冬本番になる前にパナソニックの布団乾燥機「FD-F06X1」をレビューしたのだが、マットがない仕様で使いやすいうえに、たった5分で必要な部分だけをポカポカにできる便利さに感動した。寒さが身にしみる今の時期ならば、もっと活用できるだろう。そこで、同じマットレスで“5分で暖め”の機能もある日立「アッとドライ HFK-VH700」(以下、HFK-VH700)に注目。実は、HFK-VH700は価格.comの布団乾燥機 人気売れ筋ランキングで1位に輝く製品だ(2016年2月5日現在)。人気にふさわしい実力を備えているのか、確かめてみた。

マットいらずな構造をチェック!

HFK-VH700は、一般的なマットレスの布団乾燥機同様にホースから温風を送ることで布団を暖める。布団全体を暖め・乾燥させるだけでなく、温風で運転した後に送風で熱気を取り除くコースや布団の一部分だけを短時間で暖めるコースも用意。また、50℃以上の温風でダニ対策をしたり、アタッチメントを付けることで少量の洗濯物や靴を乾かすこともできる。

サイズは28.3(幅)×33.8(高さ)×21.2(奥行)cm。重量は約4.1kgだがハンドルが付いているので、持ち運びしやすい

天面のフタを開けたところに、必要なパーツやアタッチメントが収納されている

本体とホースはつながっており、最長90cmまで伸びた(本体の高さ含む)

用途に応じて、収納されているアタッチメントをホースに付けて使用する

操作は、実施したいコースのボタンを押すだけなので非常にわかりやすい。同じボタンを押すと、コースごとに用意された3〜4つの運転時間に切り替えられる

布団乾燥・暖めや衣類乾燥に使用するアタッチメントには布団のサイズや洗濯物の量にあわせて運転時間の目安が書かれているので、時間設定も迷わずにできそう

本体にある吸込口には「HEPAフィルター」と「アレルキャッチャーフィルター」が搭載されており、空気中に漂うダニの死がいや花粉などのアレル物質を分解してくれる。浄化した空気が放出されるのは、うれしい

ポカポカな布団で眠りたい!

マットレスの布団乾燥機の場合、マットがないぶん設置や片付けは容易だが、マットで布団全体を覆えないため広域に熱を届ける工夫が必要。設計段階から送風口の配置や送風部の厚みなどを細かく計算しているのはもちろんだが、角度調整ができるルーバーを設けるなどして温風を送りやすくする機構を各社が施している。HFK-VH700は、13か所の吹き出し口を装備したアタッチメントを装着することで、左右上下に温風が行き渡るようにしているという。まずは、温風の届き具合を布団全体の暖めでチェック!

布団を暖めたり乾燥させる時には、ホースの先端にコの字型のアタッチメントを装着する。アタッチメントにある複数の穴から温風を放出

アタッチメントは左右、上下に伸ばすことができる。伸ばした状態で使用することで、より温風が広がりやすくなるそう

アタッチメントを付けたホースの先端を敷き布団に置き、掛け布団をかける。布団全域に温風を届けたいので、今回は布団の中心部にアタッチメントがくるように配置した

ちなみに、ベッドのような高さのない床に敷いている布団の場合、本体を横にして使用することも可能

暖めコースには5分、10分、20分が用意されている。シングルサイズの布団なので、取扱説明書の指示どおりに10分で暖めスタート

撮影のために掛け布団をめくると30℃台前半まで温度が下がってしまったが、10分間の暖めが終了した直後の送風口付近の布団の温度は40℃を超えていた。そのまま10分ほど経っても25℃前後をキープしており、長時間ポカポカと過ごせる。送風方法が優れているようで、足もとのほうも暖かくなっていた

暖まり具合が想像以上によかったので、足もとを狙った暖めにもトライ。部分暖めというコースが別途用意されているわけではなく、暖めコースの運転時間を短くするだけだ。

暖めたい位置にアタッチメントがくるようにセット

シングルサイズの布団全体を暖める時の半分、5分で運転開始

たった5分の運転だったが、足もと部分の布団の温度は24℃近く上昇。10分経っても人肌の温度で保たれていたので、運転終了後、すぐに布団に入れなかったとしても暖かく眠れそう

布団をカラッと乾燥させたい!

外に干すことができない時に重宝する「ふとん乾燥」も試してみよう。放出される温風の温度は暖めコースと同じだが、乾燥コースは運転時間が30分/40分/60分/90分/120分と長くなる。また、乾燥コースには「夏」と「冬」を用意。「冬」は温風のみの運転となるが、「夏」は温風で乾燥させたあとに30分の送風を実施し、布団の熱を取ってくれる。

寒い季節なので「冬」を選択。綿のシングル布団は40分間乾燥させる

40分乾燥させた布団を触ってみると、敷布団、掛け布団ともに中綿の弾力が復活してフカフカに! 表面の肌触りもサラリとしていて気持ちいい

ただ温風で乾燥させるだけでなく、デオドラント剤が使用できるのもHFK-VH700の特徴。デオドラント乾燥を行うと爽やかな香りで消臭されるため、快・不快度評価が未使用の布団と同レベルになるそう(メーカーの調査による)。

利用できるデオドラント剤「DHF-01」は、専用のもの限定(別売/1箱12包入り/市場想定価格:1,500円)。ヒノキ科の植物に含まれる「ヒノキチオール」と呼ばれる成分が含まれている。お試しとして6包が付属されているので、消臭具合を確かめてみて!

デオドラント剤は、布団乾燥の時にホースに装着するアタッチメントにセット

30分乾燥してみたところ、布団に染み付いていたニオイが消えた! 芳香も強過ぎず、ほのかにヒノキ系の香りがする程度なので心地いい。デオドラントは1回30分運転した場合で、1包みで2〜3回は使用できる

今回は検証していないが、50℃以上の温風でダニを退治するコースも用意されている。前回使用したパナソニック「FD-F06X1」はシングルサイズの布団であっても布団半分ずつのスペースでそれぞれ90分の運転を行わねばならないため、90分×4回(1/2スペースを裏表)=6時間の所要時間が必要だった。いっぽうHFK-VH700は、シングルサイズであれば120分の運転1回でOK。

入念に行いたい場合は、「ダニ対策コース」終了後に布団を裏返して「ふとん乾燥(冬)コース」60分を実施するといい

靴や衣類を乾かしたい!

布団を乾燥させるのが主務とはいえ、布団乾燥機は意外と靴や洗濯物を乾かすためにも利用されることが多い。HFK-VH700も、付属のアタッチメントを付けることで対応する。靴や衣類を乾かすコースは「温風」のほか、革やビニールなど熱に弱い素材向けの「送風」、50℃以下で温風コースよりも約20%消費電力を抑えて運転する「低温」の3つを用意。

靴を乾かす時は、先が割れたアタッチメントをホースに装着

洗濯機で脱水した靴を温風コースで乾かしてみたところ、20分弱で乾いてしまった。このスピードは役立つ!

衣類を乾かしたい時には、布団乾燥・暖めで利用したアタッチメントを写真のようにセットする。送風口の上に洗濯物を吊るしておけばいい。また、別売の衣類乾燥カバー「HFK-CD200」(市場想定価格:4,200円)を使えば、よりスピーディーに乾かせるだろう

まとめ

HFK-VH700の消費電力は最大680Wと他機種に比べて高めだが、その数値が示すとおり、実際に吹き出す温風は高温で、しっかりと暖まって冷めにくいと感じた。消費電力が高いと電気代がかかるのでは? と懸念されるかもしれないが、短時間で暖めや乾燥、ダニ対応が完了するため、それほど気にしなくていい。たとえば、同じ綿布団(シングル)全体を暖める場合、同仕様のパナソニック「FD-F06X1」(消費電力:460W)では40分かかるがHFK-VH700では10分で済む。消費電力と運転時間を掛け合わせて電気代を算出しても、意外と高温で素早く終えられるほうがお得だったりする。もちろん、運転が終わるのを待つ時間が少ないのも魅力だ。

マットが不要であるという手軽さはもちろんだが、基本能力の高さや省エネ性能、衛生面に至るまで抜かりなくカバーされており、欠点らしいところが見当たらない。“優等生的”な製品と言えるだろう。


>> 短時間で乾燥&暖める日立の“マットレス”布団乾燥機の優等生っぷりがスゴイ! の元記事はこちら