新しい女性向けゲームを作りたい。『シンエンレジスト』が描く“抑制”と“反逆”。

擬人化モノ、アイドルモノ、歴史モノ…など、さまざまなテーマで作られる女性向けゲーム。スマートフォンがあればいつでも会え、楽しいときも悲しいときも一緒の時間を過ごせる。

ライブドアニュースでは、この夏にオススメしたい、3つの女性向けアプリゲームに注目。そのコンテンツを手がける制作サイドへのインタビューを通して、タイトルの裏側に迫る。

第3回は、6月26日にリリースされたばかりの『シンエンレジスト』。“抑圧された世界”、“反逆”というシリアスなテーマ性と、3DCGを駆使したバトルシステム。オルトプラスの山口大仁プロデューサーによると、これには「新しい女性向け」を作るという意図があったそうだ。

取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

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生活で“窮屈さ”を感じている人にプレイしてほしい

物語の舞台は、ビーストと呼ばれる殺戮マシーンがはびこる荒廃した世界・バスラル。人間(ロトゥン)たちは、死しか待ち受けていない、絶望的な環境を生き抜いている。プレイヤーは、「キョウジンレゾナイズ」という力を持ち、出会うキャラクターたちを「キョウジン化」させながら、抑圧された世界に立ち向かっていく。
本作の制作に至ったきっかけを教えてください。
2年前くらいに、弊社の本部長から「何か女性向けの企画を考えてほしい」という言葉があり、それを受けて女性のコンテンツディレクターが原案を考えたのがきっかけです。それを、今回共同制作に入ってくださっている、集英社キャラクタービジネス室さんに「こういった世界観、シナリオ、キャラクターの設定でゲームを作るので、ご協力いただけないか」と提案し、ものすごく共感していただいたんです。
集英社キャラクタービジネス室に提案されたのはなぜですか?
集英社さんは何作品も大ヒットコンテンツを生み出していて、コンテンツ作りにおけるプロ中のプロ。こちらで原案は考えましたが、それをいざ世の中に出していくときに、どうすれば多くの人の心に刺さる作品になるかは、プロに相談したほうがいいだろうと。
とくに『シンエンレジスト』は、“抑圧された世界における反逆”や、“男たちの友情・絆・努力”がテーマで、集英社さんの得意なジャンル。そういった物語を描くにあたり、いい意見をいただけるはずだと思いました。実際、アイデアの幅がスゴくて、シナリオもより深みが出たなと感じています。
企画を提案された時点で、今のような世界観、設定は決まっていたということですね。
そうです。それはうちの原案者がかなりこだわりを持って作っていました。
▲ストーリーを進めていくと、キャラクターたちのスチル(グラフィア)も見ることができる。
企画が上がってきたとき、山口さんはどのような印象を持たれましたか?
これまでの女性向けアプリゲームとは、まったく違う切り口になっていて面白いと感じました。オルトプラスとしても、似たものより、新しいものを作りたいという思いがあり、“反逆”、“抑制”、“男たちの絆”をしっかり描いた『シンエンレジスト』は、女性向けジャンルの市場でも、これまでにない、“第一人者”としてやっていけるタイトルになるという実感がありました。
たしかに、身近でわかりやすいテーマのタイトルが多いなかで、『シンエンレジスト』は難しくシリアスなテーマです。新しいという意味でも、そこが他作品との違いですね。
“戦い”や“絆”を取り上げている作品はたくさんあると思いますが、どうしようもないところからあらがい、戦って、乗り越えていくという点は、かなり本気で作っています。
ただ、ゲームのチュートリアルで、主人公(プレイヤー)が、バスラルに落とされる描写がありますよね。あそこはいろんな声をいただくんです。「展開が怖い」とか、「あそこで引き込まれた」とか。
断片的なストーリーが差し込まれて、何かを訴えかけるようなチュートリアルになっていますね。
チュートリアルを含む冒頭のストーリーは、ユーザーを引き込めるかどうかが決まるところなんです。本作は他作品に比べ長いんですが、しっかり『シンエンレジスト』の世界に入ってもらいたいとあの長さになっています。
今は幅広い層にプレイしていただいていますが、実際ターゲットに据えていたのは20代、30代の女性でした。日々、何かしら生活や社会のなかで抑圧を感じていたり、窮屈に思っている方に向けて作っていて。キャラクターたちがそういった世界から解き放たれるため戦う姿と重ねて、みなさんにも心の内を発散してもらえればいいなと思っているんです。
冒頭のストーリーで「今、あなたは幸せですか?」などと、プレイヤーに問いかける部分がありますが、そこも自分自身とリンクさせてプレイされた方も多いと思います。
そうなんです。しかもその答えの選択肢は「はい」しかないんですよね。そこも、“「はい」しか言えない抑圧”とリンクさせています。そういった演出はかなりこだわって作りました。

櫻井孝宏による“変態モード”の演技は、そのまま活かした

キャラクターはどういうバランスで作られたのでしょうか?
アベル(声/野上 翔)だったら、まわりを引っ張っていくような主人公タイプ、ムサシ(声/櫻井孝宏)だったら、クセの強いキャラクター…というように、最初に25人の個性や性格をしっかり考えたあとに、キャラクター同士の関係性を考え、細かい部分の設定を決めていきました。
性格についてはコンテンツディレクターが設定を決めて、シナリオチームで「このキャラにはどのようなバックボーンがあるのか」という細かい部分をブラッシュアップしていったかたちになります。あとは、全員の名前を英字にしたときに、頭文字のアルファベットがかぶらないようにしているんですよ。
▲アベル(声/野上 翔)
プレイヤーが最初に出会う青年。天真爛漫で常に前向き。まっすぐな性格で行動力があり、周囲を引っ張っていく。
「A」ならアベル、「B」ならバージェス(声/増元拓也)、「C」ならカデナ(声/土岐隼一)と…本当ですね。
はい。そういったところも同じキャラがいない、という点を意識しました。
キャラクターデザインを、マンガ家の成家慎一郎さんに依頼された理由を教えてください。
集英社さんにいろんな作家さんを紹介していただいたのですが、世界観に合うキャラクタービジュアルであること。そして、男性キャラクターを個々に魅力的に描いていただける方と考え、こちらから、ぜひ成家先生に!とお願いしました。
上がってきたイラストをご覧になっていかがでしたか?
もう、想定以上でした。当初、こちらもキャラクターひとりひとりの個性をしっかり出したいという思いが強かったのですが、実際に上がってきたものを見たら、体格はもちろんですが、目の形やライン、耳の形に至るまで、ひとりひとり成家先生のこだわりが描かれていて。おかげで、余すところなく全キャラクター、個性が光る魅力的なキャラクターにしていただけたと思っています。
初期案から変わったキャラクターはいますか?
カデナですね。最初はヘンゼル(声/永塚拓馬)と同じくらいの身長だったのですが、成家先生からのご提案があって今の身長になりました。性格面でいうと、クインシー(声/逢坂良太)に、過去と現在で性格の違いがあるというのは、キャラクターを作っていくなかで追加されたものです。
▲カデナ(声/土岐隼一)
好奇心旺盛で何事も楽しんでやるのがモットー。快活さと、いざというときの慎重さを持つ、頼りになる存在。
▲ヘンゼル(声/永塚拓馬)
常にマイナス思考で、口数が少なく消極的な発言が目立つ。体力がなく、激しい運動は得意ではない。
▲クインシー(声/逢坂良太)
陽気で男気がある豪快な性格。過去、さまざまな集団に所属していた際は、何度か問題を起こしていた。
あと、変わったという点ではないですが、収録のときに声優さんの演技を見て、当初思い描いていた雰囲気と違っても、そのまま採用したこともありました。とくに櫻井さんの演技がきらめいていて。
ムサシが“変態モード”になったときの演技でしょうか?
はい。 こちらの想像以上の“変態モード”だったのですが、そのほうがムサシらしさが際立つだろうと思い、櫻井さんの演技プランのままでお願いしました。
▲ムサシ(声/櫻井孝宏)
温和で人当たりがよく紳士的。ビーストの研究に余念がなく、ビーストのことになると周囲が見えなくなりがち。
キャスティングについてもこだわりがあったとか。
原案者のなかに声のイメージがしっかりできあがっていたので、ラポム役を諏訪部順一さんにお願いしたりと、そこに沿ってオファーをかけていきました。
▲ラポム(声/諏訪部順一)
主人公とともにバスラルに来た人工生物。ゲームでは主人公に多くの助言をしてくれる。常に空中を浮遊している。
トレノ(声/武内駿輔)とヴィント(声/西山宏太朗)は双子で見た目もそっくりですが、声質はまったく違いますね。
双子だから声が似ているというわけでなく、それぞれの性格や関係性を意識したうえでおふたりにお願いしました。
▲トレノ(声/武内駿輔)
双子のヴィント以外に興味がなく、協調性もあまりない。歯に衣着せぬ発言が多く、敵を作りやすい。
▲ヴィント(声/西山宏太朗)
双子のトレノに比べ、コミュニケーション能力に長け、トレノのフォロー役にまわることもしばしば。

女性が好む身体を目指して。筋肉の付き方を徹底追求

バトルシーンではキャラクターが3DCGで表現され、アクションなど細かな動きを見せます。最初から3DCGで描くと決めていたのでしょうか?
女性向けで、あそこまで戦闘シーンをリアルに描いているものってなかなかないですよね。テーマ的にもリアルに見せたいと考えていたのと、今はスマートフォンの性能もすごく上がっているので、最初から3DCGでやろうと決めていました。
ただ、3DCGでもキャラが3頭身くらいのものだと萎えてしまうんですよね。せっかく、ストーリーを「面白い」と感じていただいても、バトルシーンのクオリティが低くてはもったいない。ストーリーの熱い展開をそこでマイナスにはしたくなかったんです。
▲キャラクターたちは「通常攻撃」、「スキル技」、「必殺技」が使え、どの攻撃を繰り出すか、プレイヤーが画面をタップしコマンドを選択する。
たとえば、どんな部分にこだわったのですか?
キャラクターたちが必殺技を出すカットなどは、ベタなところなんですが、キャラクターがよりカッコよく見える部分なのでかなり修正しました。僕は以前、3DCGデザイナーだったこともあって、実際に(スタジオへ)行って、手取り足取り…じゃないですけど、「この剣は、ちょっと重いんでこういう動きになります」と、クリエイターさんとしっかり話し合って作っています。
▲銃や弓、刀、ムチなど、扱う武器はキャラクターによってさまざま。必殺技を使うと、武器をふるって技を繰り出すモーションが見られる。
身体付きもひとりずつ違うので、そこをブラッシュアップされていくのは、かなり時間がかかる作業だったのでは…。
とくに大変だったのは、キャラクターたちがキョウジン化して裸になるときに見える筋肉の付き方ですね。
最初は体脂肪率24パーセントみたいな、締まっているんだけどぽっちゃり、という感じのものが上がってきて。我々が求めているものは、ただ筋肉が付いていればいいというわけでなく……って何か変な話になってますか?(笑)
▲キャラクターがキョウジン化すると、目や髪の色が変化し、身体中に模様が現れる。本来の力が解放され、戦闘力が通常の倍以上に。
いえ、プレイされている多くの女性が気になる部分かと思いますので(笑)。
理想は、ボクサーとか水泳選手の締まった筋肉。なので「できるだけ体脂肪率を下げてください」というわかりにくい説明をしたり、「3DCGの画角だと通常より身体が大きく見えてしまうので、少し絞ってください」など、いろいろ調整をして、女性が好むような筋肉になるようにしています。「筋肉の会」みたいなものを作って話し合っていましたね(笑)。
筋肉の付き方もひとりずつ細かくオーダーされたのですか?
そこはあまり細かくやってしまうとクリエイターさんが大変になってしまうので、大柄なタイプ、小柄なタイプ、女性的なタイプ…と大まかにわけたうえで、それぞれの筋肉の付き方を意識してもらっています。
キョウジン化をする際に2Dのイラストがカットインされますが、この意図は何ですか?
3DCGでもカッコよさを意識して作っていますが、どうしても2Dのイラストとのギャップは出てしまうんですよね。最初はすべて3DCGで表現するつもりでしたが、そこもストーリーからバトルシーンになったときと一緒で、ユーザーのみなさんにガッカリしてほしくなかったというのがあります。
とくに、キョウジン化は逆転の一手…じゃないですけど、ピンチになったときに繰り出す必殺技なので、劇的な演出にしたかったんです。だからこそ、2Dと3DCGのイメージを損なわないよう追求した結果、あのかたちに落ち着きました。
バトルシステムもキャラクターたちに戦闘の指示を出す、操作性が求められるタイプです。
簡単にしている部分もあるんですけどね。先ほどもお話したように、メインターゲットは20代、30代の女性ですが、バトルパートに関しては、普段コンシューマーゲームや、スマホでRPGゲームをプレイされる方をメインターゲットに置いているんです。だからこそ、高いクオリティが求められるんですよね。

新しいものだからこそ、少しでも早くリリースしたかった

ペンキをイメージした、全体のアートワークも印象的です。
弊社のデザイナーが“反逆”をイメージしたデザインを考え、ストリートアートの発想を得てあのデザインになりました。ペンキのカラフルさも、たくさんのキャラクターがいて、“それぞれの混じり合わない個性”を表現しています。
最近は、タイトルを発表してから1年ほどの時間をかけ、キャラクターの認知度を高めてからリリースするアプリも多いです。本作は、昨年12月の発表から6月26日のリリースと、その点がスピーディーだった印象です。
じつはそこが一番苦労した点なんです。やはり、旬やタイミングは重要なのと、世の中にない新しい作品を打ち出そうとしているので、長い時間をかけてじっくり制作にあたるよりは、少しでも早くリリースしたかったんですよね。
先に同じようなものがリリースされてしまっては意味がないですもんね。
はい。そのスピーディーさは意識したところであり、大変なところでもありました。なので、気付いていただけてうれしいです。チームのみんなも泣くと思います(笑)。
改めて、リリースされてみての感触はいかがですか?
男たちの熱い絆や戦いにフォーカスした、読み応えのあるシナリオを集英社さんとしっかり作っているので、そういった部分やキャラクターの設定などに対して非常にいい反響をいただいている印象で、手応えを感じています。「ここで泣きました」とか「ストーリーを読み進めていて推しキャラが変わりました」とかいろんなお声をいただきます。
たしかに、ストーリーを進めていくとキャラクターの印象が本当に変わりますね。
僕もだいぶ変わりました(笑)。そういったキャラクターのギャップはしっかり描いていて、ユーザーの方にもご理解いただいているのかなと感じます。とてもいい波に乗っていて、自信にもつながっているので、今プレイしてくださっているお客さまに、引き続き楽しんでいただくためにどうするか、今後もしっかり考えていきます。
今はメインストーリーを進めて、気になるキャラクターや、推しキャラクターを見つけていただいている状況かと思います。まずはそこをじっくり楽しんで、彼らのことを知っていただけたらうれしいです。
難しい質問ですが、ユーザーに課金してもらうことについてはどのように考えていますか?
やはりキャラクターを好きになってもらうことが一番。キャラクターの新しい一面を見たいという願いを叶えるタイミングで、お客さまにお金を使っていただけると思っています。なので、そういった願いを叶えられる機会も、設けていきたいと考えています。
今後の展開が楽しみです。
キャラクターの日常が垣間見えるようなイベントを展開したり、本編ではなかなか絡まないキャラクター同士の会話劇を見せたりと、いろいろ仕込んでいます。メインストーリーでも感じていただいたキャラクターのギャップ…意外性みたいなところを、イベントをプレイすることでさらに感じていただけると思います。そこはしっかりご提供していきたいです。
さらに『シンエンレジスト』のコミカライズ版『シンエンレジスト【CURE】』が、7月19日発売の『ウルトラジャンプ8月特大号』より連載が開始されました。また新しい『シンエンレジスト』の世界が感じられると思います。イベント出展も考えていますので、今後の展開にご注目ください。
山口大仁(やまぐち・だいじ)
株式会社オルトプラス ゲーム事業本部 スタジオ1部 部長。大手コンシューマーゲーム会社、ソーシャルゲーム会社を経て株式会社オルトプラスに入社。

    ゲーム情報

    『シンエンレジスト』
    https://s-resist.jp/

    ©2018 オルトプラス / 集英社キャラクタービジネス室

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