プレッシャーを「力」に、試練を「楽しみ」に変えて。Da-iCE花村想太の挑戦は続く。
デビュー5周年イヤーに突入し、勢いに乗るDa-iCE。ボーカル兼パフォーマーを務める花村想太が、新撰組の活躍を描いたもののふシリーズの最終章となる『駆けはやぶさ ひと大和』で初の単独主演を務める。積み上げてきたキャリアとは別のステージで主役を張る――それは一体、どれほどの重みなのだろう。実力ある役者たちとの稽古に刺激を受けながら、「人の何倍も台本を読み込まないと」と意気込みを語る花村。どんな状況をも「楽しみ」に変え、笑顔で乗り越えていくその姿勢は、もがきながらもそれぞれのステージで挑戦しているすべての人に勇気を与えてくれる。
撮影/川野結李歌 取材・文/古俣千尋 制作/iD inc.ヘアメイク/白崎詠子
初の舞台単独主演。演じる役柄は“めっちゃ弱い”男!?
- livedoorニュースでは、昨年4月に花村さんが出演した初舞台『ちるらん 新撰組鎮魂歌』以来、約1年ぶりのインタビューです。
- そうですよね、覚えてます! よろしくお願いします!
- 本題に入る前に…最近Twitterで「眠れない」とつぶやいていましたが、大丈夫ですか?
マジで眠れない。
— 花村想太 (@Da_iCE_SOTA) 2018年1月8日
最近。
平均睡眠時間2-3時間。
助けて。- なぜか目が冴えちゃって、寝つけないんですよね。きっと体が疲れきったら、勝手に寝てくれるだろうと思うんですけど…。でも昨日は寝られたので、今は大丈夫ですよ!(※取材が行われたのは1月中旬)
- 2018年はDa-iCEのデビュー5周年イヤーですし、ますます忙しくなりそうですよね。少しでも、寝られるようになるといいですね。
- はい、ありがとうございます!
- 舞台『駆けはやぶさ ひと大和』は、幕末に生きた男たちの姿を描く舞台で描くもののふシリーズの3作目。新撰組を題材にした今作で花村さんが演じるのは、動乱の中で散りゆく新撰組の姿を「絵」に描き、後世に伝えた主人公・中島
登 です。初の単独主演でもありますね。 - 舞台にはまた出てみたいなと思っていたので、どんな役かも聞かずに受けさせていただいたんです。そうしたら、まさかの主役で…。
- まさかの…なんですか(笑)?
- そうなんです。主演というだけでもプレッシャーなのに、人気シリーズ作品で、しかも最終章で。前作までの舞台を作ってこられたスタッフさんや出演者のみなさんの思いがありますし、ぼくが演じさせてもらううえで、絶対に失敗できないなという責任を感じています。
- きっと相当な重みですよね。これまで歌とダンスの世界で活躍されてきた花村さんですが、昨年、初めて舞台のお仕事をやってみていかがでしたか?
- 舞台もやっぱり「生もの」で、ライブと同じような感覚でした。稽古を重ねてセリフを本当に心の底から言えるようになってくると、舞台に上がっても、素の自分と変わらない感覚でいられたんです。すごくワクワクして、この世界をもっと知っていきたいなと思いました。
- そんな初舞台に続き、今回も新撰組の物語です。殺陣のシーンもありますよね。
- それが、あの…じつはですね。ぼくが演じる中島 登はめっちゃ弱い男なんですよ。だから、稽古が始まって3日ほど経ちましたが、まだ稽古では一度も刀に触れていなくて(笑)。
- え…めっちゃ弱い…んですか!?
- 中島 登は、いつも逃げてばかりの本当に気の弱っちい男の子なんです。もちろん、どうしても許せないときに刀を握るという武士(もののふ)らしい一面もあるんですが…。登は“とんちんかん”なところもあるけど、心の中は純粋な人。だから、そんな純粋さを伝えられるように演じたいですね。
- 花村さん自身と重なる部分はありますか?
- 登は芸術家肌なんですが、ぼくも歌ったり歌詞を書いたりするので、自分の体から発するものを形にする面が一緒かな。性格で似ているのは、調子がいいところ(笑)。誰にでもあると思うんですけど、エラい人の前では萎縮しちゃうのに、同等の立場の人にはエラそうにしちゃう、とか。すごく人間らしさがあるんですよね、登って。
- なるほど。見ている側も、親近感がわきますね。
- 新撰組の時代って「近藤さんのために、死ぬ覚悟で!」みたいに、みんなまっすぐじゃないですか。でも登はその場の勢いで行動しちゃう。主人公らしくないし、等身大の男の子だなと感じます。あと、現代っ子っぽいんですよ。すぐに逃げ出すし、かと思うと急にやる気を出すし(笑)。演じていて楽しいです。
- 作・演出の西田大輔さんとは、どんなお話をされましたか?
- 今はまだ前半部分の稽古中なんですが、西田さんが「もっと、ちゃらんぽらんにしていいよ」って言ってくださいました。前半部分で登を適当なヤツにすればするほど、後半部分の成長が見えてくるから、と。その魂の成長を表現するのが、ぼくの仕事かなと思っています。
すさまじい集中力とスピード感で進む稽古に驚き
- 稽古場の雰囲気はいかがですか?
- シリーズ1作目からのスタッフさんやキャストさんが、作品の雰囲気をばっちり作ってくださっていて、稽古はものすごい集中力とスピードで進むんです。ガッと集中してやって休憩。また集中して休憩…って。その短い時間内に凝縮されているものがスゴいんです。
- 密度が濃い稽古なんですね。
- たとえば普段のダンス練習だったら最低1時間半、新しい振りを覚えるときは3時間以上とか、休まず続けることもあるんです。だから、その違いもおもしろいなあって。
- どっちも相当ハードそうですが…。そこを「ツラい」じゃなくて「おもしろい」と言えてしまうのが、さすが花村さんです。
- あと衝撃だったのは、稽古初日から誰ひとり台本を手に持っていなかったこと。すごく焦ったんですけど、自分もその場で一生懸命覚えながら、やらせてもらいましたね。
- みなさんの舞台にかける意気込みを感じますね。最初はびっくりされたのではないですか?
- あ、今でもびっくりしてます(笑)。役者のみなさんと比べて、ぼくはまだまだ、全然できないヤツなので追いついていかないと。人の何倍も台本を読み込まないといけないんです。
- 主役で、セリフの量も多いですしね。
- 会話のセリフはまだいいんですけど、歴史的な状況を説明する長めのセリフがけっこうあって…間違えられないので、怖いです(笑)。知り合いの役者さんにセリフを覚えるコツを聞いたら、「その世界観や物語の内容を理解すると覚えやすいよ」って教えてもらって。歴史の勉強をする感じで、まずはしっかり自分で物語の状況を理解して、それをお客さんに伝えていけるように頑張っています。
- お仕事の合間や自宅でも練習を?
- そうですね。そういえばこのあいだ、Da-iCEで地方に行ったときにホテルで練習をしていたら、隣の部屋のメンバーに聞こえていて「あいつ、誰としゃべってんのかな?」って思われてたみたいです(笑)。
- (笑)。Da-iCEのメンバーのみなさんは、花村さんの舞台出演について何か言っていましたか?
- (岩岡)徹くんは「観に行くよ」って言ってくれました。(和田)颯は前回も2回観に来てくれたので、今回も来てくれるんじゃないかな。最近はふたりもお芝居をやっているんですよ。ぼくが舞台に携わることで、ふたりや、観に来てくださる方々に、少しでも刺激や衝撃を与えられたらいいなと思っています。