『ガルパ』はいつでも“帰ってこられる”場所。Craft Egg・森川修一が2周年を迎えて願うこと

『BanG Dream!(バンドリ!)』プロジェクトのスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(以下ガルパ)』が3月16日に2周年を迎え、3月18日にはApp Storeのトップセールスランキングで首位を獲得した。国内ユーザー数は950万人を突破し、勢いはとどまるところを知らない。

そんな『ガルパ』を手掛けているのがスマートフォンアプリ開発会社のCraft Eggだ。

どのようにしてここまで成長してきたのか?また、同社の代表取締役社長である森川修一氏はこの成長をどう見ているのか?

「ユーザーファーストを大事にしています」。

インタビュー中、何度も出てきたその言葉に、『ガルパ』がここまで愛される理由を感じ取った。

撮影/はぎひさこ 取材・文/及川一乃

「BanG Dream!」特集一覧

『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』
キャラクターとリアルライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』の世界観を軸に展開される、リズム&アドベンチャーゲーム。簡単操作のリズムゲームは最大5人で同時に遊ぶことができ、アニメやライブで人気の楽曲や有名アニメソングのカバー楽曲を楽しめる。また、ストーリーシーンではハイクオリティなLive2Dを搭載し、キャラクターが生き生きと動くのが特徴。

目の付けどころは“カバー曲が無料で遊べるリズムゲーム”

2周年おめでとうございます。どのようにして『ガルパ』は生まれたのでしょう?
2014年末に、ブシロードさんが『バンドリ!』というプロジェクトを始めようとしているタイミングで、ゲームを一緒に作りませんかと、(Craft Eggの親会社である)サイバーエージェントのゲーム事業部からお話しをいただいたんです。これがきっかけですね。

声優さんが実際にバンドを組んでライブなどの実演を行う、そういうキャラクターコンテンツにかなり興味を持っていたわが社が手を挙げて一緒にやろうということになりました。
最初はイラストを見せてもらった感じですか?
そうですね。イラストと、曲は『Yes! BanG_Dream!』の仮歌のみでした。
なぜリズムゲームにしようと思ったのでしょうか?
“女子高生の等身大のガールズバンドの話”ですが、リズムゲームである必要はなかったので、シミュレーションでも、パズルでもいいかもしれないと、最初はすべての可能性を探りました。

最終的に、そのコンテンツの一番魅力的な部分に長い時間触れられるものはリズムゲームだという結論になりました。『バンドリ!』プロジェクトの最大の魅力はライブや楽曲になるだろうなと思ったんです。
既存のリズムゲームとは、どのように差別化しようと思いましたか?
2015年の1〜2月に社内で、リズムゲームとしてどのように他社と差別化するのかということを話し合うために、競合タイトルなどを含めたマッピングを作っていました。

その中でどうやって差別化を図ろうかと悩んでいたときに、Poppin'Party(以下ポピパ)のライブを見ました。当時はカバー曲ばかりのライブ構成だったんですが、それがいいなと思いました。

『太鼓の達人』や『CHUNITHM(チュウニズム)』といったゲームは、「有名楽曲で遊べることが楽しいよね」「有名楽曲が無料で遊べるリズムゲームはないよね」ということになり、ブシロードの木谷さんに相談しました。そこから、「カバー曲が無料で遊べるリズムゲーム」というのが道筋になりました。
今ではカバー曲はどのような位置付けなのでしょうか?
カバー曲はゲームの入り口になることが多いです。『バンドリ!』や『ガルパ』を知らない方にとってはアニメのテーマ曲やJ-POPで遊べることが魅力のひとつになっていると思います。
▲ライブ楽曲選択画面
もちろんカバー曲もですが、『ガルパ』の1番の売りはキャラクターコンテンツです。メンバー、バンドのそれぞれがその時どきに乗り越えたエピソードが曲調の中に表れるようになっているので、「このバンドが好き」という人たちはオリジナル曲にすごく思い入れがあるという印象ですね。

既存のファンの方から見ると、カバーもオリジナルも同じくらい支持されているのではないかと思っています。
▲アドベンチャーパート 会話画面
御社サイドから楽曲制作をお願いするということはありますか?
ゲーム内イベントのストーリーに合わせた楽曲はお願いしています。歌詞の細かいところなどの注文は、そんなにはないですね。

『ガルパ』のシナリオを共有させていただいているので、それを読んでいただいて、原案の中村航先生や楽曲担当のElements Garden(エレメンツガーデン)さんに、「この子たちはこういう体験をしているから、こういう感情なんだ」というのを読み解いてもらう感じですね。
森川さんご自身はさまざまなリズムゲームをやってらっしゃるんですか?
試作の段階でアーケード(ゲーム)に遊びに行ったり、過去作を遊んだりはしましたが、日頃から音ゲー(音楽ゲーム)が大好きというタイプではないですね。ただ社内にはそういうスタッフもいるので、意見を参考にさせてもらっています。
『ガルパ』制作において、1番重要視している部分は?
当初から『バンドリ!』というプロジェクトはきっと大きくなるだろうと思っていました。その中で多くの方に遊んでいただけるようにするためには、いろんな人にとってストレスにならないようすることが大切だと考えました。

今は直線のレーンがあって、7個のリズムアイコンがあって…という画面になっていますが、最初は、いろんなタイプを作りました。半円形にしてみたり、マルにしてみたり。その中で1番ストレスがかからないのは今の形だということになりました。
▲ライブ(リズムゲーム)画面

お客さんの目線で作ることがヒットにつながる

『ガルパ』2周年を迎えての心境をお聞かせください。
あっという間だったなというのが率直な感想です。「もう2年!」 も「まだ2年!」 も、どっちもあります。直近の話で言うと、ゲームアプリはリリースから時間が経つとだんだん遊ばれなくなっていくので、そんな中で多くのお客さんに遊んでいただいているのはありがたいなと思っています。
『バンドリ!』プロジェクトがここまでの現象になることは予測していましたか?
もちろん開発時はナンバーワンのタイトルになりたいと思っていましたが、目指すべきところという認識でしたね。正直ここまでいくとは思っていなかったんです。
手ごたえを感じたタイミングはありますか?
リリース前にTGS(東京ゲームショウ)でブシロードさんと一緒に出展をさせていただいて、ブースの中で『ガルパ』を発表させていただいたときです。リズムゲームの画面動画や2Dで動くキャラクターの自己紹介を発表したときに、予想以上の反響をいただけました。

「キャラクターがかわいい」「どういうバンドなんだろう?」という声がTwitterでもあり、そのときに手ごたえを感じました。
逆に、苦労した部分はありますか?
『バンドリ!』プロジェクトの立ち上げと同時に『ガルパ』の開発を始めたこともあって、「(ポピパの)戸山香澄ってどういう子?」「市ヶ谷有咲ってどういう子なんだろう?」というのが固まる前だったので、ほぼ手探りの中でやれたのは非常によかったなとも思っています。

一方で、「じゃあどういう話になるんだろう」「バンドストーリーはどれくらいの体験にすべきなんだろう」など、ストーリーをどうやって進めていくのかを決めるのはすごく大変でした。
▲ストーリー画面
たとえば、「花咲川女子学園」という学校と、「羽丘女子学園」という学校があって、じゃあその2校がどのくらいの距離にあって、どういう子たちが通っているのかという細かい設定というのは、非常に苦労した部分ですね。
それは誰かが決めていくような感じでしょうか?
会社としては“みんなでつくる”ということを大事にしていて、ひとつのお話や設定でも、いろんな目から見て、「これとこれは矛盾しているんじゃないか?」などを話し合いながら決めていきます。みんなで決めるということは、チェック機能も兼ねていますし、アイデアをもらう意味でも、みんなで意見を出し合って決めています。
なるほど。さまざまな意見を大事にするということですが、Twitterはけっこう見られていますか?
かなり見ています(笑)。
ハッシュタグを追いかける感じでしょうか?
「バンドリ」「ガルパ」で検索していますね。あとは、「バンスト」「ラウンジ」などの機能名。「ポピパ」「ロゼリア」といったバンド名でも検索しますね。「Craft Eggこれ見てるのわかってるからな」と言われているのも、見ています(笑)。
(笑)。ユーザーからの意見を参考にされたりしますか?
もちろんです。Twitterでのツイートもお問い合わせも参考にしています。社内ではその日いただいたお問い合わせはその日のうちにシェアしています。印象的だったご意見やメッセージはまとめて読む会も行っていて、そこで読まれたものはとくに開発にも活かされています。
すごく真摯に対応されていらっしゃるんですね。
会社としては「ユーザーファースト」という価値観をもっとも大切にしていて、こういう時代だからお客さんの心を打つようなものじゃないといけないと思っています。お客さんの目線で作っていくことが結果としてヒットにつながるというのが基本の考え方なので、大事にしているというか、根本の思いとしてありますね。
とくに反応がよかった取り組みはありますか?
直近だとラウンジ機能(下の画像)ですね。大きいアップデートをするとそのたびにご意見をいただくのですが、キャラクターコンテンツとして深堀りができたときと、リズムゲームとして大きなアップデートができたときのふたつのタイミングで大きな反響をいただくことが多いです。
▲ラウンジ機能
CiRCLE 内に、特別エリアとして新たに追加された機能。今までのエリアとは違い、ラウンジに入室することで、次々に交わされる 25 人のメンバーたちの会話を楽しむことができる。
ユーザーの意見で、反映したというポイントがあれば教えてください。
リズムゲームの楽曲の絞り込みができるようになったり、速度が調節できたり、メンバーの並び変えができるようになったり。実際に遊んでいただいて使い勝手を改善していく部分が多いかもしれないですね。他にもたくさんありますよ。
▲メンバー並び替え絞り込み機能

『ガルパ』はキャラクターの成長を描くことが許されている

声優さんに影響を受けることはありますか?
ご本人に会って何かが変わる、ということはないのですが、ライブで声優さんたちが話されていた内容だったり、空気感だったりというのはちょっとずつゲームの中に入ってきているというのはあると思います。

そこは意図してやっているというより、だんだんキャラクターやメンバーがそういうふうに育っていっているという感覚に近いです。
『ガルパ』をこれからどのようにしていこうと考えていますか?
先日もブシロードさんと一緒に6時間くらいのロングミーティングを行ったのですが、そのときに確認したことは、『バンドリ!』プロジェクトの大きな流れと『ガルパ』が一緒に歩めるようにするということ。『ガルパ』だけで動くことがないように、と。

なので、プロジェクトと一緒に成長していければいいなと思っています。いろんな場所でいろんなお客さんが『バンドリ!』というコンテンツに触れていただく中で、『ガルパ』は、いつでも『バンドリ!』に触れられる場所でありたい。いつでも“帰ってこられる”場所です。

プロジェクトの成長と一緒に『ガルパ』に求められることも増えていくと思うので、それに応えることと、もっと期待を上回るような体験を届けないといけないなと思っています。

ここ半年で言うと、たとえば「アニメの2期(『BanG Dream! 2nd Season』)のオープニング映像で得られた感動は、やはり『ガルパ』でも体験できるようにならないといけないよね」とかそういうことですね。
その中で、改めて『ガルパ』のここに注目! というのがあれば教えてください。
手触りのよさ、タップしたときの気持ちよさにはこだわっています。リズムゲームは繰り返し遊んでいただかないといけないので、その部分にストレスがかかる設計になると毎日遊んでもらえないと考えました。

楽曲の長さ、遊んでいるときの手触り、毎回気持ちよく終われるのか、というところを意識して作っています。中でも、手触りのよさは褒めていただいている部分でもあります。
他にはありますか?
プレイ中のメンバーの掛け合いですね。メンバーがそこにいるような感覚が味わえます。リズムゲームの中でもキャラクター性を感じられるというのは魅力のひとつです。

イベントを経てメンバー同士の関係性が変わっていくのですが、それによって掛け合いも変わっていくので、それも楽しみにしていただきたいなと思っています。
▲ライブ後掛け合い画面
『ガルパ』はIPコンテンツ(知的財産を使ったコンテンツ)としては珍しく、キャラクターの成長を描くことが許されているので、メンバーが成長していったり、バンドが成長していったり、今まで会話していなかったメンバー同士が会話を始めるということもあるので、お話として濃いものが見られるゲームだと思います。そこもガルパの魅力のひとつです。お話を読まない方も多いと思いますが、売りのひとつなので、読んでいただけたら嬉しいです。
▲ストーリー画面

手持ちでも置き型でも。好きなように楽しんで

一般ユーザーのプレイ動画を見たりはしますか?
見ています。タッチペン2本でオールパーフェクトクリアしている動画とか、片手でプレイしている方とか。
片手もありなんですね! 手持ちと、置き型と、どちらが正しいのでしょうか?
大きくふたつ流派があるんですよね。手持ちと、置き型と。それは、as you like(好きなように)。手持ちよりも置いてプレイするほうがクリアしやすいという差はどうしても出てくるので、手持ち・親指2本でフルコンボできるかというの点はかなり意識していますね。3つ同時に押さないといけない場面などがないようにしています。
それは社内で綿密に話し合ったりしているのでしょうか?
リリース前に大枠は決めました。今は譜面チームの中でどんどんブラッシュアップしていますが。社内では、楽曲・難易度・リズムアイコンの密度でマッピングをしていて、この順番で遊んでいくとリズムゲームがうまくなる、というのがなんとなくわかるようになっています。
スゴい! それは公開されないのでしょうか?
譜面チームの中でのロジックですね(笑)。私もたまに見せてもらっています。大体この辺の難易度の楽曲が増えてきたから、次はこの辺の楽曲を作ったほうがいいよね、というのが見られるようになっています。
気になります! では、最後に、『ガルパ』ファンへメッセージをお願いします。
いつもありがとうございます。2周年を迎えて、テレビアニメと同じようにメンバーの学年もひとつ上がって、それによって生まれる新しい関係や会話がゲームの中でも描かれていくと思うので、楽しみにしていてほしいです。

「こういうことするぞ(ドヤ)」みたいな会社にならないよう、ひとつひとつ丁寧にやっていきたいと思っています。プロジェクトやメンバーの成長に合わせてその中で長く愛され続けるような運営でありたいなと思っているので、引き続き遊んでいただけたら嬉しいです。と言いつつも、常に面白いことはしていきたいと思っていますので、期待していただければと思います!

妄想しているものはいっぱいあるので、今後のアップデートにもぜひ注目していただけると嬉しいです。
森川修一(もりかわ・しゅういち)
1985年4月10日生まれ。鹿児島県出身。A型。
大学卒業後、人材会社、ゲーム会社、会社設立などを経て、2014年に株式会社サイバーエージェントの子会社である株式会社Craft Eggを設立。代表取締役社長に就任(現任)。

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『ガルパ』B2タペストリープレゼント

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応募方法
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受付期間
2019年5月16日(木)18:00〜5月22日(水)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月23日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月23日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月26日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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