『銀魂2』のプレッシャーはゼロ。福田雄一を突き動かす「リベンジしたい」という意識

熱烈な支持を受ける漫画であるほど、映像化の際に原作ファンの厳しい視線にさらされることになるのは必然。大人気漫画原作の作品が軒並み苦戦を強いられる中、昨年、見事に邦画実写映画No.1ヒットという称号を手にしたのが、空知英秋の人気漫画を実写化した『銀魂』である。

『銀魂』の何が特別だったのか? そしてこの大ヒットを受けて制作された続編『銀魂2 掟は破るためにこそある』は、前作のような…いや、前作を超えるヒットを記録することができるのか? ライブドアニュースではこの続編の鍵を握るキャストおよび制作陣にインタビューを敢行!

第2回は、前作に続き脚本・監督を務める福田雄一。ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)、映画『50回目のファーストキス』など、次々とヒット作を手がけ、いまや日本のエンタメ界の最重要人物となった男の仕事術、“笑い”の流儀とは。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

「映画『銀魂2』」特集一覧

前作の反響を受けて、真選組の話を作ることを決めた

「続編って、プレッシャー2倍らしいよ」――。小栗 旬が演じる坂田銀時が写るポスタービジュアルに添えられたキャッチコピーである。だがじつのところ、福田はプレッシャーなど微塵も感じていない。あるのはくやしさ、そして「リベンジを果たしたい」という思いだという。
天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人の襲来で開国した江戸を舞台に、万事屋(よろずや)を営む坂田銀時と彼を取り巻く人々の姿を描く『銀魂』。今回の続編では、長い原作の中でも人気の「真選組動乱篇」と「将軍接待篇」がベースとなります。
最初は「真選組動乱篇」のことは考えてなかったんです。前作を撮っている最中に、もし続編がやれるなら「『将軍接待篇』がやりたいね」という話はしてたんですけど…。
「将軍接待篇」はキャバクラを舞台に万事屋の面々が将軍をもてなす、ギャグパートメインのエピソードですね。
1作目がわりとシリアスなエピソードをベースにしていたので、次は『銀魂』だからこそのギャグ一辺倒でとことんやるバカ映画にしようって。でも、1作目をみなさんに見ていただいて、寄せられた感想を見るにつけ、そうじゃないんじゃないか?と思い始めまして。
1作目は銀時が、かつての幼なじみである鬼兵隊の高杉晋助(堂本 剛)の幕府転覆計画を阻止すべく奔走するという物語。ギャグやパロディをふんだんに盛り込みつつも、ベースにあるのは男たちの戦いや友情でした。
『銀魂』に求められているものは何なのか? ギャグ漫画と思われがちですけど、トータルで見たときにかなり熱いもの、魂に触れるものがあるわけじゃないですか。だからこそあれだけのファンがついているんです。それを僕らの解釈で「やりたいことをやろう!」とギャグだけに押し込んでいくのは違うんじゃないかと。
1作目の反響を受けての方向転換があったわけですね?
今年の3月に撮影することが決まってたんです。もともと「将軍接待篇」をやりたいというのはあったんですが、そこに「真選組」の話を融合できないか、そんなことをずっと考えていたんです。これならいけるかな?というのを(昨年の)11月頃にふと思い立ち…。いや、11月に言うべきことではまったくないんですけど…。
エピソードが変われば登場人物も変わりますしね。
ただ、プロデューサーの松橋(真三)さんとはそういうことが言える関係だったので、「『真選組動乱篇』をやりたくなってしまいました」というワガママを何の前触れもなくLINEで送ったら、松橋さんも「いいと思います」って言ってくださいました。
素晴らしい関係です…が! キャスティングやスケジュールが…(笑)。
全部やり直しです(笑)。ただ、僕は去年から小栗くんとベッタリ一緒にいて、じつは小栗くんが2月は空いてるってことを知ってたんですよ。それなら何とかなるんじゃないかと。
それで、松橋さんがいろいろ動いてくださって、真選組の面々や窪田(正孝/河上万斉役)くんも空いてまして。いい映画ができるときって、そういう偶然が重なるものなんです、と前向きにとらえて突き進みました(笑)。
何か、“いい話”でまとまってますが…(笑)。
窪田くんの2月のスケジュールが空いているとわかった時点で、この映画は当たると確信しました(笑)。

伊東鴨太郎役は、三浦春馬しかいないと猛アタック

窪田さん、そして「真選組動乱篇」のキーパーソンである伊東鴨太郎役の三浦春馬さんなど、新たな登場人物のキャストが大きな話題になっています。彼らのキャスティングは、監督自らが希望されて?
そうです。「真選組動乱篇」をやると決まった時点で、鴨太郎は春馬くんしかいないと猛アタックをかけました。
理由をお聞かせください。
以前、一度だけ仕事をしたことがあるんですけど、鴨太郎に必要となるクールな悪役らしい一面と、センシティブで繊細な一面を演じるポテンシャルを春馬くんが持っていることは、これまでの付き合いで知ってたんですよね。春馬くんの人間性を知っているからこそ、とくに終盤で鴨太郎が見せる側面を絶対にやれるだろうと。
“人間性”ですか?
僕はもともと、テクニック論ではなく俳優さんの人間性で役を選ぶことがほとんどです。(机の上に置いてある志村新八役・菅田将暉の資料を指しながら)この人が典型ですね。基本、菅田くんに来るオファーはカッコいい役が多いですよね。でも僕は、長い付き合いの中で深く話をしていて、この子はカッコいいだけじゃなく、素は新八に近いって知ってたんです。
それと同じで、春馬くんは鴨太郎を演じるのに完璧と言えるポテンシャルを素で持っていると認識していたので、春馬くん以外は考えられなかったですね。
俳優さんの素の部分ではなく、これまでの出演作品における役柄を見たうえで「この人にこういう役をやらせてみたい」と思ってオファーすることはないんですか?
まずないですね。
世間ではこういうイメージを持たれているけど、正反対の役柄をぶつけて新たな一面を引き出してみよう…と考えたりは?
ないですね。上手に役を演じていたというテクニック論で選ぶことはほとんどないです。だからオファーを出す前にまず「本人に会わせてほしい」とお願いします。
素の人間性を確かめるために? たとえば賀来賢人さんは、ここ数年の福田監督の作品を通して、単にイケメン俳優というだけではなく、コメディ俳優として高く評価されるようになりました。
彼の場合も、もともとコミカルなことをやりたい俳優でしたし、僕も彼がそういうタイプだと知ってました。これは、僕の中の勝手な思い込みであり、信念ですが、役者さんって最終的に、自分自身が持っているものがにじみ出てくるような役が一番ハマると思っています。
だから「私、本当はこの役とはかけ離れているけど、テクニックと役作りで演じ切りました!」という人よりも、素の人間性が近い役者さんのほうが断然いいと思います。「本来の自分とは程遠いんですけど…」という状況はできる限り避けるようにしています。
それで言うと、前作で衝撃の“鼻ほじり”を披露した神楽役の橋本環奈さんにも、もともとそうしたポテンシャルが…?
初対面で思いましたね。完璧に神楽だろうって。そう言うと本人は怒るかもしれないですが(笑)。前作の撮影中も、ずっと僕のベースの近くで皆で話してるんですけど、言ってることはほぼ「ラーメン食べたい」でした(笑)。
リアル神楽ですね(笑)。
そのときの撮影シーンが、ラーメン屋の屋台の場面で、現場にずっとラーメンのニオイが漂っていたから、というのはあるんですけど(笑)。

邦画実写映画No.1ヒットでも「悔いが残ってる」

福田監督の作品に欠かせない“笑い”に関しては、どのように作っているんでしょうか? 以前、別の作品で福田作品の常連である佐藤二朗さん、ムロツヨシさんに話をうかがった際には「ここは何か面白いことをやってね」という無言の圧力を感じるとおっしゃってました。
いやいや! (さも心外そうな口ぶりで)それは、本人たちが勝手に思ってることですね。僕は全然、そんなこと思ってもないですよ(笑)。
その一方で小栗さんは「僕は“おもしろ(ギャグパート)”に関してはよくわかんないんで、福田さんにお任せしている」と。
いやいや、それはズルい言い訳だと思います!(笑)
もちろん、登場人物にもよるとは思いますが、先ほどのキャスティングと同様に、俳優さんの持ち味や個性に応じてギャグパートの演出をしていくのでしょうか?
というか、付き合いが長くなればなるほど、僕が何を求めているかを自然とわかってくれるというのが一番大きいんじゃないかと思います。感じるんじゃないでしょうかね? 「ここは自分が好き勝手にやって面白くしていいところだ!」というのを。
あうんの呼吸で、監督の求める面白さを俳優陣が表現してくれる?
そういう意味で今回、佐藤二朗さんやムロツヨシくんをはるかに凌駕する面白い役者は小栗 旬ですから! 小栗くんはずっと「今回は真選組の話がメインでしょ? 俺はにぎやかしだから」って言ってて、2月に窪田くんとの壮絶なシーンで撮影が始まったんですけど、それが終わったら「あとは遊ぶだけ」って(笑)。
実際、そのあとに撮影した(ギャグパートの)キャバクラや床屋のシーンは、小栗くんはかなり好き勝手演じて、楽しんでいる様子でしたよ(笑)。編集作業を通じて、僕らは何十回と同じ映像を見るんですが、何度見ても笑っちゃうシーンってあるんですよ。それが今回、ことごとく小栗くんの出ているシーンなんです。
前作もシリアスパートがありつつも、相当笑わせてもらいましたが、今回はそれを上回る?
いやぁ、今回の小栗 旬は相当スゴいです! 菅田くん、橋本環奈さんを加えた万事屋の3人のふざけっぷりはすさまじかったです。それは前作があってのことだと思います。(前作がヒットして)ひとつ、背負っていた重いものを降ろして解き放たれた状態での勢いを感じましたね。
福田監督も、小栗さんらと同様に前作は重いものを背負われていたかと。1作目がヒットしたことで解放されたり、変化した部分などはありますか?
いや、僕は「大ヒットした」という認識が全然ないんですよね。
それはヒットの実感がわかないという意味ですか?
ではなくて、もっと行くんじゃないかと思ってました。だから、ヒットして嬉しいって感覚ではなく、悔いが残ってます。
「悔い」ですか? あくまで一般論ですが、邦画実写、とくに漫画原作の作品が軒並み伸び悩む中で、興行収入38.4億円は大ヒットと言えるかと…。
どちらかというと、今回に関しては「リベンジ」という意識ですね。続編のプレッシャーはまったくなくて「前作では“あれ”ができなかったけど」とか「あそこはもっとできたはずなのに…」という思いが強いです。
前作のオープニングでは、銀時、新八、神楽によるやりとりも話題を集めました。今回も台本上ではかなり過激なやりとりが展開されているようでしたが…。
つい先日、アフレコ収録がありました(※取材が行われたのは6月下旬)。ただ、台本通りではなく、いろいろ変更は入ってます。
銀時たちが劇中でも「これはピー(規制音)が入るだろう」と言ってますが…。
とっても新鮮な…映画が公開される8月になってもフレッシュであろうネタをぶち込むことができました!
前作もそうでしたが、オープニング以外にも、かなりきわどいパロディが随所に散りばめられていますが、無事に上映できるんでしょうか?
そこは(配給の)ワーナーさんが台本の段階で許可してくださってるんでね。何かあってもワーナーさんが頑張ってくださるんじゃないかと。僕の範疇ではないです(笑)。

「作品の演出がすべて同じ」と言われてもそれでいい

『銀魂』シリーズのみならず、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)や『スーパーサラリーマン左江内氏』、10月に放送を控える『今日から俺は!!』(ともに日本テレビ系)、今秋配信の『聖☆おにいさん』(ピッコマTV)など、いわゆる“福田組”が非常に大きな注目を集めています。
そうなんですよね。何でしょう、“福田組”という言葉は…。佐藤二朗さんがずっと言っているんですけど「福田雄一は監督ではなくゆるキャラである」と。
正直に言うとそれは最近、何となく自覚しています(笑)。街を歩いていると「監督、監督!」って声をかけられるんですよ。
ファンが福田監督の顔と名前を完全に認識されているんですね。
こんなに気軽に声をかけられる監督っていないだろうなぁって。これが山崎 貴さんなら「山崎監督」だろうし、三池崇史さんなら「三池監督」と呼ばれると思うけど、僕はただ「監督」って(笑)。これはひらがなで「かんとく」というゆるキャラなんじゃないかと。そういう意味で福田組というのはコメディ劇団みたいなイメージなのかな…(笑)。
6月に公開された映画『50回目のファーストキス』は、福田監督作品にして“まさかの”ラブストーリーでした。コメディに寄りすぎない作品を作りたいという思いや、変化を求める気持ちはお持ちなんでしょうか?
いや、冷静に考えて、そもそも僕のイメージとか作風を知ってる人なんてどれくらいいるのかな?と。ムロツヨシくんとよく話すんですけど、僕の作品に対して「今回もこれか」という声が聞こえてくることが、全然嫌じゃないんですよね。
というのは、そう言ってくれるのは過去の作品を知っているからであるわけで。いまは、そう言ってくださる人をどれだけ増やせるか?という勝負をしている時期なんじゃないかと。
「福田組の作品はこういうものだ」というのを、より多くの人に浸透させるべき時期だと?
『銀魂』に関しても、前作があって、今回の続編をより多くの人に見ていただいて「あぁ、監督は福田雄一っていうんだ。こういう作品を撮るんだ」と知ってもらえたら良くて「前回、こういう作品だったから、今回は…」という勝負をする時期では全然ないなと思います。
一度、嫁にすごく叱られたんです。(2013年に公開された)映画『HK 変態仮面』のときかな? ネットで「結局、福田ってすべての作品で演出が同じだ」って書かれて、それを僕が気にしてたんですよ。
それに対して奥さまは…?
福田雄一がどんな演出をするかを知っている日本国民なんて、これっぽっちしかいないから、そんなの気にしないでもらっていいっすか? むしろ“毎回同じじゃん”と言ってくれる人を少しでも増やす作業してもらっていいっすか?」って(笑)。
いや本当、その通りだなと思いました。一部で“福田組”なんて言われてますが、「いや、そんなの知らねーし。何だよそれ?」って思ってる人がほとんどだと思います。
とはいえ、その“これっぽっち”が徐々に増えてきているという実感は?
ないんですよ、それが。だから、いまだに素人感覚で失言が多くて怒られてます(苦笑)。僕はいまでも、自分の感覚としては、大学時代からずっとやってきた、売れない劇団・ブラボーカンパニーの座長なんです。
そんな男がたまたま、こんな大きな映画の監督をやらせてもらってるって感じで。だから、業界的に「言っちゃいけないこと」とかがわかってなくて、言ってしまうんです(笑)
きわどいパロディネタも、決して業界に対する挑戦状!という意気込みではなく…?
全然、そういうのじゃなく、素人だから、何を言ってもいいでしょ?って(笑)。
と言いつつ、今作には副題に「掟は破るためにこそある」と付けられてますが…(笑)。
あはは、それはそうなんですけど…(笑)。いまだにロケ先で訪れた地方で、地元のおばさまたちに「あら監督! 見てるわよぉ!」なんて声をかけられて「え? 何を見てんの?」とか普通に15分くらい、会話したりしてます(笑)。
福田雄一(ふくだ・ゆういち)
1968年7月12日生まれ。栃木県出身。A型。大学時代に劇団ブラボーカンパニーを旗揚げし、座長として全作品の構成・演出を担当。舞台のかたわら、放送作家としてバラエティ番組の構成を手がける。2008年に放送された『33分探偵』(フジテレビ系)では、原作・脚本・演出を担当。2009年には自身の戯曲を映画化した『大洗にも星はふるなり』で長編映画監督デビュー。以降、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)、『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、映画『斉木楠雄のΨ難』など数々の話題作を世に送り出してきた。10月からはドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)が放送予定。

「映画『銀魂2』」特集一覧

作品情報

映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』
2018年8月17日(金)ロードショー
gintama-film.com
©空知英秋/集英社 ©2018 映画「銀魂2」製作委員会

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応募方法
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受付期間
2018年8月14日(火)12:00〜8月20日(月)12:00
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  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月21日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月24日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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