第一印象は最悪!? 富田健太郎×溝口琢矢が“高校の同級生”から“仕事仲間”になるまで

アミューズの若手俳優による年末恒例のファン感謝祭、通称『ハンサム』の出演や、2次元アイドルと3次元アイドルが連動した『ドリフェス!R』での声優、アーティスト活動などでも活躍する富田健太郎と溝口琢矢。俳優業に留まらず活躍の場を広げているふたりが、現在TOKYO MXほかにて放送中の『働くお兄さん!』でメインキャラクターの声を担当している。取材中、落ち着いた口調で冷ややかに切り込む溝口と、それに翻弄されながらもツッコむ富田。このやりとりは、本作でふたりが演じるキャラクターたちのように和やかだった。

撮影/尾藤能暢 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

お客さんが楽しんでくれてホッとしました(富田)

本日(※取材日)はTVアニメ『働くお兄さん!』上映イベントでした。3話までのアニメ上映とおふたりのトークショーで、会場はとても盛り上がっていましたね。イベントを終えられた感想から教えてください。
富田 ワクワクもありましたが、はじめてお客さんに見ていただくということで、内心ドキドキしていました。やっぱりお客さんの反応を聞くまでは不安で。でも、来てくださった方が楽しんでくれた様子を見て純粋にホッとしました。
溝口 僕はオープニング映像が流れたとき、お客さんから「おおお!」って声が上がったのにびっくりして。僕らも「何が起きたんだ!?」って思ったよね。
富田 まさかそういう切り口の映像になっているなんて思わないもんね。
▲富田健太郎
▲溝口琢矢
本編は通常のアニメーションですが、オープニングの映像はぬいぐるみが用いられたパペットアニメーションで作られていますね。
富田 アフレコでオープニング映像を見させてもらったときも、僕ら、お客さんたちと同じリアクションしなかった?
溝口 した!
富田 「おおお!」って(笑)。だから、今日のみなさんの反応は、そのときの僕らと同じ気持ちだったんだなって。
溝口 人形を動かした映像を作るのは本当に大変とお聞きしたので…。そんなこだわりを持って作っていただけてうれしいですし、エンディングもとても素敵なので、僕らもよりアニメ本編をいいものにしていかないといけないなと気が引き締まりました。
アニメの映像をご覧になっていかがでしたか? 富田さん演じる、三毛猫の茶トラ沢タピオと、溝口さん演じる、ロシアンブルーのロシ原クエ彦がさまざまな職場でアルバイトを経験して、仕事の大変さや楽しさを学んでいく様子が描かれる5分のショートアニメです。絶妙なゆるさがたまりませんね。
溝口 じつは、今日の上映イベントもお客さんのうしろから一緒に見ていたんですけど、本当に5分ってあっという間だなと思いました。
富田 ね。早かったね。映画とかドラマだと、気兼ねなく見ると言うより「見よう」って思うことが多いですけど、5分のショートアニメーションなので、電車の移動中やふとしたときでも気軽に見られていいなぁって。
溝口 気軽に見られるんですが、マニアックな要素もふんだんに盛り込まれているんです。高嶋(友也)監督もおっしゃっていたんですけど、タピオとクエ彦が行くアルバイト先に、実際に取材をされて、そのお店らしさなど細かい部分までアニメに反映されています。
富田 スゴいよね。
溝口 うん。最初は気軽に見ていただいて、そのあと細かい部分まで気にしてもう一度見ていただけたら本当にうれしいです。
ちなみに今、溝口さんが身につけているヘッドフォンは実際にクエ彦がつけているのと同じモデル(Double Zero 001)なんですよね。しかも、いただいたのだとか。
溝口 そうなんです! 物欲しそうな目で宇佐(義大)さん(※『働くお兄さん!』の原作者であり、コラム&TVアニメ『うーさーのその日暮らし』も手がけた)を見ていたら「あげるよ」って言ってくださって。
富田 いいなぁ。
溝口 今後のイベントでもつけるという約束のもとで。ヘッドフォンを手に入れたので、(クエ彦の絵を見ながら)次はパーカーを探してみようかなと思います。
富田 クエ彦の服は一式揃えられそうだね。
溝口 うん! (タピオの絵を見ながら)トミーはね、あの服はね…。
富田 あの(新番組と書かれた)Tシャツはね…あるのかな?
溝口 そういうTシャツがたくさん売っているところを知っているから、僕がトミーの誕生日にプレゼントするよ。あ……でも8月か、ちょっと遠いね(笑)。
富田 えっ、もう公言したからね! これはちゃんとインタビューに載りますので! ですよね?
はい、載せさせていただきます(笑)。
溝口 あはは! うん、公言したからには。でも、僕があげても着ていなかったら…。今このインタビューを読んでいるみなさんは「あれ? ふたりの仲は大丈夫かな?」って思うだろうね。

『ドリフェス!R』のアフレコでは感じなかった新たな一面

タピオ役とクエ彦役は、おふたりが参加している、バンダイグループとアミューズがプロデュースし、2次元アイドルと3次元アイドルが連動した『ドリフェス!R』のメインキャスト内のオーディションで決定されたのだとか。『ドリフェス!R』から生まれた5人組ユニット・DearDream(石原壮馬、溝口琢矢、富田健太郎、太田将熙、正木 郁)と、ライバルユニット・KUROFUNE(戸谷公人、株元英彰)の7人からの選抜なのですね。
富田 決まったときはとてもうれしかったです。これまで『ドリフェス!R』で一緒に活動してきた7人のなかでのオーディションだったので、単純に負けたくない気持ちがありました。もちろん、誰に決まっても面白そうだと思っていましたが、そこは一緒に活動してきたライバルだからこそ勝ちたいなって。
溝口 実際に決まって、これまで『ドリフェス!R』では7人で分担して背負っていたものが、ふたりで背負うことになったっていうのは、ひとつ僕のなかでは大きかったです。
富田 そうだね。
溝口 しかも、『働くお兄さん!』では、素敵なゲスト声優さんも多く登場すると聞いていて。そこもすごく楽しみな部分だったよね。また新たな挑戦がはじまったんだなという感覚でした。
富田さんは、相手役が溝口さんと聞いたときはいかがでしたか?
富田 一緒にいるときに聞いたんだよね。
溝口 そうだったっけ。一年中一緒にいるからなぁ…。
富田 (笑)。僕は、相手が琢矢ですって聞いたときはすごく安心しました。舞台経験も豊富だし、何かを相談したときも、客観的な視点で意見を言ってくれるだろうなと思ったので。
溝口 へー……。
富田 何、その薄い反応!(笑)
(笑)。溝口さんは相手が富田さんだと聞いたときのお気持ちは?
溝口 トミーは、7人のなかで『ドリフェス!R』以外で声のお仕事をしていたひとり目で。『ドリフェス!R』以外の現場で経験したことを活かしてアフレコに臨む姿を見られるというのは、絶対に自分の糧になるなと思っていました。
実際にお互いのアフレコ姿を見て…『ドリフェス!R』とは違う役を演じて、また新たに見えてきた一面などを感じることはありましたか?
富田 僕は『ボールルームへようこそ』へ出演させてもらったときに、アフレコ経験が少ないからこその難しさや緊張があって。先輩の声優さんとアドバイスをもらえる関係になりたいなってソワソワしていたんですけど、その感じを、めずらしく琢矢から感じました。
溝口 何か、先輩ぶられてますね?(笑)
富田 いやいや、僕も同じ気持ちだったから!(笑) 何か落ち着かない感じ、「そうなってた!」って思って。そういう琢矢の姿は普段見ないので可愛いなぁと。
溝口 ははは。うん、緊張していてなかなか落ち着かなかった。そう思うと、アフレコ中にトミーの大きな変化というのは感じなかったかもしれないです。でもオーディションのときに演技の幅の広さは見せつけられたなって思いましたし、なかなか見ない一面でした。
本作には、シュールな言動でオチをすべて持っていく、名前を呼んではいけないその動物役に杉田智和さんが参加されていますが、杉田さんとは何かお話されましたか?
富田 じつはまだ、杉田さんとは一緒に録れていないんです(※取材が行われたのは12月中旬)。
溝口 はい。杉田さんとは別録りで。
富田 だからまだお会いできていないんです。
そうだったんですね。これからご一緒にアフレコできたらいいですね。では、第1話では細谷佳正さんがゲスト声優として参加されていましたが、細谷さんにはどんな印象をお持ちになりましたか?
富田 本当に気さくな方で、休憩中も和やかな雰囲気にしてくださいました。その立ち居振る舞いにある意味、背中を見せてもらったなという感じ。芝居面でも、細谷さんが演じた配送会社で働くドライバーのスコ山先輩は、とてもシュールな役で。
溝口 そうそう(笑)。
富田 とても気さくで優しい細谷さんが、どうシュールなお芝居をするんだろうと思っていたんです。感情を優先させるのか、シュールさを突き詰めるのか…。それを細谷さんが絶妙なところを演じられていたのでスゴいなぁと。
溝口 先輩の姿を見て感じることが本当に多いですよね。「そうやって演じるんだ!」と思って。「こういう芝居で来るかな?」なんて考えられるほど経験があるわけではないんですけど。でも、予想の範囲外をいくお芝居でしたし、それが超絶面白い。
富田 細谷さんにはめちゃくちゃ支えてもらったよね。
溝口 1話だったからとくにね! でも、宇佐さんはじめスタッフのみなさんも本当に気さくで。
富田 作品の雰囲気的にもゆるい感じなので、アフレコ現場もとても和やかです。

部屋の片付けに睡眠…ふたりが“猫の手も借りたい”こと

本作は“猫の手を貸したい系アニメ”とのことですが、おふたりが今、“猫の手も借りたい!”と思うことはありますか?
富田 おー!
溝口 面白い質問!
富田 僕はけっこうあるなぁ…うーんと、部屋の片付け。
溝口 わかる。
富田 もう、すごく猫の手も借りたい状態。僕はB型なので、やるときはとことん綺麗にするんですけど、やらないときはそのままなので、今は散らかってます(笑)。
取材している今は12月中旬なので、年末の『HANDSOME FILM FESTIVAL 2017』と、年明けからスタートのDearDream 1st LIVE TOUR 2018「ユメノコドウ」のリハーサルでお忙しい時期ですよね。富田さんの趣味だというお料理も…。
富田 あ、でも料理はしているんです!
溝口 このあいだも、作った料理の写真を見せてきましたよ。
富田 ツイッターに投稿していたんですけど、最近はできていなくて。ファンの方からも「最近、料理の写真ないですね」ってよく言われるんです。
料理をしていてもお写真は投稿されていない、と?
富田 あの写真を撮るのは、じつはけっこう手間がかかるんです…。
溝口 え、そうなの?
富田 いつものテーブルの位置だと料理が全部影になっちゃうので、料理を並べたうえでテーブルを一回転させて撮っているんです。せっかくなら綺麗に撮りたいじゃないですか。
溝口 そうなんだ! これまで茶色のものばかりだったけど、最近、料理に緑も増えてきたよね。
富田 それはね、前に言われて「たしかに」と思って意識するようになりました(笑)。
お料理の写真を見ると、かなり本格的でその腕前に驚かされるのですが、メニューはどのように考えているのですか?
富田 いや、そんなに考えていないですね。もう、ありもので…。
溝口 (小声で)出た出た。
富田 え?(笑) ありもので何を作ろうかなーって考えています。逆に「これを作ろう」って考えて材料を買うと高くなっちゃうんですよ。だから、基本的な材料を揃えて、そのなかから作る!
溝口 これは料理ができる人の発言ですね。
ありもので作るというのが、さすがですよね。溝口さんが“猫の手も借りたい”ことは?
溝口 その猫が僕と一心同体なら、僕の代わりに家で寝て、睡眠をとってほしい。
富田 自然と琢矢も睡眠がとれているってこと?
溝口 そう!
富田 都合がいいな〜(笑)。
溝口 それがダメだったらコーヒー豆を挽いてほしい! これはちょっと切実で。挽き出すと家のなかで音が響くし、香りが漂う…するとお父さんとお母さんが「飲む」ってやって来て、3杯分を挽かないといけなくなるんです。ひとり分ならすぐ挽けるんですけど、3杯分だと少し時間がかかるので、その時間でお風呂に入れるな〜とか考えちゃうんです。
富田 挽いてもらってお風呂に入る、と。
溝口 たまにお母さんが「挽いておくよ」って言ってくれるんですけど、やっぱり自分で挽きたい。なぜなら自分が一番上手だと思っているから。漂う香りや手の感触が好きなんですよね…。
富田 じゃあ、猫の手も借りられないじゃん!
溝口 そうしたら、自分がそっちをやればいいんですね。
溝口さんはゆっくり寝てコーヒー豆を挽いて、猫には仕事をしていてもらう、と?
溝口 はい(笑)。
富田 何、その逆転の発想! たっぷり寝られるし、コーヒー豆も挽き放題だし最高の生活じゃん!
溝口 ヤバい、これじゃあ「働かないお兄さん」だ(笑)。
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