山本美月のすさまじい変化球。華々しいイメージに隠された素顔
人はギャップに萌える。落差が人々の心をキュンキュンさせる。そんな中で、山本美月ほど、すさまじい変化球をいくつも持っている女性はそういない。モデル、女優として活躍し、アニメオタクを公言し、イラストもハンパなくうまい。さらに農学部出身の“リケジョ”で、家では食虫植物を愛でていて…。だが、そんな属性だけが彼女の魅力ではない。山本美月がカッコいいのは、彼女の持つ鋭い思考とその言葉の力ゆえである。
撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.監督にダメ出しされて、自信を失っていきました(苦笑)
- まずは映画『去年の冬、きみと別れ』についてお話をうかがいたいのですが、この作品、さまざまなどんでん返しが魅力であり、むしろあれこれと事前に余計な情報を入れないほうが楽しめるかと…。
- そうなんですよね(笑)。
- なので、発表されている内容のみに関してうかがってまいります。若き記者・耶雲恭介(EXILE/三代目J Soul Brothers・岩田剛典)が、世間を騒がせた女性焼死事件の容疑者である天才カメラマン・木原坂雄大(斎藤 工)に密着し、事件の真相を追うところから始まるサスペンスですね。最初に台本を読んだ感想は?
- 中盤で“あんな”ことがあって…(笑)、「え?」という感じで、私も完全にだまされました。
- 山本さんが演じたのは、耶雲の婚約者の松田百合子ですね。結婚前の大仕事に燃える耶雲を献身的に支えますが、木原坂は取材にのめり込む耶雲の目を盗んで、百合子に目をつけ、彼女も物語に大きく関わることになります。
- 演じるうえでは、自分なりにいろいろ考えていた部分はあったんですが、現場では瀧本(智行)監督がすごく細かく、それこそ「〇回、目を開けて!」「ここは瞬きをしないで」というレベルで演出してくださったので、監督に身をゆだねていました。
- これまで、あまり演じたことのない大人の女性という役どころでした。
- この作品の前に、声のトーンが高めのキャラクターを演じていたんです。そこからグッと大人の落ち着いた女性ということで不安はありました。監督はあまりほめる方じゃないので、現場でも「できているのかな?」とずっと不安でしたね。
- 監督はあまりほめないのですね。ダメ出しは…?
- たくさんありました。だから自信は失っていきますね(苦笑)。でも、いろんな監督さんがいるし、そこで身構えずに柔軟性を持って挑みたいといつも思っているので、(ダメな部分を)言ってくださるから、優しいなと思います。
「この人と結婚する」と決めたらブレない自信がある
- 百合子は耶雲との結婚を心待ちにしていますが、この部分に関しては…。
- 私も結婚願望がメチャクチャあるので、そこはすごく共感できました!
- 結婚願望は強いんですね。
- ずっと昔からですね。
- それこそ、小さな女の子が「将来の夢はお嫁さん」という感じで?
- たぶん、そこからずっとだと思います。
- 百合子は結婚の準備も耶雲と相談しながら楽しそうに進めていきますが、一方で耶雲は取材にのめり込み、百合子としては少し寂しさを抱くようなシーンもありますね。ご自身もいつか結婚することになって、そういうことがあるかも…と想像したりしましたか?
- 私は、たぶん百合子のようにはならないですね。(式のことは)全部、自分で決めちゃって平気だし、相手には式にさえ出てくれたらいいです。
- 「幸せなはずなのに、私、本当にこのまま結婚していいのかな…?」と不安になったりは…?
- そもそも、マリッジブルーになるような相手だったらイヤですね。マリッジブルーにならないくらい、本当に好きな相手と結婚したいです。
- 強いですね。
- 「この人と結婚する」と決めたら、ブレない自信はあります。
- では、結婚相手に求めるものは?結婚してこの先の生活をともにするうえで、どういう相手なら「この人と」と思えますか?
- きちんと話し合いのできる相手ですね。常識のある人かな…。
- 意見が食い違ったり、ケンカになったりしても話し合いができるということですか?
- そこはすごく重要ですね。話し合いにすらならない人って意外といますけど、きちんと意見を言い合える人がいいです。
- 山本さんは、ご自身のことを“理系脳”とおっしゃっていますが、もしケンカになったときも、わりと理詰めで相手を追い込んでいくタイプなのでしょうか?
- 理系的な部分も多いんですけど、意外と感情論で話しちゃう部分もあって(笑)、そこは中間かもしれないですね。だから、あまりにも心ない人は嫌ですね。
- 意見はきちんと言い合いたいけど、山本さんのほうもときどき感情的になっちゃう…? なかなか難しいですね(笑)。
- あまり論理的に語られても「そういう問題じゃないんだ!」とか思っちゃうんですよね(笑)。きちんと相手の感情をくみ取って、心で会話ができる相手がいいですね。
- そういう意味で、本作の耶雲は結婚相手としてはいかがですか?
- 素敵だと思います。誠実な男性ですね。
岩田剛典の印象は「本当にすごく華やかな世界の人」
- 岩田剛典さんとの共演はいかがでしたか?
- すごく真面目な方でした。ワンシーンごとにすごく考えて、集中されていて。現場でお会いしたときと、初号試写でお会いしたときでまったく雰囲気が違ったんですよ。それだけ現場では、役に入っていらしたんだなと思いました。
- 初号試写で再会されたときの岩田さんの印象は?
- 「三代目J Soul Brothersの岩田さん」という感じですね。
- そのひと言だけで、とても印象が伝わってきます(笑)。現場でお話されたりは?
- いえ、そんなにやり取りはなくて…。役柄に入っていたというのもあってか、ほとんどしゃべらなかったです。
- いま、プロモーションで取材などを一緒に受けることも増えて、少しは会話が増えてきましたか?
- 岩田さんはとても優しい方なので、いろいろと私のことを気遣って話しかけてくださいます。
- 気を遣って…?
- 本当にすごく華やかな世界の人じゃないですか、岩田さんは。気を遣っていただいて、申し訳ないなって。
- 山本さんの自己評価が低すぎでは…(苦笑)。
- 岩田さんは、グループで活動もされていたり、ファミリーが多いイメージがあって、お誕生日とかも盛大に過ごされているイメージがあるので。
- ちなみに、山本さんのお誕生日会は…?
- 私なんて、マネージャーさんと過ごすような人間ですよ…。
- 周りのスタッフから「マネージャーとお誕生日会…いい話や!(涙)」って声が(笑)。
- いやいや、友達と過ごしていない時点で、相当、寂しい人でしょ?(笑)