佐々木 希「自分のことを理解できるようになった」しんどい時期を乗り越え、私らしい30代へ。

2018年を迎え、あと1ヶ月ほどで迎える30歳の誕生日を前に、佐々木 希は箱に入れて大事にしまっておく宝物を愛おしむような優しい表情で、20代に思いをはせる。楽しいことばかりではない。ダメな自分もイヤというほど見てきた。でも、そうした経験があったからこそ、いまがある。それは映画『伊藤くん A to E』で「胸を痛めながら演じた」という島原智美が、つらい恋愛の果てに踏み出す一歩と重なる。「30代は自分らしく人生を謳歌したい!」――そう力強く微笑む。

撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc

「智美として二度も切ない境遇を経験するなんて…」

映画『伊藤くん A to E』は、直木賞候補にもなった柚木麻子さんの小説です。超モンスター級の痛男・伊藤誠二郎(岡田将生)に翻弄される女性たちを描いていますが、8月15日からはMBS・TBS系列で放送され、Netflixでも配信中の連続ドラマ版はそれぞれの女性目線で描かれています。今回の映画は、ドラマとは異なる視点で物語が紡がれますね。
AからEまでいろいろなタイプの女性が出てくるので、自分はどのタイプ? と考えながら楽しめます。「わかる! わかる!」って、見終わったあとに盛り上がれると思います。
佐々木さんが演じた智美はタイプ「A」の“都合の良い女”ですね。誰もが認める才色兼備の女性ですが、5年間も伊藤と付き合っている“つもり”で尽くし続けるも伊藤とSEXしたことはなく、ぞんざいに扱われます…。見ていて、かわいそうになってしまいますが…。
私も演じながら、胸を痛めていました(苦笑)。先ほど、柚木先生にお会いして話したら、智美のモデルとなった、実際にこういう経験をした知り合いがいらっしゃるということでしたけど…。
ドラマでは、伊藤の正体は明かされておらず、主人公の脚本家・矢崎莉桜(木村文乃)の想像で、ドラマのプロデューサー・田村伸也(田中 圭)が伊藤役を代わりに演じていました。映画では岡田将生さんが伊藤を演じており、佐々木さんは岡田さん、田中さんを相手に二度もあのつらい境遇の役を演じたんですね。
そうなんですよ。二度もあの役を演じるのは切ないですよ!(笑) ドラマで演じたシーンを、相手を変えて映画でもう一度撮影するのは初めての経験で、新鮮でした。変化を意識するよりも、相手は違っても最初のときの気持ちを思い出しながら演じようって思いました。
二度ともつらくなりましたか?
そうですね。「なんでこんな男性にだまされるの? もっといい男性、いるでしょ!」と思いつつ、悲しくなりました。ひどい言葉も言われるし…。
智美自身は5年も付き合っているつもりでいたのに、伊藤にあっさり「俺、好きな人ができた」と言われ、意を決して智美のほうから誘っても「(好きな人に)誠実でいたいんだよ」と拒否され…。それでも、伊藤に振り向いてもらおうと追いすがる智美の気持ちは理解できましたか?
うーん、理解や共感は…どうでしょう?(苦笑) 好きになった人のために何かをしてあげたいという気持ちは誰しもが持っているものだと思いますし、それはわかりますけど。
あそこまで、都合のいい女としてぞんざいに扱われると…。
ちょっと理解はできないですね。ドラマのセリフにもありましたけど、元を取らないとって意地になっている部分もあるんだと思います。

伊藤との出会いを前向きに捉えれば“失敗は成功のもと”

智美に限らず、A〜Eの伊藤に振り回される5人の女性たちの生き方や心理、選択などを見て、佐々木さんご自身に近いと思える女性はいましたか?
どの女性もぴったりと私に当てはまるわけじゃないんですけど、それぞれポイントごとに「わかるな」という部分はある気がしますね(笑)。
伊藤のような、意識高めで常に相手よりも優位なポジションにいることに腐心し、相手に正面から向き合わず、自分が傷つかないようにしている男性をどう思いますか?
ひどい男ですよね。とても理解するのは難しいですし、むしろかわいそうだなって思います。本当の恋愛をしたこともないし、当たって砕けろという気持ちで正々堂々、戦おうともしないのは、ある意味でかわいそうな人なんじゃないかなって。
とはいえ男性から見ると、伊藤の行動のひとつひとつはもちろんサイテーなんですけど、彼の考え方や心情、ちょっとしたズルさは「少しわかる」という部分が、なきにしもあらず…という気もするんですが。
そうなんですか?(笑)
そういう意味でこの作品を見た感想は、男女でかなり違ってくるかと。佐々木さんは、男性に対して「え? なんで?」と理解に苦しむところ、絶対にわかり合えないなと感じるところなどはありますか?
理解できないところ…。うーん、わからないですけど…っていうか、男の人のことがよくわからないですね(苦笑)。ただ、やっぱり女性のほうが切り替えは早いのかなとは思いますね。
たしかにそれはあるかもしれません。
智美もあれだけ伊藤くんに執着していたのに「もういいや」と思う瞬間を迎えたら、そこから前を見て自分の道を行く。わりと多くの女性が、終わった恋は振り返らないですよね。世間的に、男性は引きずるっていうじゃないですか?
よく「女性は上書き保存。男性は名前を付けて保存」と言いますが…。
それは本当なんですか? だとしたら、やっぱり男女でだいぶ違いますね。
というか、女性は本当に上書きして忘れちゃうんですか…?
忘れるというより、切り替わるんでしょうか? いえ、もちろん人によると思いますけど(笑)。この作品に関しても、考えようによっては伊藤くんがいたからこそ、みんなそれぞれ新しい自分に出会えて、前に進めたのかなって。
ポスターやチラシのキャッチコピーに「伊藤(あいつ)にさえ、出会わなければ――」とありますが、むしろ…。
ものすごくポジティブにとらえれば、サイテーな男だけど、ちゃんと得るものはあったんですよ。それぞれ、自分を見つめ直しているし、“失敗は成功のもと”って言いますけど。むしろ、伊藤くんがこの先、どうなるのか知りたいですね(笑)。ちゃんと成長できるのか…?

失敗して怒られて…へこんでこそ、人は成長できる

誰しも、自分のイタい部分や失敗に向き合うのはつらいことですが、佐々木さんは…。
できないです!(苦笑) いや、そういうところがあるから人生って面白いんですよね。何でもうまくいってもつまらないし。いろんな経験をして、失敗もして「そういうこともあったなぁ…」って思い出せるようになりたいですよね。
そうやって、口に出して言える時点で、向き合って乗り越えているのかもしれません。映画の中でも、イヤというほど「ぶざま」って言葉が出てきて、グサグサと突き刺さります。
でも、そういうぶざまな姿を見せたほうがいいんだなって思いますよ。見せずにカッコつけるよりもカッコ悪い姿も見せて、そこで怒られたり、へこんだりしたほうが、頑張って成長できると思うし。私自身はそういうタイプだねと言われることがあります。
昔からの友達だったり、ダメな自分を見せられる、知ってくれる存在がいてくれるというのは大事なことですね。
私もそういう友達がいます。みにくい部分もいっぱい見せてきたし、でもそれで離れていっちゃうなら本当の友達じゃないし。いつもではないですけど(笑)、たまにはそういう姿を見せてもいいのかなって。
ちなみに佐々木さんは、ご自分で「私、イタい女だな」と感じることはありますか?
何でしょうね。友達に「ごはんに行こう」って誘うとき、ついついメールにハートマークをいっぱいつけて送っちゃうこととか…? まあ、イタいと思いつつ、友達なんだからいいでしょって(笑)。
映画を見ると、伊藤だけでなく、女性たちの意地やプライドや欲、相手より優位に立ちたいという思いなども見え隠れします。佐々木さんは、ご自身のそういう部分に苦しんだり、周りのそういった感情に振り回されたりすることは?
10代とか20代の初めの頃は、そういったことでいろいろと悩むことはありましたよ。ドキドキしながら生きていましたね。大人になってからは気にならなくなりました。
伊藤が自分の生き方を語るくだりで、コンプレックスや嫉妬、闘争心、他人からどう思われたいかなんて、関係ないという意味のことを言いますね。それこそ、女優という仕事をしていると自分がどう思おうと、周りが勝手に同世代の女優と比較したり、評価を下したりということもあるかと思います。
それもやっぱり20代前半の頃ですが、世間の声が怖かったし、私自身、周りと比べられることを嫌がっていた時期はありました。いまは、気にならなくなってきたのかな?
自分で乗り越えた?
「私は私」って思えるようになったんですかね? その頃は、自分のことが嫌いな気持ちも強かったんだと思います。いまは、別に自分が大好きってわけじゃないですけど(笑)、自分のことを理解できるようになったのかな? 年齢を重ねて、自然と少しずつ大人になれたんだと思います。
それでも、自分の評価だったり、他人にどう思われるかを気にすることはないですか?
気にするときは気にしますよ。でも、賛否があって当たり前だなって思います。

2018年は30代に突入。どんな日々を送りたい?

2018年が始まって、あと1ヶ月ほどで30歳の誕生日ですね。
そうなんですよ! ついに30代に突入です(笑)。
改めて目標や挑戦したいことはありますか?
そうですね…今回、演じた智美はきっとこれから先、仕事もプライベートもキラキラと輝きながら生きていける人だと思うんです。私も仕事を楽しみつつ、プライベートも充実させ、なおかつもう30代ですから健康に気をつけつつ(笑)、人生を謳歌したいです!
若い頃、30代になっている自分の姿を想像してましたか?
子どもの頃は、30代はもっと大人だと思っていましたけど(笑)、いざ30歳を目の前にすると、そもそも私、まだ大人にもなってないんじゃないの? って気もします…(笑)。ですが、自分らしく生きていけたらと思います!
佐々木 希(ささき・のぞみ)
1988年2月8日生まれ。秋田県出身。AB型。2006年、雑誌『PINKY』(集英社)の第2回プリンセスPINKYオーディションにてグランプリを受賞し、同誌の専属モデルとして活躍。2008年の『ハンサム★スーツ』で映画初出演。2009年には映画『天使の恋』で初主演を果たす。映画出演作に『さいはてにて 〜やさしい香りと待ちながら〜』、『星ガ丘ワンダーランド』など。2015年には初舞台『ブロッケンの妖怪』に出演。ドラマから映画となった『ラストコップ』シリーズ、ドラマ『小さな巨人』(TBS系)、WEBドラマ『雨が降ると君は優しい』(Hulu配信)など、話題作に次々と出演。

出演作品

映画『伊藤くん A to E』
1月12日(金)全国ロードショー
http://www.ito-kun.jp/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、佐々木 希さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年1月4日(木)12:00〜1月10日(水)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/1月11日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月11日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月14日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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