私は女優の道を突き進む。石井杏奈が決断した、E-girls解散後の未来

2020年いっぱいでグループを解散することを発表したE-girls。2012年よりE-girlsに加わり、パフォーマーとして活躍してきた石井杏奈は、2021年以降、女優としての活動に注力していく。

昨年末に行われたイベントでの突然の発表は、ファンに大きな驚きと衝撃を与えた。しかし石井にとっては決して性急に出した結論ではない。「4〜5年前…いや、この世界に入ったときからずっと『お芝居をしたい』という強い思いが自分の中にあった」と語る。

不安もある。恐怖も消えない。それでも石井杏奈は歩みを止めない。「前に進むために」――。21歳は未来を見つめる。

撮影/曽我美芽 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

芸能界に入るきっかけは「お芝居がしたい」という思い

昨年末にE-girlsの2020年いっぱいでの解散が発表され、石井さんは2021年以降、女優業を中心に活動していくことを明らかにされました。この決断に至った経緯について教えてください。
本格的に考え始めたのは、4〜5年くらい前からかな? いや、それ以前から――私がE-girlsに入ったのは中学生のときでしたが、それよりも前から「お芝居をしたい」という思いはずっと強く持っていました。ただ、右も左もわからない状態でE-girlsに入ったので、「未来を見る」というよりも「いまを生きる」ことしかできませんでした。

それが、徐々にE-girlsとしての活動が安定してきて、ふと周りを見渡したときに「あぁ、自分はいま、お芝居が好きなんだな」と強く思いました。
大きな分岐点となったのは映画『ソロモンの偽証』(2015年)に参加したことでした。こんなにも真剣に挑む作品と、E-girlsでの活動の両立はできないと思い、E-girlsのライブを欠席させていただき、その頃から未来のことを考えていました。

今回、メンバー全員の意見を考慮したうえでこういう決断に至ったんですが、その過程で私も、自分の中の思いを打ち明けました。
『ソロモンの偽証』をきっかけに芽生えた、女優という仕事への特別な思いについて、くわしく教えていただけますか?
『ソロモンの偽証』で1ヶ月ほどのワークショップや稽古があったのですが、その期間中に成島 出監督に呼び出され、「お前は(女優としての)経験があったから、いままでみんなを一歩リードしていたけど、いま、みんながお前に追いついてきているぞ。そんな状態でこの作品に挑んでいいのか?」というキツいお言葉をいただきました。

そのひと言でハッとしたというか「負けてられない!」とも思いましたし、自分の中で「この作品に懸けたい」という思いもあり、E-girlsのライブを欠席すると決断しました。

そんな経験を経て、ブルーリボン賞新人賞をいただき、そうした評価も嬉しかったですし、お芝居をしていく中で「苦しい」とか「つらい」といったネガティブな感情がすべて「楽しい!」という感情に変わっていき、「あぁ、自分はお芝居が好きなんだな」と改めて思えました。
とはいえ、パフォーマーとしてE-girlsに加入したわけで、今回の決断をするうえでダンス、グループでの活動に未練はなかったんでしょうか?
小学生の頃からダンスを習っており、スカウトしていただいてEXPG(LDHが展開するダンススクール)に入ったのですが、そのときに小学生ながらになぜか「芸能界に入るのならお芝居をやらなきゃ!」という思いがありました(笑)。

そこから演技とダンスのレッスンを両立して受け、最初にお芝居をする機会をもらったのはポカリスエットのCMでした。それから、(女優業で)オーディションを受けるようにもなり、どんどんお芝居が好きになっていきました。

その後、E-girlsのオーディションに合格したので、どちらかといえば、芸能界に入るきっかけになったのは「お芝居がしたい」という思いでした。
そうした女優への憧れはどこから?
小さい頃からドラマを見るのが好きで、「芸能界=ドラマ=女優さん」というイメージが強かったのかもしれません(笑)。男の熱いドラマが好きで『ROOKIES』や『ごくせん』はよく見ていましたし、『1リットルの涙』や『花より男子』といった王道のドラマも好きでした。

極限の状態だったからこそ、人の優しさに癒やされた

『ソロモンの偽証』の時期にはE-girlsのライブを欠席したと話されていましたが、それ以外の時期には、女優としての活動とE-girlsの活動を両立しなくてはならないこともあったと思います。肉体的にも精神的にもかなりハードだったかと…。
相当、キツかったですね(苦笑)。ドラマとライブを両立しなければならない時期があり、確固たる決意、覚悟をもって臨んだのですが、本当にキツくて…。

ドラマの収録があってライブのリハーサルに出られなかったときは、収録後に練習をしなければならないこともあり、起きている時間の中で、頭が休止している瞬間がほとんどない感覚でした。

ただ、そんなふうに「つらい」と思ったとき、どちらの現場でも人の優しさに救われました。極限の状態だったからこそ、人の優しさに気づけることも多く、誰かがひと言「おはよう」と言ってくれたことがものすごく嬉しくて癒やされたり。
E-girlsメンバーのサポートもあったのでしょうか?
メンバーにもすごく助けてもらいました。リハーサル期間中は毎日のように立ち位置が変わるのですが、みんなはわかりきっていることが、私だけわかっておらず「ヤバい! ヤバい!」とオロオロしたときに、YURINOさんが「立ち位置、変わったよ」と教えてくれたり。

もちろん、普段から困っている人を無視するような人たちではないのですが、ごく当たり前のように助けてくれて、本当にその優しさに救われました。須田アンナが、練習に付き合ってわからない振りを教えてくれて、涙が止まらなくなったこともありました。

そんなふうになんとかバランスを保っていましたが、それ以外はもうつらくて、つらくて…(苦笑)。でも、結果としていまは「楽しかった」と思えるので、限界を超えたようで超えてなかったのかも?(笑)。
周りの優しさやサポートが大きかったのはもちろんですが、何よりご自身の強さがあったからこそ乗り越えられた試練だったのだと思います。忙しさの中に身を置く際に、自分の中で大切にしていることは?
行動としては寝ることです。寝て、スッキリすることで基本、前日のモヤモヤはなくなる人間なので(笑)。あとは、ほんの少しの隙間の時間にどうにかして家族や大切な友達に会ったりします。
たしかに睡眠をきちんととり、身体と心を休めることは大事ですが、やらなきゃいけないことが山ほどある中で、睡眠に時間を割くことは怖くはないですか?
そうなんです。そういう邪念というか(笑)、「これをやらないといけないのに…」という不安があると眠れないので、とりあえず絶対にやっておかなければならないことは全部やってから寝るようにしています。「とりあえず終わったー!」という思いで寝るのがいちばん気持ちいいです。そして、また翌日、頭を抱えるというエンドレスなんですけど(笑)。

E-girlsは家族のような存在。いつもそばにいてくれた

先ほど、メンバーのお名前も出てきましたが、8年間在籍したE-girlsは、石井さんにとってどういう存在なのでしょうか?
こういうふうに言っていいのかわからないのですが、「当たり前にある場所」です。そういう意味では「家」だったり「家族」に近いのかな。絶対になくならないと思える存在で、2021年からE-girlsがなくなってしまうという感覚を想像できなくて、いまもまだ不安です。それくらいいつも、そばにいてくれた存在でした。
普通に生きていると、当たり前すぎて家族の大切さになかなか気付けないことも多いですが、石井さんはこれまでの経験を通じてグループの大切さをずっと自覚されていて、素敵だと思います。
そうですね。いつからか、そう思えるようになっていました。
グループの外で、『ソロモンの偽証』やドラマ『チア☆ダン』、近日公開予定の映画『砕け散るところを見せてあげる』などで同世代の俳優、女優とも共演してきました。彼らをどのように見ていますか? 仲間ですか? ライバルですか?
ライバルという意識はそこまでなく、共演した人たちのことはみんな好きです。その人のスタイルを持ってお芝居をしていたり、同世代なのに大人びている人もいたりして、尊敬できる部分がすごくあります。ただ会って話すだけでも刺激をもらえますし、自分の考えを見つめ直すきっかけにもなるので、すごく大切な存在です。
『チア☆ダン』で共演された山本舞香さんとのプライベートショットをInstagramでアップされたりもしていますが、それぞれの作品で共演したメンバーと会う機会は多いんですか?
この投稿をInstagramで見る

舞香😊

石井杏奈(@anna_ishii_official)がシェアした投稿 -

けっこうあります。仲のいいメンバーでよく連絡は取り合いますし、個別に会うことも多いです。

あの頃、共演したメンバーはつらい時間を共にした戦友なので、手をつなぐ力が強いというか、すごく強い絆があるんです。そういう意味で、高校の部活の仲間や同級生のような感覚でたわいもない話もしますし、お芝居について真剣に話し合ったり、自分の考えを聞いてもらったりすることもあります。
ひとりを選ぶのは難しいかと思いますが、過去に共演した中で、最も刺激を受けた存在は?
今回の『砕け散るところを見せてあげる』で共演している(中川)大志くんです。初めてレギュラー出演したドラマ(『GTO』)から一緒で、当時から同い年とは思えないくらい大人びていて、初めて会ったときから尊敬できる俳優さんでした。

今回、久しぶりに再会しましたが、変わらない部分は全然変わっていなくて、真っすぐで無邪気で。でもお芝居に対する熱はスゴくて、素敵だなと思う部分が多かったです。

生きていく中で、何が大切か見えている玻璃に惹かれた

『砕け散るところを見せてあげる』は、アニメ『とらドラ!』、『ゴールデンタイム』の原作で知られる竹宮ゆゆこの同名小説が原作。高校生の濱田清澄(中川大志)が、学年一の嫌われ者の後輩・蔵本玻璃(石井杏奈)を、いじめの手から救い出そうとするさまを中心に描く衝撃の愛の物語。

石井は『ソロモンの偽証』で、コンプレックスであるニキビのせいでいじめられる中学生を演じたが、本作でも、目を覆いたくなるような激しいいじめシーンに、文字通り体当たりで挑んでいる。
今回の映画『砕け散るところを見せてあげる』のオファーがきたとき、物語や玻璃という少女にどのような印象を持たれましたか?
最初に原作を読ませていただいて、すごく面白くてページをめくる手が止まらなかったです。読み進めていく中でどんどん玻璃を好きになっていきました。

彼女への愛が強くなっていったからこそ、この役を演じることへのプレッシャーも大きくなり、「どう演じるんだ、自分?」という感じで毎日、台本を読みながら戦っていました。
玻璃のどういう部分に惹かれたのでしょうか?
懸命に生きている姿と、自分が生きるために何を取るかがハッキリしているところです。

あれだけ激しくいじめられながらも彼女の中には「いじめなんて」という思いがあり、いま、自分が生きるために何を大切にしないといけないかがしっかりと見えていることが伝わってきました。
そんな玻璃に、それまでまったく面識のなかった清澄が手を差し伸べ、導いていきます。
ヒーローですね、清澄は。

本当に玻璃のヒーローであり、強くてたくましくて、絶対に自分はかなわないと思わせてくれるような人。一緒の世界に生きることすら恐縮してしまうくらい強くて、自分にはないものをたくさん持っている人だなと思います。
ちなみに石井さんにとってヒーローといえる存在は?
自分の人生においてはEXILE HIROさんがヒーローです。自分の進むべき道、生きる道を定めてくれた存在で、フラフラしてしまったときに「ここだよ」と導いてくださる存在です。
映画の中で、玻璃も清澄も「強さとは何か?」を模索します。石井さんにとって「強い人間」というのは何を持っている人でしょうか?
難しいなぁ…強さ、正義…。私の中で「強いな」と思うのは、自分を俯瞰で見られること、冷静でいられることなのかな?

つらかったり、負けそうになったときに、フッと自分を他の視点から見つめることで「こうしたらいいんじゃない?」と別の自分がアドバイスしてくれることがあって、そこで新しい道、扉が開いたりするんです。なので冷静でいることが強さなのかなと思います。
今後、グループとしてではなく、ひとりで大きな海に漕ぎ出すにあたって、そうした強さが必要となってくると思います。改めて今後の活動への思い、意気込みをお願いします。
やっぱり「怖い」という思いや不安はすごく強いです。でも、そんなのはみんなあると思いますし、その壁を乗り越えなきゃいけないと思っています。

これまでE-girlsで経験してきたことや感じた思いをこれからの人生で絶対に無駄にしたくないですし、それを活かしていきたいです。これからひとりで、いままでの自分を肯定できる生き方をしていかなくてはいけないという強い覚悟…と不安と共に(笑)、2021年を迎えられたらと思っています!
石井杏奈(いしい・あんな)
1998年7月11日生まれ。東京都出身。O型。2011年の「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 〜For Girls〜」に合格し、2012年E-girlsに加入。同年の『私立バカレア高校』(日本テレビ系)にて女優デビューを果たす。以降、さまざまなドラマや映画に出演。主な出演作はドラマ『GTO』(フジテレビ系)、『チア☆ダン』(TBS系)、『仰げば尊し』(TBS系)、4月29日から配信中の『東京ラブストーリー』、映画『ソロモンの偽証』、『ガールズ・ステップ』、『世界から猫が消えたなら』、『四月は君の嘘』、『たたら侍』、『心が叫びたがってるんだ。』など。

映画情報

映画『砕け散るところを見せてあげる』
2021年4月9日(金)から公開中!
https://kudakechiru.jp/


©2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会
配給:イオンエンターテイメント

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、石井杏奈さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2020年5月4日(月)12:00〜5月10日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月11日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月11日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月14日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
  • 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
  • 賞品の指定はできません。
  • 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
  • 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
  • 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。