ゲームの世界もひとつの現実 《SAO事件》を解決に導いた英雄・キリトが語る「ゲームと現実の繋がり」
《ソードアート・オンライン(SAO)》。新型VRマシン《ナーヴギア》によって、視覚や聴覚、触覚といった人間の五感を刺激した、完全な仮想現実の体験(フルダイブ)をできるこのゲームは、世界発のVRMMORPG(仮想現実技術による大規模多人数同時参加型オンラインRPG)として世に出ました。

VRゲームとしての新たな時代を切り開いた《SAO》をいち早く体験するため、サービス開始日には多くのプレイヤーがゲームにログイン。完全なる仮想空間を謳歌していました。

しかし、同時にこのゲームで重大な事件が起こりました。ゲームをプレイしていた約1万人のプレイヤーがログアウトができなくなり、ゲームの中での死が現実の死に直結するデスゲームに囚われたのです。

後に《SAO事件》として語られたこの事件を解決に導いたのは、プレイヤーの一人であったキリト。他のプレイヤーたちと同じくゲームに囚われていた彼は、命の危険と隣り合わせの世界を生き延び、2年の歳月をかけて見事《SAO》をクリアし、現実へと帰還しました。クリアは絶望的とまで思われた《SAO》を攻略したキリトは、その姿から「英雄」とまで呼ばれています。

今回は、その英雄・キリトにインタビュー。圧倒的なゲームの実力を誇る彼には、ゲームに登場するNPC(Non Player Character。ゲーム上で、プレイヤーではなくゲームのシステム側が操作するキャラクターを指す)を大切に思う一面もあり、「VR世界におけるNPCやAIの存在、彼らとの交流もまた、自分を作る大切な存在になっている」と語る。

フルダイブ技術によって、ゲーム世界での体験がよりリアルになった今、「もう一つの現実」とすら言えるほどにまでVRが発展した現代。

そんなVR世界は、キリトの視点にはどのように映るのか。《SAO事件》を経験した彼から見たVR世界の今と、その未来を聞きました。

(出典元:ソードアート・オンライン1話「剣の世界」)

ゲームだけどゲームではなかった《SAO》

キリトさんはあの《SAO事件》から生還されたとのことで、事件当時のことを聞かせてください。
今でも覚えています。《SAO》はタイトルが発表されたときから期待していて、βテスト(製品発売前のユーザー参加型テスト)にも参加していました。

製品版が出たときも、サービス開始日からゲームにログインしていたんです。僕以外にも、同じように《SAO》を楽しみにしていたプレイヤーがたくさんゲーム内にいて、それがまさかあんなことになるなんて……思いもしませんでした。
楽しいはずの冒険が一転、命を賭けたゲームになったわけですね。
はい。ゲームによくあるちょっとした冒険でも、そのとき《SAO》の中にいた僕たちにとってはその全部が「命がけの戦い」だったんです。
(出典元:ソードアート・オンライン1話「剣の世界」)
それから2年後にようやく《SAO》をクリアされたとのことですが、ゲームに閉じ込められてからクリアにいたるまでの経緯を改めて聞かせてください。
最初、《SAO》に閉じ込められたときはみんな訳が分からず、現実からの助けを待とうとする人や何かの演出だと思って普通に遊ぼうとする人、それでもいち早く次の階層を目指そうとする人など、いろんな人がいました。

プレイヤーのなかには、VRゲームの経験がない子供や、大人でもRPG慣れしていない人もいて、いつしか、モンスターや他のプレイヤーとの戦闘がない安全なエリア(圏内)で生活する人と、ゲームのクリアを目指す人たち(攻略組)で分かれていました。攻略組の中でも様々な考え方があり、賛同するもの同士が集まって攻略ギルドが発足するなど、早い段階からこの世界での社会システムが構築されていったように思います。

僕は基本的にはソロでの攻略を進めていました。今にして思うと、自分のせいで誰かが犠牲になってしまうかもしれないことの恐怖から逃げていたんだと思います。気持ちが折れてしまいそうなこともありましたが、僕の場合は様々な出会いに支えられて……その出会いを犠牲にしないように、とにかく自分にできることを精一杯やっただけだと思っています。
当時の記録では、100層ある《浮遊城アインクラッド》の75層時点で《SAO》がクリアされたとなっています。生還したプレイヤーの間では、キリトさんを「英雄」と呼ぶ声があったようですね。
英雄だなんて、そんな褒められるような人間じゃありませんよ。仲間がいなければ、あの世界を生き抜くことさえ出来なかったと思います。
(出典元:ソードアート・オンライン14話「世界の終焉」)

人が求めてやまないVRの世界

《SAO》から帰還したあとも、キリトさんはVRゲームをプレイされているとうかがっています。再びVRゲームに触れることに抵抗はありませんでしたか?
まったく抵抗がなかった……というとウソになるかもしれませんが、VRという現実とは異なる世界の魅力が、それを上回っていたんだと思います。

それに、次世代VRマシンとして、安全性の高い《アミュスフィア》(ナーヴギア製造中止後に開発された、完全同一規格の後継VRインターフェース)が普及していたので、あまり心配はなかったというのもありますね。
たしかに、《ナーヴギア》によるフルダイブ技術の確立や、VRゲームの進歩は目覚ましいものがありますね。
誰もが、それだけ仮想世界というものに憧れていたというか、現実とは違うもうひとつの世界を求めていたんじゃないでしょうか。
キリトさんは、そんなVR世界での体験をどのように考えていますか?
僕がプレイしているVRゲームを含め、こういった仮想現実はメタバースと呼ばれることもありますが、個人の感想としては、かなり身近な存在になっていますね。

娯楽のひとつとしてのゲームというのもありますが、そこで出会った友人との繋がりや、一緒に体験してきたことが、今の僕を作っていると思います。
これまでVRゲームを経験されて、驚きや発見はありましたか?
驚き……とは少し違うかもしれませんが、NPCたちへの見方は大きく変わったと思います。

フルダイブ型のVRゲームでは、五感の全てでその世界を感じることになります。全身で仮想世界と向き合ううちに、この世界だって1つの現実だとすら思えるようになりました。たとえ相手がNPCであっても、自分たちと同じような存在として感じられるようになったんです。
ゲームのキャラクターに感情移入するというのは今も昔も変わらないかもしれませんが、フルダイブのおかげでよりリアルに感じられるんですね。
もちろん、NPCは決められた行動を取ることがほとんどですし、生身の人間ではないとわかっています。ですが、フルダイブを通じて彼らの行動や言葉を受け取ることで、これまでのゲーム以上に励まされたり、学びを得たり、時には別れがつらく感じることもありました。

ゲームなので、ただプレイヤーの没入感を高めるため、と言ってしまえばそれまでかもしれません。それでも、彼らの存在に心動かされたことがあるのも事実で、たとえ仮想の存在であっても、僕にとっては友人と同じように大切な相手だと言えます。
そう思わせるほどの体験が、仮想世界にはあると。
《SAO》にいたころは、NPCに命を預けて戦うこともあったので、余計にそう思うのかもしれません。

それに、AI技術もVRと同じく日々進歩しているので、いつの日か、より人に近い感覚を持った人工知能が生まれたら、彼らもゲームのNPCという枠を超えて、僕たち人間の良いパートナーになってくれるんじゃないかと思っています。
「たかがゲーム」といったような、ゲームが悪者であるかのような声も、前はありました。
そんな時代もあったとは聞いたことがあります。ですが、《GGO》のように競技性のあるタイトルはeスポーツとして扱われて、プロプレイヤーが大会でしのぎを削ったり、配信者がゲームのプレイ動画をアップしたりして、広告収入を得たりすることが、当たり前の時代になっていますよね。

また、一昔前は「オンライン上での人間関係は希薄だ」なんて言われることもあったそうですが、僕は違うと思います。オンラインでいつでも一緒に遊べるから、というのもありますが、フルダイブ技術を使ったVR世界だからこそ、人と人との心の距離のようなものが近い気がするんです。
オンラインゲームに限らず、SNSやWEBに抵抗がある人の中には「本人の顔が見えないことが不安」という声もあったりします。
自由に作り変えることができるアバターの存在があることで、人間関係が希薄に感じてしまうことはあるかもしれません。なかには現実の自分とは違う存在として、アバターで演じている人もいます。

ですが、現実世界においても、プライベートとそれ以外で差がある人もいるわけですし、決して「ゲームだから」「仮想世界だから」ということではないと思います。もしかしたら現実の肉体が関係していないからこそ、その人の本当の自分を出せているのかもしれません。

それに、なにもオンライン上での関係だけがすべてではありません。僕も、気の合う友人とはオフでも会いますし、人によっては、そこからさらに交流を深めて、関係が進展する。なんてこともあるんじゃないでしょうか。
(出典元:ソードアート・オンライン2「バレット・オブ・バレッツ」)
確かに、プレイヤーによってはオンラインゲームで知り合った人同士で付き合って結婚する。なんて話も、今では珍しいことではないですね。
現実では難しい遠方の友人との交流も、オンライン上なら会おうと思えばすぐにでも会えるので、そういったところでも「仮想世界で人との繋がる」というのは、今の時代らしい交流方法と言えるんじゃないでしょうか。
そんなキリトさんは普段、仮想世界ではどういった体験をされていますか?
僕はどのゲームでもギルドには所属していませんが、それでもVRMMOを通じて知り合った友人たちとはよく遊んでいて、広大な仮想世界を自由飛び回ったり、他愛のない雑談で時間を潰したり、ゲームらしく、いろいろなダンジョンへ冒険に出かけたり……なんでもやっていますね。

でもこれって、僕たちにとっては現実世界で「カラオケに行こう」や「キャンプに行こう」と、声をかけて遊ぶのと同じ感覚なんです。それぐらい、仮想世界での交流は、現実とそれほど大差のないものだと思っています。
(出典元:ソードアート・オンライン2「森の家」)

《SAO》を経験したからこそ感じる仮想世界の行く先

VR技術の発達によってメタバースという文化が世間に浸透してきていますが、キリトさんは今後の仮想世界はどのような存在になると思いますか?
より現実に近い「もうひとつの現実」のような世界になっていくんじゃないかって思います。
もうひとつの現実ですか?
先ほど、ゲームで収入を得ている人の話をしましたが、ゲーム以外の分野だと、VRのアバターを利用したアイドルや歌手活動をしている人も最近では珍しくありません。そこには当然、企業やクリエイターが絡んでいて、ビジネスが成り立っています。

今はまだ、フルダイブ技術を使ったコンテンツはそれらゲームやエンタメ系が中心ですが、いつかもし、現実と遜色ない仮想空間が出てきたら、学校や仕事、人との交流といった、現実で行われている生活がVR上でも行われるようになるかもしれません。

生身の肉体かVRのアバターかの違いはあっても、フルダイブ技術を通じて得られる経験や心が感じたことは、現実世界のそれと同じだと思うんです。そう考えると、仮想世界もひとつの現実と言えるんじゃないでしょうか。
今ではリモート授業やテレワークも珍しくありませんが、VR空間に作られた学校や職場ができると、現実と同じように人が集まってできるかもしれない、ということですね。
リモートなのに仮想世界で通学や通勤するって、言葉にするとちょっと不思議な感じがしますけどね。

それに、フルダイブ技術は医療分野でも研究されているらしく、病気で外に出るのが難しい人たちでも、仮想世界であれば自分の足で、無数にある世界を自由に動き回ることができる……。いつしか、そんな未来が来たらいいなと思っています。
フルダイブ技術の先に、そのような世界が待っていると。
今はまだ、技術の発展途上で、みんなが思い描く理想の仮想世界にはほど遠いかもしれません。課題もまだまだ多いと思います。ですが、いつか「その人にとって、もうひとつの現実としての仮想世界」が生まれる日がくると信じています。
キリトさんにとって、ゲームとは何ですか?
日常、生活……どんな言い方があっているのかはわかりません。ですが、僕は《SAO》や他の仮想世界を通じて、現実が当たり前に存在しているのと同じような感覚で、仮想世界で日常を生きる人たちが大勢いることを知りました。

そこに「どちらの世界の方がいい」というのはなく、友人と出会ったり、大切な人と一緒に過ごしたり、といった人との繋がりは、現実世界でも、仮想世界でも変わらなかったんです。僕にとってはどちらも同じ現実で、どちらもかけがえのないものです。

そういったことも含めて、僕にとってのゲームは、リアルとかわらない、もうひとつの現実になっているんだと思います。
(出典元:ゲーム素材)
キリト
VARMMO《SAO》《ALO》《GGO》と渡り歩いてきた少年。二本の剣を駆使して戦う《二刀流》使いで、《SAO》時代から黒い装備を好んでいるため、プレイヤーの間では《黒の剣士》というあだ名でも知られている。

アニメ10周年を記念した新作アプリゲーム登場!

アニメ10周年を記念して新作スマートフォンアプリ「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン(SAOVS)」が登場!SAOゲーム公式YouTubeチャンネルでは、本作に登場するキャラクターPVが公開され、キリト以外にも、魅力的なSAOの仲間たちの思いに触れることができる映像となっている。ゲーム世界で懸命に生きる彼らの姿は要チェック!
 
――SAOゲーム公式YouTubeチャンネル
『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』
「ソードアート・オンライン」のアニメ10周年を記念したスマートフォン向けアクションゲーム。各TVシリーズを代表するキャラクターが参戦し、特徴的なスキルを活かした爽快なアクションを体験できます。強大なボスにソロで挑むモードと、他プレイヤーとの対戦で最強を競うマルチプレイモードを搭載しており、多彩なバトルをお楽しみいただけます。ストーリーバトルでは、本作オリジナルの舞台設定とシナリオを通じて、キリト達の前に立ちはだかる新たな「脅威」や、シリーズの垣根を超えたキャラクター同士の交流が描かれます。

 
あらすじ
《クロスエッジ》―
天才中学生がデザインしたというその「ゲーム」の名前は、キリトの耳にも届いていた。

ある日キリトは、《クロスエッジ》に関する噂を知る。突如現れる正体不明のプレイヤーに敗れると、記憶の一部を失ってしまうこと。そして、その相手はフードを目深にかぶった姿をしているらしい、ということ......。その特徴に、かつて対峙したPKギルド《ラフィン・コフィン》を思い出すキリト。調査を兼ねて《クロスエッジ》をプレイし始めたキリト達は、何者かからの奇襲を受ける。

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「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」公式サイトでは、現在事前登録を受付中!

また、SAOVSでは「俺のスターバーストストリームキャンペーン」を開催中。アプリストアで事前登録をすると、キリトの必殺技「スターバーストストリーム」をアレンジした、自分だけのオリジナル画像を作成できる。さらに作った画像をTwitterに投稿すると、抽選で豪華景品をプレゼント。詳しくはSAOVS公式サイト、公式Twitterを要チェック!
――「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」公式サイト
――「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」公式Twitter
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
©2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO2 Project
©2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project
©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
©Bandai Namco Entertainment Inc. .
[PR企画:ソードアート・オンライン × ライブドアニュース]