未来には進めても、過去には戻れないから――犬飼貴丈がキミに伝えたい“青春”の話
青春のカタチは人それぞれ。スポーツに全身全霊を注いだ青春、恋愛に夢中になった青春、勉学に没頭した青春。
裸の男たちが大学のキャンパスを絶叫しながら走り回るのも、また青春──と、伊織(演/竜星 涼)と耕平(演/犬飼貴丈)が思っていたかどうかはわからないが、映画『ぐらんぶる』で描かれる、全力でバカをやる大学生たちの姿に「自分は青春を謳歌していただろうか?」と思ってしまうのだ。
「青春の尊さを大人になって痛感した」という犬飼は、いままさに青春真っ只中にいる人たちに向け、こう訴える。「カメラを四六時中回して、カタチとして残せるものは残してほしい」。
自分のペースを崩さず、いつもフラットな彼が珍しく見せた、熱のこもった想いだった。
幼少期から水が大の苦手。撮影はがむしゃらに頑張りました
- 『ぐらんぶる』のキャスト解禁時に、“ほぼ裸”の作品に俳優を送り出した担当マネージャーさんたちのコメントも発表されていて、「新しいな」と思いました(笑)。
- ですよね(笑)。そうやって、すべてをネタにできるパワーを持った映画だなと思いました。僕は原作を知っていたし、「攻めた作品にする」とうかがっていたので、“ほぼ裸”ということについては…「まあ、そうなるよな」とは思っていました。
でも、冒頭30分間、延々裸で走り回るとは聞いていなかったし(笑)、原作にもない展開だったので「あ、もう徹底的に攻めるんだ」と思いましたね。
- 離島の大学に入学した伊織と耕平は、奇妙な縁に導かれ、大学のダイビングサークルに入ることになります。犬飼さんはもともと水が苦手なため、撮影に不安を抱いていたとのこと。水が苦手になったきっかけは何だったのでしょうか?
- 幼稚園に入る前ぐらいだったかな? スイミングスクールで溺れてしまって(笑)、それから本当に水がダメになりました。お風呂とかは平気ですが、プールの授業はほとんど休んでいて…顔を水につけなくてもいい生活をしていました。
漫画の『ONE PIECE』でいうところの“能力者”(※)みたいな感じですね(笑)。 - ※編集部注
作中では、「悪魔の実」を食べた者は、特殊な能力が身につく代わりに、一生カナヅチになる。
- クランクイン前にダイビングのライセンスを取得しなければいけないなかで、その苦手意識をどうやって克服したのでしょうか?
- もう、やるしかない状況だったので…。もちろん怖かったし、毎回「死んじゃう!」と思いながら海の中に入っていきましたが(笑)、生きることに必死だったので、インストラクターさんの言うことをしっかり聞いて、がむしゃらに頑張った結果、なんとかやり遂げることができました。
終盤では水中の景色を楽しむ余裕も生まれて、キレイな沖縄の海を堪能できるぐらい恐怖心は薄れていましたね。撮影が始まってからも定期的にダイビングの練習はあって、インストラクターさんにつきっきりで教えてもらっていたので…そうやって、たくさん練習したのも効いたんだと思います。
それに、何か事故が起こったとしても、常に迅速に対応できる体制を敷いていただけていたので、最後までやりきることができました。
- 機会があったらまたダイビングをしたいと思いますか?
- そうですね。今回みたいに身の安全を確保していただければ(笑)。本当に沖縄の海がキレイだったので…安全な環境で潜れるならば、また潜りたいと思います。
- “ほぼ裸”だった現場で、苦労したことはありますか?
- 日焼けには苦労しましたね。肌の露出が多いぶん、油断するとすぐに日焼けしちゃうんです。でもそうするとシーンとシーンがつながらなくなってしまうので、女優さんばりに日焼け止めを塗って、日傘もさして、徹底的に紫外線対策をしていました。
耕平は“アニメオタク”という設定があったので、そういう意味でも日焼けしないほうがいいなと思っていましたね。
『いちご100%』の高校生活に憧れて、受験勉強を頑張った
- 耕平は「見た目は超イケメン、中身は真性のアニメオタク」です。犬飼さんご自身もアニメ好きということで、耕平に共通点を感じる部分はありましたか?
- ありましたねえ。好きなアニメのキャラやロゴが入ったものを身につけたがるっていうのは、“オタクあるある”だと思います。すごく共感しました(笑)。
耕平みたいに、キャラの絵がガッツリ入ったものを着る度胸は僕にはないですけど(笑)、アニメとファッションブランドがコラボしたものを着たりはしています。 - 耕平はお気に入りキャラが描かれたTシャツを着たり、“穿いたり”していましたが(笑)。
- ははは! そうですね(笑)。
- 犬飼さんが「人生でいちばん好き!」と思う、二次元の女性キャラは誰でしょうか?
- 『いちご100%』(作/河下水希)に出てくる、西野つかさちゃんですね。『いちご100%』って、刺激が強いというか、“ちょっとエッチな漫画”みたいに捉えられがちだと思いますが、じつはそうではないんです。女の子が少女漫画を読んで恋愛を学ぶように、男の子が読んで恋愛を学べる漫画なんですよね。
実際に、僕は『いちご100%』で恋愛を学びましたから。女性が描いている漫画だからか、女心や感情の動き方がすごく繊細で、切なかったりするんです。 - 『いちご100%』が『週刊少年ジャンプ』で連載されていたのは2002年から2005年までですが、犬飼さんはいつ頃読んでいたのでしょうか?
- 中学校の後半ですね。僕も最初はエロい漫画だと思っていて、読むのを避けていたんです。でも友達に薦められて全巻読んだときに、「何でいままで読まなかったんだ!?」っていうぐらい感動しましたね。
高校に上がった主人公が映像研究部を立ち上げて、映画を作って、すっごく可愛い女の子たちと恋愛するんですけど、僕もそういう高校生活に憧れて…。「可愛い子がいっぱいいるのかな?」って夢を抱きながら、少し偏差値の高い学校に頑張って入った思い出があります(笑)。
- つかさちゃんのどういうところが好きなのでしょうか?
- 大人になるまでは、健気な(北大路)さつきちゃんのほうが好きだったんですけど、大人になって読むと「西野しかいないな」と思いました。
女の子らしい可愛さもあるし、アクティブな面もあって、トータルするとめちゃくちゃ可愛いんです。「たぶん、いちばん恋愛らしい恋愛ができるのは西野だろう」と、二十歳過ぎてから彼女のよさに気付きました。
ちょうど僕、きのうも寝る前に『いちご100%』を読んでたんですよ(笑)。 - そんなにお好きなんですね(笑)。ちなみに自粛期間中に、新たに触れた漫画はありますか?
- えーっと、ちょっと確認していいですか?(スマホを取り出し、読書履歴を確認する犬飼さん)
『RaW HERO』、『鬼滅の刃』、『終末のワルキューレ』、『地獄楽』を自粛期間中に読みましたね。
- みなさんにオススメするとしたら、とくにどれでしょうか?
- 『鬼滅の刃』はたぶんみんな読んでいると思うので、『RaW HERO』ですかね。実写ドラマ化もされた『監獄学園』の作者さん(平本アキラ)の最新作なんですけど、めちゃめちゃ面白いので、ぜひみなさんにも読んでほしいです。
シュール寄りのギャグみたいなノリで…。間違って女装させられた主人公が悪の組織に潜入するっていう、一応ヒーローものの話なんですけど(笑)、『監獄学園』のノリが好きな人にはオススメです。
竜星 涼さんとは“己の貫き方”が似ているのかも
- 北原伊織を演じる竜星 涼さんの第一印象はいかがでしたか?
- ちょっとクールで、「話しかけづらいのかな?」という印象でした。でも実際は真逆で、とてもフランクに接してくださいました。ご飯にもよく連れて行ってくださって、“親しみやすい兄貴”のような方でしたね。
- キャストが発表されたときに、「仮面ライダービルドと獣電戦隊キョウリュウジャーだ!」と喜ぶ特撮ファンも多かったようです。
- そうですね(笑)。
- 「特撮作品で主役を務めた」という共通点もありますが、性格や考え方で似ていると感じたところはありますか?
- スタイルこそ違えど、己の貫き方は似ているのかもしれません。竜星さんは自分をすごく持っていらっしゃる方なんですが、僕も自我が強いというか…。自分を持っていたいと思うタイプの人間なので、そういったメンタルは近いものがあるんじゃないでしょうか。
- 本作でダブル主演として肩を並べてみて、いかがでしたか?
- 『ぐらんぶる』は叫びまわったりするシーンが多かったんですが、竜星さんは常に全力でクレバーに演じられていて。そういった竜星さんの仕事に対する姿勢を見て、“プロの俳優”というものを改めて学ぶ機会が多かったと思います。
“悪友”たちと青春を謳歌した、かけがえのない高校時代
- 伊織と耕平を中心に全力でバカをやっている男たちを見て、「こういう青春も最高だろうな」と感じました。犬飼さんが「青春」と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはいつ頃でしょうか?
- 高校生のときですかね。将来のことを何も考えず、目の前で起こる出来事を尖った感性で受け止めていて…あのときに見たもの、感じたものは、いまでも忘れません。何を見てもキラキラしているように見える、当時のあの独特な感性は、ずっと失いたくないなと思っているんです。
- 当時の犬飼さんの目には、どんなものが映っていたのでしょうか?
- 放課後、自転車に乗って友達とああでもないこうでもないって語り合いながら下校する道のりで、夕陽が差し始めている橋を渡るときの情景とか…。そういった何気ない、でもすごくキレイな田舎の情景が、いまでもすぐに浮かんできます。
- 当時、とくに熱中していたものはありますか?
- バンド活動に熱中していましたね。あと…褒められた話ではないですが、高校に入った時点で「もう勉強するのはやめよう」と思っていたので、一切勉強せず、遊ぶことに全力を注いでいました。だから、高校時代は遊びとバンドに100%の力を注いでいましたね。
- なかでも、心に強く残っている青春エピソードはありますか?
- 毎朝学校に行く前に、コンビニに寄ってガムを買っていたんですが、そのコンビニの店員さんがすごく可愛かったから…というのも理由で(笑)。
そんななか、文化祭で僕たちのバンドがライブをやったときに、その子が見に来てくれていたんです。どうやら、知り合いの知り合いとかだったみたいで。それで張りきりすぎて喉を潰しましたね(笑)。すごく青春していたなって思います。
向こうも僕のことを気になってくれていて、「ガム」っていうあだ名をつけられてたみたいなんですけどね。ははは!
- まさに青春ですね(笑)。
- いやあ、ホントそうですよね。ほかに青春と言ったら…冒頭の“水嫌い”の話と相反してしまうんですけど、夏は海に飛び込んでいました。
- そのときは、水は大丈夫だったんですか?
- 僕は引き潮のときに飛び込んでいたので…浅瀬のね(笑)。僕が通っていた学校は夏休みにも授業があったから、放課後はみんなで漁港に行って、制服のまま海に飛び込んで、エモい写真を撮ったりしていました。その後は友達の家に寄って、シャワーを浴びて帰る、みたいな。あれもすごく「青春」でしたね。
その友達とつるんでなかったら、僕はたぶん、この業界に足を踏み入れることはなかっただろうなとも思います。勉強を一切しない奴らの集まりだったので、悪く言うと“悪友”なんですけど、その子たちとの青春を味わえたことで…勉強だけが選択肢ではなくて、進学や企業に就職する以外の道もあるっていうのを知ることができたように思います。
その頃に遊んでいた地元の友達とはいまでも仲がよくて、ほぼ毎日電話をしていますね。
- 毎日ですか!?
- 当時は毎晩集まってたんですけど…会わないようになったら、今度は毎日電話をしだすっていう(笑)。
- 電話でどんなことをしゃべっているのでしょうか?
- その日に起きたニュースについて話したり(笑)、近況報告をしながら、通信で一緒にゲームをしたりとかですね。
- 犬飼さんはみんなのなかでどんなポジションなのですか?
- わりと自分から話すタイプで、話題を提供する側かもしれないです。
- みなさんは現在の犬飼さんの活躍をどう感じているのでしょうか?
- 何も言わない…ですね(笑)。たぶん、出演作も見ていないと思います。でも、そうやって、みんなが当時のままの関係性でいてくれるからこそ接しやすいし、いろんな話ができるんじゃないかなと思います。
- それでは、いままさに青春の真っ只中にいる人たちに向けてメッセージをお願いします。
- 学生でいられる期間って本当に短くて、あの時間ほど尊いものはないなって僕は身をもって痛感しました。
それって、大人になって気付くことなのかもしれませんが、だからこそ、いま青春の真っ只中にいる人たちには「毎日、動画や写真をたくさん撮っておけ!」って、僕は必ず言うんです。それは本当にかけがえのないものになるから、スマホでもなんでもいいので、四六時中カメラを回しておいたほうがいいよと言いたいですね。
僕が後ろ向きな人間なのかもしれないですけど、僕自身、過去が今にとても活かされていると感じるんです。未来に進むことはできるけど、過去に戻ることはできないので…。過去の気持ちや思い出を掘り起こすためにも、カタチとして残るものは残して、毎日を楽しんで過ごしてもらえたらいいなと思います。
- 犬飼貴丈(いぬかい・あつひろ)
- 1994年6月13日生まれ。徳島県出身。O型。2014年にドラマ『碧の海〜LONG SUMMER〜』(東海テレビ制作・フジテレビ系)で俳優デビュー。2017年、『仮面ライダービルド』の桐生戦兎役に抜擢され、テレビドラマ初主演を果たす。主な出演作に『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)、『連続テレビ小説 なつぞら』(NHK)など。映画『彼女は夢で踊る』が2020年秋に公開予定。
出演情報
- 映画『ぐらんぶる』
- 8月7日(金)全国ロードショー
- https://wwws.warnerbros.co.jp/grandblue
- キャスト:竜星涼 犬飼貴丈 与田祐希 朝比奈彩 小倉優香 石川恋 / 髙嶋政宏
監督:英勉
原作:井上堅二・漫画:吉岡公威『ぐらんぶる』(講談社アフタヌーンKC刊)
©井上堅二・吉岡公威/講談社 ©2020映画「ぐらんぶる」製作委員会
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、犬飼貴丈さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) August 4, 2020
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・応募〆切は8/10(月)12:00
インタビューはこちら▼https://t.co/8WzgAWKR6T pic.twitter.com/0rSlkJsPMi- 受付期間
- 2020年8月4日(火)12:00〜8月10日(月)12:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/8月11日(火)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月11日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月14日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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