YouTuberの限界ラインを押し上げる! 個性派軍団フィッシャーズ参上!
チャンネル登録者数270万人超! 「テンション0,100%」に「歌詞乗っ取りゲーム」など、彼らが楽しそうに遊ぶ姿をマネする若者たちが急増しているという。いま、絶大な支持を集めるYouTuber軍団フィッシャーズ。中学生活の思い出に、冷たい川に飛び込んで笑っていた少年たちはどのようにして、はじめしゃちょーやHIKAKINといったカリスマを脅かす存在に成り上がったのか? シルクロード、ンダホ、マサイ、ぺけたん、モトキの5人が語りつくす!
撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.「気づいたら」登録者数260万人以上! 人気の秘密
- フィッシャーズと言えば、いまやYouTuber業界でも随一の人気者です。こうした状況をみなさんはどのように受け止めていますか?
- シルク 何ですかね? 気づいたらこうなってたよね? 毎日、面白い動画を自分たちが見たくて撮ってたらこうなっていた感じ。
- ンダホ もともとの始まりが「楽しいことやろう」って感じで、そのままやってきてね。
- シルク 知らぬ間にこうなって、知らぬ間にいろんな人に知ってもらって…。
- ンダホ 想像以上の反響で、自分たちもそこに追いついてないような…。
- シルク そうそう、「あれ?」って。気づいたらいろんなところに出てるぞ。でも「だから何?」という気持ちもあって…。
- ンダホ 何かが変わったわけでもないからね。
- モトキ メンバーはもともと一緒にいる時間が多くて、それはいまでも変わんない。やってること自体は変わってないよね。
- シルク 本当に大きく変わったら身体に変化が現れるでしょ? ンダホはまあ、自分でネタとしてあえて太ったけど、本当に生活が大きく変貌してたら、マサイとぺけたんがもっと太ってるはず!(笑)
- マサイ 変わらず55キロをキープしてるからね。
- シルク この身長でね。178センチでしょ?
- 動画を作るうえで、画面の向こうで260万人が見てる! って意識は?
- シルク たまに芸能人さんに「見てるよ」とか言われると、そんなところまで届いてるんだ! って驚いたり、SNSとかを通じて、いろんな人にエネルギーを与えられてるんだなっていうのは感じるけど…。いま260万人くらい?(※取材を行ったのは5月下旬) 視聴者が僕らの目の前に一挙に現れることはまずないので、1回集めたいくらいだね。
- ンダホ 全員集合! って(笑)。
- モトキ 台東区あたりで場所を借りないとね。
- シルク そんなに見てるんだ? って確認したいけど、なかなか実感はね。
- ンダホ 最近、声をかけられるときに「子どもが見てます」って言われるのはけっこうあるね。お父さんの世代とかが声をかけてくださったり。
- シルク ガテン系のお兄ちゃんが近づいてきて「(低い声で)すいません。見てます」とかね。
- ンダホ 車がスーっと寄ってきたりして「見てます」とか。
- ぺけたん 信号待ちのあいだに、車の窓をコンコンってやってくる人もいたよね。
- シルク そういう意味では、いろんな人に見てもらえるようになったよね。
- これだけ人気になった理由を分析すると?
- シルク うーん、ほかの方がどうなのかはわかんないけど、ひとつだけ言えるのは、誰よりも一番、僕らは楽しんで、動画を撮ってるというのはありますね。
- ぺけたん まず自分たちが楽しいからね。
- シルク 友達同士でワイワイやってる様子をそのまま映してるんで。それが人気になった理由のひとつなんじゃないかなって。あと、外で何かすることを描いてることかな? いままで、家の中で何かして、それを発信するというYouTuberが基本だったと思うけど、僕らのメインは身体を動かすこと。それが、ほかの人とは違う角度を持っているところなのかもしれませんね。
いまだに「YouTuberになった!」という意識はなし…?
- みなさん、中学の同級生ですね。卒業記念に川で遊んでいる様子を撮影した最初の動画をアップしてからここまで、どのようにしてこれだけの視聴者を集めたのか? その推移についておうかがいしたいと思います。そもそもYouTuberになる意識が芽生えたのは…?
- シルク もともと「思い出をつくろう」ってところから始まって…でも、いまでも「YouTuberになったぞ!」とは思ってないんですよね。仕事しながら参加してるヤツもいるし。「YouTuber」と言われることに対して「え? あ、そうなんだ?」くらいの感じ? なろうと思ってしたことはないんですよね。
- ンダホ そうね。たまたまやりたいことをやってたら、「YouTuber」ってカテゴライズされるようになった感じだね。僕らはただ楽しく動画を作ってるだけ。
- シルク 最近になって「YouTuber」って言葉がメジャーになったってだけで、僕らにとっては完全に後付けですね。というのも、意外と長いこと動画に携わっていて、それなりの数を作ってきたんですよね。一時期、夏休みには1日2本とか、狂ったように撮ってはアップしてたし(笑)。ずっと「思い出を作り続けてきた」って感じで、やりたいことがどんどん増えて、いまに至ってますね。
- 視聴者が増えていくきっかけは?
- シルク 最初のうちは、ほぼ誰にも見られてないって時期が長かったし。
- ンダホ 3年くらいそんな感じだったよね。
- シルク いま、いきなり出てきてボンッと数字を伸ばす若い子たちはスゴいなと思うし、素晴らしい環境だなって思いますね。
- ンダホ 俺らなんて、頑張っても頑張ってもなかなか伸びずに、数年でやっと1000人くらい? 最初の1年は70人くらいだったよ(苦笑)。
- シルク ディズニーのモノマネとか流行りのネタを入れて一度、ボンッと伸びて。そこからも…。YouTuberのみなさん、コラボ動画とかやっているじゃないですか、僕らは最初の頃、全然やってなかったんですよ。この人数だと自分たちでほぼ完結しちゃうから。
- 人数がそろってますからね(笑)。
- シルク そうなんですよ。頭数足りてるうえに、みんなどこか狂ってますからね(笑)。でも1回、試しにコラボ動画をやらせていただいたら、すごく学べることが多くて。
- 最初にコラボをした相手は?
- シルク サイヤマングレートさんという、筋肉ムキムキのYouTuberです。いまは同じUUUMの所属なんですけど。それが楽しくて、いろんな人とどんどんコラボするようになったんです。さらに前々から自分たちでやってた、アスレチックで遊ぶっていうのを動画にしてみたら、そこから爆発的にドカンと増えましたね。
- そういう爆発が不定期に?
- シルク 3〜4回くらい、一気に来たのはありましたね。そこでドカンと増えて以来、右肩上がりで増えていくようになりましたね。
- ンダホ 最初はYouTuberの知り合いもいなかったし、横のつながりもゼロだったんですけどね。最近ではいろんな方と知り合って、「一緒にやってみようか」ってなることも増えました。
- どんどん数字が上がっていくのを目の当たりにして、いかがでしたか?
- シルク いや、もうビックリでしたね。寝て起きたらケタが変わってたという(笑)。バグかと思って問い合わせようとしたもん。
- ンダホ 最初は高3の夏だね。
- 手応えはあった?
- シルク 手応え自体はありました。これね、オカルトチックな変な話になっちゃうんですけど…(笑)。
- マサイ 出たね(笑)。
- シルク 「あ、この動画で俺らのスタイルが変わるな」とか「ここから数字が跳ねるな」っていうのが、僕はわかるんですよ。この動画をアップしたら、これくらいの数字いくなって。その一発目がそれだったんです。そのあと、立て続けにそういうことがあって…。
- ンダホ そういうときは「今日中に撮って、この日にアップしないと絶対にダメだ」って言い張るんですよ。そのときはまだ登録者が500人くらいだったんですけど、次の日に見たら3千人くらいになってて…。
- シルク そっから3万になって、さらに8万って…。
- ンダホ そういうことがときどきあるんですよ。僕らでさえ、ちょっと怖いっていう(苦笑)。
台本なし! 「いつもドッキリを仕掛けられてる感じ」
- 増えていく過程で作品の質や撮影の仕方、ネタなどは変わっていきましたか?
- シルク だいぶ変わりましたね。一番変わったのは編集かな?
- ンダホ ガラリと変わったね。
- シルク 最初は流しっぱなしでそこのBGM乗せるくらいだったけど、テンポ感とか間を気にするようになったし、そういうのをやってると自分たちも楽しいんですよ。そこで編集を覚えたからこそ、撮り方が変わった部分もあるし。そこからみんな、しゃべれるようになってきた気がしますね。
- ンダホ たしかにね。あとから編集できるってことを念頭において、いろいろ話せるようになったよね。
- 基本的にネタを考えるのは?
- シルク 僕とンダホが中心ですね。あと、僕らは「アスレチック」とか「テンション0,100%」とか、シリーズものが多いんですよね。日々のネタはどこかの店を回って、おもちゃを見たりして、面白いと思ったらそれをそのまま撮っちゃうことも多いし。
- おふたりとも、アイデアを考えるうえで、軸にしていること、大事にしていることは何ですか?
- ンダホ 僕は子どもの頃にやりたかったことを、そのままやってるっていうのが一番多いですね。たとえば、「同じ商品を100個買ってみたい」とか「こいつとこいつが戦ったらどうなるんだ?」とか、常に考えていたので。それを形にしてる感じですね。
- 少年時代の妄想を大人になって実現してる?
- ンダホ あとは、普通の人はこれをこんな使い方はしないでしょ? っていうのをやってみたり。基本、物事をいろんな角度から見るのが好きなんですよね(笑)。
- シルク 僕は多分、そんなに「○○やりたい」とか「こういう系統が好き」とかはなくて。パッと思いついたことをやっちゃうんですよね。あんまりネタを考え込むタイプじゃないんです。お風呂とかトイレで急に「あ、これとこれでやってみるか」って。
- ンダホ そういう意味では正反対だよね?
- シルク 意外とじっくり準備型のンダホと、本能的、感覚的に思いついたことをやっちゃう僕と。逆にそれが面白いのかもしれませんね。
- ぺけたん 撮影は基本、台本とかなくて、「撮影するよ」って言われて部屋に着くと、何も用意してないんですよね。じゃあってカメラを準備して、三脚をおもむろに組み立て始めて…。でも“モノ”は何もないんですよ。テーブルとソファくらいで。ずらっとみんなが座って、雑談から入ったかと思ったら「今日はこれをやります」と(笑)。
- メンバーにもサプライズ?
- ぺけたん 出されたもので遊ぶっていうのが、いつものスタイルですね。
- モトキ 常にドッキリを仕掛けられてる感じだよね(笑)。
- ぺけたん そういう反応が一番面白いんでしょうね。箱が横にあるのは見えるけど、何が入ってるかは謎(笑)。その生のリアクションを記録してるんですよね。
- シルク そうね。たしかに。
- ンダホ たまに、撮り始めてから「やっぱやめた。今日はこっちにします」とか言うしね(笑)。
- シルク ネタにいくまでの最初の雑談が面白すぎて、それが1本の動画になったりね(笑)。
- 一同 あるある!
- シルク 編集泣かせもいいとこだよね。
- ンダホ メインのネタをやってるのは5分で、あとは40分くらい、関係ないこと話したりしてるから。
ほぼ毎日投稿中! メンバーの忘れられない動画とは
- メンバーのみなさんひとりひとりの、これまででもっとも印象深い作品をひとつ教えてください。
- ぺけたん 「テンション0,100%」シリーズの中で、僕が初めて参加したのは2作目だったんですけど、あのときに自分が言った「お地蔵パラダイス」というフレーズが強すぎて、いまだに超えられないんですよね(苦笑)。ベストがあそこで出てしまって、そこを永遠に追いかけてる状態です。
- シルク あのときをどう超えるかだもんね。
- ぺけたん いまだに視聴者さんからもあのセリフを言われたり、動画のスクショが送られてきますから。
- ンダホ もう3年以上前だよね?
- ぺけたん それでも永遠にあの言葉が自分の中に…。永遠に戦いですね。忘れられないですね。
- モトキさんはいかがですか?
- モトキ 僕は、年末に撮った、みんなで鍋を囲みながら話す動画ですね。年末年始って、メンバーで集まるのが恒例で、動画に撮ってないところでもいろんなことを話すんですよ。全員がそろって普段はできない話をしたりして…それが好きなんですよね。
- シルク あれのために頑張ってるところあるよね。
- 一同 あるある!
- ぺけたん 12月に入ったら、その日のために!
- モトキ 1年を通していろんなことあるけど、フィッシャーズにとっての1年の節目って、あの年末の鍋なんだよね。
- シルク 去年の年末、映画(『トモダチゲーム』)の撮影に参加してて、そのときはずっと「帰ったらみんなで鍋食える!」ってことばっかり考えてたもん(笑)。
- ンダホ とくに去年の12月がみんな、すごくハードだったからね。本当に、鍋のために頑張ってたもんね。
- ぺけたん というか、あの日が来るまで“年末”が来ないんだよね。12月になると周りはみんな「そろそろ今年も終わりかぁ」とか言ってるんだけど、俺ら的にはまだ全然終わってない!
- シルク メッチャわかるわ、それ!(笑)
- ぺけたん 12月31日にみんなが集まってようやく「あぁ、年末だな」って。
- シルク だから年末年始が一瞬で終わっちゃうよね。本当、その日だけ!
- シルクさんの一番思い出深い作品は?
- シルク 僕は圧倒的に「アスレチック」シリーズですね。もともとフィッシャーズができたのは、今日はここにいないダーマと僕が「小学校の頃みたいな遊びをしたいね」って言い出して、土手に集まったのがきっかけだったんです。その中に「鬼ごっこ」や「アスレチック」があったんです。
- 初期の頃からあったんですね。
- シルク 結成の理由になったものが、いまでもシリーズとして残っているというのがうれしいし、そのときと比べて、メンバーの身体能力の上がり方が尋常じゃないんですよね(笑)。みんな、すごく動けるようになってて、面白い(笑)。
半袖短パンの“やんちゃな集団”が、レッドカーペットに…
- シルクさんと言えば、筋トレによる肉体美も話題ですが…。
- シルク 僕にとっても、そこで自分を奮い立たせる刺激にもなってますね。負けてらんねぇ! って思うし。あとはやはり、部屋の中で動画を撮ってるだけじゃ物足りないんですよ。外に出て身体を動かさないと、禁断症状が出てくる(笑)。それを抑えるために「アスレチック」を撮ってますね。
- ンダホ ストイックなヤツだねぇ(笑)。
- それが260万人に見られてるって、スゴいですね。
- シルク 僕が禁断症状で暴れまわってる様子をみなさんに見ていただいてます(笑)。
- ンダホ ヤツにつられてみんな、狂い始めて筋トレの器具を買ったりしてます(笑)。
- シルク 「アスレチック」シリーズがあるから、日本全国津々浦々回ったりもできるし、ときには外国まで行ったりできるしね(笑)。
- ンダホ 一番思い出深いのは、俺もシルクと同じで、アスレチックだなぁ。最初に行ったのが清水公園というところで、僕は正直、みんなと運動に行くなんて嫌だったんですよ。野球はやってたけど、もともとは運動音痴でアスレチックなんてできないし…。
- 苦手意識があったんですね。
- ンダホ そんな中、できない姿を動画で撮影されて、でもそこに対して「面白いね」とかいろんな反響がもらえて「あぁ、できなくても運動って楽しいんだな」って思えたんです。コメントでも子どもたちから「僕も運動苦手だけど、アスレチック楽しい」とか「できるようになった」っていうのがあって。
- うれしい反響ですね。
- ンダホ 僕の中では、できない自分が映ってるのがいい動画だなって思えるというか。忘れられない思い出の動画になりましたね。
- マサイさんの中で、もっとも印象深いのは?
- マサイ 僕はYouTube FanFestの総集編ですね。あれは圧倒的ですよ。フィッシャーズっていうやんちゃな集団がレッドカーペットを歩くっていう…。
- シルク 信じらんないよね(笑)。
- ンダホ 大爆笑だな。
- マサイ 2年前、YouTube FanFestの会場に入ることもできず、入口の前で音漏れを聞いてたんですよ。悔しいなって思いで投稿してきて、そこからメインステージに上がることができたっていううれしさ…。感動しました! あれがあってこそのいまの260万人という数字だし、さらに次の世界、ステージを目指していきたいなって思いましたね。
- シルク あれに出たことで踏ん切りがついたっていうか、「もうちょっと頑張んなきゃ」「もっと上に行ける」って思えたよね。田舎くさい、半袖短パンで遊んでた少年たちがまさかレッドカーペットを我が物顔でね…(笑)。
- マサイ みんなにやってみてほしいのが、僕らの本当に初期の動画を見たあとで、YouTube FanFestの動画を見るってこと。「え? 誰の動画?」ってなるよ(笑)。
- ぺけたん 謎の感動があるよね(笑)。野生のお猿さんが紛れ込んでるのかって。
- マサイ 2月の冷たい川に飛び込んでたヤツらがねぇ…(笑)。