北村 諒、燐役を続投する意味を噛みしめて臨む、舞台「青エク」新作公演

取材日は、舞台「青の祓魔師」島根イルミナティ篇の上演が発表になった当日。昨年の公演から、引き続き主人公・奥村 燐を演じる北村 諒は、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜の本番の合間を縫って取材に駆けつけてくれた。休みなく作品に出演し続ける現状に北村は、「刺激的な毎日に、日々やりがいを感じている」と話す。10月からはじまる、舞台「青の祓魔師」(通称“青エク”)新作公演も、北村にとって刺激的な経験のひとつとなることは間違いないだろう。

撮影/祭貴義道 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
ヘアメイク/和田麻希子(エアーサプライ)

大好きな出雲の活躍に期待!? 新作公演で楽しみなコト

昨年の『舞台「青の祓魔師」京都紅蓮篇』から1年、待望の新作公演、舞台「青の祓魔師」島根イルミナティ篇が発表になりました。
新作公演の情報を発表して、ツイッターなどでたくさんの方から反応をいただいてうれしかったです。楽しみにしてくれている人がいるんだと改めて実感して、より身が引き締まりました。
前回公演については、北村さんのなかで、どう手応えを感じましたか?
原作の加藤和恵先生もおっしゃっていたんですが、前回の京都紅蓮篇は“青エク”のなかでもかなり重要なお話で。だからこそ、多くのやりがいを感じました。去年やらせてもらった作品のなかで、とくに思い出深い作品のひとつです。
北村さんは、原作の『青の祓魔師』(集英社)がもともとお好きだったとのことですし、好きな作品に出られることも大きかったと思います。
はい。舞台を通して、もっと“青エク”のことが好きになりました。僕は、京都紅蓮篇のオープニングのイメージシーンがすごく好きなんですけど、今でもたまにDVDで見返して、思い出したりしています。
前回のインタビュー時、好きな女性キャラクターに神木出雲の名前を挙げていましたが…。
はい! 出雲ちゃん大好きです!
(笑)。原作第11巻から15巻の内容にあたる、今回の島根イルミナティ篇では、出雲がキーパーソンになってきますね。
そうなんですよね! まず、舞台「青エク」の続編をやれることがうれしいですけど、そのなかで、原作でも話の転機になる、出雲ちゃんの葛藤などが見られるのが今からすごく楽しみです。燐として出雲ちゃんを支えてあげられたら、と思います。
出雲のお話もですが、そのほか今回の公演で楽しみにしていることは?
物語で言うと、(杜山)しえみが、さらに祓魔塾(※ふつまじゅく、燐たちが所属する祓魔師養成機関)のみんなとの絆を再確認する部分は、原作でもとても好きな部分なので期待してます。あと、個人的には、(田中)良子さんが(神木)玉雲を演じるのがすごく楽しみ。良子さんが出るって知って、思わず良子さんにLINEを送ったくらいです。
そんなにうれしかったんですね!
はい! 「出るんですね!」ってLINEしたら「そう、出るの。よろしくね」ってお返事が返ってきました。良子さんはずっとお世話になっている方なので、今からお稽古が楽しみです。あとは、メフィスト・フェレス役の和泉宗兵さんとの共演も楽しみです。
和泉さんとは、はじめての共演になりますね。
個人的に、和泉さんが出演されていた舞台を拝見する機会が多くて、ちゃんとお会いしたことはないんですが、勝手にファンなんです(笑)。お芝居がとても素敵で。だから、共演できるんだ! ってすごくうれしい気持ちです。
和泉さんのお芝居の、どんな部分に惹かれたのでしょうか?
先輩に対して失礼かもしれないんですけど……とても独特の空気感を持っている方だなと感じていて。ミュージカル「黒執事」で、和泉さんが演じられている葬儀屋(アンダーテイカー)を見て、すごく引き込まれました。そのあとに、舞台「ノラガミ」でも拝見したんですけど、全然雰囲気が違って、「同じ人が演じているの!?」って思ったくらいです。
同じ方が演じているようには見えなかった?
見えなかったです。だからこそ、スゴいなと感じて。勝手に共演できることを喜んでいます(笑)。
きっと、ご本人にお伝えしたら喜んでもらえるのでは…と思います。
いや、言わないです! だって、恥ずかしいじゃないですか! 勝手にファンだったわけだし…。でも、もし言える機会があれば、どこかでお話することもあるかな? と思います。

前作で、燐を演じた経験がもたらした変化とは…?

前回のインタビューで、燐とは正反対の性格と分析されていましたが、前回公演を経て、何か変化はありましたか?
もともとの性格が反対なのは変わらないんですけど…。でも、今回のビジュアル撮影のときに、ヘアメイクさんに「すごく男らしくなったね」って言っていただいたんです。ずっとお世話になっているヘアメイクさんで、前回の舞台「青エク」でもヘアメイクを担当されていた方なので、その方に「男らしくなった」って言っていただけて本当にうれしかったです。
燐の衣装やメイクを施しているうちに、前回公演での燐の感覚が戻ってきたのかも…?
ですかね…? 僕自身、何か特別な意識があったわけじゃなかったんですけど、燐を演じられたことで、無意識に出たものがあったのかもしれません。そう考えると、またひとつ成長できたんだなって思います。
そういう意味で、燐というキャラクターの地盤がすでに北村さんのなかにあるので、お稽古にも入りやすそうですね。
そうですね。続きなので、前回やったことの財産を最大限活かさないといけないし、そこを越えないといけないという使命もあります。前回の公演をご覧になっていない方や、「見なくてもいいかな」って思っていた方たちに、興味を持ってもらえるように頑張れたらと思います。
また、北村さんの燐と、宮崎秋人さんの(奥村)雪男を見るのを楽しみにされている方も多いと思います。
それこそ、これまでの舞台「青エク」は、一公演ごとにキャストが入れ替わっていたので、今回、継続キャストがいるということは、経験値としてちゃんと活かしたいです。
前回は、燐と雪男の関係について、宮崎さんとお話をされましたか?
あんまりしてないです。前回、燐と雪男はけっこう別行動だったということもあるんですが。逆に、(三輪)子猫丸(土井裕斗)や、志摩(廉造/才川コージ)などの、祓魔塾メンバーとの関係性を作り上げることがメインでしたね。秋人は、藤堂三郎太役の松風(雅也)さんとけっこうディスカッションしていましたが、僕らは全然。最後、祓魔塾メンバーで、もみくちゃになるシーンはアドリブでいこうっていうことくらいでした。
あのシーンは、燐と雪男の兄弟の関係がすごく表れていて、息がぴったりでした(笑)。
毎回がガチ勝負でした(笑)。でも、燐と雪男だから表現できるものなのかなと思いました。
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