中条あやみが20歳を前に直面した試練。ふたつのハードルを越え、より輝きを増す!
身を翻すたびに揺れる黒髪、すらりと伸びた手足――中条あやみはカメラの前で軽やかにポーズを決めていく。6月に『Seventeen』(集英社)を卒業し、現在は『CanCam』(小学館)で専属モデルを務める中条。そんな彼女が女優業において、避けてきたジャンルが“歌”と“ダンス”だという。20歳を迎えた2017年。節目となったこの歳に公開された映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』と、この秋主演する映画『覆面系ノイズ』で、避けてきたふたつの壁を越えることとなった。
撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.20歳になる前に立ちはだかった壁に…「運命かも」
- 11月25日に公開される映画『覆面系ノイズ』で中条さんが演じるのは、幼い頃から歌うことが大好きで、ちょっぴりマイペースなヒロイン・有栖川 仁乃(通称:ニノ)です。ニノ役はぜひ中条さんでとオファーがあったとか。
- 私が出演していたシャンプーのCMがきっかけで、声をかけていただいたと聞きました。そこからどう歌うことにつながったのだろう…というのは不思議だったんですけど(笑)。
- 実際にオファーを受けたときのお気持ちは?
- 私はこのお仕事をさせていただくうえで、“歌”と“踊り”はもともと避けたいジャンルで……。
- そうなんですか…?
- はい。自信がなかったんです。私が人前で披露しても、サマにならないだろうなって自分でわかっていたので。もともとカラオケも行かないタイプでしたし、できることなら通りたくなかったジャンルでした。
- それが、映画『チア☆ダン』でダンス、今回の『覆面系ノイズ』で歌に挑戦することになりました。
- この20歳になる前のタイミングで、避けたかったジャンルが連続してきたというのは運命なんじゃないかなと感じました。『覆面系ノイズ』が19歳最後の作品だったということもあり、20歳の前の試練、みたいな。だからこそ、今乗り越えたほうがいいんじゃないかという気持ちになりました。
- 乗り越えた感覚はありますか?
- そうですね…。『チア☆ダン』もダンスは苦手だなと思っていたけど、役としてやっていくうちにダンスが好きになっていったし、得られたものがすごくたくさんありました。少しだと思うけど、成長できた部分もあったかなと思います。あと、一回やっているからそういう役はもうこないだろうなっていう少しの安心感と…(笑)。
- むしろ、歌もダンスも素敵にこなしている姿を見て、今以上にオファーがあるかもしれませんよ!
- ふふっ。それこそ、歌って踊る役…アイドル役とかきたらどうしましょう(笑)。でも、経験しているという意味では、割り切れるかもしれないですね。「怖い」という思いがなくなったのは、大きいんじゃないかなと思います。これから何が待っているのか楽しみです。
ニノは、“演じる”より“寄り添う”感覚が強かった
- 中条さんが演じたニノはどういう女の子だと考えて撮影に臨みましたか?
- 原作のマンガのニノも、アニメのニノも素敵だけど、せっかく私にオファーをいただいたので、自分だからこそのニノを作っていけたらいいなと思っていました。
- 中条さんだからこそのニノらしさを出したところとは…?
- ニノはすごく女の子らしい子だなと思ったのですが、私は性格もサバサバしていて男の子みたいだし、声も低くて。私のなかでニノは声が高いイメージがあったので、天真爛漫さが出るように声のトーンを上げて演じました。朝早い撮影でも、自分のテンションを上げて(笑)。少女マンガが原作の青春ラブストーリーだし、こんな私の低い地声で「好き」って言ってもキュンとしないじゃないですか。
- 中条さんに言われたら、どんな声であってもキュンとしちゃいますが…でも、それはニノですもんね(笑)。
- そうなんですよ(笑)。高校2年生の17歳ということを大事に作っていきました。あとは、ニノが抱えているものを監督と話しながら考えて、より人間味があふれるようにというか、行動ひとつひとつにリアリティが出るように、というのは意識したところです。
- 具体的にどんなお話をされたのですか?
- たとえば、ニノの“人との距離の近さ”は、子どもの頃、幼なじみのモモ(榊 桃/小関裕太)と一緒にいた距離感が残っているから…とかですね。子どもの頃、モモが突然いなくなってしまってニノはすごくショックを受けたと思うんです。近くにいた人が突然いなくなることに恐怖心を覚えて、今まで、きっと友達もできづらかったんじゃないかな…と。だからこそ、子どもの頃の距離感がそのまま残っているんだ、ということを話して、私も「たしかに」と感じました。
- そういったバックボーンを考えたうえで、ニノの行動に反映させていったんですね。
- 距離が近いことに変な下心もないし、「恥ずかしい」と思っていない。ただ純粋に、モモに会えてうれしいという思いを表現しました。そういう部分を含めて、ニノは「天然」と言われますが、その天然を表現するのは…難しかったです。
- 天然って、見え方によってはあざとく見えてしまいますし…。
- そうなんですよね。「天然」って思われていても、ニノは嫌われるような子ではないんです。まっすぐで助けたくなる子。そこの表現は、やりすぎたら映画を見ている方も引いてしまうし、狙ってやったことってけっこう顔に出ちゃったりするじゃないですか。
- たしかに…。
- だからこそ自分がニノになって、彼女の気持ちに寄せていくことが大事だと思いました。そうすることで、狙わずに自然とニノの気持ちになれるというか。普段は“演じる”という感覚なんですが、今回に関しては“寄り添う”という意識が強かったです。