限界に挑む若手俳優たちを支える仕事――。殺陣師・六本木康弘から見た2.5次元舞台

迫力のアクションで観客を圧倒する2.5次元舞台。そのスタッフクレジットに目を移すと、ある名前をよく目にすることに気がつく。それが、殺陣師・六本木康弘だ。

舞台『文豪ストレイドッグス』、『ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018 〜The End of 希望ヶ峰学園〜』、体内活劇『はたらく細胞』など、殺陣・アクション指導として関わった舞台作品は数知れず。同時に複数の舞台の殺陣を掛け持ちすることもある売れっ子だ。

六本木は今、舞台『メサイア トワイライト ―黄昏の荒野―』の現場にいた。『メサイア』はいち俳優だった自分に「殺陣師」という新たなキャリアをもたらした記念碑的作品。それだけに思い入れも深い。

『メサイア』には無限の可能性を秘めた若手俳優たちが集う。彼らを導き、最高の舞台を作り出す裏側で何が起きているのか。熱狂する2.5次元舞台ができあがるまで、ひたむきに努力を重ねる彼らの姿を、人気殺陣師が証言する。

撮影/すずき大すけ 取材・文/横川良明
六本木康弘(ろっぽんぎ・やすひろ)
1984年8月19日生まれ。東京都出身。A型。ジャパンアクションエンタープライズ所属。俳優として活躍したあと、2014年、舞台『メサイア ―白銀ノ章―』に殺陣師として初めて参加。以降、2.5次元舞台を中心に活躍の場を広げていく。主な殺陣指導作品に、舞台『メサイア』シリーズ、舞台「遙かなる時空の中で」シリーズ、浪漫活劇『るろうに剣心』など。

JAEを経てスタントの道へ。特撮現場での下積み時代

2013年に上演された舞台『メサイア ―銅ノ章―』を皮切りに、舞台・映画・ドラマと多彩な展開を繰り広げてきた『メサイア・プロジェクト』。

孤高のスパイ集団、警備局特別公安五係――通称“サクラ”。その候補生である若者たちの苛烈な戦いと高潔な友情を描いた本シリーズは、ファンの熱狂的な支持を集め、初演から6年が経った今なお新作を重ねるロングヒット作品となっている。

中でも見せ場として知られるのが、サクラ候補生による凄絶なアクション。銃と肉弾戦による立ち回りはその迫力もさることながら、ときに台詞以上に、アクションが登場人物の生き様を語っているのだとファンから愛されている。
六本木さんにとって『メサイア』は、2014年に上演された『―白銀ノ章―』で俳優として出演されたのが最初でしたね。
そうですね。(サクラと対立する)評議会メンバーの定石 充という役でした。
ご経歴を拝見すると、初めはスタントマン志望だったんですよね。
そうなんですよ。高校までずっとバスケひと筋で、いざ進学というときに、もともと運動神経が良かったこともあって友達から「スタントマンをやってみたら?」と勧められまして。そのひと言がきっかけで、やってみようかなと。
それで、JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)に?
オーディションに合格した人たちはJAEに正式な所属になる前に、1年のあいだ養成所に通うんですけど、そこがもう地獄でした(笑)。ひたすら基礎体力の強化で、毎日のように腕立て、腹筋、背筋を100回×計3セット。できない人間は容赦なくふるい落とされるスパルタ式なんです(笑)。

当時の同期はたしか40人ぐらいいたんですけど、1年が経って一緒に卒業できたのは半分の20人ぐらい。非常にハードでしたが、おかげでアクションの基礎をみっちり叩き込んでもらえました。
養成所を卒業してからは、どんなお仕事を?
東映の特撮ヒーローの現場に行かせてもらいました。僕が参加していたのは、『仮面ライダー響鬼』や『仮面ライダーカブト』の頃です。最初は先輩のサポートというかたちで現場に就いて、特効(特殊効果)さんやカメラマンさんなど、スタッフさんのお手伝いをしながら現場の流れを学びます。

少しずつ慣れ始めたところで次はスーツアクターです。ショッカー役からスタートして、怪人役、ライダーの3番や4番目と少しずつステップアップしていく。主役のライダーを務められるのは、この世界でもトップの人だけ。それだけ名誉のあるポジションなんですよ。
舞台作品に携わるようになったのは?
2007年にミュージカル『エア・ギア』という作品があって、同期がアンサンブル(役名のない登場人物)で参加していたんですけど、本番1週間前に怪我で出られなくなってしまったんです。それで急きょ、僕が代役として出演することになったのがきっかけです。

そのあと、今度はミュージカル『DEAR BOYS』という作品に、アンサンブルではなく役付きで呼んでいただきました。でも、あくまで裏方であるスタントと、自分が表に出る役者では、まったくの別世界。

最初は自分が俳優なんて考えてもいなかったんですけど、せっかく声をかけてもらえるならと、しばらくアクションのできる俳優というのを強みに活動していたんです。

同世代の俳優と対等に戦えるフィールドが「殺陣師」だった

そんな流れで、『メサイア』にも出演することに。
この『―白銀ノ章―』が僕の殺陣師としての初めての仕事だったんですよね。
きっかけは何が?
(三栖公俊 役の)龍ちゃん(中村龍介)です。龍ちゃんとはその前に『鬼切丸』という舞台で共演したのですが、僕がちょこちょこと殺陣について意見を言っているのを見ていたみたいで。

まだ『メサイア』に殺陣師がいなかったこともあって、「やってみたら?」と推薦してくれたんです。
でも、いきなり殺陣師を「やってみたら?」と言われても相当戸惑うのでは?
当時は(同じ評議会メンバーである岸谷利也 役の)新田健太くんもいて、彼と二人三脚でやってる感覚でしたね。

あと、これは今も変わらないことですが、僕の殺陣は自分ひとりの頭の中であれこれアイデアを膨らませるんじゃなくて、みんなで一緒に作るのが信条なんです。だから、そこまで特別な気負いはありませんでした。
この作品をきっかけに殺陣指導のお仕事が急増して、今ではすっかり殺陣師として定着しました。
やってみたらものすごく楽しかったんですよね。それに当時は、ちょうど「2.5次元」と呼ばれるカルチャーがどんどん広まり始めたタイミング。そこには自分と同世代の若い俳優さんたちが身を削って舞台に立っていた。自分が彼らと対等に戦えるフィールドは、俳優ではなくこっち(殺陣師)なんじゃないかと思いました。

その考えがすごくしっくりときて、あまり迷わず殺陣師の世界に身を投じようと覚悟を決められたんです。

凌と健斗の“凸凹アクション”は絶対に見せたかった

『メサイア』シリーズでは、これまで数々のメサイア(孤独なサクラが唯一心を許せるパートナーのこと)が生まれてきました。メサイアごとに殺陣のつけ方にも違いはあるのでしょうか?
ありますよ。やっぱりそれぞれのキャラクターや演じる俳優の個性を活かすことが大事ですからね。
たとえば、どんな違いが?
海棠鋭利(松田 凌)と御津見 珀(小野健斗)だったら、身長差を活かした“凸凹アクション”が見せ場です。

とくに『―翡翠ノ章―』のシーンで、芹沢(寿里)と珀がウイルスをめぐって激しくもみ合う中、鋭利が珀の背中のうえを回転するようにしてウイルスを奪うというシーンがあるんですけど、あれはふたりならではのアクションですよね。
▲『メサイア ―翡翠ノ章―』(2014年8月20日〜24日に公演)
正直、難易度が高いので失敗するリスクもある。わざわざ無理して入れる必要はない技です。でも、やっぱり見た目がカッコいいし、何よりふたりが「絶対にこれがやりたい!」と言ってくれた。そこは意志を持ってやり通しました。
たしかにあの場面の3人の格闘は迫力がありました。
また、『紫微ノ章』から参加した護(赤澤 燈)と淮斗(廣瀬大介)の場合だと、護はもともと公安四係所属のエリート。だから警察官らしいアクションというのを意識していた記憶があります。

たとえば、敵の背後にまわって羽交い締めにするといった拘束系の動きを多めに入れてみるとか。
淮斗に関してはいかがですか?
廣瀬はダンスが得意だったので、彼の持つ独特の崩した動きを積極的に取り入れていきました。攻撃は蹴り技が中心。回し蹴りがとてもキレイだったので見せ場にしよう、と考えていましたね。
なるほど。
あとは前回の『―月詠乃刻―』だったら、柚木小太郎(山沖勇輝)の背中とか。
背中ですか?
▲『メサイア ー月詠乃刻ー』(2018年4月14日〜22日、27日〜29日に公演)
小太郎って台本を読んでいると、背中の大きいイメージがあったんですよ。おっきー(山沖)もわりと大柄ですから、そこを活かしてなるべく背中で受けるアクションを多めに入れました。
そういうアクションシーンって、六本木さんが稽古日までに振付を考えて、役者のみなさんに図解しながら指導していくのですか?
殺陣師になりたての頃は家でいろいろ考えてましたね。今は完全にその場で作って、その場で教えてます。
えっ。それだと自分で考えた手を忘れたりしないんですか?
僕はアクションをつけるとき、1手1手の理由を必ず考えているんです。

たとえば今、こうしてみなさん(3人)とテーブルをはさんでお話してますよね? もしここで、みなさんに銃を突きつけられた場合、僕はどう反撃するか?

そう考えたとき、最初の1手は必ず目の前のテーブルをひっくり返すことから始まります。そうすれば3人の動きを同時に封じ込められますから。
ああ、なるほど。
逆にそれ以外の動きは考えられない。そんなふうに、ちゃんと理由を考えて、必然的な動きをつけていくから、自分がつけた動きを忘れることはないんです。

野戦病院のようにボロボロになりながら役に挑む俳優たち

歴代メサイアの中で、とくにアクションが上手だったのは?
『―悠久ノ章―』で卒業した井澤勇貴(有賀 涼 役)ですね。センスがずば抜けていました。
センスとは具体的に言うと?
彼の体はとてもニュートラルなんですよ。蹴り技の美しさは言うまでもないですが、そこにまったく無駄な力が入っていない。あれだけのアクションをこなしていながら、“何かをしようとしていない”ニュートラルさがあるんです。

とてもリアルな動きでありながら、エンタメとしての見せ方も心得ている。殺し屋の有賀が徐々に人間らしくなっていくさまを、アクションだけで完璧に表現していた点に驚かされました。
▲『メサイア ―悠久乃刻―』(2017年8月31日〜9月10日、22日〜24日に公演)
井澤さんが演じた有賀というキャラクターは、最初は人を殺すことに対して何のためらいもなかったのが、徐々に自分の痛みや相手の痛みを感じるようになっていきますね。
勇貴はそれをちゃんとアクションで表現していましたね。『メサイア』はそんなふうに回を重ねるごとに、役者のアクションが成長していくのも見どころだと思います。
では、最も成長度が大きかったのは誰ですか?
やっぱり燈ですね。稽古の最初の頃は体も細くて、本当に子鹿みたいでしたから(笑)。それがどんどん体もハートも強くなっていった。

燈は最終的には子鹿からペガサスになりましたね(笑)。
赤澤さんのスゴさはどんなところでしょうか?
ハートだと思います。とくに燈の場合、ほかのメサイアと違って、ひとりきりでやり遂げなくてはいけなかった。彼の卒業回『―暁乃刻―』は相当キツかったと思いますよ。

しかも『―暁乃刻―』は八百屋舞台(床が斜面になっている舞台のこと)になっていた。『メサイア』のアクション量で八百屋は、ハッキリ言って禁じ手だと思います。それをやっちゃいましたからね(苦笑)。
▲『メサイア ―暁乃刻―』(2017年2月11日〜19日、25日〜26日に公演)
「八百屋はキツい」という話はよく聞きますが、どういうところがキツいんですか?
八百屋って、床面が客席からちゃんと見えるぐらいの傾斜があると見栄えが美しいんです。でも、そうすると舞台は見た目以上に急な傾斜になります。

それだけの角度がある床で普通に立っている状態をキープするだけで、相当な筋力が必要です。つねに爪先立ちで歩くイメージです。

骨盤がずれるし、姿勢も悪くなる。『メサイア』の場合は、そこにアクションやアクロバットが加わるわけですから、役者にかかる肉体的な負担はものすごいことになります。
以前、山田ジェームス武さんと宮城紘大さんにお話を伺ったとき、「赤澤さんが舞台袖でよく倒れていた」という目撃情報が……。
そうですね。舞台裏は野戦病院みたいな状態です(苦笑)。みんなの足がテーピングだらけなんですよ。

本番が終わるたびにスタッフ総動員で役者たちのメンテナンスをするんです。専属のトレーナーさんだけじゃ手が足りないから、僕の知り合いのトレーナーにも声をかけたりして。

今でこそ笑い話ですが、燈は『―暁乃刻―』の本番中、あまりのしんどさに朝起きたら自然と涙が出ていたそうです。キャラクターとしても役者としても、それぐらいみんなギリギリのところで戦っているんですよね。
それだけ大変だと怪我のリスクもありますよね。
そうですね。ひとりひとりの能力や疲労具合を見ながら、ストップをかけるのも殺陣師である僕の仕事です。毎回必ず「大丈夫?」と確認はするようにしています。

とはいえ、そう聞くとみんな「大丈夫!」って答えるんですよ。なぜなら、そうやってボロボロになりながらも一切手を抜かずに本気で挑戦する姿こそが『メサイア』の真髄だから。身を削って、魂を絞って、誰ひとり嘘をつかず、役と物語に向き合う姿に、見る人は感動を覚えるのだと思います。

だから最後の最後では、僕たちスタッフは大きな事故や怪我がないことを祈って見守るしかない。公演中は常に心配が絶えません。誰ひとり欠けることなく無事に千秋楽を迎えられたときが、何よりホッとしますね。

アクションには、文系、理系、体育会系がある

お話を聞いていると、役者の性格や特徴を見抜くことが六本木さんの殺陣には欠かせないように感じますが、役者とのコミュニケーションはどうやって?
一番わかりやすいのは、やっぱり一緒にごはんに行って話すことですね。ただ、僕も忙しくて、なかなか最近はその時間が取れない。だから、最初の段階で得意なこととか、役者をやる前に何をやっていたかとか、いろいろと聞くようにしています。
オーディションに関わったりすることもあるんですか?
場合によってはありますよ。アクションオーディションというかたちで、実際に僕と組んでアクションをやってもらうことが多いですね。と言っても、ごくごく簡単なアクションですし、そこで見ているのはアクションの上手い下手よりももっと別のことなんですけど。
と言うと?
たとえば、左パンチ、左パンチ、右パンチで、避けて、アッパー。この5手のアクションを役者たちにやってもらうとしますね。そのときに僕が見ているのは、この一連の流れを彼らが「どうやって覚えるか」ということ。

そして、できる役者さんはちゃんとお芝居でアクションできるんです。自分なりにシチュエーションを考えて、相手を目で威嚇したり、自分の中で心情を作ったりしてアクションに入る。

アクションが終わったあとも、ちゃんと役になり切って決めポーズまでやる役者もいます。そういう役者さんはいいなと思います。
その人の身体能力やセンスって、アクションを見ていれば見抜けるものですか?
大体は見抜けますね。これは持論ですけど、アクションの動き方には文系、理系、体育会系とあって、ちょっと見れば、その人がどの系統なのかがわかります。
文系、理系、体育会系とは?
文系は、役の心情に寄り添いながら、動きの意味を追求するタイプ。理系は、1手1手の流れに合理性を求め、アクションの流れをロジカルに分析する。

そして体育会系は、とにかく体で反応するタイプで、アクションも本能的な感覚で覚えていきます。
歴代のメサイアたちでたとえると?
松田 凌はもともと空手をやっていたこともあって、体育会系。そのうえでちゃんとお芝居のアクションができる役者でしたね。小野健斗は決して体が動けないほうじゃないんですけど、自分なりの見せ方をわかっていて、最短コースで効率よくモノにできるタイプ。文系と理系の中間のところにいる役者でしたね。
▲『メサイア ―銅ノ章―』(2013年4月10〜14日に公演)
そういう性格も把握したうえで殺陣をつけるんですね。
殺陣師にとって舞台と映像の一番の違いは、「役者と会話できる時間がある」ことだと思うんです。映像はどうしても役者と話す時間が少なく限られてしまうので、あらかじめ決めたアクションを現場に持っていくしかない。

でも舞台なら、稽古を積み重ねる中で役者と会話をしながら一緒に作り上げることができる。そこが、醍醐味です。

もちろん中には運動が苦手という子もいます。でも、その子にだって必ず何かしらの個性があるんですよ。目の表情なのか、それともにじみ出る狂気なのか。その子だけの武器を発見して、その武器を最大限に活かした殺陣をつけてあげることが、僕の考えるいい殺陣師の条件だと思います。
なるほど。では、ほかの舞台を見に行ったときに、役者の殺陣を見て「自分だったら…」と考えることもありますか?
基本的には普通のお客さんとして見ているんですけど、ときどき「ん?」と思うことは正直あります。

やっぱりアクションって、起承転結という流れの大事なところで入るシーンですから、その流れをうまく回収してほしいと思います。

あとは役者の魅力を最大限に引き出しているかどうか。自分がよく知っている役者だったらなおのこと。「あいつなら、もっとできるはずなのになぁ」とか、つい考えちゃいますよね。

殺陣は、肉体的にも精神的にも「嘘をついちゃいけない」

六本木さんが『メサイア』の殺陣をつけるうえで最も大事にしていることは?
嘘をついちゃいけないこと、ですね。
どういう意味ですか?
メサイアたちの殺陣は、銃と肉弾戦が中心です。映像を組み合わせて派手に見せるんじゃなく、リアルなアクションにこだわっています。

スパイの世界なんて、普通に暮らしている僕たちからしたらフィクションの中の話でしかない。だからこそ、ちゃんとそこで彼らが生きて、必死に苦しみながら戦っていることをお客さんに感じ取ってもらえるような殺陣でなければならないと思っています。
たしかに『メサイア』は殺陣を見ているだけで涙が出たり、胸が切り刻まれたりするような気持ちになるときがあります。
やっぱり殺陣も物語ですからね。だから一度つけたアクションも、芝居の流れを見て変えることはよくあるんですよ。
それはどういうことでしょう?
稽古を重ねていくうちに、役者の芝居が最初とどんどん変わっていくことがあるんです。今回の『―黄昏の荒野―』でも、小暮 洵 役の真ちゃん(橋本真一)がすごく悩んでいて。ある日、稽古を見に行ったら、急に芝居が変わったんですよ。

役者の芝居が変わったら、それによるアクションも当然変わらなきゃいけない。「その感情でくるなら、次の殺陣はこうかな?」と真ちゃんと話し合いながら、芝居に合わせたアクションを柔軟にアップデートしていくんです。
『メサイア』と言えば、反発していたメサイア同士が関係を深め、最後は「背中合わせ」になって戦う“ニコイチ”的な展開にシビれるファンも多いと思います。そういうキャラクターの関係性の移ろいとアクションシーンの立ち位置って、相互関係があるのでしょうか?
もちろんあります。というか、台本を読み解きながらアクションをつけると、自然とそういう流れになるんですよね。

『メサイア』の基本構造は何かと言うと、メサイア同士、最初はあまり気が合わなくて喧嘩が起きる。そのあと、どちらかが窮地に陥ったとき、もうひとりが助けるか助けないかの葛藤が起こり、最後に共に戦うのが、ひとつの様式美になっていると思います。

その流れを丁寧に読み取って、1から100までアクションをつけていくと、自然と100手目が「背中合わせ」になるんです。
ちゃんと物語の流れに沿ったアクションだから心に響くんですね。
やっぱりちゃんと動きに必然性を持たせたいですからね。
そういう意味で、もうひとつ大事にしているのが視線の誘導。『メサイア』では舞台上を大勢の演者が入り乱れながらアクションを行います。そのときにお客さんにどこを見てほしいのか、自然と視線が行くようにフォーメーションを設計しているんです。

なぜかと言うと、『メサイア』ってアクションをしている途中で台詞を言うシーンが多いんですよ。そのとき、舞台上に人が多すぎると誰のセリフかわからなくなる恐れがある。僕は殺陣師として、アクションが物語の進行の邪魔になるのは良くないと思ってます。

お客さんが感情移入する妨げにならないように、ちゃんと殺陣を目で追いながらお話を把握できるような動きをつけることが大事なんです。

『メサイア』でしか得られないものが、たしかにある

最新作の『―黄昏の荒野―』はサクラ側ではなく、北方連合側のサリュート(山田)とスーク(宮城)が主役です。今回のアクションの見どころは?
サクラではできない、北方連合だからできるアクションをふんだんに盛り込まれていると思います。きっとアクションを通じて北方連合側の信念を感じてもらえるはず。

キャラクター別で言うと、サリュートはスマートで、生き様が伝わるようなアクション。対するスークはもっと荒々しくて人間的。プロレス技を取り入れるなど、今までのサクラにはなかったアクションを考えていますね。

全体で言うと、これまで『メサイア』シリーズで最もアクション量が多かったのは『−悠久乃刻−』でした。上演時間の半分近くがアクションシーンになっていた。今回はそれに匹敵するか、それ以上のアクション量になる。みんなの体が持つか心配です(苦笑)。
今回も身も心も追い込んだ過酷な舞台になるんですね。
こんなしんどい舞台、誰もやりたがらないと思います(笑)。でもしんどいからこそ、成長も大きい。『メサイア』を卒業した後、別の作品でまた一緒になると、みんなひと回りもふた回りも大きく見えるんですよ。そういう頼もしい姿を見たとき、本当にうれしくなります。

『メサイア』は決してキャスト変更がありません。その俳優に合わせた唯一無二のキャラクターを演じているんです。卒業して出番がなくなっても、彼らは決していなくなったわけじゃない。『メサイア』の世界のどこかで生きているんです。それだけ登場人物ひとりひとりへの愛情が深いと思います。
六本木さんの『メサイア』に、役者たちにかける熱意がよく伝わってきました。
肉体的にも精神的にもキツいし、とても特殊な舞台だけど、ここでしか得られないものは確実にあるし、やりがいも大きい。だから僕は『メサイア』が好きなんです。

まあ、卒業したキャストはみんな、きっと「もう二度とやりたくない」って言うでしょうけど(笑)。

公演情報

『メサイア トワイライト-黄昏の荒野-』
【東京公演】 2019年2月7日(木)〜17日(日)@池袋サンシャイン劇場
【大阪公演】 2019年3月1日(金)〜2日(土)@大阪メルパルクホール
http://messiah-project.com/twilight/
©MESSIAH PROJECT © 2019舞台メサイアトワイライト製作委員会
©2013メサイア舞台&映画製作委員会
©2015「メサイア翡翠ノ章」製作委員会
©2017 舞台メサイア暁乃刻製作委員会
©2017 舞台メサイア悠久乃刻製作委員会
©2018 舞台メサイア月詠乃刻製作委員会
©2019 舞台メサイアトワイライト製作委員会

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、六本木康弘さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年2月15日(金)12:00〜2月21日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/2月22日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから2月22日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき2月25日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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