「ファンのみんながいるから、私は今存在できている」逢田梨香子が咲かせる花

『ラブライブ!サンシャイン!!』のスクールアイドルユニット・Aqoursのメンバーとしても知られる、声優の逢田梨香子。3月31日に1stアルバム『Curtain raise(カーテンレイズ)』をリリースし、初のライブツアーを開催予定と、ソロアーティスト活動は順調だ。

このタイミングで改めてファンへの思いをたずねると、真剣な眼差しで答えてくれた。

「私はあまり自信があるタイプじゃないので、みんなからのメッセージが本当に心に響くというか…」
「みんなの応援のおかげでつながってきたお仕事が本当にたくさんあると、身に沁みて感じています」

逢田は、インタビューでそれほど口数が多いほうではない。でも、だからこそ伝わるものがある。耳触りのいい言葉を並べるのではなく、本心で向き合ってくれているのだと感じる。

初めて作詞した『Lotus(ロータス)』は、蓮の花をモチーフに、日々書き留めた言葉から生まれたという。そうやって自分の足で立とうとする力と、彼女を支えるファンの思いが合わさって、力強い花が咲くのだろう。

2019年6月のアーティストデビューから、もうすぐ1年。初めての春が来た。

撮影/須田卓馬 取材・文/千葉玲子 制作/アンファン
スタイリング/鹿野巧真 ヘアメイク/加藤ゆい(fringe)
衣装協力/HISUI、SPINNS

イメージにぴったりの曲と出会って、初めて作詞に挑戦

1stアルバム『Curtain raise(カーテンレイズ)』のリリースおめでとうございます!
ありがとうございます!
「幕開け」を意味するタイトルだそうですが、どんな気持ちが込められているのでしょう?
これから初めてのライブツアーをさせていただくんですけれども、ソロライブは自分にとって新しい挑戦になります。その新たな幕が上がる期待を込めて、ツアーのタイトルにもなる言葉を考えていきました。このアルバムが自分にとっての節目というか、重要な1枚になると思います。
アルバムを作るにあたって、逢田さんから提案されたことは?
歌いたい曲のイメージをお話したり、こんな方向性はどうですかと楽曲を提出させていただいたりしました。それと、実現できるかはわからないけれども、ぜひ、やなぎなぎさんに曲を書いてほしいとお伝えしました。
逢田さんが歌いたかった楽曲のイメージとは?
イントロと、Aメロ、Bメロはわりと静かな感じで始まって、サビからガラッとメロディが明るくなったり力強くなったりする曲を歌いたかったんです。じつは、ずっと以前からお伝えしていて。それが実現したのが、4曲目の『Lotus(ロータス)』なんです。
『Lotus』で初めて作詞に挑戦されましたが、2019年5月のライブドアニュースのインタビューでは、作詞の可能性について「まったくビジョンがないのでいつになるかはわかりません(笑)。でも、歌詞を通してみなさんにメッセージを届けられたら幸せだろうなと思います」とおっしゃっていました。
(照れながら)そんなこと言ってたんですね(笑)。興味はあったのですが、もちろん初めてのチャレンジなので、今回、自分から作詞したいと提案したわけではなかったですね。「いい機会だからやってみない?」と言っていただいて。
どの楽曲で作詞をするかは、すぐに決まったんですか?
デモを聴いた段階で、私はとくに『Lotus』と2曲目の『Mirror Mirror』がすごく好きだなと感じたんです。でもかなり難しそうな曲だし…気に入ったからこそ完成度が高いものにしたいなと思ったので、歌詞もプロの方にお願いしたいとお伝えしたんです。

でも、「そんなに好きなら、自分で書いたほうがいいよ」と背中を押していただいて、「じゃあ、そうします」と。最初はそれくらい自信がなかったんです。
無事に楽曲が完成した今は、いかがですか?
(うれしそうな笑顔で)今は、がんばって書いて、ホントによかったなって思います!

「終わりあるからこそきっと愛しくて」歌詞に込めた真情

歌詞のモチーフは蓮の花だそうですね。
もともと、花言葉を調べたりするのが好きで。お花の種類をそんなにたくさん知っているわけではなくて、インターネットで調べる程度なんですけど。

日頃、気になった言葉やいいなと思ったワードを携帯のメモに書き留めていて、そのなかに「ロータス=蓮の花」もあったんですね。それで、楽曲を聴いたときのイメージと、儚いけれども力強い蓮の花のイメージが自分のなかで重なって。これをモチーフにして、生きていくことに対する自分の価値観などを織り交ぜて書いていこうと、構成を考えていったんです。
蓮の花のどんなところに惹かれたのですか?
蓮の花って、泥水のなかでキレイな花を咲かせるんです。それと、花言葉に「動じない心」とあって。そういところからイメージをふくらませていきました。

蓮の花って凛としたイメージですけど、自分はそんなふうに生きられているかといったら、いや、そんなことはないなって…。そう思ったときに、その花の強さに対する憧れみたいなものを、素直に書こうって。
強さに憧れる一方で、「自分はそんなふうに生きられない」って、誰しもがどこかで思っていることかもしれないですね…。
そうなんですよね。でも、弱い部分もあるけれど、強く生きたい。そういう強さを誰でも持っているよって前向きに示したいなと書いたのが、1番のサビですね。
「誰も汚せないものひとつ ただ強く」というフレーズから始まるところですね。
蓮は何日間かで散ってしまう儚い花なんですけど、消えてしまってもやり直せる、何回でもまた始められるということを前向きに伝えたいなって。
応援歌でもあるわけですね。ほかに思い入れがある歌詞は?
「終わりあるからこそきっと愛しくて」。このフレーズは常日頃、自分が思っていることなんです。何事にも終わりがあって、幸せなときがずっと続くわけではないですよね。でも、それは悲しいことではなく、いつか終わってしまうからこそ、その瞬間をすごく大切にできるんじゃないかなって。

人間、ずっと同じ状態が続いたら、まわりにあるものを当たり前に思ってしまったり、大切だと気づくことができないままかもしれませんよね。それに、大切な瞬間に生まれた思いだったり得たものは、消えることはない。思い出はずっと残っていく。この曲を通して、聴いてくださった方にそういったことを思い出していただけたらなって思いました。
物事の終わりや別れが訪れても、大切なものがあるから、その先に進めるわけですものね。
次にまた自分の力で切り開いていく強さを、誰もが持っていると思うので。もしも迷っている方がいたら、そういう強さに気づいてもらえたらなあって。
『Lotus』のMVにもそういう思いが反映されているのでしょうか?
そうですね。過去と現在を行き来するイメージです。赤いセーターを着ているシーンが現在で、もう過去には戻れなくて、思い出を懐かしむ切ない表情だったり、過去に…家族や友達や恋人だったり、好きな方にあてはめてほしいんですけど…大切な誰かと過ごしていた回想シーンを挟んでいます。
撮影はいかがでしたか?
今回も雨が降りまして(笑)。
傘をさしていらっしゃいますね(笑)。
そう、小道具ではないんですけどね(笑)。「雨も切なげでいいよね」なんてお話しながら。撮影に入る前に監督さんとイメージをよくお話して、現在の切ない表情と、過去の明るいシーンとのメリハリを意識して撮っていきました。曲調は切ないのにすごく明るい表情のカットがあいだに入るのが、余計に切なくなるというか…そんなことを感じていただけたらなと思います。

やなぎなぎ提供の『Tiered』は、「手芸が好き」から生まれた?

11曲目に、やなぎなぎさん作詞・作曲・編曲の『Tiered』が収録されています。以前からやなぎさんがお好きだったそうですが、どんなところに惹かれますか?
supercellの頃から聴いていたんですが(nagi名義でゲストボーカルを務めていた)、やなぎなぎさん名義でソロ活動されるようになってからさらにどっぷり聴いていました。やっぱり、いちばんは声ですね! ずっと聴いていられるような歌声がめちゃくちゃ好きです。歌詞の独特な世界観だったり、曲調もそうですし、総合的に好きです!
選べないとは思うのですが、とくに好きな曲を挙げるなら?
好きな曲…難しいなあ。(考えてから)デビューシングルの『ビードロ模様』がすごく好きですね。ずっと聴いていました。アップテンポな楽曲も好きですが、バラードやゆったりした曲がとくに。でもロックなども歌われていて、幅が広いアーティストさんだと思います。
やなぎさんのTwitterを拝見したら、『Tiered』について「手芸がお好きというお話を聞いて生まれた楽曲です」と投稿されていました。
やなぎさんから、歌詞を書くにあたって私のパーソナルな部分を知りたいですと言っていただいて、好きな食べ物や興味があるもの、行きたい場所などを箇条書きで提出させていただきました。そのなかから、手芸や刺繍にヒントをもらいましたとおっしゃっていました。
手芸というのは、お洋服をリメイクされたりとか…?
いえ、もうただの趣味です。そこまで高度なことはできないんですが、編み物や刺繍などが好きで、昔から、おばあちゃんに教えてもらったりして楽しんでいたんです。
『Tiered』を聴いたとき、どんな印象を持ちましたか?
第一印象では、楽曲に合ったすごく優しい歌詞だなあって…。歌詞というより、小説や短編映画を観ているときのような気持ちになるというか、ひとつのストーリーとして完成度が高いですよね。

1つひとつの歌詞ももちろん好きなんですけど、コーラスにも注目して聴いていただきたいです。歌詞カードには載っていないんですが、この歌詞を物語として支えているくらい存在感があるコーラスで、量も多いんです。改めて、コーラスってやっぱり大切なんだなと勉強になりました。
仮歌はやなぎさんが歌っていたのでしょうか。やなぎさんの歌声に寄せている部分がありますか?
いえいえ、寄せたくても、寄せられないです(笑)。やなぎさんのように歌いたくてもできないんですが、サビ以外のところは優しく語りかけるようなイメージだったので、自分なりに意識して歌いました。
レコーディングにもやなぎさんが参加されたのでしょうか?
はい、とくに「こうしてほしい」といったことはおっしゃらず、私の感じるままに歌ってほしいと。すごく優しく、丁寧に録ってくださいました。

長所を挙げるとしたら、つらい状況でも動じないところ

アーティストデビューから約1年経ちます。前回のインタビューでは、「逢田梨香子の音楽活動はまだ“無色”であり、それが強みでもある」とおっしゃっていたのですが、この1年で自分なりの色は出てきましたか?
色…そうですね、私自身がというわけではないのですが、今回のアルバムを通して聴いてみて、めちゃくちゃ素敵な楽曲ばかりなんですよね。もちろん1st EPの頃からそうですけど、さまざまなクリエイターさんが参加してくださって、改めて、ありがたいことだと感じています。

本当に私が歌わせてもらっていいのかと思うぐらい楽曲のレベルが高いので、自分で言うのはおこがましいのですが、誇るべきところなのかなって思います。
そういった楽曲に追いつくために、今、努力していることは? ボイストレーニングを続けたりしているんでしょうか。
そうですね、ボイストレーニングは続けています。どうしても練習時間が限られてしまうのですが、できるだけ時間を作って、アルバムのレコーディングに向けて、ボイトレの先生と1曲ずつ練習していました。
その成果が出てきていますか。
前よりもずっと、落ち着いてレコーディングに臨めるようになりました。最初の頃はホントにガチガチだったんです。自分として歌っているのか、キャラクターとして歌っているのか、境界線がわからなかったり…正解がわからずに手探りだったというか。でも今は、気持ちのうえでも自然体で臨めるようになりました。大きな変化かなと思います。
自然体という言葉が出ましたが、ジャケット写真をはじめアーティストとしてのイメージは、等身大の大人っぽさを意識されているのかなと感じます。逢田さんご自身は、まわりの人からはどういうタイプだと言われますか?
自分で言うのもあれですけど、まじめだと言われますね。何かひとつのことを言われると、「それってどういうことなんだろう?」と勝手にどんどん掘り下げていっちゃったり、わりと考え込むほうだと思います。そういう意味で、物事の捉え方なども「まじめだね」って言われるんですが…自分では、あまりそういうところは好きじゃなくて。もう少し軽く流せたらいいんですけど(笑)。
たとえばリーダーシップがあったり、社交的なほうですか?
いえ、どちらかというと、「あまり人に興味ないね」って言われます…(笑)。そんなことはないんですよ、ホントは。ぜんぜんそんなことないんですよ! でも人見知りなので、そう見えることもあるみたいで。そう、「人見知り」はよく言われますね。
「まじめ」のほかにも長所を挙げるとしたら?
(考えてから)つらい状況や、けっこうヤバい状況になっても、あまり動じないところかな(笑)。根はネガティブなほうなので、細かいことを気にしちゃうこともあるんですが、意外とドーンと構えていられるときもあったりします。

自信があるタイプではない。ファンからのメッセージが支え

ライブツアーに向けてはいかがですか。
今は正直、ソロでライブができるだけでありがたいなって思います。ひとりで10数曲歌ったことがないので未知数ですが、ライブでの空気感、みんなとの一体感は、私から進んで作っていきたいです。

みんなすごく優しいから、きっと、たくさん楽しんでたくさん盛り上がってくれると思うんですけど、それに甘えることなく、自分の力でみんなを引っ張っていけるように! …こんなことを言って、できなかったら悲しいですけど(笑)。
自らハードルを(笑)。
そうですね(笑)。歌詞を間違えちゃったらどうしようとか細かい部分もありますけど、でも第一に、本当にいい曲がそろっているので、それをみんなに届けたい、伝えたいって気持ちがいちばん強いです!
客席との一体感ともおっしゃいましたが、音楽活動に限らず、改めて言葉にするとしたら、逢田さんにとってファンの方々はどんな存在ですか?
そうですね、(真剣な顔つきで)本当に日頃から支えていただいているなあって思います。私はあまり自信があるタイプじゃないので、みんなからのメッセージが本当に心に響くというか…お手紙だったり、イベントでのお声だったり、すごく支えられています。

いろんなお仕事をしていていつも感じるんですけど、みんながいてくれるから、私は今存在できているんです。みんなの応援のおかげでつながってきたお仕事が本当にたくさんあると、身に沁みて感じていて、なくてはならない存在だと思っています。

口癖は「なるほどね」。逢田梨香子の一問一答!

桜。咲くのは短いあいだで、雨ですぐ散ってしまうときもありますよね。やっぱり特別感があって、咲いていると「見とかなきゃ」って思います。
それこそ、やなぎなぎさんの曲を聴きたくなります。
『花とアリス』とか、青春映画。あの映画、好きなんです。
変わったデザインのトップス。袖の形が特徴的だったり、たとえばチェックのシャツでも、どこかに気が利いたデザインが入っているようなもの。コーディネートのポイントにもなるので気に入っています。
やっぱりストレートに下ろしていることが多いですね。時間があるときは毛先を巻いたりしますが、あまりいろいろ手をかけるほうではないです。
春なので、オレンジ系のコスメが多いですね。リップだったりアイシャドウにオレンジを使ってます。
チキン! 昔からわりと好きです。
「やっぱり」と「なるほどね」。最近気づいちゃったんですけど(笑)、インタビューなどで、文章の最初に「やっぱり」って言ってることが多いです。「なるほどね」って言ってるときは、だいたい何も考えてないんですけど…(笑)。
え、なんだろ…(考えて)キャラクターものが好きなところ…? (両手の人差し指で口もとに形を作りながら)こういう猫みたいな口の形をしたキャラクターが好きなんです。ポムポムプリンとか、シナモン(シナモロール)とか。ゆるいキャラクターが好きで、コジコジ(さくらももこ作品のキャラクター)が大好きです。家にキャラクターもののぬいぐるみとかもあります。
逢田梨香子(あいだ・りかこ)
8月8日生まれ。東京都出身。O型。2015年から『ラブライブ!サンシャイン!!』の桜内梨子役を務め、同作品のスクールアイドルユニットAqoursとしても活動。主な出演作に『サクラダリセット』(世良佐知子)、『川柳少女』(大月 琴)、『戦×恋』(早乙女四乃)など。2019年6月にアーティストデビュー。

CD情報

逢田梨香子1st Album
『Curtain raise』
3月31日(火)リリース
https://rikakoaida.com/

左から初回限定盤A、初回限定盤B、通常盤。

初回限定盤A[CD+DVD]
¥4,800(税別)
初回限定盤B[CD+DVD]
¥4,800(税別)
通常盤[CD only]
¥3,300(税別)

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、逢田梨香子さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年4月2日(木)18:00〜4月8日(水)18:00
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月9日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月12日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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