今回の距離感はすごくいい。高山みなみ×山口勝平が語る、コナンとキッドの共闘関係

毎年、ファンの期待値を上げ続ける劇場版『名探偵コナン』。

2013年公開の『絶海の探偵(プライベート・アイ)』からシリーズ最高興行収入を更新し続け、昨年公開された第22作目『ゼロの執行人』は、興行収入が全世界で110億円を超えた。『コナン』が日本のみならず海外でも人気を誇ることがわかる。

4月12日から公開中の第23作目『紺青の拳(フィスト)』では、山口勝平が工藤新一役と一人二役で演じる、月下の奇術師・怪盗キッドが4年ぶりに銀幕に帰ってきた。蹴撃の貴公子と呼ばれる京極 真(声/檜山修之)も劇場版に初出演を果たし、高山みなみが演じる江戸川コナンと三つ巴のバトル…と思いきや、どうやら少し異なるようだ。

コナンとキッド。「探偵と怪盗」という敵対する立場でありながら、今作では不思議な「共闘関係」を結ぶふたり。

肩を組んで撮影に臨む高山と山口は「もう姉弟みたいなものです」と笑う。テレビアニメシリーズから23年間、ともに歩んできたふたりに、改めて『名探偵コナン』という作品について聞いた。

撮影/祭貴義道 取材・文/遠藤圭子 制作/iD inc.
▲左から高山みなみ、山口勝平

「探偵と怪盗」のラインは保つ。近づきすぎない関係

劇場版に怪盗キッドが登場するのは、2015年公開の『業火の向日葵』以来です。演じてみていかがでしたか?
山口 今回は、頭から終わりまでコナンとキッドがずっと一緒にいるんですよね。一緒に推理を進めていく部分もありましたし、すごく楽しかったです。みなみさんとも「どういうふうにやろうか?」「どうすると伝わりやすいかな?」という話をたくさんしましたよね。
高山 そうだね。そして(山口さんにしては)珍しくずーっとスタジオにいたし(笑)。
山口 そうだね! 新一は、いつもだいたい最初と最後しか出番がないから(笑)。
高山 こんなに中にいたのって初めてじゃない? キッドとして登場しても、途中まで誰かに変装していることがほとんどでしょ。
山口 『業火の向日葵』でも、キッドはずっと出ているんですが、(別のキャラクターに変装しているため)僕はしゃべらなかったので(笑)。そういう意味では、今回は完成した映像を見て「我ながらよくしゃべっているな」と感心したくらいです(笑)。
高山 キッドとコナンのお互いに受け入れられない部分を持ちながらの、信頼関係がよく伝わる作品になりましたよね。
どういったところでふたりの信頼感が見えたのでしょうか?
山口 キッドが『名探偵コナン』に登場したばかりの頃は、「怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡を見てなんくせつける……ただの批評家に過ぎねーんだぜ?」と言い放っていましたが、今回は「握った拳の中にまるで何かがあるかの様に思わせるのがマジシャンで、その拳を開く前に中身を言い当てるのが探偵だろ」って言う。そのセリフから、キッドの変化を感じましたね。
高山 キッドから「解き明かしてくれよ」って……「くれよ」って頼まれたことで、「ああ、今回は助けなきゃ」って思いました。あんなセリフも無防備な背中も、今までにはなかったものでしたね。
そういう意味では、ふたりの距離感に変化が出てきたということでしょうか?
山口 最初の頃に比べたら随分変わってきていますね。ただ、みなみさんと「怪盗と探偵」っていうラインは保つように、「近づきすぎないようにしようね」とはよく言っています。『天空の難破船(ロストシップ)』(2010年)のときはね……。
高山 少し近づきすぎちゃったんですよ。
※脚注…『天空の難破船(ロストシップ)』では、コナンたちが飛行船「ベル・ツリーI世号」にてハイジャック事件に巻き込まれる。犯人に飛行船から放り出されたコナンを、潜入していたキッドが救出し、飛行船に戻るためふたりは共同戦線を張ることとなる。コミカルなふたりのやりとりが話題となった。
山口 そう。でも今回の距離感はすごくいいなって。見ていて「ああ、この距離だな」って感じはありました。
高山 信頼はしています。背中を預けることはできる。でも、決して仲良しではないんです。共通の目的に向かって手を組む仲ではあるけれど、それが達成されたら離れる。そういう関係だと思います。
まさしく利害の一致というか、「共闘」関係なんですね。
高山 今作ではモノローグがすごく少なかったんです! 推理をするときにキッドがいて、お互い情報交換しながら展開していくんです。ひとりで集中して考えていると、当然モノローグが多くなるんですが、それが本当に少なかった。珍しいことですね。
一緒に推理を進める相手としては服部平次(声/堀川りょう)が思い浮かびますが、平次とのやりとりとはどう違いますか?
高山 キッドは本来なら捕まえるべき相手で、服部とは同じ探偵なので、まず立場が違います。キッドとはあくまでも「共闘関係」なんですが、服部とは推理を競うことが多い…。

というか、そのつもりがなくても、服部はいきなりライバル心に火がついて突っ走ったりするので、焦ります(笑)。キッドとは役割分担がきちんとできている感じがしますね。

京極と園子、新一と蘭。今作は「ラブ」な展開が目白押し

今回、怪盗キッドと京極が、2014年にテレビアニメで放送された『怪盗キッドVS京極真』以来の再対決を果たしましたね。
山口 できれば戦いたくなかったです!(笑)
高山 そうね(笑)。
山口 でも、わりとキッドも動けているんですよね。京極さん相手によくあれだけしのげるなと思いました。そもそも(鈴木)園子(声/松井菜桜子)が「キッド様」って言わなければ、京極さんから敵視されることもないわけですから……園子には静かにしていてほしいです(笑)。

京極さんの身体能力がどんどん人間離れしていくので、本当に「いつかやられる」って思ってます。
高山 自分は、命に関わらない限りは(ふたりの対決を)楽しく傍観できます(笑)。
今作では、京極のカッコいい姿がたっぷり見られますね。
山口 今回、京極さんの魅力が満載じゃないですか! 「最強」な部分が取りざたされるキャラクターですが、内面はまだ未熟で簡単に揺さぶられてしまう。新たな一面が見えて、「ああ、京極さんも高校生なんだな」って思いましたね。

かわいいというか、本当に一途なんだなって……。
高山 あの不器用な感じがね、いいよね。
山口 不器用だけどまっすぐな感じが、本当に園子のことが好きなんだなって思わせてくれるよね。本当にカッコよかった!
高山 そう、カッコよかった!
山口 収録時は画が完全に入っている状態ではなかったので、「ここってどうなるんだろう?」って思うシーンもいくつかあったんですが……。
高山 スゴかったよね! 園子はちょっとかわいそうな感じになっていましたが(笑)。

京極さんも園子もいつもと違う部分が見えていて、とてもよかったです。でもね、(毛利)蘭(声/山崎和佳奈)も……いつもと違うんですよ。
山口 あー……たしかに。
高山 今回はキャラの「いつもと違う」面がたくさん見えるんです。蘭のちょっとした表情がラストにつながっているので、表情の変化に注目してほしいです。……これ以上はネタバレになるのでごめんなさい!
いつもと違うといえば、今年1月に放送されたテレビアニメスペシャル『紅の修学旅行』にて、新一と蘭が恋人関係になってからの初の劇場版ですね。
山口 やっぱり照れますよね! 普通にプールに入って手をつないでいるっていう、ただその姿がもう照れくさい! 青春してんなぁ!と。
シリーズで初めて女性監督が担当されたからなのか、キャラクターの「感情」がより強く描かれている印象がありました。
高山 今作は「ラブ」も推しですからね。京極さんと園子はまさしくラブだった。
山口 ラブですねぇ……! 園子と京極さんの心がすれ違う感じとか、ああいうところは女性目線だなって思いましたね。男からすると「ああ、女の子はこういうのがイヤなんだな」って気づきがあるというか。園子が本当にかわいかったよね。
高山 かわいかった。画も柔らかい感じがしました。そして京極さんの翻弄されっぷりが面白かったですね。本当にこの人、園子に出会うまで空手のことしか考えてこなかったんだろうなって(笑)。
新一と蘭とはまた違うすれ違いですよね。
高山 こちらは幼なじみですからね。同じ環境で高校生まで育っていますし。そこが園子と京極さんの遠距離とは違うところですね。しかし、京極さん、園子に惚れてるわ。

「英語のセリフがなくてよかった」と胸をなでおろした

劇場版のアフレコは丸一日かけて行われますが、今回ならでは、ということはありましたか?
高山 英語の堪能な役者さんが揃っていて、「このセリフ、こういうふうに直したほうがいいよね」というやりとりまで英語でしていたんですよ。
山口 それを見ながら「カ、カッケー……!」ってなっていました(笑)。今回は台本に和訳が書いてあったのでありがたかったですね。
高山 それがなければさっぱりでしたね!
山口 コナンとキッドは「英語はネイティブ」って設定になっていますしね…。英語のセリフがなくて本当によかった(笑)。
高山 台本をいただくまでは、「英語のセリフがありますよ」って言われていたんです。「マジか!?」ってドキドキしていましたが、実際はひとつもありませんでした。ストーリーに没頭できる!と、ホッとしました。
山口 1ヶ所だけ「ソーリーソーリー」みたいなのはあったけどね(笑)。台本を見るまではめちゃくちゃ緊張してました。
高山 コナン扮するアーサーくんも「シンガポールの子ども」という設定だったので、「絶対英語しゃべるでしょ? ……お! しゃべらない!」って(笑)。

劇場版『コナン』の盛り上がりを、肌で感じている

これまでの劇場版で、とくに印象に残っている作品や犯人を教えてください。
山口 『天国へのカウントダウン』(2001年)かな。
高山 そうだね、一番はそれかな。
山口 犯人の動機も怖いし……。
高山 そうそう。
山口 そんな動機でやってしまう、やってしまえる、みたいな怖さがあるよね……。
高山 みんながそれぞれの役割を果たしていて、とてもバランスがよくて好きですね。

それから『純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016年)のゲストキャラクターだった、キュラソー(声/天海祐希)も印象に残っていますね。「組織の人間」という特別なところもあったんですが……彼女は、救いたかったなと思います。
長年続く作品だからこその難しさや、新鮮さはありますか?
高山 何というか、変わっていないんですよね、最初から。
山口 僕の場合は単純に出番が少なくて……(笑)。以前は久しぶりに出演すると、安定するまでに時間がかかる感じはありましたね。
高山 初めの頃はかかっていたよね。今は全然楽でしょ?
山口 そうですね、楽になってます。メンバーのみんなとはデビューも近い時期だし、ずっと一緒にやってきているので、それこそ幼なじみみたいな感じで。みなみさんを中心に、阿吽の呼吸でできていると思います。
近年は、SNSでの拡散もあって、劇場版に対するボルテージがぐんぐんと上がっている印象があります。この盛り上がりをおふたりはどのように感じられていますか?
山口 ただただ「スゴいな」と。そもそも『名探偵コナン』という作品自体が、自分にとってとても不思議なポジションなんですよ。メインキャラクターでありながら毎週出ているわけでもなく、どっぷり関わっているわけでもないし。

つかず離れずみたいな距離感のある作品なので、単純に「ありがたいことだな」って思っています。
高山 盛り上がっているのは肌で感じていますし、とってもうれしいしありがたいことですね。キャストもスタッフも、「面白いものを作ろう」「いいものを伝えたい」と、同じほうを向いて作り上げてきたものが、実を結んでいるんだと思います。とにかく、楽しんでいただけるのが一番の喜びです。

『名探偵コナン』は、最初から応援してくださっている方も多く、また、新しく好きになってくださる方もいらっしゃいます。そのみなさんを大切に、ずっと愛していただけるような作品にしたいと考えて作っています。その気持ちが伝わっているのだと思いますね。
山口 テレビアニメの放送が始まった頃に子どもだった人が大人になって、今度は親になって子どもと一緒に見に来てくれる。本当にうれしいことですね。

今回はキッドがフィーチャーされることで、こんなふうに本当にたくさんの媒体さんに取材をしていただいていますけど……みなみさんは毎年これをやっているのかと思うと、偉いなと思いました(笑)。
高山 (笑)。でもお話を取り上げていただけるのは本当にありがたいことです。感謝しております。
高山みなみ(たかやま・みなみ)
5月5日生まれ。東京都出身。B型。1987年の『ミスター味っ子』の味吉陽一役で初主演を果たす。主な出演作は、『魔女の宅急便』(キキとウルスラ)、『らんま1/2』(天道なびき)、『忍たま乱太郎』シリーズ(乱太郎)、『僕だけがいない街』(藤沼佐知子)、『ジモトがジャパン』(日ノ本ジャパン)など。
    山口勝平(やまぐち・かっぺい)
    5月23日生まれ。福岡県出身。B型。舞台俳優として活動しながら、声優としても活動。現在は落語家・立川志ら乃に師事。1989年の『らんま1/2』の早乙女乱馬役で初主演を果たす。主な出演作は、『魔女の宅急便』(トンボ)、『犬夜叉』(犬夜叉)、『ONE PIECE』(ウソップ)、『DEATH NOTE』(L)、『はなかっぱ』(がりぞー)など。

    映画情報

    劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』
    4月12日(金)よりロードショー中
    https://www.conan-movie.jp/

    ©2019青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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