1日中だもんね。
高良 体力が持つか心配だったよ。
城田 台本も長回しで10ページとかあるし、家のなかの登場人物も3人だけだからセリフも多いし。意識がもうろうとするなかの撮影だったね。
高良 真夏に冬のシーンを撮るのは初めてのことだったからすごくキツかった。でも優くん、汗かいていなかったよね。
城田 俺ね、女優さんみたいに顔には汗をかかないの。だから、スタッフさんに「ほかの男性がやってたら成り立ってなかった」って褒められた(笑)。それが不幸中の幸いです。
キツいと言えば、1話で星野がフードファイターのようにラーメンを食べるシーンがありました。
高良 あれもキツかった!
城田 健吾、あのとき何カ月かぶりにラーメンを食べたんだよね? グルテンフリーしてたから。
高良 そう。だからあの撮影のあと、すごく体調が悪くなって。
実際、何杯くらい食べたんですか?
高良 4、5杯は軽く食べたと思います。
城田 監督がずっと長回しをしていたんですよ。
高良 そんなに使わないだろうなと思っていたけれど、かなり本編で使われてた。
城田 うん。そのおかげで臨場感があるっていうか。無理してますっていう芝居をしてるんじゃなくて、本当に無理みたいな(笑)。それが監督の狙いだったと思うんですけどね。
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