山崎賢人が開けた新しい扉――映画『斉木楠雄のΨ難』で“貪欲に笑いを求める”
この世界は不公平だ。姿かたちの美しい人は、どんなにカッコ悪くイジられたって魅力的なのだから。だからといって、その“一線”を越えるか越えないかは俳優によるけれど、山崎賢人はその一線を軽々と飛び越えてみせた。映画『斉木楠雄のΨ難』で、これまでのイメージを覆す、振り切った一面を見せている山崎。「とにかく監督を笑わせたかった」と語る彼の中には、まだまだ開けられていない引き出しがありそうだ。
撮影/祭貴義道 取材・文/新田理恵 制作/iD inc.ヘアメイク/永瀬多壱(Vanites) スタイリング/伊藤省吾(sitor)
監督からのオファーに「やります!」と即答。念願の出演
- 映画『斉木楠雄のΨ難』は、同名ギャグ漫画の映画化作品です。山崎さん演じる斉木楠雄はとんでもない超能力の持ち主で、ビジュアルも中身も特殊なキャラクター。“普通に生きたい”と願い、いつも無表情でその能力をひた隠しにしています。笑いを追求することで知られる福田雄一監督から、この役は「ぜひ山崎さんで」とオファーがあったそうですね。
- 僕も『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)を見てから福田監督のファンで、ぜひご一緒したいなって思っていたんです。2年前に舞台を見に来てくださったとき、監督から「『斉木楠雄のΨ難』をやらない?」と言われ、「やります!」って即答しました。それから2年かかってしまったんですけど…。
- 実際、福田組の撮影に入ってみて、いかがでしたか?
- 福田監督の作品には監督の笑いの世界があるので、「この映画、どうなるんだろうな」ってわくわくしながら衣装合わせに行きました。監督に「何か準備していったほうがいいですか?」って聞いたんですけど、「何もいらいない! 何も持ってこなくていいから」って言われて、「なるほど、わかりました」という感じで始まっていきました。
- 初日はどんなシーンの撮影だったのでしょうか?
- (橋本)環奈ちゃんが演じる照橋心美と夏休みに出会うシーンです。心美が斉木を好きになるきっかけのところで、心美の妄想の中の一連のシーンを撮影しました。もう、環奈ちゃんの振り切り方がスゴくて(笑)。これはヤバいぞ…と。
- 橋本さんは映画『銀魂』に続いての福田組。いきなりあの振り切り具合を見せられると、焦りますよね…。
- 最初のシーンが「おっふ」だったんですよ(※心美の妄想では、彼女の可愛さにやられた男性たちが「おっふ」と腑抜けた声を出す)。どうやればいいんだろう…って考えて、(笑顔で実演)「おっふ!」ってやってみたんです。
- ちょっとテンション高めにですね。
- そうしたら監督に、(福田監督のモノマネをしながら)「ここは『あわあわあわあわ…照橋さん、おっふ…』ぐらいで、手と足をこういう感じで動かして」って実演つきで言われて、「さすが僕とは違うわ!」と思いました(笑)。そこで一気に「こういうことか!」って振り切れましたね。
「ちょっと笑いに行かない?」という感覚で映画を見てほしい
- 現場の雰囲気はいかがでしたか?
- めちゃくちゃ楽しかったです。ただ、斉木はずっと「すん」としていなければいけないのに、まわりのみんながすさまじいので(笑)、笑わずに耐えるのがキツかったです。
- 心美の妄想の中の「おっふ」と、現実世界の「すん」とした表情。斉木の表情の落差が大きくて、楽しませていただきました! 今回、新たに発見した自分の一面はありますか?
- 福田監督をとにかく笑わせたいなって思ったことです。監督が笑ってくれていると、安心できたというか…。福田組常連の賀来(賢人)くんに「福田組は2作目から自分が怖くなっていくよ」って言われました。「何をやったら笑ってもらえるのか、考えていくとヤバくなる」って(笑)。だから、監督の作品で早く2作目をやりたいです。
- 山崎さんの中の「笑いに対する貪欲さ」を発見してしまったんですね(笑)。
- 発見しましたね。見てもらう側として、「笑い」を自分の中で作っていきたい。お笑いとかを見ていると、芸人さんってスゴいなと思います。
- もともと、お笑いは好きだったのですか?
- 好きです。サンドウィッチマンさんとか、ロバートさんとか、面白いですよね。
- 山崎さんも今回、笑わせる側に立てましたね。
- 笑えるっていうことが一番の幸せだと思います。「ちょっと笑いに行かない?」みたいな、週末にアトラクションに乗るような感覚で何も考えずに楽しめる映画って、ホントに魅力的だと思います。
- 普段の斉木はほとんどしゃべらない無表情なキャラクターですが、演じるうえで難しかったところは?
- やっぱり、笑いをこらえることですね。吉沢 亮、新井(浩文)さん、環奈ちゃん、賀来くん、ムロ(ツヨシ)さん、笠原(秀幸)さん…斉木に近づいてくる人たちって、みんな斉木との距離が近いんですよ。(窪谷須 亜蓮役の)賀来くんにはすごい触られてましたし、寄りかかられて全体重をかけられていたこともありましたから(笑)。あの状況で笑いをこらえるのはけっこうキツかったです。
- 橋本環奈さんとの共演はいかがでしたか?
- 環奈ちゃんは、あれだけ美少女なのに「その顔、する?」っていう(笑)、鼻の穴を広げた表情とナレーションのギャップがスゴい!
役で学校生活を追体験できるのが“俳優”のいいところ
- 斉木のまわりには、なぜか変わった友だちが集まってしまいます。山崎さんご自身は、学生時代、クラスでどんなポジションだったのですか?
- うーん…ツッコミではなかったですね。かと言って、イジられるのも嫌いでした(笑)。めちゃくちゃふざけているのに、イジられることにも上手く対応できなかったんです。
- 映画では、次々と災難に襲われる文化祭の一日が描かれます。文化祭や学校行事の思い出はありますか?
- あんまり記憶がないです。でも、もっと楽しめばよかったかなと思います。高校時代はもう(芸能界の)仕事をしていたので仕方がないんですが、中学時代とか、体育祭の思い出はあるけど、文化祭はホントに何をやったか思い出せないくらい楽しめてなかったなあ…。ちょっと暗かったかもしれません。
- 学生を演じられることが多いですが、ある意味、役で追体験している感じでしょうか。
- そうなんです。俳優という仕事のいいところで、役で何度も高校生をやれているのでラッキーだなって思ってます。
- これまで数多く出演されてきた映画の流れから、かなりの方向転換を遂げましたね。『斉木楠雄のΨ難』は山崎さんにとって、どんな位置づけの作品だと言えますか?
- 代表作です(即答)。
- (笑)。とにかく、今までの山崎さんのイメージとはずいぶんかけ離れた作品になりました。
- 今までのイメージもあるから、斉木の壁ドンのシーンも面白いんだと思います。「『ヒロイン失格』も『オオカミ少女と黒王子』も見てねぇもんな!」という環奈ちゃんのナレーションのあとに、「俺が壁ドンしたら校舎が崩れる」って言うシーンがあるんですけど、そういうところにも活かせるので、この映画が“集大成”という感じです。
- もう集大成ですか!?(笑) 先ほど、「(自分にとって)2作目の福田組に早く参加したい」とおっしゃっていましたが、実現すれば、今回以上にイジられたり、なんだかスゴいことが起きそうな気がします。“崩される”ことに関して、抵抗はないですか?
- 何の抵抗もないです。この映画って、ホントにみなさん、普段の感じと役が合ってると思うんですよ。(闇の組織と闘っている“設定”の中二病・海藤 瞬役の)吉沢 亮なんか、「この役をやるために生まれてきた」みたいなことを言っていたぐらい(笑)。自分は次、どういう感じでやったら笑ってもらえるんだろうなって思っちゃいますね。
- コメディで料理されてみたい?
- 料理されてみたいし、自分でも準備していきたいです。
- 新しい扉を開けてしまった感じですね…。
- そうですね、「開けに行った」という感じです。
- 一方で、映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』や、10月15日から放送中のドラマ『陸王』(TBS系)など骨太な作品も続いています。自分の可能性を試したい時期なのでしょうか。
- 何でもやっていいかなというふうには思っていますね。アクションでもコメディでも、何でもやりたいです。
- では、今後挑戦したいジャンルはありますか?
- ワンシチュエーションで見せるお芝居とか、楽しそうだなと思います。
- 山崎さん、いい味わいを醸し出しそうですね(笑)。
- ありがとうございます!
- ※山崎賢人の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記
- 山崎賢人(やまざき・けんと)
- 1994年9月7日生まれ。東京都出身。2010年、TVドラマ『熱海の捜査官』(テレビ朝日系)で俳優デビュー。2011年、『管制塔』で映画主演デビュー後、『オオカミ少女と黒王子』、『四月は君の嘘』など数多くの映画に出演。2015年にはNHK連続テレビ小説『まれ』で幅広い人気を獲得し、映画『ヒロイン失格』、『orange-オレンジ-』で第39回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。2017年には、(主演)映画『一週間フレンズ。』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』が公開されたほか、2014年に初主演を務めた舞台『里見八犬伝』の再演に出演。待機作に映画『氷菓』(11月3日公開)、『羊と鋼の森』(2018年公開)などがある。
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