自分が入っている保険はこれでいいのか? 見直すなら、どこをどう変えるべきか? 「あなたが入るべき保険」を判定する。

■教育費はかさむが兄弟姉妹で助け合える強みも

子どもが増えれば生活費はもとより、教育費など何かと出費はかさむもの。それだけに、大黒柱を失った際のダメージも大きくなる。

万一に備え、それだけ保険も手厚くしておかなければ……と考えがちなところだが、子どもが複数いたとしても必要保障額がそのまま人数分、積み上がっていくわけではない。

末子の独立まで「備えるべき期限」は延びるものの、人数が増えることで生活費は効率化できる部分もある。父親を亡くせば、母子で支え合い、兄弟姉妹は助け合う。出費が増えるばかりではない。

■状況の変化に合わせ必要保障額を再計算

2人目、3人目の子どもが生まれたら、保険はその都度見直しが必要になる。

前項(http://president.jp/articles/-/16546)で説明したように、必要保障額は子どもが生まれたときから独立のときまで右肩下がりの三角形を描く。しかし、2人目(以降)が生まれると、減りつつあった必要保障額は再び上昇し、その子が独立するまで期間が延びる(図参照)。

子どもが増えても必要保障額がそれほどハネ上がっていないのは、生活が効率化できたり、受け取れる遺族年金が増えるなどするからだ。

家族構成が変わらなくても、必要保障額はたびたび見直したほうがいい。

「たとえば、子どもが医学部を志望したとなれば、必要保障額の教育費は従来よりも多めに見積もっておかなくてはいけません。逆に高校を出て就職するとなれば、当初“22歳まで”と設定していた独立は、4年間も早まることになります」(東京プロビジョン代表取締役 都倉健太氏)

時間が経過するにつれ、家族のライフプランはより具体的に見えてくるもの。それに合わせて必要保障額も定期的に修正し、保険に反映させるのが賢いやり方だ。

■ローンで家を買うと夫の死後は返済免除

「一般に定期保険(死亡保険)は10年更新が多いのですが、更新の際に従来と同じ保障にしようとすると、保険料は倍近くにハネ上がります。それで“こんなに高い保険料は払えない!”となるケースが多いのですが、必要保障額は10年前より減っているはずです。ですから、更新のたびに保障額を抑えた契約に見直していけばいいのです」(都倉氏)

あるいは、マイホームを購入するか賃貸住宅に住むかでも、事情は変わってくる。

住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、通常「団体信用生命保険」(団信)に加入する。これは契約者が完済前に死亡した場合、残債を保険によって保障する制度だ。

「つまり、住宅ローン契約者である夫が死亡してしまった場合に以降の返済は免除され、家族はそのままその家に住み続けることができます。よって将来の住宅費はリフォーム代金程度を見積もっておけばよく、その大半を必要保障額から差し引くことができるのです」(都倉氏)

----------

◆学資保険はいらないか
子どもの教育費に備える保険商品といえば「学資保険」が思い浮かぶ人も多いだろう。だがこの商品、実は子どもを被保険者とした養老保険の一種で、最近は払込保険料>受取総額になっているものが多い。純粋に教育費の準備が目的なら給与天引きの財形貯蓄や積立預金が有利だが、人によっては“解約しづらく容易に手を出せない”という点でメリットがあるかも。(プレジデント編集部)

----------

▼「夫婦+子ども2人」の保険を見直し!

----------

【家族構成】夫(会社員)45歳/妻43歳/子ども15歳、10歳
【住まい】持ち家【年収】700万円

----------

→現状のプラン

○検討したほうがいい △検討してもいい
凡例=[終]終身保障、[定]定期保障
◆夫の保険
【死亡保険】○収入保障保険[定]
医療保険】○入院保険[終]○入院時手術[終]○先進医療[終]△ガン診断時[終]△ガン通院[終]
◆妻の保険
医療保険】○入院保険[終]○入院時手術[終]○先進医療[終]△ガン診断時[終]△ガン通院[終]

→標準的なプラン(○+△で設計)

月額:14,500円
◆夫の保険の内訳
【収入保障保険】月額保険料 8600円、保障/払込期間 55歳満了、保険金月額 25万円
【医療保険(入院保険)】月額保険料 3300円、保障/払込期間 終身、入院日額 3000円、入院時手術 3万円、先進医療2000万円、ガン診断時 50万円など
◆妻の保険の内訳
【医療保険(入院保険)】月額保険料 2600円、保障/払込期間 終身、保障内容は夫と同じ

→シンプルなプラン(○のみで設計)

月額:12,200円
◆夫の保険の内訳
【収入保障保険】月額保険料 8600円、保障/払込期間 55歳満了、保険金月額 25万円
【医療保険(入院保険)】月額保険料 2000円、保障/払込期間 終身、入院日額 3000円、入院時手術 3万円、先進医療 2000万円
◆妻の保険の内訳
【 医療保険(入院保険)】月額保険料 1600円、保障/払込期間 終身、保障内容は夫と同じ

※プランは年齢・年収・持ち家の有無などの設定を基に、一般的な保険で構成した場合の目安。「優良体割引」等考慮せず。収入保障保険は最低支払保証期間5年、入院保険は1回60日を限度、通算1095日を限度としています。

----------

東京プロビジョン代表取締役 都倉健太
大阪市立大学卒業後、三井海上(現・三井住友海上)に入社。2004年、豊富な商品知識と業務経験を持つ保険会社のOB・OGを中心とする代理店、東京プロビジョン設立。著書に『保険は今より6割安くできる!保険会社の社員が家族にしか教えない保険の「超」見直し術』(東洋経済)ほか。

----------

(渡辺一朗=編集・文)