あのカンヌ国際映画祭から15年。クエンティン・タランティーノ監督×柳楽優弥が初対面を果たすとき

ふたりの出会いは15年前にさかのぼる。いや、正確に言うとそのとき、彼らは直接、顔を合わせてはいないのだが…。

2004年5月に開催された第57回カンヌ国際映画祭。当時14歳の柳楽優弥は、是枝裕和監督の『誰も知らない』がコンペティション部門に出品されることに伴い、監督らと共にフランスに渡り、そこで映画祭史上最年少にして日本人初となる男優賞を受賞する。

その年に審査委員長を務めていたのがクエンティン・タランティーノ監督だった。しかし、柳楽は授賞式を前に帰国しており、是枝監督が代理で、タランティーノからトロフィーを受け取った。

このたび、タランティーノが最新映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を携えて約6年半ぶりに来日。2004年のカンヌで「彼の表情がもっとも印象深かった」と言わしめた柳楽と、じつに15年のときを経て対面を果たした。

撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
▲時折、通訳を介しつつも、柳楽は会話のほとんどを自ら英語で行った。

試験のため帰国。男優賞受賞の知らせは電話で聞いた

タランティーノ (部屋に入るなり、がっちりと握手と抱擁を交わし)Hello!!
柳楽 柳楽優弥です!
タランティーノ すっかり大人になったね!
柳楽 いま29歳です(笑)。
タランティーノ監督は15年前のカンヌのことは覚えてらっしゃいますか?
タランティーノ もちろんだよ! だって審査委員長だったんだから。『誰も知らない』が上映されて、審査委員のあいだでいろんな話をしたよ。

たしか、わりと早い段階で上映されたんじゃなかったかな? もちろん、他にもコンペティション部門の作品はあるんだけど、なぜか何度もあの作品が話題にのぼるんだ。

男優賞について話し合ったときも、いろんな俳優の名前が挙がったけど、でも必ず「やっぱりあの少年だよね?」って声が出てくるんだ。最終的に「彼(=柳楽さん)がベスト・オブ・ベストだ」ってみんなが合意したんだ。

是枝さんが君の代わりにトロフィーを受け取ったけど、そのとき「主演男優はもう寝てしまいました。電話でこの素晴らしい知らせを伝えます」って(笑)。
柳楽 中学校の試験があって、僕は一足先に日本に帰っていたんです。
タランティーノ 是枝さんから電話で知らせを聞いて、どうだった?
柳楽 是枝さんはたぶん、作品に対する賞をもらえると思ってたんじゃないかなと…。なんとなくみんながそれを期待しているような雰囲気だったので、僕がとっちゃってよかったのかな? って(笑)。
タランティーノ アハハハハ!
柳楽 受賞後は大変でした。当時14歳で、それまでプロの役者として活躍していたわけでもなく、俳優としてのキャリアを歩み始めたばかりだったので。

多くの人たち、とくに映画業界の人たちからの期待も大きすぎたし、かといってその期待に常に完璧に応えられたわけでもなく…。役者のスキルも向上させなきゃいけなかったし、毎回、戦っていました。
タランティーノ 若かったし、学ばなくちゃいけない部分もあったろうしね。でも同時にたくさんのチャンスもあったんじゃない?
柳楽 はい。そういう意味で本当に得がたい経験をさせてもらったと思います。

『バトル・ロワイアル』を見て、栗山千明をGOGO夕張役に抜擢

対談前、「15年前に直接、顔を合わせていないからなのか、(タランティーノ監督と会うことに)あまり実感がわかないというか、緊張はしていないです。緊張というより、『おぉっ! スゴい人がいる』という感じです」と語っていた柳楽。とはいえ、やはり自身の人生に大きなきっかけをもたらした人物という意識は強いようで、以前からタランティーノ作品はすべて見ているという。
柳楽 監督の作品は全部見ていますし、大好きです。
タランティーノ ホント? とくに好きな作品はある?
柳楽 個人的に今回の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はすごく好きです、(レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの)ふたりも素晴らしかったですし。この作品もそうですが、監督の映画ではいつも女優さんが魅力的です。どうやって女優さんを選んでいるんですか?
タランティーノ 作品によるんだけど、たとえば『ジャッキー・ブラウン』(‘97)の場合、主演のパム・グリアは当て書きだったんだ。

あと覚えているのは、『パルプ・フィクション』(‘94)の前に、ブリジット・フォンダと顔を合わせたんだけど、残念ながらそのとき彼女に合うキャラクターはなかった。でも、ぜひいつか一緒に仕事をしたいと思っていて、『ジャッキー・ブラウン』でメラニーという役を書き始めたときに「これはブリジットにいいんじゃないかな?」と思ったんだ。
柳楽 へぇ、そうだったんですね!
タランティーノ 『デス・プルーフ in グラインドハウス』(‘07)では、女優の多くをオーディションで選んだんだけど、ゾーイ・ベルに関しては、カンヌで受賞したときの君と同じように、女優としてのキャリアはほとんどなくて(※ゾーイはそれ以前、女性スタントとして活動し、『キル・ビル』でも主演のユマ・サーマンのスタントを務めた)。

でも彼女なら絶対にできると思って、本人役を当て書きしたんだ。彼女は「本当に私で大丈夫なの?」って言ってたけど、僕は「絶対に大丈夫! 僕がちゃんとケアするから」と伝えたんだ。

まさにケース・バイ・ケースだね。『キル・ビル』のときはユマのことを考えていたし、(同作に出演している)栗山千明は『バトル・ロワイアル』(‘00)を見て、『キル・ビル』のGOGO夕張役にいいなと思ったんだ。

世界で活躍する俳優には、人をハッとさせる“何か”がある

栗山さんもそうですし、クリストフ・ヴァルツ(オーストリア出身/『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ 繋がれざる者』などに出演)など、国境を越えて監督の作品に出演する俳優さんも多いです。監督が考える、世界で活躍する俳優の条件を教えてください。
タランティーノ 興味深い質問だね。それにぴったりの答えと言えるかどうかはわからないけど、(今作でも描かれる)1960年代の映画の素晴らしいところのひとつは、いろんな国の俳優が国境を越えて、アメリカやイタリア、フランスで活躍していることだと思う。

そこで名前を知られるようになり、いずれボンド映画(『007』シリーズ)に出演するようになったりね。そういうケースが現代では減ってきているような気がするね。

そんな状況でも、ペネロペ・クルスはスペインでの活躍を足がかりにアメリカで活躍しているし、アントニオ・バンデラスやハビエル・バルデムもそうだね。彼らに共通しているのは、豊かな才能を持っていることはもちろんだけど、見る者をハッとさせる特別な“何か”をどこかに備えているということかな?
監督が起用された俳優の方々にも、そういった“何か”は共通していますか?
タランティーノ アジア系であれ、スペイン系であれ、同じくらいの実力の俳優をロサンゼルスやニューヨークで見つけることができるなら、あえて国境を越えて彼らを起用する理由はないよね? 制作上の事情から、アメリカ国籍の俳優を起用しなくちゃいけない場合もあるしね。

だからこそ、国籍に関係なく「この人じゃないとこの役は務まらないんだ!」という特別なものが必要になってくるんだ。
柳楽 なるほど。
タランティーノ これまで、たくさんの俳優に参加してもらったけど、その中でも栗山千明は、僕の作品における海外出身の女優の中でもベストのパフォーマンスを見せてくれた女優であり、キャラクターに息吹を吹き込んでくれたと思う。

アメリカ人でもGOGO夕張が好きだという人はすごく多いんだ。いまだにハロウィンでGOGOのコスプレをして、鉄球付きのチェーンを持って練り歩いている人を必ず見かけるよ!
クエンティン・タランティーノ
1963年3月27日生まれ。アメリカ・テネシー州出身。監督・脚本に加えて出演もしている『レザボア・ドッグス』(‘92)でデビュー。次作の『パルプ・フィクション』はカンヌ国際映画祭パルムドール(最優秀作品賞)、アカデミー賞脚本賞などを受賞し世界的ヒットを記録する。その後も『キル・ビル Vol.1』『キル・ビル Vol.2』、『イングロリアス・バスターズ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』など話題作を次々と世に送り出す。日本映画の熱烈なファンとしても知られており、三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』にも出演している。
    柳楽優弥(やぎら・ゆうや)
    1990年3月26日生まれ。東京都出身。A型。初めてオーディションを受けた是枝裕和監督作『誰も知らない』で主役を射止め、カンヌ国際映画祭において史上最年少&日本人初の男優賞を受賞。主な出演作に、NHK連続テレビ小説『まれ』、ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、映画『ディストラクション・ベイビーズ』、『銀魂』シリーズ、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』のほか、近年の出演作に映画『夜明け』、『泣くな赤鬼』など。2020年に田中泯とのW主演映画『HOKUSAI』が公開予定。

    映画情報

    映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
    大ヒット上映中
    http://www.onceinhollywood.jp/

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