注目の女優・新木優子、躍進のとき!――「気づかれる存在になりたかった」

「インタビュー、とても楽しかったです!」――取材終了後、新木優子は、まっすぐにこちらの目を見据え、太陽のような笑みを見せた。その瞬間に、「また取材をしたい」と強く思った。ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』で注目を集め、『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 THE 3rd SEASON』(ともにフジテレビ系)への出演も決まった、今もっとも注目を集める若手女優。彼女が放つ華やかなエネルギーを間近で感じ、多くの人が、新木に惹きつけられる理由がわかった気がした。

撮影/祭貴義道 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
企画/ライブドアニュース編集部

役作りの秘密。パソコンをカッコよく打つ所作には苦戦

新木さんは、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』で、小栗 旬さん演じる稲見 朗、西島秀俊さん演じる田丸三郎らが所属する「特捜班」のメンバー、大山 玲を好演されています。大山を演じるにあたり、意識したことは何ですか?
大山の役どころとして、元天才ハッカーで、サイバー情報のスペシャリストという設定があったので、パソコンを扱う所作や、手を動かしながらしゃべることについては、役作りのキーになってくると思っていました。ハッカーなので、パソコンの扱い方もプロ並みじゃないといけないし、パソコンを打ちながら話すことにも慣れていないといけない…そういう部分は意識しましたし、難しかったです。
パソコンを扱う経験はありましたか?
大学生のときはパソコンでレポートを書いていたので、月並みには使えて、キーボードを打つ手の動きのイメージはついていました。でも、ハッカーとなるとどうなんだろう…? っていうのはあって…。
たしかに、身近にモデルがいないですもんね…。
そうなんですよ! 「私、ハッカーです!」って大々的に言っている人っていないじゃないですか(笑)。だからこそ、想像の範囲で作り上げるしかなかった部分はありました。私は役作りをするうえで人間観察をよくするんですけど、今回は、カフェなどですごく一生懸命にパソコンを打っている人を見るようにして。
けっこうたくさん見かけますよね。
片耳にスマホを当てて電話をしながら、キーボードを打っていたりする様子もあったので、パソコンを打ちながらしゃべる大山もこういうイメージなのかなと参考にしていました。あと、動きのカッコよさを大切にしていました。
新木さんといえば、笑顔のイメージがありますが、大山はどちらかといえばクールビューティーなタイプ。表情の面での演技に難しさはありましたか?
表情面では、そんなに苦労したなと思うことはありませんでした。というのも、普段はクールなキャラクターなんですが、特捜班のメンバーとのやりとりなどで、等身大の20代の女性らしさを見せるときもあって。まったく無表情というわけではなかったので、違和感を感じることはなかったですね。

特捜班は5人兄弟のような関係性――監督の言葉に納得

大山は、特捜班メンバーの紅一点という存在です。男性のなかに女性がひとりという環境を、新木さんはどう見ていましたか?
最初は私も、男性だけの環境に女性ひとりって違和感があったらどうしよう、と思っていたんです。でも、現場に入って役を演じていたら、すごくしっくりきたんですよね。女性だからといって浮いている感じがしない…むしろ特捜班のメンバーとしてとても馴染んでいるなって。
たしかに、違和感なく男性のなかに溶け込んでいるイメージがあります。
そうなんですよね! 私も、「何でだろう」って考えていたんです。もちろん、私が演じやすいように、小栗さんや西島さんをはじめ、周りの方が気を遣って声をかけてくださったということも大きかったんですけど、5月22日に開催された大阪でのトークイベントで、白木(啓一郎)監督が、「特捜班って、5人兄弟なんだよ」っておっしゃっていて。それに「そういうことか!」ってすごく納得したんです。
5人兄弟のような関係性、ということですか?
はい。田中哲司さん演じる吉永(三成)が長男で、田丸が次男、野間口 徹さん演じる樫井(勇輔)が三男で、稲見が四男。…最後に大山が末っ子の五男っていう構成を聞いたときに、「兄弟のような関係性の居心地のよさだったんだ」って思ったんです。たしかに、そのポジションにみんなしっくりくるんですよね。
小栗さんや西島さんなど多くの先輩と共演してみて、新木さんが役者として学ぶことはありましたか?
間合いや、目線…あとはセリフの抑揚のつけ方など…本当にたくさんありました。今回は、事件の内容や、対象がどういう人物なのかの説明を吉永と大山が請け負うことが多かったんです。そういう長いセリフのときなど、私がずっとしゃべっているシーンでは、その説明がスッと入ってこないなって思う部分があったんですけど、田中さんのセリフのときにはまったく違和感がなくて。そういう部分の言葉のニュアンスづけ、トーンのつけ方などはとても勉強になりました。
そういうのは、新木さんから聞くんでしょうか? それとも、目で見て学ぶ感じですか?
もう、目で学ぶっていう感じでした! 現場で体感して「なるほど」って思うことがたくさんありました。一番近くで見ることができたので、感動しましたね。
言葉でアドバイスをいただいたことはありましたか?
そういった細かい部分のアドバイスというよりは、小栗さんからは、「緊張すると思うけど、固くならずにリラックスして楽しんでやってくれればいいよ」という言葉をかけていただいて。その言葉はクランクアップまで、すごく私の支えになりましたね。「自分らしくやろう」っていう気持ちが、より固まりました。
今日の撮影の様子を見ていて、マネジャーさんやメイクさんなどを巻き込んで、新木さんが場を明るくしていた様子が印象的でした。ドラマの現場でも、新木さんはそういう雰囲気だったのでしょうか?
あはは! ありがとうございます。ドラマの現場ではどうだったのかな…。みなさんお兄さんみたいな感じで、すごくよくしていただいたので、本当に私らしく大山を演じることができたなと思っています。

役と作品に向き合うスタンス「息抜きはしっかりする」

ちなみに、個性派ぞろいの特捜班メンバーのなかで新木さんの理想の男性像に近しい人はいますか?
大山としてではなく、新木優子として、ですよね?(笑) んー、男性としてなら、稲見ですかね。
その理由は?
稲見って、最初はいろんな女性に声をかけていて一見、「えっ、女遊び激しいのかな!?」って思っちゃうんですけど、話が進むにつれて、それは稲見の弱点だったからというか、じつは一途な面が見えてきて。すごくピュアで、守ってあげたくなるキャラクターなんだなってわかったんです。
女性と関わることで、自分の心に余裕を持たせようとしている部分はありました。逃げ道を作っているというか…。
そうなんですよ。ひとりに絞ると自分が不安になるから、いろんな方向に意識を持っていってしまう…。なんだか、女性に「私が理解してあげたい!」「守ってあげたい!」って気持ちにさせる人物だなってすごく感じました(笑)。
新木さんといえば、これまで、ドラマ『いつかティファニーで朝食を』(日本テレビ系)や『ラブラブエイリアン』(フジテレビ系)など、柔らかい雰囲気の作品の出演が多かったかと思います。『CRISIS』のような作品は、新たな挑戦でしたか?
まず、刑事モノが初挑戦だったので、シリアスな事件への気持ちの作り方ははじめての体験でした。でも、どの作品でもどんな役でも、いただいた役を精一杯まっとうするっていう心構えは変わりませんでした。そのほうが作品にとっても役にとっても、いいことだと思うので、そこだけはブレずに。新しいから工夫を凝らすのではなくて、今までやったことのない役だからこそ、真正面からぶつかって、違ったら現場で指示やアドバイスをいただいて直していこうというスタンスでした。
そうなんですね。
そのなかで、「どう作品と向き合って、どう乗り越えるか」っていう、撮影の3ヶ月のプランは考えますね。役と向き合うなかで、息抜きをする時間もちゃんと作ります。そのほうが自分も根を詰めすぎず、のびのびと役に向き合うことができるのかなと考えているんです。自分のやりたいことをする時間を、3ヶ月のプランのなかに必ず組み込むようにしています。
リフレッシュには、どんなことをされているのですか?
一日家にいると考え込んでしまうタイプなので、友達を誘って出かけます。けっこう外に出ることが多いのでインドア派というより、アウトドア派ですね。
お友達と、どこに遊びに行くんですか?
どこへでも行きます!(笑) 私は車を運転するのが好きなので、ちょっと遠出をすることもありますね。このあいだは、山梨に行ってマスカット狩りをしてきましたよ。
それは日帰りで?
前日の夜に出発して行ってきました! すごく楽しかったです。
パワフルですね!
よく、「疲れそう」って言われるんですけど、一日めいっぱい遊んで、ぐっすり寝ると「次の日も頑張ろう!」って気持ちになれるんです。だからこそ、私にはそういう発散の仕方が合っているのかなって感じますね。
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