腹割って同じ未来を分かち合うのが、僕らの関係。宮崎秋人×マネージャー対談

本人に聞くだけでは見えてこない一面がある。
いつもそばにいるからこそ語れる一面がある。
そんな俳優の横顔に光を当てる俳優×マネージャー対談企画。

今回、話を聞くのは、俳優・宮崎秋人さんとそのマネージャー・水上亮さん。近年、活動のステージを移行させつつある宮崎さんだが、その変化に、少なからず影響を与えていたのがマネージャーの存在だった。

俳優とマネージャー、ふたりだから話せるこれまでとこれから。宮崎秋人の転機と戦略を、宮崎さんと常に行動を共にし続けるマネージャーの水上さんとの対話からつまびらかにする。

撮影/すずき大すけ 取材・文/横川良明
スタイリング/上田リサ ヘアメイク/仲田須加
衣装協力/MAISON SPECIAL、Kazuki Nagayama、tac:tac

秋人さんの最初のイメージは……怖かったです(笑)

まずふたりの出会いからさかのぼっていただきましょうか。
水上 僕がワタナベエンターテインメントに入社したのが2016年で。秋人さんに初めて会ったのがライブ・ファンタジー『FAIRY TAIL』(2016年)のときです。
宮崎 (なつかしそうに)その時期か〜。
水上 現場で初めてお会いして。でもそこからしばらくは社内でたまに会うぐらいで。マネージャーとして担当についたのは舞台「青の祓魔師」島根イルミナティ篇(以下、「青エク」)(2017年)からです。

マネージャーにはタレントの戦略を決定するチーフマネージャーがいて、僕は日々のスケジュールを管理する現場マネージャー。それまで同年代のタレントさんしか担当したことがなかったから、正直秋人さんの最初のイメージは……怖かったです(笑)。
宮崎 あはは。ぶっちゃけたね。
水上 僕も当時まだ入社2年目だったし、タレントと向き合うのはチーフの役目で。僕は現場で粗相のないようにってことしか考えられていなかったですが、それでは日々の現場のサポートをするのは自分なのにダメだなと思いました。
宮崎 俺は正直最初の頃はそこまで意識していなくて。一緒にやっていくなかで徐々に水上くんと腹を割って話せるようになって、見方が変わったというか。ちゃんと人として付き合えるようになった。だからこそ、長い間こうして仕事ができているのだと思います。

友達の話を聞いても松田凌の名前しか出てこない

水上さんから見た宮崎秋人さん像をぜひ聞かせてください。
水上 最初は“陽キャ”なイメージでした。すごい顔が広くて、常にクラスの中心にいる人みたいな。
宮崎 全然そんなことなかったでしょ。
水上 (即答で)なかったですね。
宮崎 友達の話とか松田凌の名前しか出てこないでしょ。
水上 はい(笑)。話を聞いてみると、交友関係は広いんですけど、深い関係の人は少ないのかなって。
そこから付き合いが深まるにつれて、印象はどう変化していきましたか?
水上 印象としては、人に対して真摯。秋人さんは誰に対しても労力を使って腹を割って話そうとする。そこがスゴいなって。
宮崎 俺は会うとなった以上、目の前の人に全力で向き合いたいから。
その性格は昔から? それともお仕事をしていく中でそうなっていった感じですか?
宮崎 昔はそこまで人と話すタイプじゃなかったんですよ。けど、知らぬ間に暑苦しい人間になってましたね。松田凌しかり鈴木勝吾しかり小野健斗しかり、出会った人がみんな熱くて、人とちゃんと向き合っていく人たちばっかりだったから、知らぬ間にそのイズムが自分にも入っていったんだろうなって。

水上くんが頑張ってくれるぶん、俺も一緒に頑張れる

他に宮崎さんについて水上さんの言葉で語るとしたら?
水上 男気がある。いい昭和感を持っている人だと思います。
宮崎 たとえば、「〜〜だから〜〜ができない」っていうこと、みんなよくあると思うんだけど、その理由が俺から見たらつまらない理由だったらなんとかしてあげたいって思っちゃう。

「お金がないから飲みに行けないです」って言う後輩を見ると、「いいよ、俺が出すから」って言うし。「お金がないから都心に出てこれない」って言われたら、「だったらうちに住めば」ってなる。

結果、井澤勇貴がうちに住んでた(笑)。
『メサイア−鋼ノ章−』(2015年)のときに、2ヶ月間、井澤さんが宮崎さんのお宅に居候されていたというエピソードですね(笑)。
水上 秋人さんは即断即行の人。だから役者をやってなくても、たとえば普通の会社員でも成功しそうだなって思います。
ちなみに、実際、周りにおごりがちなんですか?
宮崎 そうですね。だから行きたいやつとしか行かないんですよ。どうせ同じお金がなくなるなら、行きたくないやつとつまんない話をするより、好きなやつと腹割って話したい。会計は割らなくていいから腹を割りたい主義です。あ、うまいこと言ったね(ニヤリ)。
「宮崎秋人の月間報告書」(ワタナベエンターテインメント運営のメンバーズサイト「We!プレ」で水上さんが毎月更新しているブログのこと)に、水上さんが宮崎さんにおごってもらったエピソードもありましたね。
水上 そうなんです。おごってくれました。
宮崎 (照れつつ)マネージャーさんが頑張ってくれているからこそ、いま、自分が役者をやれているから。
水上 マネージャーって、というか仕事ってやって当たり前のところがあるじゃないですか。だから、ときどき自分は何のためにやっているのかわからなくなるときがある。でも、秋人さんはちゃんと感謝を言葉にして伝えてくれる。「水上くんが頑張ってくれているぶん、俺も一緒に頑張ろうと思える」って言われたときは、この人のためにもっと頑張ろうと思えましたね。
宮崎 マネージャーっていちばんしんどい立ち位置じゃないですか。プライベートがなくて、昼夜問わず連絡が来るし。でも、マネージャーがいなかったら、俺はなんにもわからない。もし自分がフリーになったらと思うとぞっとしますもん。
水上 スケジュール管理や先々のブランディングなど全部自分でやらないといけないですからね。

姪っ子の学芸会のときはお休みをもらいます(笑)

この場だから言える、ちょっと直してほしいところは?
水上 あ〜。秋人さんから着信が来るとビクッとしますね。大抵そういうときって、その前に送った仕事のメールに関して何か言いたいことがあるときだから(笑)。もちろん自分がちゃんとしなきゃいけないところなんですけどね、あの瞬間は怖いです。
宮崎 たまにね、本番期間中に他の舞台のアフタートークとか入ると、そこで病院行って喉のメンテナンスをしようと思ってたのに……ってなったりとか(笑)。まあ、仕事だからやるしかないんだけど、本当に無理なときはごめんなさいって。
水上 でも、そこをなんとか調整するのがマネージャーの仕事だから。タレントの状態を肌感で理解しているのはマネージャー。だからそう言ってもらえたらなんとかしようってなるし、むしろ配慮せずに入れちゃってすみませんってなる。別にマイナスのこととは思っていないんです。
宮崎 そう言ってくれるとね、すごくありがたい。
水上 当たり前ですけど、タレントだって人間ですから。パフォーマンスのよい状態でいてほしいし、ちゃんとそこを叶えてあげられないならマネージャーがいる意味はない。だから、病院とかもそうですけど、プライベートの予定もなるべく言ってもらうようにしてて。
宮崎 そうだね、この日はご飯の約束があるとか。姪っ子の学芸会があるとか(笑)。
水上 そういうことが言えない関係だとストレスがたまっていくだけだと思うんですよ。それなら言える関係のほうがいいし。
宮崎 俺もだいぶ水上くんに対してこれはこうしたいああしたいって言えるようになった気がする。そんなふうにワガママを言えるのは、水上くんに信頼できるようになった証拠なんだろうね。
差し入れとかで宮崎さんが喜ぶものはありますか?
水上 なんだろう。基本なんでも喜んでくれるというか。あんまり食べものに対するこだわりとかないですよね。
宮崎 あんまない。なんでも好き。
水上 あ、でもトンカツめぐりはやってませんでした?
宮崎 トンカツめぐりは月1でやってる。すごい好きなんだけど、あんまり食べると太るから月1って決めてて。あとはいちご大福かな。よくお世話になっている照明さんがいつもいろんなところのいちご大福を差し入れてくれるんだけど、それが楽しみで。
水上 じゃあもし関係が不穏になったら、いちご大福を買ってきます(笑)。
宮崎 そうだね。ちゃんといいやつ買ってきてよ。まあ、言うてコンビニのいちご大福でも喜んで食べるけど(笑)。

気になる人と出会ったらすぐ名刺を写メって送ります

仕事人として宮崎さんを見たときに、スゴいなと感じるところはありますか?
水上 フットワークが軽いんです。チャンスはどこに転がっているかわからないっていうスタンスで、自分から映画監督さんとか新しい人脈を広げてくる。
宮崎 このあいだも、知り合いから映画監督の方を紹介してもらって。すごく気の合う感じの人だったんで、そのあと、すぐに水上くんに監督の名刺を写メって送りました。
水上 そういう人との接し方は見ててスゴいなと思います。
宮崎 俺がこの業界の人と話すときに決めているのは、社交辞令は絶対言わないし言わせない。「いつか仕事しようよ」って言われたら「絶対ですよ。すぐマネージャーに言いますからね」って言う。その場だけ笑顔で取り繕っても仕方ないなと思うし、腹割ってしゃべってないと本当に不毛。「今度ご飯行きましょうね」って口だけで言うのとか嫌いで。
水上 たしかに行きますよね。そういう話をしたら絶対に日程を合わせてる。
宮崎 うん。「いつにします?」ってすぐその場で調整する(笑)。
そんなふうに自分で人脈を広げるのは意識しているところなんですか?
宮崎 やっぱりマネージャーが営業してくれても、仕事するのは俺なんで、俺のことを知らない人は結局一緒にやろうとは言ってこないと思うんですよ。だったら自分が直接出向いたほうが早いなと思って。

仕事が止まる恐怖はあった。でも腹をくくるしかなかった

じゃあ、そんなお仕事のお話も出てきたところで、そろそろ最近の宮崎さんの活動について聞いていきます。そもそもですが、宮崎さんは仕事に関する希望や要望を事務所の人たちに積極的に言うタイプですか?
宮崎 ずっと言ってこなかったんですよ。自分がどうやっていきたいとか、こういうことを思っているというのは。というか、最初の頃はとりあえず勢いをつけることとか経験値を上げることしか考えていなかったので、もう脇目も振らずにっていう感じで。常にこれが今はベストなんだって思いながらやっていました。
そのスタンスに変化が出はじめたのはいつ頃から?
宮崎 「青エク」をやっている頃から、自分がどんな仕事を選択していくかによって、ここから先の未来が変わっていくんだろうなっていうのは意識するようになりました。そういう意味でも、1回立ち止まってこれからのことを一緒に考えてほしいなってタイミングで担当が水上くんになったのは、自分的にもよかったのかなと。
そのあたりから、いわゆる2.5次元舞台というジャンルから離れ、より幅広い作品に出演するようになりました。
宮崎 別に2.5をやめたいと思っていたわけではなくて。ただ、自分が少しずつ年齢も上がって、現場でも立ち位置が上になっちゃっていることに対して戸惑いはありました。

下の子たちにエネルギーをもらうにはまだ早すぎる。もっといろんな人と出会いたいし、いろんなことを学びたい。そう考えているタイミングで、違うテイストの仕事を提案してくれるようになったので、そこに乗ってみようと。
水上 じつは僕が大学で演劇サークルをやっていて。小劇場とかいろんな演劇の話を上司ともしていて、そういうこともあって、今後の秋人さんのキャリアを考えたときに適性があるんじゃないかということで担当になった面もあって。
宮崎 すっごいコアなのを好きだったりするんですよ。水上くんに勧められて、ナカゴーっていう劇団を観に行ったら、おもろいんだけどわけわからんってなって。水上くんはこういうのが好きなんだなって思いながら観てた(笑)。
水上 僕、それまで舞台が好きな人はみんな自分と同じ嗜好なんだって勝手に思い込んでいたので。宮崎さんにいろんな舞台を勧めていくうちに、そういうわけじゃないんだって知りました(笑)。
宮崎 自分にはまったくない感性を水上くんは持っているから、それはありがたいですよね。そういう作品を好きな人もいるわけだし。俺なんかも難しい作品は退屈だから苦手だったんですけど、最近は徐々に楽しみ方がわかるようになったというか。あ、水上くんに毒されてるなって思う(笑)。
水上 それで、そのあたりから仕事の方向性を切り替えていこうと。
ただ、同じ演劇という枠組みでも2.5次元舞台とそれ以外って関わる人たちも全然違うし、まったく別の分野に飛び込むようなものだと思うんですね。それこそ同じジャンルにとどまっていれば仕事の問い合わせも来るところを、新しいフィールドに軸足を移そうとしたら、当然それを止めなきゃいけない。それって口で言うより簡単なことではないし、不安や葛藤があったんじゃないかと思うんですけど。
宮崎 それは怖かったですよ。現状をやり続けたほうがいろんな面で安定するし、どれだけ安心できるかもわかっていた。でもそのうえで違う方向にハンドルを切ったんで。それはてめえが決めたことだろうって自分に言い聞かせて腹をくくるしかなかった。何もできない悔しさはありましたね。
水上 今やっているお仕事の話をいただけるようになるまでは大変でした。一緒に頑張った結果、最近ようやく周りの認識もできはじめて、目指していたところから出演の依頼をいただけるようになりました。

『光より前に〜夜明けの走者たち〜』が転機に

そんな中で転機になった作品は何だったんでしょう?
宮崎 今に至るまでという意味でも、『光より前に〜夜明けの走者たち〜』(2018年)(以下、『光より前に』)は大きかったです。
水上 『光より前に』を観てくださった方々からいろんなお仕事のお話をいただけるようになりました。
宮崎 『阿呆浪士』(2020年)が決まったのも、演出のラサール石井さんやプロデューサーの方が『光より前に』を観てくれて。それで、「宮崎秋人は?」って名前を出してくださったみたいで。社長に主演の円谷幸吉役に起用していただき、今まで僕のことを知らなかったプロデューサーや演出家の方々を呼んでくれたおかげで、いろんな作品につなげることができました。
宮崎さん自身は、『光より前に』をやっている最中、この作品が次につながればという想いはありましたか?
宮崎 あのときはやっぱり実話がベースになっているから、(演じた)円谷幸吉さんやその他の関係者のみなさんにちゃんと受け入れてもらえなきゃいけないという気持ちでいっぱいで目の前の作品のことだけ考えてました。全力で集中して臨めたからこそ、結果的に次の作品につながったのかと思います。

『マニアック』では役者を続けていく自信をなくしかけた

では逆に、一緒にやってて最も苦しんでいたように見えたのは?
水上 音楽劇『マニアック』(2019年)は苦しんでいましたよね。
宮崎 そうだね。
水上 『マニアック』はコメディで。自分発信でいかに盛り上げるかが大事だった。それまでは劇作家や演出家と一緒にひとつの正解を追いかけていく芝居が多かったから、今までと全然違うことを求められて、すごい苦戦してるなって。
宮崎 『マニアック』はしんどかった。自分が何をすればいいのか、何を頑張ればいいのかもわからなくなってしまって。30代になって笑いのひとつもとれないで生き残っている俳優さんなんていない。俺、どうするんだろう、これからって。役者を続けていく自信をなくしかけていた時期でしたね。
その壁にぶつかってどうしたんですか?
宮崎 1回、(『光より前に』で共演した)木村了くんに電話しました。了くんは(『マニアック』で主演を務める)古田新太さんとも、(『マニアック』で演出を務める)青木豪さんともやったことがあったから話を聞いて慰めてもらおうと思って1時間半ぐらい電話してたんですけど。

そしたら奥さん(女優の奥菜恵さん)も出てきて、『私、人のこと褒めないけど、あなたはいい役者だから、こんなことで折れないでね』って励ましてくれて。ありがたかったですね。
水上 そこで散々苦戦した経験はこの前の『阿呆浪士』で活きたなと思います。ストイックな役や、イケメンの役、コメディ、今までやってきた経験を踏まえて、その集合体となる演技を『阿呆浪士』では観せてもらいました。

『ハムレット』で予想していなかったものを観せられた

個人的に『HAMLET―ハムレット―』(2019年)(以下、『ハムレット』)はすごく印象に残りました。演じたのは、ホレイショーというハムレットの友人で、すごく聡明なキャラクターなんですけど、存在感がありました。
宮崎 そこはもう(演出の)森新太郎さんのおかげですね。やっぱりシェイクスピアということもあって、台詞の持つエネルギーがスゴいんですよ。それに対して、ここまで1つひとつの台詞を大事に考えられたことってあったかなというぐらい向き合えたし、森さんが正しく導いてくれた。

じつは今までシェイクスピアとか海外の古典にあまり興味がなかったんですけど、森さんと出会ってシェイクスピアの見方が変わったというか、否定していたものをひっくり返された。ずっとシェイクスピアを避けてきて損したなって思いましたもん。
ラストのモノローグも独擅場でしたし、ハムレットとの関係性がすごくよくて。カーテンコールでハムレット演じる菊池風磨さんの肩を叩いて起こすところも、なんとも言えず感慨深かったです。
宮崎 あれは森さんの指示ですね。灯りがついたら優しく叩いてやれって。

『ハムレット』に関しては森さんに言われたこと以外、舞台上では何もやっていない。僕はもう森さんのことを信じてついていっただけで。そんなふうにハムレットとホレイショーが記憶に残ったと言ってもらえるなら、それは森さんの力。森さんとはまたやりたいし、またやらなきゃって思います。
水上 僕も『ハムレット』はすごく印象に残っていて、今まではこの役をやったらこういう芝居をするだろうなっていうものが想像できていたんですよ。でも、『ハムレット』は初めて想像を超えられた。自分の予想していなかったものを観せられたという感動が大きかったです。
宮崎 公演中も言ってくれてたね、そういう話。
水上 言いましたね、「僕、この役のときがいちばん好きです」って。ホレイショーって舞台上で何もしない時間が長いんですよ。僕も学生のときに演劇をかじったから多少わかるんですけど、何もせずに空間にいるのっていちばん難しい。それをちゃんと違和感なく、役を通してできていたから、この人スゴいなって。

『冬の時代は』、初めて自分のために選んだ作品

そして、3月20日から上演の『冬の時代』が控えています。舞台は大正時代。社会運動家たちの姿を描いた物語で、宮崎さんは雑誌『近代思想』を発行した大杉栄をモデルとした飄風という役を演じます。
宮崎 最初、台本を読んだときはチンプンカンプンでした。普段からそんなに勉強熱心なわけじゃないので、出てくる登場人物も、大正時代のこともまったく知らなくて。内容も全然わからないけど、でもやるって。
それは、なぜ挑戦しようと?
宮崎 まず実在した人たちをやれることですね。奇をてらわずとも、まっすぐ役と向き合えば、きっと返ってくるものがあるし得られるものがあると思った。

あとは自分の知識につながるし、俺みたいに当時の社会背景とか知らない人がいっぱいいる中で、あのとき何があったのかを伝える一員になれるのはやりがいがあるし好きなんです。
水上 マネージメントが考えるのって、この演出家とこのキャストとやったときに、はたしてプラスになるかどうかなんです。役者としてどう見られるのか、見え方の部分をすごく考えていて。シェイクスピアを経て、こうした文献をきちんと読まなければとても取り組めないような作品にチャレンジすることは絶対糧になるし、今までにない宮崎を見せられるなと思いました。
Twitterで「代表作にしたい」とおっしゃっていましたよね。
宮崎 今はもう台本ってどうやって覚えるんだっけ?っていうぐらい、台詞を覚えるだけでひと苦労で。ここから単に覚えるだけじゃなく、ちゃんと感情を出していかないとと思うと、本当手探りなんですけど。これをやり終えたら何かひとつ大きな自信がつくと思っているし、むしろ何も残らなかったら大問題だなって。それぐらいのものに手を出している自覚があります。
水上 今まででいちばん挑戦的な作品。僕もどうなるか想像がつかないです。
宮崎 いつも作品を選ぶときは、まずお客さんに楽しんでもらえるかが念頭にあって。その次に自分が何を得られるか考えるんですけど。今回に関しては、誤解を恐れずに言うと、初めて自分のために選んだ作品だなって気がします。

目の前のことを頑張ればいいって味方良介から教わった

今年でいよいよ30歳です。これからご本人もマネージメントも含め、どんな役者を目指していこうとビジョンを立てているんですか?
水上 僕が考えているのは、ジャンルレスな役者ですね。この人はこの役という特定のイメージをつけず、いろんなところに出てる。そういう役者として見てもらえたらと考えています。
宮崎 そこは俺も自然とそういうマインドになってきたというか。舞台でも映像でもジャンル問わず、そこに隙間があれば綺麗に入っていきたいなって。それが大きいポジションならそこにちゃんとハマれるようになりたいし、その隙間が狭くてもしっかりそこにフィットする役者でいたいなと思います。
水上 あとは、この人に任せたら安心と言ってもらえる役者ですね。最近出てくると安心すると言ってもらえることが多いので。そういうのは積み重ねだから。

『冬の時代』も一見すると難しい題材ですけど、宮崎秋人ならきっちり乗り越えてちゃんといいもの見せてくれるだろうと思ってもらいたいですし、その期待にしっかり応えて、また次に向けて信頼を積み重ねていきたいです。
『ハムレット』で共演した味方良介さんと飲んでいることも多いようですが、ドラマ『教場』(2020年・フジテレビ系)で味方さんの演技が大いに話題になりました。そうした同世代の活躍は意識しますか?
宮崎 そこに関しては、味方がずっと舞台『熱海殺人事件』をやってきているのを知っていたし、そこから『教場』につなげたことに感動しました。いつどの公演を誰が観ているのかわからないし、それがどうつながっていくのかわからないものだなって。ただ、そんなこと考えて芝居しているわけじゃないので。先のことを考えず目の前のことを頑張ればいいんだなって、味方に教わった気がします。

味方が選ばれたのを見て、テレビもきっと僕たちみたいな存在を求めているところもあるんだろうなとは思いましたけど。まあ自分のスタートラインも軸足も演劇にあるんで、そこはこれからも変わらないです。
宮崎さん自身は、どんな役者として周りから見られたいなという願望はありますか?
宮崎 あ〜、どうだろう。う〜ん(と、30秒ぐらい考えて)ただ常に作品に触れていたいですね。常に役者をできていれば幸せな30代を送れるんじゃないかなって気がします。
宮崎秋人(みやざき・しゅうと)
1990年9月3日生まれ。東京都出身。O型。主な出演作にミュージカル『薄桜鬼』 シリーズ(永倉新八 役)、舞台『弱虫ペダル』シリーズ(新開隼人 役)、舞台『FAIRY TAIL』(ナツ・ドラグニル 役)、舞台『青の祓魔師』シリーズ(奥村雪男 役)、舞台『PHOTOGRAPH51』(ワトソン 役)など。近作に舞台『光より前に〜夜明けの走者たち〜』(円谷幸吉 役)、舞台『HAMLET —ハムレット—』(ホレイショー 役)、舞台『阿呆浪士』(スカピン 役)など。今後の出演作に舞台『アルキメデスの大戦』(田中正二郎 役)を控える。

公演情報

unrato#6『冬の時代』
2020年3月20日(金)〜3月29日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト
http://ae-on.co.jp/unrato/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、宮崎秋人さんのサイン入りポラを抽選で2名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年3月10日(火)12:00〜3月16日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月17日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月17日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき3月20日(金・祝)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
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