「いまだにお互いのことをよく知らない」広瀬すず×吉沢 亮の“フラット”な関係性

連続テレビ小説『なつぞら』に続き、コメディ映画『一度死んでみた』で共演を果たした広瀬すずと吉沢 亮。時代を代表する“美男美女”のふたりである。

だが、彼らを人気俳優たらしめているのは美しいビジュアルだけではない。「顔がいい」だけで渡っていけるほど芸能界は甘くはない。

では彼らが広く愛されるのはなぜか? 高い演技力も当然のこと。そしてもうひとつ、インタビューを通じて、たびたび彼らの口を衝いて出てきたのが“フラット”という言葉である。

実際、取材の場でも、ふたりともすさまじいまでのスターの輝きとオーラを放ちつつ、それでいてまとっている空気はどこか優しく、柔らかい。

人見知りを自認しながらも、他人に対して壁をつくることなく相対する――それは“美人”“イケメン”といった言葉の裏に隠れがちな、彼らの知られざる大きな才能であり、高いコミュニケーション能力を求められる現代を生き抜く強さなのかもしれない。

撮影/平岩 享 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
スタイリング/丸山 晃【広瀬】、九(Yolken)【吉沢】
ヘアメイク/河北裕介【広瀬】、小林正憲(SHIMA)【吉沢】

お互いの第一印象は「イマドキの女の子」と「美しい!」

初対面の際のお互いの印象を覚えていますか?
吉沢 はじめて顔を合わせたのは 『Seventeen』の学園祭とかだった気がします。話したりはしてないですけど。
広瀬 そのイベントで、「え? こんなに顔が整っている人いる?」ってスタッフさんと話してた記憶があります。
吉沢 (広瀬さんを見て微笑みながら)すずちゃんは、その当時はまだ17歳くらいだったよね?
広瀬 高校生だね。
吉沢 めちゃめちゃキャッキャしてるんだろうなぁって思ってました。話してないから実際はわかんないんだけど、イマドキの女の子なんだろうなぁって。

でもそのあと、別の現場でお会いしたとき、年相応のかわいらしさもありつつ、大人だなぁって印象を持ちましたね。映画でも年上の俳優さんとお芝居している印象が強いし。落ち着いているというか、どの世代の人にも対応できるというか。
きちんと顔を合わせて仕事をされたのは『なつぞら』(2019年4月〜9月放送)ですよね? 広瀬さんは、吉沢さんにどんな印象を持たれましたか?
広瀬 パッと見て、あまりの美しさに「わぁっ!」となるというか…。オーラがスゴすぎて! 『Seventeen』で見ていたころから、同性の共演者とワチャワチャしている印象があって、私には一生心を開いてくれないんじゃないかって思ってたんです。

そういう印象もあったから、お互いにあまりしゃべることもなくて…(苦笑)。ふたりきりのシーンのときのシチュエーションが、牛が1頭だけいる不思議な場所だったんですよ。待機場所がなくて普通にイスが並んでいるだけだったんですけど、そのイスの距離が絶妙で…(笑)。
吉沢 あれは絶妙だったよね。
広瀬 それが面白すぎて、逆に居心地がよくなったというか。吉沢くんとのあいだに独特な距離感があるのは感じていたんですけど、もはや安定してきて。作品的にも近くも遠くもなる役柄に重なって、違和感なく演じられたんですよね。その現象がすごく面白かったです。
順番的に、最初に『なつぞら』の撮影があり、今回の映画の撮影があり、再び『なつぞら』の撮影に戻るというかなり珍しい進め方だったそうで、朝ドラとはまったく異なるトーンや関係性を演じなくてはいけないため大変だったかと思います。そうしたプロセスも踏まえて、いまお互いにどんな印象を持っていますか?
吉沢 印象? どんな人なんだろう…?(笑)
広瀬 吉沢くんは思った以上にフラットだったから、お互いに、必要以上に踏み込まなくてもよかったんです。

気を遣っていると「普段、どんなところにご飯を食べに行くんですか?」って聞いたり、そういう話をしなきゃって思うんですけど。いままで同世代の俳優さんと共演するときにしてきた会話をしなくてもよかったんです。
吉沢 それはあるかも。
広瀬 だから(吉沢くんのことを)いまだにあんまり知らないかも(笑)。
吉沢 たしかにあんまり知らないね、お互いに。それってすごく珍しいかもしれないです。ぼくはめちゃくちゃ人見知りではあるんですけど、無理にでも入っていかなくちゃって思う瞬間はあって。普段は頑張って話しかけているときもあるので、すずちゃんにはそういう、「無理にエンジンをかけなきゃ」っていう瞬間がなくて、とても楽です。

吉沢 亮の“遊び心”に、役者として刺激を受けた

映画『一度死んでみた』は、売れないデスメタルバンドのボーカル・野畑七瀬(演/広瀬すず)と、存在感がなさすぎるゴースト会社員の松岡 卓(演/吉沢 亮)がタッグを組んで、七瀬の父・野畑 計(演/堤 真一)のピンチを救うストーリー。朝ドラとはまた違う関係性を演じたことで、お互いに新たな発見はありましたか?
吉沢 すずちゃんのこんなパンクな役柄は見たことがなかったので、なるほど、すずちゃんがアツくなるとこうなるのかと(笑)。しかもそれがすごくハマってるんです。コメディ初挑戦といいつつ、そんな感じもせず面白かったです。映画を観てくださった方の反応も楽しみです。
吉沢さんは、パンクな広瀬さんから罵声やキツい言葉を浴びせられる役どころでしたが、いかがでしたか?
吉沢 すずちゃんにああいうことを言われるって嬉しいですよ(笑)。
広瀬 (爆笑)。
広瀬さんは、まったくトーンの違う2作を吉沢さんと共演されていかがでしたか?
広瀬 吉沢くんって器用だなって思いますけど、松岡みたいな役はやりやすいのかなと思いました。遊び心を入れやすいし。吉沢くんの松岡を見て「私、遊び心がないわ! 必死だわ」って気づきましたね。

あと、(自分自身が)松岡と一緒にいると落ち着きそうだなと思いました。『なつぞら』の(山田)天陽くんと一緒にいて違和感があったわけじゃないんですけど、この映画くらいの軽いやりとりがすごくしっくりくるなと。
やはり作品、役柄が違えば、同じ役者さんと対峙していても感じるものは異なるものですか?
広瀬 うーん…『なつぞら』が特別だったのかもしれません。

なつと天陽くんが「握手をする」というシーンがあったんですけど、撮影の関係で1度目は実際に握手をして、2度目はしないでギリギリで止めたんです。その距離がまた絶妙というか「切ないなぁ…!」ってグッときて。一緒に演じていた時間が長かったからこそ、遠ざけようとしても遠ざけられないくらい天陽くんへの思いが強くなっているのに気づいて、いま考えるとそれは特別なことだったんだなと思います。

思い入れのある作品で共演することができたからなのか、吉沢くんの姿を見ると安心するような感覚はあるのかもしれません。それはほかの役者さんとは違う感覚なんだろうなと思います。

朝ドラでも映画でも疲れを見せない広瀬は、怖いくらいタフ

現場での立ち居振る舞いなどを含めて、お互いにスゴいなと感じる部分は?
吉沢 『なつぞら』は撮影期間も長くて、ほとんどのシーンにすずちゃんが出ているわけで、絶対にいっぱいいっぱいになるだろうと思ってたんです。だから撮影前は「みんなで支えていこう!」みたいな雰囲気があったんです。

でもいざ撮影がはじまってみると、すずちゃんがスゴすぎて。みんなが「大丈夫?」って話しかけても「(サラッと)全然大丈夫です」って感じで、「タフだなぁ、この人」って尊敬しました。

つらいはずなんですけど、絶対にそれを見せないんですよね。どんな状況に追い込まれてもつねにフラット。毎週、読み合わせなどをするんですけど、ほぼセリフが頭に入ってて「この子はスゴい」ってみんな話していました。
それは、今回の映画の撮影に入っても?
吉沢 全然変わらず、ずっと一緒でした。「この人、大丈夫なのか?」って怖くなるくらい(笑)。

主演だからいろんな人から話しかけられるんですけど、誰から話しかけられてもその人に合わせた対応ができていて。僕は緊張してずっと端のほうにいるので(笑)。
広瀬 本当にずっと端っこにいたよね! 1日目に見て「あ、席とられた!」って思ったもん。「そこに行きたい気持ちわかる!」って(笑)。
広瀬さんから見た俳優・吉沢 亮の魅力は?
広瀬 ほかの作品も見させていただいて感じるのは、先ほども言ったすごく器用な方ということ。それとまっすぐ見つめられると洗脳されそうな…その場の空気感を変えてしまうような目力がスゴいなと思います。
今回の役柄は存在感がなさすぎて周りから気づかれないゴースト社員という設定でしたが…。
広瀬 普通、そういう役となると、わかりやすくメガネをかけたりするものじゃないですか? 実際、今回の吉沢くんもかけていて。ほかの役者さんだったら「そういう設定の役だから、メガネをかけてるんだな」とかそういう見方をしちゃうんですけど、吉沢くんの場合はメガネがしっくりきすぎているというか、役作りに見えないというか。

それって、本当にスゴいことで。しかも今回の松岡だけじゃなく、これまでに演じられてきたキャラクターごとにまとっているオーラが全然違うんです。同じ役者として、うらやましいなと思いながら見ていました。

ひとりの女性としてどう生きるか、が自分にとって重要

おふたりとも、どうしても「美女」や「イケメン」といった言葉で記号的に評されてしまう部分もあると思います。そうした世間の受け止め方に対して、俳優としてもっと違う部分に注目してほしいといった葛藤などはありますか?
吉沢 僕の場合、わりと自分でネタにしちゃった部分があるので、しょうがないのかなぁとも思ってますけど(笑)。
広瀬 あはは。
ご自身がイケメンであることを素直に認める姿勢に嫌味がなく、肯定的に受け止められていますよね。
吉沢 やめなきゃって思うんですよ。でも、どうしてもその瞬間の笑いを求めちゃって。結果的にその発言だけの記事が出てしまったりするので、今後はもう少しシリアスに「芝居してるんだぜ!」というのを出していこうと思います(笑)。
広瀬 私の場合は身近に姉(広瀬アリス)がいて、姉には「美人」という設定の役が多くて。それがずっとうらやましかったんですよ。

私はわりと冴えない役が多かったり、あとはどちらかというと不幸な設定の役が多くて。不幸な設定なのに「絶対に最後まで死なない」とか「意志が強くて、貫き通しそう」みたいに思われがちなんですよ。

「生命力が強そう」って言われることが多いんですけど、それっていいことなのかな…?私自身は、女優として邪魔だなぁ…と思うことはありますね。
若い世代を代表する俳優として活躍されているおふたりですが、俳優という仕事をこの先、ずっと続けていくという将来のビジョンはお持ちですか? 「人気がなくなったら?」などネガティブな思いや恐怖にとらわれることはないんでしょうか?
吉沢 あんまり考えてないです。40代の前半くらいには、1年に1本映画に出て、2年に1本ドラマをやるくらいで生きていける人間になりたいです。
広瀬 いいね(笑)。
吉沢 楽して生きていきたい(笑)。そのためにもいまは、やらなきゃいけないことがいっぱいあると思いますが。
いろんな俳優さんにお話をうかがうと「続けていく」ことがいちばん大事で難しいとおっしゃいます。
吉沢 そうなんですよ。そういう意味では続けていきたいと思います。
広瀬 私は自分中心の思考なんですけど、結婚して子どもが欲しい…ということも考えているし、そのときに女優をやめることになってもいいかなと思ってるんですよね。あんまりこの仕事を中心に考えているというよりも、ひとりの女性としてどう生きるか?が自分にとっては重要かもしれません。

女優のお仕事は得るものも多いし、いろんな人に出会えたり、いろんなところに行けたり、日常生活では体験できないことができる。それを優先するか、それとも自分の母親みたいになりたいかを突き詰めて考えると、私の場合、母親みたいな生き方もいいなと思っちゃうんですよね。
おふたりとも先のことを考えて行動するより、そのときどきで、自分の幸せを選択していきたいと?
吉沢 そうですね。
広瀬 自分のやりたいことを選んでいけたらいいのかなと思っています。
広瀬すず(ひろせ・すず)
1998年6月19日生まれ。静岡県出身。AB型。2013年にドラマ『幽かな彼女』(フジテレビ系)で女優デビュー。2015年の『学校のカイダン』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演。主な出演映画に『海街diary』、『四月は君の嘘』、『怒り』、『ちはやふる』シリーズなど。2017年の映画『三度目の殺人』で第41回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。2019年にはNHK連続テレビ小説『なつぞら』でヒロインを務め、初舞台となった『Q:A Night At The Kabuki』では第54回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。
吉沢 亮(よしざわ・りょう)
1994年2月1日生まれ。東京都出身。B型。2009年に芸能界入り。主な出演映画に『銀魂』シリーズ、『リバーズ・エッジ』など。映画『キングダム』で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。2019年はNHK連続テレビ小説『なつぞら』で演じた山田天陽も話題に。2020年には『青くて痛くて脆い』(8月28日)、『東京リベンジャーズ』(10月9日)、『さくら』(今秋予定)が公開予定。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では主人公の渋沢栄一を演じる。

映画情報

映画『一度死んでみた』
3月20日(金)ロードショー
https://movies.shochiku.co.jp/ichidoshindemita/
©2020 松竹 フジテレビジョン

サイン入り生写真プレゼント

今回インタビューをさせていただいた、広瀬すずさん×吉沢 亮さんのサイン入り生写真を抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年3月16日(月)18:00〜3月22日(日)18:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月23日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月23日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき3月26日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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