拾いきれなかったニュースをダイジェスト形式でお伝えします。今回は「異星人からの信号の正体」「貨物船にも自動運転化の波」「深い火傷を傷跡も残さずきれいに治す技術」などをまとめました。

貨物船にもAI自動運転化の波

商船三井と日本郵船が、造船のジャパンマリンユナイテッドとともに、AIによる自動航行システムを搭載する「スマート貨物船」を2025年をめどに運行開始すると発表しました。

このスマート貨物船は、総数250隻ほどが建造される見込みで、気象情報などをもとにAIが最も安全で燃費効率がよい最短航路を選択するようになる計画です。AIは自律航行システムだけでなく、船の故障予測や障害物回避システムなどにも利用されるとのこと。

AIスマート貨物船の運行開始は2020年を目標として、当初は船員が搭乗しての運行となるものの将来的には完全無人での運行も視野に入れています。

[Sourcce : BBC]

40年前の「異星人からの信号」正体が判明

 
40年前、オハイオ州立大学でSETIプロジェクトに関わっていた天文学者が、ビッグイヤー電波望遠鏡で観測した「Wow!シグナル」は当時、異星人からの信号の可能性が考えられ、後に映画「コンタクト」の原案になったことで知られています。ところがこのWow!シグナルが、実は射手座の方向にあった彗星が発した電波だったことがわかりました。

The Center for Planetary Scienceの研究員は、このWow!シグナルが水素原子が状態遷移の際に発する水素線と呼ばれる電波と全く同じであり、266/P Christensenと呼ばれる直径数百kmの水素の雲をもつ彗星が発するものと厳密に一致することを発見したと発表しました。さらにWow!シグナルが観測された1977年当時、266/P Christensenがその発信源だった射手座の方向に位置していたとのこと。

SETIと言えば異星人探索プロジェクトとして知られており、発見者が当時の知見ではどうしても説明のつかない電波を発見したときに、地球外文明へのバイアスがかかってしまったことは否定できません。神秘的な現象の背後にはたいてい夢のない事実があるものですが、そのの発見は科学と宇宙に関する知識を増やしてれるものでもあり、将来本当に異星人からの信号をキャッチするためにも必要な経験になるものです。

[Image : solarseven]
[Source : The Center for Planetary Science]

NASAの6輪火星探査車はバットモービル的デザイン

まるで映画「バットマン」に出てきそうなこのクルマは、NASAがデザインしたMARS2020ローバー。火星での有人探査に向けた全長8.5mの巨大な6ホイーラーです。デザイン的にはかなり映画ファンを喜ばせる出来となっているものの、これはNASAのSummer of MARSイベント向けに作られたコンセプトもので、これをそのまま火星へ持っていくという話ではありません。

実際のMARS2020ローバーのデザインは無人の探査ローバーで、いまも火星で活動しているCuriosityとさほど代わり映えしないデザイン。しかし、2020年には火星へ降り立ち、微生物などの痕跡を調査したり地球へ持ち帰るためのサンプル採取などを行う予定で、そちらの方も期待が膨らみます。
[Source : NASA]

SpaceX、Falcon Heavyロケットを9月ごろに打ち上げへ

 
SpaceXのCEOイーロン・マスクが、Twitterフォロワーからの質問に対し、2〜か月後にはケープカナベラル空軍基地にFalcon Heavyロケットを持ち込み、その翌月には打ち上げる考えを示しました。つまり、早ければ9月にはFalcon Heavyの初の打ち上げを実施するということです。
Falcon Heavyといえば、Falcon 9ロケットの1段目ブースターを3本束ねたスーパーヘヴィリフター(超大型重量貨物打上機)。搭載可能なペイロードは低軌道向けで54トン、火星軌道ヘ送り込むことを想定しても13トンもの積荷を宇宙へと運び出せます。

ただ、宇宙開発においては事故の発生やその他の理由でスケジュールが遅れることは日常茶飯事。とりあえずは学校の夏休み明けごろに歴史的な打ち上げが行われるかもしれないと思って楽しみに待ちたいところです。

[Source : Elon Musk(Twitter)]

傷跡の残る深い火傷綺麗に治す治療法、来年には実用化の可能性

米国のバイオ企業PolarityTEが、III度熱傷や深い擦り傷の跡を綺麗に治す皮膚再生治療方法「SkinTE
」を開発しました。この企業はユタ州の動物施設で、負傷したブタで前臨床研究を実施した結果、皮下脂肪層まで達した火傷跡を綺麗に修復し、毛包までもとどおりに再生できたと発表しています。

なぜブタで前臨床研究を実施するかというと、人の肌とブタの肌は非常によく似た性質なうえに、ブタのほうがやや複雑かつ分厚いため、ここで良好な結果が得られれば人の肌でもうまくいく可能性が高いのだとか。PolarityTEのサイトでは、皮下脂肪層まで達した傷が綺麗に治癒している様子が掲載されています(グロテスクな画像がありますのでご注意を)。

PolarityTEは今年後半にはSkinTEの臨床試験を開始するとしており、早ければ1年〜1年半ぐらいで実用化できるかもしれないとのこと。なお、PolarityTEはこの技術が骨や筋肉、軟骨、肝臓といった組織の機能を保ちながら再生させる治療にも応用できる可能性があるとしています。今後の開発に期待したいところです。
[Source : PolarityTE]