
事務所に命を預ける覚悟でやろうと決めた。高野洸が“役者”として羽ばたいた日

12歳で『天才てれびくんMAX』のオーディションに合格し、ダンス&ボーカルユニット「Dream5」のダンサーとして芸能界デビュー。それから5年、アニメ『妖怪ウォッチ』のエンディングテーマ『ようかい体操第一』などの大ヒットにより、Dream5は『第65回NHK紅白歌合戦』に出場を果たした。
Dream5の“黒一点”だった高野洸は、2016年12月にDream5が解散してから、本格的に役者の道を歩み始める。ミュージカル『刀剣乱舞』、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageなど人気作品への出演も果たし、この4月からは『KING OF DANCE』でドラマ初主演を務める。
そんな彼が初めてドラマに出演したのは小学6年生のとき。5歳の頃からダンスやアクロバットを続けてきた彼のデビュー作は、男子新体操を題材にしたドラマ『タンブリング』だった。あれから10年、高野は舞台『タンブリング』2020の主演として帰ってくる。
踊ることが大好きだった少年は、なぜ音楽の道ではなく役者の道を選んだのだろうか? 彼の軌跡を振り返った。
撮影/アライテツヤ 取材・文/花村扶美
スタイリング/ホカリキュウ ヘアメイク/武部千里
スタイリング/ホカリキュウ ヘアメイク/武部千里
- ※この取材は、舞台『タンブリング』2020の中止が決定される前に実施されました。

小6でドラマに初出演。「演じるって難しい」
- 高野さんは約10年前にもドラマ『タンブリング』に出演されてたんですよね?
- はい。当時小6だったんですけど、佐野和真さんが演じた矢代孝一の子ども時代の役で、1話だけゲスト出演しました。
- そのときのことは覚えてますか?
- もちろん覚えてます。いち視聴者としてドラマを楽しく観ていたので、出演の話を聞いたときは実感が湧かなかったです。「え、僕に来たの? 別の人に来たお仕事じゃないの?」って(笑)。
- 当時から演技にも興味があったんですか?
- あの頃はDream5というグループで活動していたので、自分はダンサーだという意識のほうが強かったですね。
もともとボーっとしている子どもだったので、お仕事に対しても、スタッフさんからいただいた宿題をやっているような気持ちで取り組んでいたような気がします。だから、お芝居がしたい!とそこまでは強く思ってなかったかもしれません。 - 撮影はいかがでしたか?
- 演じるって難しい、と思った記憶があります。たしか、「ガム食べろよ」って言ってガムを投げるアクションがあったと思うんですけど……。セリフを言うだけじゃなくて、動きもつけなきゃいけないのが大変でした。
だから撮影が終わってから、「これが放送されちゃうんですか?」みたいな気持ちになりましたね(笑)。でも今思うと、演技の経験もないのにあんな急角度でお仕事のお話をいただけるなんて、すごく運がよかったと思います。 - オンエアを観たときはどう思いましたか?
- MVやテレビに出ている自分はそれまでにも観てたけど、演技をしている自分を観るのは不思議な感覚でした。
そのときは本当にボーっとしてたんで、もう少しタイミングが遅かったらもっと演じ方も違っていたのかなと思うと、いろいろもったいなかったなって反省したり……。あ、反省とはちょっと違うな。仕方ない部分もあったんですけど、でも、あの頃の僕にひと声かけるなら「もっとしっかりしろ」って言いたいです(苦笑)。 - (笑)。ドラマ『タンブリング』が高野さんの役者人生の第一歩になったわけですが、そこから今回の舞台主演は縁を感じますね。
- はい。あの経験があったから今があるのかなとも思うので、ドラマ『タンブリング』は僕にとって感慨深い作品ですね。

「役者をやりたい!」初めて自分の意志を伝えた瞬間
- 高野さんが本格的に役者をやりたいと思うようになったのは、何歳くらいのときですか?
- 最初に思ったのは中学生のときです。Dream5としての活動がいつまで続けられるのか、不安に思った時期があって。そんなときにグループ活動と並行して、個人のお仕事も始めるようになりました。
それが楽しかったし、いろいろお仕事をさせていただく中でいちばん魅力的だったのが役者の仕事で。ドラマや映画に心をすごく動かされることも多くて、徐々に芝居をやりたいという気持ちが芽生えていきました。 - 当時観ていた作品で、印象に残っているものは何ですか?
- 中学生のときに観た、櫻井翔さん主演の『家族ゲーム』です。子どもながらにストーリーに引き込まれていって、自分もこういう作品に出てみたいって思うようになりました。
- 観る人の心を動かす役者になりたいと思った?
- そうですね。あと、誰かが書いた素敵な脚本に、自分の声を乗せたり演技をしてみたいって思いました。違う人の人生を生きるのも楽しいし、普段のおしゃべりは得意じゃなくてもセリフがあれば自分を表現できるかなって。何より、自分は一般の人よりも役者の仕事に近い位置にいるんだから頑張ろうって気合いが入りました。
- 俳優になるために、高野さん自身も何か準備を始めたんですか?
- 中3の受験のときに、普通の高校に進学するか芸能を続けるか悩んで、結果、芸能コースがある高校に進学しました。高校の選択科目も歌か芝居か選べたんですけど、芝居をやっていきたいと思ったので、迷わず芝居のほうを選びましたね。



- 高野さんが17歳のとき、Dream5が歌ったアニメ『妖怪ウォッチ』のテーマソング『ようかい体操第一』が大ヒットします。しかし、それから2年後の2016年12月、活動に終止符が打たれました。
- 高3のときに、メンバーのみんなとスタッフさんで今後について話し合いをする機会があったんです。それで解散が決まったんですけど、自分としてはそのときにはもう役者をやっていきたいという気持ちが固まってましたね。
- スタッフの方に、自分の気持ちを積極的に伝えたのですか?
- はい。普段あまり意見を言わないほうで、グループで活動しているときも自分からいろいろと言うことはなかったんです。でも、これから役者の仕事を真剣にやっていくのであれば、事務所に命を預けるつもりで、しっかりと自分の意志を伝えなきゃと思いました。
- 初めてちゃんと自分の意見を言った瞬間でもあったんですね。
- そうですね。僕が所属しているエイベックスは、音楽に強い事務所でたくさんのアーティストを抱えているんですけど、僕から発信しなければDream5が解散したあと、音楽を中心にやることになるかもって考えたんです。それで、役者をやりたいならちゃんと自分の気持ちを言わなくちゃ伝わらないと思って。
- 『天才てれびくんMAX』のオーディションから約10年、本格的に役者として活動を始めて5年目ですが、仕事をするうえで高野さんが変わらず貫いてきたことは何ですか?
- 小6のときから変わらず大事にしてきたのは、感謝を忘れないということですかね。親はもちろんですが、マネージャーさんがずっと一緒にいてくれて、普通の学生生活じゃ味わえない経験をさせてくれたりと、たくさんのことを教えてもらいました。
この仕事はひとりでできる仕事ではなくて、人と人とのつながりがあって成り立つものだと思うんです。なので、周りの人に感謝する気持ちはずっと忘れずにいたいなと思います。

バック転は、人生で何万回もやってきたから得意です(笑)
- 改めて、舞台『タンブリング』2020に出演が決まったときの感想を教えてください。
- またこうして同じ題材の作品に関われるなんてとても光栄です。でも『タンブリング』といえば、これまでドラマや数々の舞台で成功してきた作品じゃないですか。その中でやらせてもらうのはうれしい反面、同時にプレッシャーや責任も感じました。
- 高野さんといえばキレキレのダンスや抜群の運動神経も評判ですし、2016年の舞台『チア男子!!』ではハイレベルなパフォーマンスも披露されました。基礎ができていると、稽古も入りやすかったのではないですか?
- アクロバットと新体操は通じるものがあるので、未経験の人よりは入りやすかったと思います。でも、「タンブリング」の男子新体操は団体競技だし、技ができるかだけではなく見た目のキレイさも要求されるので、そういう部分では苦戦しました。
- 稽古場はどのような雰囲気ですか?
- 新体操の稽古は半年前から始まりましたが、毎回、みんな筋肉が悲鳴を上げる限界までやっています。指の先からつま先まで神経を行き渡らせなければいけないし、けっこうキツい体勢をとらなければいけないんです。キツい体勢だからこそキレイに見えるというか。
でも、身体的にはしんどいけど、ひとりで頑張ってるわけじゃないですから。わざわざ口には出さないですけど、みんなの「仲間と一緒に乗り越えるぞ」という気合いが伝わってきますね。やっぱり技や動きがそろった瞬間はうれしくて、みんなで感動を分かち合ってます。 - ほぼ部活ですね。
- 本当に部活ですよ。物語には自分が所属している航南高校と、(西銘)駿がいる悠徳高校が出てきて、それぞれ6人のチーム編成になってるんですけど、普通はチームごとに分かれると思うじゃないですか。
でも違って、6人の振り付けが終わると相手チームが拍手して、「すごく仕上がってきてるね!」ってお互いに声をかけ合うんです。なので、「12人で乗り越えていくんだ!」という雰囲気になってますね。 - とてもいい雰囲気ですね。ただ、練習中のケガもとても怖いと思うのですが、緊張感はいかがですか?
- もちろんあります。普段は雑談して笑い合ってるけど、誰かが種目を始めたら雑談はピタッとなくなりますね。たとえばロンダート(走って勢いをつけたまま側転し、両足をそろえて着地する動き)からバック転やバック宙に入るときに、誰かがふざけたりするのは絶対にダメ。命がけだから、大事なところで冗談を言ったりすることはないです。それはみんなわかってますね。


- なるほど…。高野さんがいちばん得意な技は何ですか?
- バック転関連ですかね。
- バック転はダンスの振り付けでもやってましたもんね。
- そうですね。バック転は人生で何万回ってやってきたから……いや、数えたことないから正確な数字はわからないですけど、でもけっこうやってきたんで(笑)。だからバック転に関して言うと、恐怖心はないですね。バック宙は怖いんですけど。
- 逆に苦戦した技はありますか?
- 「体回旋」(腕を前に真っすぐ伸ばし、脚を広げて腰を支点に大きく回す動き)をするときは、内ももの筋肉がつりそうになってヤバいんです。胸を落としてそこから腕を一直線に突き出して遠くから回すんですけど、脇腹から腰にかけても痛くて。連続でやるときは本当にツラいです。
- 開脚はどうですか?
- 柔らかくするために毎日してます。でも、まだ床にべったりつかないですね。とにかく痛くて。新体操の選手の方たちと話したとき、「演目の中で、柔軟の部分は休憩だ」っておっしゃってたんですが、まだ身体の硬い僕らにとっては休憩になりません(笑)。


後輩たちに背中を見せられるような座長になりたい
- 今回は西銘駿さんとW主演ですが、高野さんはどのように座組をまとめているのでしょうか?
- 僕はあまり座長っぽくないかもしれません(笑)。キャストのみんなを引っ張っていってくれるのは、今回『タンブリング』の出演が2回目になる(本田)礼生くんと(元木)聖也くんですね。
- 高野さんが心がけていることは?
- うーん…。周りにアンテナを張っていたいなとは思います。たとえばキャストには若い子たちもいて、そういう子たちは弱音が吐きにくいと思うんです。だから、何かあったら僕が代わりに制作の人に伝えてあげたいです。自分自身もそういう時期があったから、若い子たちの気持ちもわかるし。
- 2019年1月のインタビューで、理想の主演像について「周りが、この人についていこうと思える人じゃないといけない」とお話されていたんですね。2019年はミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019 〜SOGA〜や舞台『ヒプノシスマイク』など、座組で中心的な役割を担うことも増えたと思いますが、いかがでしょうか?
- やっぱり周りがついていきたいと思える存在になりたい、それはずっと変わらないですね。もちろん、みんなから認められるスキルを持っていることも大事ですが。
- 今の高野さんはどういう座長だと思いますか?
- 今、22歳なんですけど、年齢的にみんなを引っ張っていくのはまずないかな(笑)。普段からマイペースで気が抜けた感じなので、いきなりバシバシ言ったところで説得力がないと思いますし。周りを見ながら、自分ができることはやっていくタイプなんじゃないですかね。
今その立場にいられているかわからないけど、後輩たちに背中を見てもらえる座長になれたらうれしいです。


公演後に遊ぶポケモンは、「自分へのご褒美」
- 『タンブリング』は青春を描いた作品です。高野さんは小学生の頃から芸能界で活動されてきましたが、こういう青春を送ってみたかったなと思う、憧れの学校行事などはありますか?
- どういう行事がありましたっけ?
- たとえば、体育祭とか文化祭とか修学旅行とか……。
- 体育祭、いいですね!(笑)彼女がいて、その人にカッコいいところを見せられるって素敵だなって思います。
- 高野さんは運動神経がいいですもんね。彼女がキュンとする機会かも。
- いや、それが僕、そんなに運動神経はよくないんですよ。球技がめっちゃくちゃ苦手だったりするので(苦笑)。でも、彼女の存在がモチベーションにつながって頑張れそうですよね(笑)。体育祭だけじゃなくて、いろいろやってみたかったなあ。
- たとえば?
- 外でデートしたり、一緒に歩くだけでも憧れますね。制服デートとかヤバいっす!(笑)
- (笑)。今は舞台の稽古もあってお忙しい日々を送っていると思うのですが、息抜きといえばやっぱり大好きなゲームですか?
- はい!
- 『ポケモン』?
- (うれしそうに)そうですね。『ポケットモンスター ソード・シールド』、両方買いました(笑)。
- 疲れて帰ってきてもやるんですか?
- 睡眠時間を守りながらやってます。難しいときもあるけど、自分的には6時間は睡眠をとりたいと思っているので、睡眠時間を確保できないときはゲームをやるのは我慢してます。
- 我慢できますか?
- 我慢するのはキツいけど、(公演期間中などは)禁止することで、終わったときに自分へのご褒美みたいな気持ちでできるので余計にワクワクして楽しいんです(笑)。
でも、ゲームで負けちゃうと、そのぶんショックも大きくて。「こんなに楽しみにしてたのに、俺、実力ないじゃん!」って落ち込んじゃいます(笑)。

- 高野洸(たかの・あきら)
- 1997年7月22日生まれ。福岡県出身。B型。2009年、NHK教育『天才てれびくんMAX』のユニットオーディションに合格し、Dream5のメンバーとして活動をスタート。アニメ『妖怪ウォッチ』のエンディングテーマ『ようかい体操第一』が大ヒットし、2014年には『第65回NHK紅白歌合戦』に出場する。主な出演作に、『ROCK MUSICAL BLEACH 〜もうひとつの地上〜』(黒崎一護役)、ミュージカル『スタミュ』(虎石和泉役)、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(膝丸役)など。2019年からアーティストとしても活動中で、2020年3月4日には3rdシングル『YOUR STORY』をリリース。主演作『KING OF DANCE』は4月からドラマ、7月から舞台が開始予定。
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、高野洸さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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— ライブドアニュース (@livedoornews) April 15, 2020
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- 2020年4月15日(水)12:00〜4月21日(火)12:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/4月22日(水)
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