デビュー時からずっと「悔しい」と感じてきた。吉沢 亮を突き動かすエネルギーの源

映画『銀魂』シリーズや『リバーズ・エッジ』、一人二役を演じた『キングダム』など、シリアスからコメディまで幅広い演技力を見せつけてきた吉沢 亮。

NHK連続テレビ小説『なつぞら』で演じた山田天陽の姿も記憶に新しく、“天陽ロス”という言葉まで生まれた。また、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主演も決定。

まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”という言葉がぴったりな吉沢が、アニメ映画『空の青さを知る人よ』で初めて声の芝居に挑んだ。31歳の売れないギタリスト・金室慎之介と、13年前からやってきた“しんの”こと18歳の金室の2役を演じ、またひとつ、芝居の“深み”を感じたようだ。

撮影/祭貴義道 取材・文/内田 涼 制作/iD inc.
スタイリング/荒木大輔 ヘアメイク/小林正憲(SHIMA)

31歳と18歳の演じ分けは「まったく別の人間のつもりで」

今作は映画『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『心が叫びたがってるんだ。』で知られる長井龍雪監督の最新作ですが、オーディションに際し、どのような準備をされましたか?
やはり(普段の芝居と違って)声でしか表現できませんから、そこを意識しながら、長井監督の過去作品を始め、改めていろんな種類のアニメを見たり、自分の声を録音して聞いたりしました。
何か気づきはありましたか?
いろんな作品を見る中で気づいたのは、声優さんは作品、役によってまったく違うアプローチをしているということ。

あくまで僕の考えですけど、声優さんは作品の世界観に合わせて(声を)作り込んでいる場合と、すごくナチュラルなお芝居をされている場合があって。作品の雰囲気によって、テンションも分けて演じているように感じました。
長井監督の作品の場合はいかがでしたか?
声のお芝居だけに注目して見直してみると、“アニメらしい”演技というか、すごく(声を)作り込まれている印象を受けました。
実際にアフレコ現場でも、監督からそのような指示があったのでしょうか?
演技について「ここはもう少し声を高めに」と、細かい部分の指示をいただくことはありましたが、演じるキャラクターの人間性については、基本的に任せていただいたように思います。自分なりに思ったことを、そのまま表現できる現場でした。
今作では31歳の売れないギタリスト・金室慎之介と、18歳の“しんの”を演じられましたが、吉沢さんが意識されたことは?
同一人物ではありますが、ふたりはビジュアルのイメージもまったく異なりますし、性格も真逆。まったく別の人間を演じるつもりで挑みました。
それぞれの役をどのように捉えていましたか?
18歳の“しんの”は純粋に夢を追いかける男の子なのですが、キラキラしているだけじゃなく、その裏で後悔や悲しみを背負っていて…。

一方、31歳の慎之介は、夢に破れてふてくされていて。それでも、夢をあきらめることはできないでいます。外見は大人に見えるけど、ある意味、内面はすごくガキというか(笑)。

演じるときも、その対比を表現することを意識していたのですが、精神年齢では、“しんの”よりも慎之介のほうが幼いっていうところに演じがいがありました。
演じ分けるという意味では、漂と嬴政を演じた映画『キングダム』も思い出しますが、声だけでの演じ分けとはまた少し違う感覚でしょうか?
『キングダム』のときに意識したのは、表情や目線の動かし方、しぐさなので、今回とは全然違いましたね。

慎之介と“しんの”は、年齢も違えば性格も真逆ですが、“吉沢 亮が演じている”という共通点さえあれば、思いきりガラッと(演技を)変えてみてもさほど問題にならないのではないかと思って演じていました。

アフレコ現場での再発見。「声って、芝居の大切な武器」

初めてのアフレコ現場で戸惑うことはありませんでしたか?
台本の読み方もわからない状態だったので、初日はアフレコという作業そのものに慣れるのが大変でした。当然のことですが、目の前のキャラクターに命を吹き込むので、芝居の“間”も自分では決めることができません。感覚的には実写の演技よりも2、3拍早く感じました。

また、普段のお芝居であれば自分のペースで感情を準備できるんですけど、声のお芝居の場合はアニメーションの“間”に合わせてすぐに感情を引き出せるようにしておかないといけないので、そういった部分も難しかったです。
声の芝居の経験を通して、新たな発見はありましたか?
これまではあまり声を意識せずに演技していたんだな、と改めて気付かされました。声って、お芝居の大切な武器であるはずなのに、表情やしぐさばかり気にしてしまって、声の出し方はもちろん、リズム感もあまり意識できていなかったと。

実写のお芝居だけでは気づけなかった視点を持てるようになったので、なかなかチャレンジングで貴重な経験をさせていただきました。
改めて、本作をご覧になっていかがでしたか?
初めて見たときは、自分のお芝居のことで頭がいっぱいになってしまい、冷静に見ることができませんでした(笑)。2回目からやっと物語が頭に入ってきて、あかね(声/吉岡里帆)とあおい(声/若山詩音)の姉妹愛がすごく愛おしく感じました。

そういう部分は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』にも通じるものがあるなと思いましたし、とくに今作は恋愛のパートも増えていて面白かったです。

“吉沢 亮”が世間にどこまで浸透しているかはわからない

本作は、さまざまな登場人物が自分なりに夢を追いかける姿が描かれています。吉沢さんが「夢を実現させる」ために大切にしてきたことはありますか?
やり続けることですかね。もし、自分自身がその夢や目標にのめり込めなければ、それまでというか。僕の場合は、同世代の役者が、早い段階で活躍している姿も見ていたので、デビューしてから感じてきた“悔しさ”をエネルギーに変えてきました。
そんな吉沢さんが、俳優という仕事を通して喜びを感じるときは?
自分で自分に納得できる瞬間です。もちろん、そうじゃないことが圧倒的に多いのですが…。芝居をしているときは「なかなかよかったな」と手応えがあっても、できあがった作品を見ると「あれ?」みたいなこともあって(笑)。

だからこそ、自分でもいい芝居ができて、作品を見て改めて「うわあ、やっぱりこれいいな」と思えると、うれしいですね。
最近では朝ドラ『なつぞら』での“天陽ロス”といった言葉が生まれるなど、吉沢さんに対する周囲の反響も大きくなっていると思います。こうした現状はどう感じていますか?
周りから褒めてもらえるのもうれしいですけど、やっぱり自分がよかったと思えることが、いちばん大事だと思います。正直、世間的に“吉沢 亮”という名前がどこまで浸透しているのかとか、全然わからないんです。

ただ、『青天を衝け』の主演が決まった瞬間は驚きました。まさか自分に(オファーが)来るなんてまったく想像していなかったですから。

現実味がなさすぎて、不安やプレッシャー以前に、「ウソだろ!」って(笑)。でも、ある意味、認めていただいている部分もあるのかなと思うと、そこは大きな自信になりますし、やはりうれしい気持ちはあります。
吉沢 亮(よしざわ・りょう)
1994年2月1日生まれ。東京都出身。B型。2009年にアミューズ全国オーディション「THE PUSH!マン」で芸能界入りし、2011年に『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)で注目を浴びる。主な映画出演作品は、『アオハライド』、『銀魂』シリーズ、『リバーズ・エッジ』、『斉木楠雄のΨ難』、『キングダム』など。2019年はNHK連続テレビ小説『なつぞら』で演じた山田天陽も話題に。2020年には出演映画『一度死んでみた』、『さくら』が公開予定。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では主人公・渋沢栄一を演じる。

映画情報

映画『空の青さを知る人よ』
10月11日(金)ロードショー
https://soraaoproject.jp

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、吉沢 亮さんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年10月8日(火)12:00〜10月14日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月15日(火)
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月15日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月18日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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