「EXILEの新しい時代を作るのは僕ら」――佐藤大樹を突き動かすモノ。

インタビュー中、佐藤大樹は何度か「EXILEの看板を背負うこと」について口にした。それだけ、彼がグループとしての高い誇りを持って、「錆色のアーマ」という舞台に臨んでいるということだ。“逆2.5次元プロジェクト”という初の試みに、初主演という立場で挑む佐藤。未開拓のジャンルに最初は不安を覚えながらも、本番まで「錆色のアーマ」のこと以外は考えたくないと、曇りのないまっすぐな瞳で舞台への意欲を語る。グループとして、ひとりの役者として高みを目指す佐藤が、本作に懸ける本気度は尋常ではない。

撮影/後藤倫人 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
企画/ライブドアニュース編集部

孫一(まごいち)は、普段の自分を活かせる役

まずは、「錆色のアーマ」へ出演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。
“逆2.5次元プロジェクト”という初の試みの第一弾である舞台版の出演オファーをいただき、率直にうれしかったのですが、自分の未開拓のジャンルでもあったので、最初は僕で務まるのかなという不安が少しありました。
2.5次元というジャンルはご存知でしたか?
はい! あまり詳しくなかったのですが、劇場へ観に行ったこともあります。でも、今回は“逆2.5次元”なので、最初は全然想像がつかなくて。いろいろと説明を聞いているうちに、面白そうだなってワクワクしてきましたし、今は、早く稽古に入りたい! っていう気持ちでいっぱいです(※取材が行われたのは4月中旬)。
やる気十分ですね!
とにかく早くやりたいです! 僕は、「コレ!」って決めたらまっすぐに突き進むタイプで。もちろんパフォーマー業もあるんですけど、今は一旦落ち着いたので、これからは「錆色のアーマ」に没頭できます! 稽古から本番まで、なるべく舞台以外のことは考えずに集中したいですね。「錆色のアーマ」の看板と、EXILEの看板を背負って、堂々と演じたいです。
佐藤さんが演じるのは、雑賀衆(さいかしゅう)の頭領で、鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げた、孫一です。
よく笑い、よく泣く、真面目で熱い男です。自分の思ったことはすぐ行動に移すし、周りの意見を聞かないこともあるんですけど、逆にその素直さやピュアさは、周囲の人から、支えてあげたいって思わせるような可愛さがあるんじゃないかなと思います。
台本などをご覧になって、佐藤さんと孫一の似ている部分はありましたか?
そういった感情的に行動しちゃうあたりは、すごく自分と似ているなと感じました。これまで演じてきた役は、自分と似ている部分ももちろんあったんですけど、どちらかというと違う部分のほうが多かったので、役作りも苦労することがあったんです。でも、孫一に関しては、普段の自分を活かせる役だなと勝手に思っています。
W主演で織田信長を演じる増田俊樹さんは、佐藤さんから見てどういう方ですか?
いい意味で僕と真逆だなと思いました。はじめて会ったのはビジュアル撮影のときで、そのときにすでに信長の衣装を着ていたので、どうしても衣装姿の印象が強くて。ふたりの取材のときなどに、普段の感じでお会いするのが新鮮なんです(笑)。信長は、史実でもそうですが、今回の舞台でもすごく存在感があって。「もしかしたら、孫一が食われてしまうかも…!?」と思う部分もあるので、負けていられないですね。
増田さんは声優、佐藤さんはパフォーマーと、もともと活躍しているジャンルが違うので、おふたりの共演ってすごく新鮮ですよね。
めちゃくちゃ新鮮です! 増田さんに限らず、ほかのキャストの方々も、僕とは違うジャンルで活躍されている方が多いので、いろんな畑から来ているという意味で、いい化学反応を起こしていけたらなと思っています。
佐藤さんが気になるキャストさんはいますか?
んー…アゲハ役の神里(優希)くん。同じ雑賀衆として舞台上で孫一との絡みも多くなると思いますし、神里くんとは同年代なので、一番仲良くなれるかな? と感じています。

舞台のナマモノ感は大好物! 自分も楽しみたい

佐藤さんはパフォーマーとして活躍する傍ら、ドラマや映画などにもご出演されています。映像と舞台には、どんな違いを感じますか?
一番はナマモノというところだと思います。舞台って2時間だったら、最初から最後までお客さんがずっと観ている状態なので、僕らがセリフをひとつ間違えでもすれば、現場もお客さんの空気も変わりますよね。その日のお客さんの状況によって、僕たちもお芝居の仕方が変わることもあるので、そういったライブ感やナマ感が舞台の魅力だと感じますし、僕は大好物です!
大好物なんですね!
はい! EXILEのライブでもそうですけど、やっぱりその日にしか生まれないものってあるなと思うんです。とくに今回は、歌もあって、ダンスもあって、プロジェクションマッピングとリンクしたお芝居もあるので、本番になってみないとわからないライブ感は楽しみです。
アクションや殺陣もあるんですよね。
ひとりひとりオリジナルの武器なので、これまでのアクションとはまた違った、型にはまらない新しいタイプのアクションになると思います。
孫一の武器は銃です。
ビジュアル撮影の日にはじめて持ったのですが、男の本能なのかすごく気分がアガりました(笑)。小さい頃、戦隊ヒーローを見て育ってきたので、武器に対しての憧れがあって。その感覚がよみがえってきましたね(笑)。孫一の銃には、本来ならありえないような…いろんな仕掛けがあるので、そういう部分でのアクションも楽しみにしてほしいです。
歌への自信はいかがですか?
歌は…全然得意じゃないんです。でもせっかくやるなら、今までやったことないことに挑戦して、自分の新しい道を切り開きたいなと。僕は山田孝之さんが好きで、よく出演作品を見るんですけど、山田さんが、ミュージカル『フル・モンティ』に出演したときのインタビューが印象に残っていて。
どんなインタビューだったんですか?
『フル・モンティ』は、山田さんの初ミュージカル作品なんですけど、最終的に全裸になる役なんですね。「せっかくなら、全裸になるくらいじゃないと意味がない」とおっしゃっていて。すごくカッコいいなと思ったんです。だから、僕もその言葉をお借りして、こういった取材でバンバン言っておこうかなと(笑)。
では、改めて、本作への意気込みをお願いします。
“逆2.5次元プロジェクト”という初の試みなので、まだ未知数な部分がありますが、僕らキャストは一生懸命やります。絶対楽しめると思うので、今後のメディアミックス展開も含めて、応援していただけるとうれしいです。
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