夏場でも、節電のため、なるべくエアコンの使用は最小限にしたいものです。設定温度を28度にして、ほどほどの涼しさで我慢することも大事ですが、そもそもエアコンをつける前に、室温を下げる工夫や上げない工夫をすれば、無理なく節電できるはず。そこで今回は、消費生活アドバイザーの和田由貴さんに、日射対策や換気で室温を下げるコツを教えていただきました。



■よしず・すだれで日射対策和田さんが一番に勧めるのが、よしず・すだれを使った日射対策です。カーテンを閉めたり、窓に内側から遮熱シートを貼ったりしても、室温を下げることはできるのですが、より効果が高いのは、よしずやすだれで外側から日射を遮る方法。なぜなら、窓から入る日射そのものだけではなく、日射を浴びて温まった窓ガラス自体が熱を発して、室温を上げる原因になっているからです。よしずやすだれで外側から日射を遮れば、窓ガラスが高熱になって室温を上げるのを防ぐことができます。あわせて、カーテンや遮熱シートで内側からも遮光・遮熱すれば、より効果的。よしず・すだれを使うときは、窓から少し離して設置するのがコツ。そうすると、よしず・すだれと窓との間に熱がこもらず、より高い効果が期待できるそうです。「よしず・すだれは、何となく若い人には手を出しづらいアイテムですが、実は最近は100円ショップでも売られています。窓のサッシに取り付けられる器具もいっしょに購入すれば、設置も簡単。サッシに傷をつけることもないので、賃貸マンションでも気軽に使えますよ」(和田さん)

■不在時も日射対策を一人暮らしの若者に多いのが、日中は仕事でいないから暑くても関係ないと、カーテンを開けっ放しの人。「日中に差し込む日射が窓・床を温め、夜間の室温を上げる原因になります」(同上)。暑い時期は、必ずカーテンだけでも閉めてから出掛けましょう。もちろん、よしず・すだれを掛けておくのもいいでしょう。

■換気で熱い空気を逃がす日射対策のほかに重要なのが換気です。外から帰ってきたときは、まず窓を開けて、こもった熱い空気を逃がすようにしましょう。その際のコツは、必ず2カ所を開けること。「一つの窓を大きく開けても、空気の通り道はできません。ワンルームマンションで窓が2つもない場合は、窓とドアを。ドアを開け放しにしづらければ、窓と換気扇でもOKです」(同上)

■夏にエアコンを使う場合は、ドライより冷房で室温を下げる工夫をした上で、それでも暑くてエアコンをつける場合の、上手な使い方や注意点についても伺いました。まず気をつけたいのが、「ドライ」モードの使用。「少しでも節電になるようにとドライにする人もいますが、実はドライの方が冷房よりも消費電力量が多くなることがあります。湿度を下げたい梅雨時にドライにするのはOKですが、暑い時期は冷房を」(同上)風量を「微風」にするのも逆効果。風を抑えるだけで、エアコン自体はフル稼働しています。消費電力を最小限にするには、風量は「自動」にしてエアコンに任せるのが一番良いそうです。エアコンの吹き出し口も、下向きやスイングにせず、平行にしておくのがもっとも節電になります。ただし、冷たい空気は重いので、そのままにしておくと床に冷気が集中し、ムダに冷えてしまいます。そこで活躍させたいのが扇風機。下から上に向けて回せば、冷気が部屋に循環します。「扇風機の消費電力は非常に少ないので、エアコンとの併用がオススメです」(同上)ここ数年、夏は猛暑になる年が続いていますが、2013年の夏も暑くなると予想されています。熱中症や夏バテにも十分な注意が必要。節電のためにできることをしながら、無理せず上手に暑さをしのいでいきましょう。

文・本居佳菜子(エフスタイル)

取材協力/和田由貴さん消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、暮らしや家事の専門家として多方面で活動。また、環境カウンセラーや省エネルギー普及指導員でもあり、環境問題にも精通。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットー。耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。オフィシャルサイト:http://wada-yuki.com/