こんな八代 拓、見たことない。スーツをまとった彼と、ファインダー越しの私の世界
仕事でミスをした。その場にいるのが嫌で、自分の席を抜け出し、屋上に向かった。手すりに、探していた人影が見える。先輩だ。
「どうしたの?」。その声に心臓がドキッと跳ねる。
「なんでもないです、大丈夫です」。私の嘘を、先輩はすぐに見抜く。「お疲れさま。無理しないでね」。柔らかい声が私を包みこむ。先輩と少し言葉を交わしただけで、ネガティブな気持ちはどこかに消えていった。
どんなに忙しいときも笑顔を絶やさない先輩は、上司からも部下からも信頼が厚い。もちろん女性社員からも人気だ。入社1年目の私も、出会ってばかりなのに惹かれている。
スーツ姿の先輩は、まるでファッション誌から飛び出してきたモデルのようで――妄想が捗る、そんな午後。
スラッとしたスタイルでスーツを着こなし、“現実と非現実”という撮影オーダーに応えてくれた八代 拓。2018年に第12回声優アワード新人男優賞を受賞し、『アイドルマスター SideM』や『KING OF PRISM』シリーズなど、人気作に次々と出演する、今注目の若手声優だ。
インタビューや撮影で見せた、真摯で謙虚な姿。そして何よりまぶしい笑顔。今勢いに乗る八代 拓とは、周りが愛さずにはいられない人だろう。
スタイリング/石橋修一 ヘアメイク/フリンジ
衣装協力/ダブルブレステッドスーツ¥84,000、シャツ¥16,000、タイ¥13,000、チーフ¥9,000(すべてブラックレーベル・クレストブリッジ/SANYO SHOKAI SANYO SHOKAI カスタマーサポート:tel.0120-340-460)、シューズ¥19,000、ベルト¥6,900、タイバー¥3,900(すべてクラウデッド クローゼット/クラウデッド クローゼット 越谷レイクタウン店:tel. 048-930-7224)
スーツは1着。大学入学時に買ったものを着続けています
- まずは撮影の感想を聞かせてください。
- スーツは普段全然着ないので、鏡に映った自分が自分じゃないような、新鮮な感覚でしたね。髪型もスーツに合うものにセットしていただいて。
- スーツもヘアスタイルもすごくお似合いです!
- 本当ですか?(笑)自分では何だか不思議な感じです。
- 屋内での撮影ではファッション誌の一コマのような非現実的な八代さんを、逆に屋外での撮影は普段の八代さんに近いイメージで…といったオーダーをさせていただきました。
- はい。とくに屋上の撮影では、ひとりでたそがれているようなイメージや、やってきた後輩の子に微笑みかけるようなイメージ、と言っていただいていました。
僕は撮影のとき、けっこう「演じる」ことが多いんです。もちろんそれは「自分として」ではありますが。なのできょうの撮影もイメージがわきやすかったですね。
- 男性のスーツ姿は女性がキュンとするポイントなのですが、そんな女性の気持ちは八代さんもわかりますか?
- 具体的に「ここがいいです!」とか、「このしぐさがグッときます」とかはわからないのですが、僕もスーツを着こなす女性を見ると素敵だな!と思うので、女性のみなさんもその逆なのかな?って。そう考えるとわかるなと思います(笑)。
- さきほど「普段はスーツを着ない」とお話されていましたが、たしかに声優のお仕事だと着る機会は限られますよね。
- 普段は冠婚葬祭くらいです。直近だと、友達の結婚式で司会をしたときでした。
それ以外だと、8P(エイトピース)という若手男性声優が集まってバラエティや朗読をするグループに所属していまして、そこで衣装として着ることはあります。 - スーツを選ぶ際のポイントはありますか?
- 本当にお恥ずかしながら、スーツは大学の入学式用に母から買ってもらった1着しか持っていなくて…。自分ではまだ買ったことがないんですよ。
- それはいわゆるスタンダードなタイプの?
- そうです、そうです。超オーソドックスな、就活生が着るリクルートスーツです。今でもそれを着て結婚式に出ているので、毎回ちょっと恥ずかしいです(笑)。
- スーツに憧れはありますか?
- 電車に乗ったときに、スーツ姿でバシッと決めている会社員の方を目にしたり、会社勤めの友達とご飯を食べるときに、向こうがスーツで来たりすると「やっぱりカッコいいなぁ!」と思ったりはしますね。
- 着方も、ネクタイなどでオシャレに見せられたりしますしね。
- 一度、父の日にネクタイをプレゼントしたいなと思ったことがあったんですけど、自分にネクタイの知識がなさすぎて断念してしまいました(笑)。
用途によって色や形もさまざまですし、スーツも奥が深いですよね。
小学校の先生と声優を天秤にかけた、大学生時代
- 同世代のご友人には、普段スーツで働いている方が多いのでしょうか?
- そうかもしれないです。というのも、僕、大学は教育学部で小学校の先生になる勉強をしていたので、教師の友達が多いんです。
ただ実際、小学校の先生をしている友人に聞いたら、「だんだんとジャージの比率が多くなってくる」とは言ってましたけど(笑)。 - では、八代さんご自身がスーツ姿で働いている姿は想像できますか?
- わりと容易に想像できます(笑)。
- もし声優という今の道に進んでいなかったら、何をしていたでしょう?
- たぶんそのまま小学校の先生になっていたと思います。ただ僕はスポーツが好きなので、生徒と一緒に校庭で遊んでいるような、それこそジャージの比率が高い先生になっている気がします(笑)。
声優も小学校の先生も、どちらも本当になりたかったものなんです。でもたまたま声優を目指せるタイミングがあったので、そっちに進んだんですよね。
- 声優の道に進むかどうかは、最後まで悩まれていたのですか?
- 小学校の教員になるための単位はすべて持っているんですけど、ひとつだけ足りていないものがあって、それが教育実習に行くことだったんです。
教育実習の期間は1ヶ月間で行き先は母校と決まっていて、僕は岩手出身なので岩手に行かなければいけなかったんですが、その頃すでに事務所にも所属していて、定期的な仕事が決まりそうなタイミングだったんです。それで親や事務所の方や先輩と話して、ふたつを天秤にかけた結果、声優の道に進んでみようと。
教育実習は後からでも行くことはできますから。人生は一度きりですし、チャンスがあるなら今は声優をやってみよう!と。 - そうだったんですね。
- そうして参加したお仕事で、以前うちの事務所に所属していた大先輩・森久保祥太郎さんともご一緒できましたし、ほかにもいろいろな出会いがありました。だから結果的にはこれでよかったなと思っています。
- 話が少し逸れますが、森久保さんもスーツをカッコよく着こなされる印象があります。
- 森久保さんは、ご本人がオシャレでいらっしゃいますから!
ただちょっと…僕と森久保さんがスーツ姿で並んでいたら、親分と子分感がありません…? あはは、森久保さんを(インタビューに)巻き込んじゃった(笑)。
仕事へのポリシーは「できるだけもったいないことをしない」
- 2013年にデビューされてから6年。今では多くの作品に出演されるなど、八代さんを取り巻く環境は変わってきたと思います。
- 2013年から変わっている部分を挙げると、多すぎるかもしれません。僕はけっこう影響されやすいタイプなので、仕事への向き合い方だったり、考え方、捉え方は、週ごとに変わっているとも言えるくらい。
ただ、最初から持っている「とりあえずやってみる」、「やってみてから考える」ということは、絶対に変えたくないなと思っていて。
ありがたいことに、声優としていろいろな仕事をさせていただけるようになっているからこそ、やる前から「これは無理そう」と考えるよりも、「せっかくならやってみよう!」と考えるようにしています。結果的にお芝居にも還元できたらいいなって。 - もともと、どんなことに対しても「まずはやってみよう」と考えられる性格なのですか?
- 僕は人より鈍感というか、頭の回転が遅くてですね…(笑)。物事に対して、「これをやったらたぶんこうなっちゃうな」とかが、すぐに判断できないんですよ。
だからまずやってみようと。やってみないとわからないのは弱点なのかもしれないですけど、予測ができないぶん本気で体当たりできると思います。
この性格は一生付き合っていくしかないですね(笑)。
- 4月からはTVアニメ『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』や『BAKUMATSUクライシス』など、シリーズ作品の最新作にご出演されています。同じ作品に続投できる喜びを感じますか?
- 作品が続けばそのぶんキャラクターのことをより深く知ることができるので、嬉しいです。
続いたということは、それを楽しんでくださったみなさんがいるということなので、何よりそれが一番嬉しいですね。続きものに関われるときは「本当にありがとうございますっ!!」という気持ちで臨んでいます。 - 逆に、そうした作品での難しさはありますか?
- ストーリーや作品内の時間が進むと、キャラクターも絶対変化するじゃないですか。その変化と、役の根幹にある変わらない部分のバランスを取って、しっかり説得力のあるお芝居ができるか、というのは難しいところですね。
行きすぎてしまうと前のシリーズと違う人に見える、ということにもなりかねないですし、逆に何も変わらないのもつまらないと思いますし。そこのバランスは難しいですが、やりがいを感じるところでもあります。
- 八代さんがお仕事に臨まれる際、大切にされていることを教えてください。
- 「できるだけもったいないことをしない」でしょうか。
どんなお仕事でも、ただこなしただけだと得るものってないと思うんです。その時間の仕事をしただけ、ただそこにいただけ…。それでは、やっているほうもつまらないでしょうし、その仕事をお願いしてくださった方も嫌じゃないですか?
だからその時間でしっかり何かを得られるように、もっと言うと楽しめるように、ということを大事にしています。
ひとりで仕事をすることって、基本的にないんですよね。アフレコもそうですし、撮影もイベントもそうで。全部ひとりでできるのであれば好きにやってもいいと思いますが、実際は誰かと一緒にやっているので。
その仕事に関わる全員が楽しんで、何かが生まれて、そこから何かを得られて…という循環ができれば、絶対にいいものが生まれてくると思っています。
「拓は人に興味ないの?」と言われた時代がありました
- 友人や仕事仲間とコミュニケーションを取るときに、八代さんが大切にされていることは?
- う〜ん、そうですね…。僕もコミュニケーションについては悩み続け、何なら今も悩んでいるんですよ。
- 社交的な印象があったので少し意外です。
- 僕もいろんな時期を経ていて(笑)。
もともと小さい頃は、何でも言いたいことを言う子でした。でもそれで中学時代にうまくいかなくなって、このままじゃダメだな…と気づいたんですね。それから少しひとりで過ごす時期もあったんですけど、やっぱりひとりじゃ楽しくないなと。
それで自分の言いたいことだけ言ってもダメなんだ、人のことを考えなくちゃ!って、今度は人のことばかり気にするようになっていきました。要は「嫌われないように」人と接していたんですよね。
そうしたら今度は大学と養成所時代に、「拓は人に興味がないの?」と言われてしまったんです。僕としては「え…どういうこと!?」って。「嫌われないようにしなきゃ」という気持ちが先行しすぎて、自分の話もしなければ人の話にも深入りしないでいた自分に気づいて…。
- 相手に踏み込めないでいたんですね。
- ええ。すごく浅〜いところだけで会話をしていたんです(笑)。その結果、「悩み続けてもいい」という結論にいたりました。たぶん、コミュニケーションの問題って答えがないんですよね。
「どうやってコミュニケーションを取ればいいのかな?」としっかり考えてさえいれば大丈夫、というのが僕の結論です。 - なるほど。
- 悩んでそれで塞ぎこんでしまったとしても、それは絶対に無駄じゃない。もし考え込んだ末に、ちょっと空気が読めないことを言ってしまったとしても、それも経験。
「考えた」という過程があれば、そのコミュニケーションがたとえ失敗だったとしても、受け取る相手って意外とそれを不快に感じないし、察してくれるものだと思います。
- たとえば先輩とLINEをしているときに、どのタイミングでスタンプを押そうか…と悩むのですが、何か解決策はありますか?
- 先輩が押したら自分も押す、というのはどうでしょう? 自分が押しているのに「こいつスタンプを送ってきて失礼なヤツだな!」と思う人はいないと思いますよ!
コミュニケーションって、どう転ぶかわからないから難しいですよね。だからみんな悩んでるよ!と思っていれば、気が楽になるんじゃないかな?
「意外とみんなそうだよ、自分だけじゃない、だから大丈夫!」というのが、僕が最近感じていることです(笑)。
- 八代 拓(やしろ・たく)
- 1月6日生まれ。岩手県出身。B型。2013年に声優デビュー。2016年『タイガーマスクW』の東ナオト/タイガーマスク役で初主演を務めた。2018年には第12回声優アワード新人男優賞を受賞。主な出演作品は、『アイドルマスター SideM』(柏木 翼)、『ドメスティックな彼女』(藤井夏生)、『千銃士』(ブラウン・ベス)、『B-PROJECT〜絶頂*エモーション〜』(寺光遙日)など。4月放送期のTVアニメ『BAKUMATSUクライシス』、『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』、『なむあみだ仏っ!- 蓮台 UTENA -』に出演中。
サイン入りポラプレゼント
今回インタビューをさせていただいた、八代 拓さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
- ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
\#スーツ男子、最高…!/#八代拓 サイン入りポラを3名様にプレゼント!
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年4月8日
・フォロー&RTで応募完了
・応募〆切は4/14(日)12:00
インタビューはこちら▼https://t.co/LpCy5ofQ8B pic.twitter.com/ARyZ4Amf77- 受付期間
- 2019年4月8日(月)12:00〜4月14日(日)12:00
- 当選者確定フロー
- 当選者発表日/4月15日(月)
- 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
- 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月15日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき4月18日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
- キャンペーン規約
- 複数回応募されても当選確率は上がりません。
- 賞品発送先は日本国内のみです。
- 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
- 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
- 当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることができません。
- 賞品の指定はできません。
- 賞品の不具合・破損に関する責任は一切負いかねます。
- 本キャンペーン当選賞品を、インターネットオークションなどで第三者に転売・譲渡することは禁止しております。
- 個人情報の利用に関しましてはこちらをご覧ください。
ライブドアニュースのインタビュー特集では、役者・アーティスト・声優・YouTuberなど、さまざまなジャンルで活躍されている方々を取り上げています。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。
記事への感想・ご意見、お問い合わせなどは こちら までご連絡ください。