「笑顔がうるさいヤツら」って思われてもいい。WANIMAはただ、目の前の人を幸せにする

子どもからお年寄りまで、幅広いファンを持つロックバンドWANIMA。テレビで見る3人は、いつもビッグスマイルを向け、私たちはその笑顔とまっすぐ心に届く楽曲に元気をもらう。

2010年の結成後、2017年にメジャーデビューを果たし、その年末には第68回NHK紅白歌合戦に初出場。2018年には初のドーム公演を開催し、2日間で7万人を集めた。映画、ドラマ、CMなどのタイアップもあとを絶たない。

彼らはなぜ、世代を超えて愛されるのか。そして彼らはなぜ、いつも笑顔なのか――。そこには彼ら自身に向けられた笑顔への恩返しと、あふれる“音楽愛”があった。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/坂本ゆかり 制作/iD inc.

ファンとの距離感は、ライブハウス時代から変わらない

紅白出場、ドーム公演、タイアップ楽曲と、WANIMAはお茶の間まで知られる存在になりました。有名になって、プライベート面での変化はありましたか?
KENTA 変わらないですね。いまだにライブ後に昔からライブに来てくれてるお客さんと「きょうはどこが良くなかったね」とか、「あのMCはちょっと」って普通に話しますし、それはインディーズ時代から変わっていなくて。

僕らは「たくさんの人に音楽を届けたい」って気持ちで音楽をやっているから、アーティストとお客さんの距離をなるべくなくしたいと考えていて。アーティストといえど本当に音楽が好きでステージに立っているだけで、ライブに来てくれるお客さんと同じ人間なんです。だからどこであろうと、自然体でありたいんです。
ライブハウスでやっていたときから、気持ちは変わらないということですね。
KENTA はい、何も変わっていないです。この前も飛行機で隣になった方がWANIMAを知っていて話しかけてくださったから、僕の生い立ちから今までのことを2時間かけて話しました。そこまでファンって感じじゃなかったけど、その人はもう、僕のすべてを知ってます(笑)。そんな感じです、今も。
FUJI 対外的というよりも、自分の中での変化はあります。僕は食べるのが大好きだったんですけれど、身体を作らないと長時間のライブを乗り越えられないと思って、運動をするようになったり。昔と比べると15キロほど体重が落ちました。
KO-SHIN 僕は「WANIMAだ!!」って認知してくれる人が増えたぶん、カッコよくありたいっていう気持ちが増しました。外に出るときに気を抜かないようになったり。
KENTA ガッカリしてほしくないですからね。
KENTAさんとKO-SHINさんは幼なじみですよね。子どものころからの仲で、仕事も一緒にしていますが、関係性に変化はありましたか?
KENTA 家も10秒ぐらいの距離で、4歳から一緒なんですけど、何も変わらないですね。KO-SHINは地元に帰ると地元のKO-SHINで、WANIMAをやっているときはWANIMAのKO-SHIN。いろんな顔の彼を見ていますけれど、地元のKO-SHINは仲間が甘やかしすぎたせいか、しょうもないですよ(笑)。でも、いろんな顔が見られるのは良いですね。
KO-SHIN KENTAも同じです。地元のKENTAがいて、WANIMAのKENTAがいて。彼らしいのは、やっぱりWANIMAのKENTAじゃないかな? そうであってほしいし。
3人でずっと一緒にいて、その関係性に変化はないでしょうか?
KENTA こういった取材もテレビに出るときもWANIMAに関わることは必ず3人で出ているので、本当にずっと一緒にいるんですよね。だから、関節の音が鳴っただけでイラッとすることはたまにあります(笑)。

だけど、ひとりずつの力なんてたかが知れてますし、3人じゃないと乗り越えられないことも多いです。3人で同じ景色を見て、同じことを感じて今後もやっていきたいです。
KENTA(Vo, Ba)
1988年4月13日生まれ、熊本県出身。O型。

関ジャニ∞のライブを見て、改めて曲を書いて良かったと思った

10月23日にリリースされた2ndアルバム『COMINATCHA!!』には『夏のどこかへ』(三ツ矢サイダーCM)、『Drive』(映画『OVER DRIVE』主題歌)、『アゲイン』(ドラマ『メゾン・ド・ポリス』主題歌)と多くのタイアップ曲が収録されています。『GONG』は、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』主題歌にも起用された楽曲ですね。
KENTA 3人とも『ONE PIECE』を昔から読んでて学んだことと、映画の台本を見て感じたことを含めて創らせていただきましたが、制作するうえで何よりも『ONE PIECE』に関わるスタッフさんの熱意と愛を強く感じて。

僕らが好きなシーンを言うと、「あ、何巻の何ページ目の何編の話ですね」とすぐ出てくるんです。そこまでの熱量って本当に好きじゃないとそうならないなと思いました。
さらに、関ジャニ∞への提供楽曲『ここに』のセルフカバーも収録されています、人気グループに曲を書くことに不安はありませんでしたか?
KO-SHIN 関ジャニ∞さんにオファーをいただいたときは、嬉しいと同時に「期待に応えないと!!」っていう気持ちでしたね。ビビるというよりは、「やってやるぞ!!」っていう気持ちでした。
KENTA KO-SHINはすごいエイター(関ジャニ∞のファン)なんですよ(笑)。関ジャニの安田章大くんもWANIMAが好きだって言ってくれていて、普段から交流もあったし、メンバーが脱退するっていうことも聞いていました。だから、そういうことを含めて、彼らに歌ってもらうことが僕らにできることなのかなと思って、曲を書きました。
自分たちが作った曲を関ジャニ∞が歌っているのを見たときは、どんな気持ちでしたか?
KO-SHIN 東京ドームのライブを見せていただいたのですが、アンコールの最後に披露されたんです。うん……ちょっと涙が出ました(笑)。エイター冥利に尽きるというか、信じられない感じでした。
KENTA 関ジャニ∞のみんなは純粋に音楽が好きだし、人を喜ばせるのが好きなんですよ。このメンバーでやっていくんだっていう気持ちを歌詞に込めて「始まるんじゃない 始めるんだぜ!!」って書いたのですが、ライブを見て改めて書いて良かったなって思えました。
有名になるにつれて仕事の幅が広がる一方で、制限や注文も増えるのではないでしょうか? それがプレッシャーになったりすることも?
KENTA 僕も最初は、「プレッシャーになるのかな?」って思っていたのですが、やってみたらそういうことは全然なくて。

僕ら3人ともサプライズが好きなんです。タイアップも、メンバーが増えたくらいの気持ちで、さまざまな企業の人たちと一緒にサプライズをしかけている感じ。それで世の中を良くしていきたいんです。誰かと一緒にやっても、自分たちの好きな音楽がブレなければ大丈夫だから。

まあ、毎回(締め切りの)期限はギリギリなんですけどね(笑)。そのためにいろんな言い訳は用意しています。「あれ、今月30日まででしたっけ?」とか「朝と夜の時間を間違えてました」とか(笑)。
(笑)。一方で、ライブのみで披露されていた『りんどう』も収録。こちらは、しっとり聴かせるバラードで、これまでのWANIMAとはまた違った雰囲気です。
KENTA りんどうは熊本の県花なのですが、自分たちの中にあったけどあまり表には出してこなかった曲調で創っています。「WANIMA、こういうこともできるんだ」というのが増えたらいいなという思いもありましたが、『りんどう』は自然な流れからできた気がします。
KO-SHIN(Gt, Cho)
1989年3月30日生まれ、熊本県出身。A型。

一生忘れないライブにしたくて、赤字ギリギリになることも

WANIMAの魅力は、何といってもライブだと思います。今年は『WANIMA × S2O JAPAN Good Job!! Release Party〜カオス!! ギネス!? 日本初!!〜 in 幕張海浜公園』で大量の水を使ったずぶ濡れライブを決行。昨年の『Everybody!! TOUR FINAL』では、メットライフドーム史上初のアリーナをスタンディングにしました。そういうアイデアはどこから生まれてくるのですか?
KENTA 僕らもお客さんも、日々の苦しいことや辛いことを乗り越えてライブの日に向かうじゃないですか。だから僕らの中には、「お客さんを驚かせたい」って気持ちが大きくて。そんな僕らの気持ちを知っている周りの人たちが、いろいろなアイデアをくれるんです。

ずぶ濡れライブでは、「見たことないくらい水を出したい」ってリクエストをしたら、本当にすごい量で(笑)。リハーサルのときに僕たち自身も水を浴びたら、音が聞こえなかったし、本番ではお客さんもずぶ濡れになりすぎて、最後はみんな唇が紫になってました(笑)。

でも、そういうライブって一生忘れられないじゃないですか。忘れられない景色や記憶があることで、いろんなことを乗り越えられるような気がするんです。これからも記憶に残るライブをお客さんと創っていけたらなと思っています。
「これはできません」って言われたアイデアはありましたか?
FUJI メットライフドームで「2階席からステージまですべり台を置きたい」とか、「3万5千人と流しそうめんをやりたい」というのはダメでした(笑)。流しそうめんの代案が、スイカ割りだったんです。
KENTA センターステージにした『Everybody!! TOUR』では遊園地を超えたくて。「誰も使ってないような照明を使ってください」ってお願いしたら予算がかかりすぎて、赤字ギリギリになってしまったり(笑)。

ライブのアイデアは尽きないですね。芸人さんがネタを考える感じで、僕らは曲を創ったりライブをイメージしたりしているんです。スベることばかりですけど(笑)。
セットリストが公演ごとに変わるのも、お客さんを楽しませたいからでしょうか?
KENTA お客さんを驚かせたいというのと、毎回自分たちも飽きないライブをしたいなっていうのと。でもいつもギリギリで仕込むので、お客さんに助けてもらってしまうことも多々あるんですけれど(笑)。僕が歌詞を覚えられなくて、僕よりお客さんが歌っている、みたいな。
KO-SHIN 僕もフレーズが抜けちゃうときがありますね。
KENTA 「あ、ミスった!!」というのも含めてみんなで楽しんでいます。
FUJI だから事前に言います。「もしかしたら失敗するかもしれない」と。
KENTA ライブ中に「WANIMA会議に入ります」って言って、その場で「いけるか?」って確認しますね。そういうのもライブ感があって良いですよね。決め打ちじゃない楽しさってその瞬間しかないですし忘れられないですよね。
11月5日からは25万人を動員するツアー『COMINATCHA!! TOUR 2019-2020』がスタートしていますね。
KENTA 今回はとことんシンプルにいきますと言っているんですけど、また企画を練るにつれて、お客さんに楽しんでほしいという気持ちから、すごいお金がかかっちゃいそうです(笑)。

ただ、僕たちにとって、曲を創って、CDを出して、ライブをするって本当にシンプルなんですよ。ただ、お客さんとは音楽でつながっていたいので、演出もいいけど音楽で答え合わせをしたいですね。
新しいファンの方が増えているかと思いますが、何かライブで意識されていることは?
KENTA 僕らはライブハウスから出てきたこともあるので、そういった密集したハコが好きなお客さんもいれば、モッシュなどを知らない人もいる。だからこそ、ファミリー席を設けたり、座席の席を作ったり。ちゃんとそれぞれが楽しめる空間を創っています。
FUJI(Dr, Cho)
1986年8月8日生まれ、熊本県出身。O型。

僕たちがやるべきことは目の前にいる人を幸せにすることだけ

WANIMAに対して、“ポジティブ、明るい、元気、そして笑顔”というイメージを抱いている人は多いと思います。KENTAさんは以前、「そのイメージと本来の自分たちに多少のズレはある」と発言されていましたが、そのズレというのは具体的にどんなことなのでしょうか?
KENTA 僕らの周りには、辛く苦しい思いをしていても僕らに笑顔を返してくれる人たちがすごく多かったんです。だから僕らもそういう人たちに憧れて、「表に出るときは笑顔で出たいね」って話し合って、全力で向き合ってきました。

でも僕らのバックグラウンドを知らない人には、「笑顔がうるさいヤツら」って思われちゃう。だからといってそれを釈明して周るより、応援してくれる人たちや目の前にいる人たちに僕らは全力で音楽を届けるべきだと思っていて。

テレビやラジオ、ライブと、入り口が増えたぶん、ズレが生じるのは仕方がない。僕たちがやるべきことは、目の前にいる人を幸せにすることだけ。僕たち自身にとっても音楽が生きがいなので、そこさえブレずにやっていければ良いんです。
ファンは辛いとき、苦しいときにWANIMAの曲を聴きますが、みなさんはそんなとき、どうやってモチベーションを上げるのでしょう?
KENTA 僕らも、WANIMAの音楽に影響を受けていますよ。WANIMAの音楽は、僕たちが経験したことの中からしか生まれない。悔しかったり悲しかったりするから曲が生まれるんです。だから僕たちもWANIMAの音楽を聴くことでギアが入ったり、次のページがめくれたりする。
素敵ですね!
KENTA 音楽をやっている人はみんな、そうなんじゃないですかね? いろんな感情を吐き出したくて、音楽を創る。僕の経験すべてが音楽につながっている気がします。
KO-SHIN 僕もWANIMAを聴きますね。で、カッコいいなって思う(笑)。聴いていると、ライブに来てくれたお客さんの顔を思い出すんですよ。そうすると、「こんなところで終われない!!」って気持ちになる。今まで頑張ってきたものをライブで出して、それをお客さんと共有できる。そういうライブを考えることで情熱が保たれている気がします。
FUJI スタジオで練習していても、お客さんの顔を思い出しますね。やっぱり、僕もWANIMAの音楽が励みになっています。

音楽ができない時期が本当に長かったから、今が幸せ

2019年も残り2ヶ月です。プライベートで今年中にやっておきたいことはありますか?
KENTA インタビューでいろんな人が「旅行に行きたいです」とか答えているのを見ますが、僕らは本当にそういうのがなくて…。
ずっとライブをしているイメージなのですが、そもそもプライベートってあるんですか?
KENTA 僕たちは音楽をやりたくて東京に出てきたので、休みがあると不安なんですよ。スケジュールが埋まると文句を言うくせに(笑)。今もアルバムができたばかりだけど、新曲を創っているし。
仕事が趣味?
KENTA う〜ん、仕事とは思ってないんです。音楽がしたいのに、できない時期が本当に長かったから、今、音楽ができていることが幸せで。

「作業にならないように」って、よく3人で言っているんです。忙しすぎると周りが見えなくなっちゃうから、そこは3人で支えあって、確認しながら1個1個やらないとダメだと思っていて。あ〜なんか、しゃべると真面目になりすぎちゃうな、すみません!!
もっとイケイケなみなさんかと思っていたので、こうして話をすると印象が変わりますね。改めて、2019年はどんな年でしたか?
KENTA 忙しかったですけれど、去年よりも音楽のことを考えている1年でしたね。
本当に、音楽のことで頭がいっぱいなんですね。
KENTA いっぱいだけど、いっぱいいっぱいにはなりたくなくて。音楽って、“音を楽しむ”って書くのに、悩むことも多いし、難しいです。

でも、音楽の力って偉大。ライブでお客さんからもらうパワーって、本当にスゴいんですよ。それは言葉にできないし、目に見えないモノで。ライブをしている人たちはその不思議なパワーの中毒になっているから、危険やなと思います(笑)。
みなさんの音楽愛、めちゃめちゃ伝わりました!
KENTA 伝わりましたか!!
はい。ファンへの愛も!
KENTA よしっ!! WANIMAファンがこの記事を読んだらほかのバンドに移れんな(笑)。
WANIMA(ワニマ)
KENTA(Vo, Ba)、KO-SHIN(Gt, Cho)、FUJI(Dr, Cho)からなる熊本県出身の3ピースロックバンド。2010年結成。2014年10月に1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』でインディーズデビュー。翌年8月には1stシングル『Think That...』をリリースし、11月には1stフルアルバム『Are You Coming?』をリリース。このアルバムがオリコンデイリーアルバムチャートで1位を獲得し話題に。2017年には、さいたまスーパーアリーナでの初のワンマンライブを実施し、第68回NHK紅白歌合戦にも出場を果たした。2018年1月にメジャー1stフルアルバム『Everybody!!』をリリース。11月からは、25万人を動員する全国ツアー『COMINATCHA!! TOUR 2019-2020』を開催。

CD情報

2ndアルバム『COMINATCHA!!』
10月23日(水)リリース

初回限定盤[CD+DVD]
¥4,000(税別)
通常盤[CD]
¥3,000(税別)

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、WANIMAのサイン入りポラを抽選で2名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年11月19日(火)12:00〜11月25日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/11月26日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月26日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき11月29日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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