故郷は人口約500人の離島――23歳のマルチクリエイター・宮川大聖の「原点」と「これから」

人口およそ500人。青い海や豊かな自然に囲まれた、東京都の小さな離島・式根島で、マルチクリエイターの宮川大聖は生まれた。

高校時代に動画投稿をして一躍ブレイクし、2017年には卓越した歌唱力を武器にアーティストデビューも果たした。今や中高生を中心に絶大な支持を集める、新世代のポップアイコンとして話題の人物だ。

そんな彼が2020年7月、音楽活動を「みやかわくん」から本名の「宮川大聖」名義に変えて、ミニアルバム『Symbol』をリリースする。

「ひとつの節目であり、そしてこれが今の僕の“象徴”」。そう語る彼が、瞳の奥で見据えているものとは――。

取材・文/照沼健太

喉から血が出るまで…コンプレックスの歌声を克服するために

宮川さん、そして妹の宮川愛李さんもアーティスト活動をされています。宮川さんの家は音楽があふれている環境だったのでしょうか?
両親が音楽好きで、昔はビアガーデンや飲食を自営でやっていたので、そこで毎日いろんな音楽を聴いていました。そんな環境もあって、親の影響はかなり受けていると思います。今でも実家で流れていた懐かしい洋楽などをよく聴いていますし。
宮川さんは「人口約500人の島で生まれ育った」という経歴の持ち主ですが、どんな子どもでしたか?
もう毎日、泥だらけ傷だらけになるまで駆け回っていました。都会だったらゲームセンターやカラオケなど遊べる場所がたくさんあるでしょうけど、島にはそんな場所はなくて、遊ぶ場所といったら森と海くらいしかありませんでしたから(笑)。
では、歌を歌うようになったキッカケは何ですか?
もともと音楽は好きなのに、歌が下手だったんですよ。地声が低くて高い音も出ませんでしたし、歌声がコンプレックスだったんです。でも、僕はちょっとでも「もっとこうできたらいいのに」という部分があると、それを克服したくなるタイプなので、「歌、上手くなっちゃおう!」みたいなノリで練習するようになりました。

島の浜辺で海に向かって、喉から血が出るまで、ひたすら声を出し続けていましたね。
喉から血が出るほど…!
効果があったのかどうかはわからないですけど(笑)。でも、そういう経験があったからこそ強くなれたのかなと思います。

凝り性だから、趣味にすると突き詰めたくなるタイプなんですよね。(よく動画を投稿していた)ペン回しに関しても、「人と同じ技ができても面白くないから、どうせなら世界を目指してみようかな」くらいの感じでしたし(笑)
その頃から「いずれは音楽活動をやりたい」という思いはあったのでしょうか?
いえ、そのときは活動のことは考えていなくて、歌の練習はただ単純に「自分磨き」でしたね。

初の作曲。不安より「恩師を助けたい」気持ちが第一だった

ミュージシャンとしての宮川さんに、「式根島で育った」というルーツは影響していると思いますか?
少なくとも、初めて作詞作曲した『スターランド』に関しては、直接的に影響が出ていると思います。

「最初に作る曲だし、今までお世話になってきた式根島を舞台にして書こう」と思った曲で、式根島の綺麗な星空をひたすらイメージしながら書きました。あの曲は、式根で生まれ育たなければ生まれませんでしたね。
式根島の星空は、宮川さんの心の中に焼き付いている景色なんですね。
そうですね。夏になると、いつもみんなで星空を見に行く場所があるんですけど、そこをひたすら想像したり、実際に行ったりして、思い出に浸りながら書きました。
そんな『スターランド』は、デビューアルバム制作中にプロデューサーの方が病気を患い、リード曲だけが未完成という状況の中で、宮川さんが「僕が書きます!」と言って作った曲だと伺っています。作曲未経験で手を挙げることに不安はありませんでしたか?
メジャーデビューしてアーティストとして活動していく中で、いつかは曲を作りたいと思っていました。でも、あのときに、何より先に出てきた感情は「恩師であるプロデューサーを助けたい」という気持ちでした。

恩師の病気はストレス性のものだということがわかっていたので、「少しでもストレスを和らげることができれば」という一心で「僕が書きます!」と宣言したんです。
実際に作曲してみると、自然とできちゃった!という感じだったのでしょうか?
周りからはそういうふうに思われているみたいで、「スゴいね」とか「才能あるね」とか言われたんですけど、自分ではあんまりそういう実感はないんですよね。「作ったはいいものの、本当にこれでいいのかな?」っていう気持ちは今も残り続けています。ふとしたときに聴いて「すごくよくできてるな」と思うときもあるんですけど、そのときによって違いますね(笑)。

その感覚って今でも変わらなくて、新作の『Symbol』も全身全霊で作った作品ですけど、そのうえで「本当にこれでいいのかな?」という部分があるんです。「100%を出したけど、100%満足はしていない」っていう、ずっとそんな感覚ですね。

環境は自分次第で変えられる! 楽しむことへのこだわり

ライブドアニュースでは、以前、妹の宮川愛李さんにインタビューしたことがあるのですが…。
ありがとうございます!
そのとき、愛李さんは宮川さんについて、「いろんな失敗をしながらもひとつずつ乗り越えてきた人なので、『自分の道を信じて進んでいけばいいよ』という言葉には説得力がある」とおっしゃっていました。失敗を乗り越えようとするときや挫けそうになるとき、宮川さんの原動力になっているものは何ですか?
「楽しい」ってことですね。楽しくないと、趣味にすらならないですし。そして趣味にするなら、もっと上を目指したほうが楽しくなる。やっぱり人生一度きりなので、シンプルに楽しんだほうが、いい思い出になるというか(笑)。
宮川さんはなんでも楽しめるタイプですか?
自分で言うのもなんですけど、僕はその環境自体を楽しくするのが好きだし、得意なんです。
というと?
たとえば、「学校がつまらない」っていう学生さんは多いですし、僕自身もそうだったんですけど、その学校がつまらない原因って結局は自分にあるんですよね。

「自分が楽しく過ごしていないだけで、学校自体がつまらないわけではない」ということに気付いてからは、自分がみんなを巻き込んで楽しくすればいいという結論に至って、体育祭の応援団長をやってみたりと積極的に動いた結果、すごく楽しい高校生活を送ることができたんです。

そこで「自分次第で環境を変えられるんだ!」という実感を得たのは大きかったですね。

組み立てては壊して…挫折を経て完成させた『Symbol』

では新作の『Symbol』について伺いたいのですが、制作にあたりコンセプトは設けられていたのでしょうか?
今作は「宮川大聖」という本名名義で作る初めてのアルバムなので、自分の“象徴”として今後ずっと残るような作品にしたいと思いました。『Symbol』というタイトルもそこから名付けました。
なるほど。
そもそも僕はこれまで、いろんな活動に取り組んできたのですが、「自分の中で軸になる場所を作りたい」という思いがあったんです。そこで「音楽活動を本気でやっていくぞ」という誠意をリスナーのみなさんにお伝えできたらいいなと思って、思い切って本名で活動することにしたんです。
「大聖(たいせい)」ってとても素敵なお名前ですよね。ご両親のどのような思いが込められているのでしょうか?
「大きく、きよらかな人間になってほしい」ということで名付けたと聞いています。

中でも漢字の画数はかなり気にしていたみたいで、すごくいい画数なんだそうです。正直なところ、昔は自分の名前があまり気に入っていなかったんですけど(笑)、今ではすごく気に入っています。
『Symbol』は2019年4月に発売されたフルアルバム『RÉBECCA』を経たうえで、宮川さんの新たな魅力を見せる、バリエーション豊かな音楽性を持った作品だと感じました。「音楽的挑戦」は宮川さんにとってもテーマだったのでしょうか。
『Symbol』は、言ってみれば全曲が「音楽的挑戦」の領域ですね。自分に求められているものだけに応えていたら進歩がないし、単純に面白くないですからね。

だから『Symbol』は、シンプルに「今の自分がやりたい音楽を、今の自分に出せるすべての力で詰め込んだ」という作品だと感じています。
こうした挑戦に伴い、「リスナーさんは新たな一面を受け入れてくれるだろうか」という不安はありませんでしたか?
たしかにそういう気持ちもあります。でも、僕の中ではプラスに捉えられていて、「いい意味で驚いてもらえるようなことがしたい」と思っています。

『略奪』から曲のイメージがガラッと変わって、いろんな驚きがあったと思うんですけど、とにかくみなさんからの反応がよかったですし。
▲『RÉBECCA』にも収録された、2ndシングル『略奪』。ぼくのりりっくのぼうよみとの共作で、これまでのイメージを覆す作風はファンたちに衝撃を与えた。
『Symbol』の制作自体はすんなり進みましたか?
いえ、やはり今回は挑戦という部分がかなり大きくて、何度も挫折しながら、組み立てては壊してを繰り返し続けていました。

全体的にかなり前から作り始めていた曲たちだったんですけど、いちばん時間がかかったのは表題曲の『Symbol』ですね。そこで1回、壁にぶち当たったというか、自分の今の実力の限界を痛感して、ちょっと作れなくなっちゃったんです。
壁というと、具体的にはどんなものだったのでしょうか?
僕は音楽の専門学校を出ているわけでもなく、知識が浅い中でもがきながら作っているんですけど、どんどん自分の中でのハードルは上がっていくし、フィールドも広くなっていくんですよね。そういう中で他のアーティストさんの曲を聴くと「自分はダメだな」とどんどん自信がなくなって、挫折してしまったりしたんです。
壁を乗り越えるためにはどんなことをしたのでしょうか?
いろんなアーティストさんの曲をひたすら聴いて、その中で吸収できそうなものを探していました。

でも、その一方で音楽のスキルは短時間で跳ね上がるものじゃないと思うので、「今の実力がそこまでなら、キッパリ諦めて今の自分の全力をぶつけよう」ということを意識しました。今作の先も見据えて、「この経験をバネに、次はもっといいものを作ってやる!」と思いながら制作しました。

リスナーにとって、何よりも親しみやすい存在でありたい

新型コロナウイルスの影響で、『Symbol』のリリースやライブの延期が重なり、「早く『Symbol』を聴きたい! 早く宮川さんに会いたい!」と、リスナーの熱も高まっていると思います。
この時期、全国ツアーを回っているはずだったんですよね(※取材は6月中旬に実施)。Twitterを毎日見ていて、リスナーさんから「本当は今日会えてたのにね」っていうリプライが来ると、悲しくて悔しい気持ちになりますね。

でも、それとは裏腹に、“温存”じゃないですけど、自信作である『Symbol』というアルバムの衝撃がより大きくなるんじゃないかな?という密かな楽しみもあります(笑)。無事に予定通りリリースされた場合よりも、この期間があったからこそ、よりよく感じる部分は絶対にあると思うので。
なるほど。みなさんの反応がとても楽しみですね。Twitterを見ていても、宮川さんはファンの方々をとても大事にされているんだなと感じます。
実行できているかどうかは置いておいて、とにかく自分がリスナーさんの気持ちになって、「自分が宮川のファンだったら、こういうことをしてくれたら嬉しいな」とか考えたりしています。
ファンの期待にしっかり応えたいという思いが強いんですね。
それと同時に、何よりも親しみやすい存在でありたくて。定期的に生放送で、リスナーさんとコミュニケーションを取ってます。そのほうが、応援してくださる方との距離を近くに感じるので、こちらもシンプルに嬉しいです。

新曲を出したときの反応とかも、友達のように本音で感想を言ってくれている感じがして、個人的にも「この関係性はすごくいいな」と思っていて。これからもこんな感じで、みなさんとの関係を築けていけたらいいなと思っています。
当初はネットを通じての交流だったと思うのですが、初めてライブでリスナーのみなさんの顔を実際に見たときはどう感じましたか?
式根島みたいな田舎でいろんな景色を見てきましたが、みんなと会って、「こんなに綺麗な景色が他にもあったんだな」と思いました。

僕はライブ中にお客さんの顔を1人ひとりじっくり見るタイプなんですけど、みんな笑顔がキラッキラしているんですよね! 真剣に曲を聴いてくださる方、見てくださる方、笑顔、涙…。いろんな表情があって素敵な景色だなと思いますし、それを感じながら歌うと、やっぱり力が入りますね。

ステイホーム中は、毎朝6時起きでなわとびをしています

このステイホーム期間に、新たに挑戦したことやハマっていることはありますか?
(PC画面に映る)僕のうしろを見ていただくとわかると思うんですけど、生き物が好きで、熱帯魚やリスザルなど、生き物をたくさん飼っているので、ペットの世話をひたすらしていました(笑)。
ほっこりする過ごし方ですね(笑)。
はい(笑)。あとは、新しい曲を書いたり、生放送でリスナーさんとコミュニケーションをとったりもしていました。

それと、僕自身もこの期間にはライブがなくなってダメージを受けましたけど、この時期を逆手に取れるかどうかで今後の人生が変わるんじゃないかなと思ったので、とりあえずできることから始めようと、早寝早起きをするようになりました。夜は日をまたぐ前にベッドに入って、朝は6時に起き、運動をするという習慣を毎日続けています。

今のうちに体力をつけておいて損はないし、今後のライブにも活かせるし、みんなに久しぶりに会ったときに堕落している姿を見せたくないし(笑)。
Twitterにアップしていたアクアテラリウムもスゴかったです。
田舎に住んでいたからなのか、ああいう神秘的なものにものすごく惹かれるんですよね。あのアクアテラリウムは生まれて初めて作ったんですよ。イメージもまったくない状態でしたがとにかくやってみたくて、自分で集めた石や流木などを並べて作ったら思ったよりスゴいのができちゃって。今でも部屋に飾っています。
売りものになるレベルだと思いますよ!
ありがとうございます! じつは自分が作ったアクアリウムなどの作品をギャラリーで展示してみたいな、という密かな夢があるんですよね(笑)。
宮川大聖(みやかわ・たいせい)
1996年7月11日生まれ。東京都式根島出身。O型。高校時代から動画投稿を始め、「みやかわくん」として中高生を中心に大きな話題を集める。2017年12月に1stミニアルバム『On Your Mark』でソロデビューし、2018年6月にメジャーデビュー。2020年7月には本名の「宮川大聖」名義で、初の作品『Symbol』をリリースする。

CD情報

ミニアルバム『Symbol』
2020年7月8日(水)リリース!
https://www.universal-music.co.jp/miyakawakun/2020-05-31/

左上から初回限定映像盤、初回限定グッズ盤、ファンクラブ限定secret blue盤、通常盤。

初回限定映像盤[CD+Blu-ray]
¥3,500(税込)
初回限定グッズ盤[CD+オリジナルシューレース(全1色)]
¥3,000(税込)
ファンクラブ限定secret blue盤[CD+宮川大聖デザインアクリル万年カレンダー付き豪華ボックス仕様]
¥3,800(税込)
通常盤[CD Only]
¥2,000(税込)

サイン入りミニポスタープレゼント

今回インタビューをさせていただいた、宮川大聖さんのサイン入りミニポスターを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2020年7月8日(水)12:00〜7月14日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/7月15日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから7月15日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき7月18日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。