飽き性だからこそ、変わっていきたい。マルチに活躍する、藤井 隆の根底にあるもの

「お待たせしました。よろしくお願いします」という挨拶から始まったインタビュー。30分という短い時間のなか、初対面の我々に対して真摯に、まるで昔からの知り合いと会話するような柔らかさをもって、ひとつひとつの言葉を紡いでいく。自分から「これを表現したい」というものはなく、あるのはただ「どんどん変わっていきたい」という思いのみ――藤井 隆がジャンルを超えて“変化(へんげ)”していく理由が垣間見られたような気がした。

撮影/ヨシダヤスシ 取材・文/とみたまい 制作/iD inc.

映画スタッフが作る空間に触れて“別の人”になれる

8月4日公開の『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』。現在放送中のTVシリーズでは日本が東都、西都、北都と呼ばれる3つの国家に分断されているが、本作ではその3都の戦争が終わり、それぞれに知事が置かれて新政府が樹立したところから始まる。藤井が演じるのは、関西弁がユニークな西都の知事・郷原光臣(ごうばら・みつおみ)だ。
出演のオファーについてはどのように感じましたか?
「自分が呼んでいただけるような場所ではないだろうなあ」と思っていたので、本当に嬉しかったです。それに、僕を含めた3人の知事(ほかふたりは、東都の知事・伊能賢剛役の勝村政信、北都の知事・才賀涼香役の松井玲奈)が発表されたときに、すごく反響が大きかったんです。「悪役でしょ?」とか予想されたり(笑)。
そういった反響の大きさからも、やっぱり『仮面ライダー』ってみなさんにとっても、心躍る物語のひとつなんだなあと改めて感じましたね。
役作りで意識したことなどはありますか?
今回に限らず、“誰か別の人になる仕事”をさせていただくときって、監督さんや演出家の方がOKと言ったことが正しいですから、自分のなかでのOKなんて関係ないわけですよね……。
どういったことを指して“役作り”というのか、まだ僕は全然わかっていないので、いまいただいた質問に対する答えは、監督さんや演出家さんのなかにあると思います。僕はそこに沿えるように演じるしかないんじゃないかなと。
では、初めて役を演じるとき、なにを手がかりにするのでしょう?
まずはやっぱり“自分の肌に近いところ”ですね。メイクさんやお衣装さんが用意してくださるものや、かけてくださるひと言に尽きると思います。いただいた台本から僕なんかが想像して思い描くものよりも、作品をより深く理解されて、それぞれのお仕事に長けていらっしゃる方々が用意してくださるもののほうが大きいですから。
そこから始まって……。
美術や照明のスタッフさんが用意してくださった空間に、共演者の方と入る。ですから、演じる手がかりというのは……ほとんどの部分を、周りのみなさんがすでに作ってくださっているので、僕はそこに入らせていただくだけですよね。自分ひとりでできることなんてたかが知れていますので。みなさんのおかげで“誰か別の人になる”ことができるのだと思います。
なるほど。お芝居をしたことがないので、「どうやって“自分ではない人”になるのかなあ?」と思いまして。
あ! そうですよねえ。
なので、しつこく聞いてしまってすみません(笑)。
いえいえ、いいんです! どうぞ、聞いてください。セリフだけでなく設定も含めて、お家で完璧に仕上げてこられる方もいらっしゃいますが……僕はお家ではなかなかセリフが入ってこないんです。
もちろん覚えていきますが、セリフが自分のなかで「カチャン!」とハマるのは……絶対に現場じゃないと無理なんです。それはやっぱりさっき言った、現場のみなさんが作ってくださるものがあるからなんじゃないかなあと思います。

“子ども向け”として作っていない。現場で感動した光景

撮影のなかで、「いま、仮面ライダーシリーズに出てるんだ!」と実感されたことはありますか?
ありました! 台本を読んでいてもゾクゾクしますよね。「僕たちの目的は惑星の滅亡だ」とか、お話のスケールが大きいですし。そういった、普段の生活ではできないことや言えないセリフの連続なので、台本を覚えながらも楽しませていただきました。
お子さんが多く見るということで、心がけたことはありますか?
それは僕、逆だと思うんですよ。作っている側のみなさんは「子どもが見るもの」と思って作ってはいないんですよね。
もちろん、根底にはあると思いますが、「大人に向けて、子どもに向けて」ということではなく、物語を成立させるためにみんなが真剣に作っているなかで、誰が見てもわかるような演出やアクション、美術が施されている。
たとえばどんなことでしょう?
僕の役が関西弁なのは、監督(上堀内佳寿也)のアイデアなんですね。それって、短いセンテンスで「この人は西都を担当している」ということを、見ている人にわからせたいという思いからなんです。ほかにも……悪い人たちが集まって話し合うシーンの背景に、大きな絵があるんですが、そこに描かれていたのが……もう本当にね、悪い雰囲気の絵なんですよ。僕はそれにすごく感動したんです。
子どもが見たときに「これは悪い人たちの空間なんだ」ってパッとわかるんですよね。でも、その美術自体は子どもだましで描かれているわけではない
「“子ども向けだから、こういう作り方をしましょう”ということではない」というのは、そういった撮影現場から感じられたことなのですね。
そうですね。作る側は「子どものために撮ろう」と思っていないけれど、もう一層奥の深いところには、「子どもがわかってくれるように」とか「喜んでもらうために」といった思いがある。それに気付かせていただけたのは、すごく勉強になりました。
特撮映画の技術についてはいかがでしたか?
「特撮」という言葉を使わせていただくならば、その技術ってきっと、どんどん進化してきているんでしょうね。そういったものを大ベテランの方がディレクションして、最新の技術を使いこなせる若い方が応えている姿っていうのが本当に素晴らしくて、感動する場面がいっぱいありました。
一方で、スタントやアクションといった、アナログでしかできない命がけの場面もあって……役者さんを始め、みなさん高い集中力で監督の期待に応えていく姿を見させていただいて、スゴいなあと思いました。
今作では桐生戦兎(仮面ライダービルド)を演じる犬飼貴丈さんや、万丈龍我(仮面ライダークローズ)を演じる赤楚衛二さんなど、若い俳優さんたちと共演されていますね。
ふと見せてくださる顔は、まだ少年の面影が残っているような印象で……。とても過酷な撮影スケジュールだったと思うんです。TVシリーズの『仮面ライダービルド』を撮りながら、映画もでしたので。でも……子どもたちのヒーローとしてあり続けるために、撮影が始まるとカッコいい姿を見せてくださって。
厳しい現場のなかで、ヒーローとして在ることに膨大な時間を捧げていらっしゃる。本当に輝いていて、まぶしい存在でした。

活動のなかで、藤井 隆として表現したいものは“ない”

バラエティ番組を始め、映画やTVドラマ、CM、舞台、音楽など、藤井さんは多岐に渡った活動をされていらっしゃいます。
僕は本当に恵まれていて、若い頃からいろんな経験をさせていただきましたが、ほとんどのお仕事が「藤井にやらせてみよう」とお声がけいただいたものだったんですね。
「この仕事は当然、藤井だよね」っていうものはほとんどなかった。ですから、そうやって僕に機会を与えてくださったすべての方々に……どれだけ僕がきちんとお返しできたのか、いまとなっては「全然できてなかったんだろうなあ」と恥ずかしいですし、申し訳ない思いもあるんですが……。
藤井さんが、お仕事を選ぶ基準などはありますか?
仕事を選ぶのは、基本的にマネージャーの役割だと思っているので、出てきたものに対して「これだからやります、これだからやりません」っていうのはないですね。ただ僕、好き嫌いがはっきりしていて、すぐに態度に出ちゃうので(笑)、マネージャーにも伝わるんでしょうね。スケジュールを見ると、好きなことしかやってないんです。だからとても恵まれているし、ラッキーだなと思います。
いろんな活動を通して、藤井 隆として表現したいものはありますか?
それはね、ないです。ないのにも関わらず、お声がけいただいてるっていうのは本当にありがたいので、そうやって自分に携わってくださる方々やスタッフさんたちを大事にしないといけない。
そのうえで、じゃあ自分はなにがしたいのかと言ったら……。「僕を見てください」っていうのもないし、自分自身には関心がないんですよね。飽き性ですし。
とても意外です。
でも本当にそうで……。先ほど、同時上映の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film(アン・フィルム)』に出演する田中直樹くんと一緒に取材を受けたんですが、そのときに田中くんが言ってくれた言葉が嬉しかったんです。
どんな言葉だったのでしょう?
「藤井はどんどん変わっていくんですよ。だから、明日の仕事でなにをやるのか興味があります」って。
もちろん、十数年前にやっていた番組をずっと好きでいて「あの番組、またやらないんですか?」と言ってくださる方がいらっしゃるのはありがたいし嬉しいんですけど、自分の性格の根っこには“飽き性”というのがあるので、どんどん変わっていくんです。……変化(へんげ)するというか。それを「たとえばこういうのはどうでしょう?」って出している感じですね。
「こういうのを出したいんだ!」ではなく?
そうですね。「僕はこう表現したいんです」ではなく、「こういうのはどうです?」ってプレゼンしているようなつもりでやっています。それをキャッチしてくださる方がいらっしゃるということを糧に、僕は頑張れる
たとえば「歌を出します」と言ってライブに来てくださったときなども……「あれ? なんか去年と感じが違う」とか(笑)、「応援しにくい」っていう声もきっとあると思うんですが、僕はやっぱり変わっていくんだろうなあ。
まさに、田中さんがおっしゃったように「藤井さんが明日、なにをやるのか興味がある」という感じです。
物理的に明日変わることはできないけれど、それぐらいの意識でいたら、来年は違う自分になれるんじゃないかなあって。……でも、それはね、ひとつ十字架でもある。というのも、自分を生み出してくれた吉本新喜劇は“同じことを繰り返す”というのがベースにあるんです。
いわゆる“お約束のパターン”というのがありますね。
やっぱり自分にはそれができない、向いてないんだって思ったことが……自分のなかでひとつ十字架にもなっているんです。
とはいえ、じつは吉本新喜劇って、ベーシックをおさえながら、変化したりもしているんですね。「そういうところで育ててもらえたから、いまの自分があるんだな」と本当に感謝していますし、いつかまた呼んでいただけるような自分になりたいし……うん、変わっていきたいです。
藤井さんのいろんな活動にいつも驚かされる理由が、いまのお話で少しわかったような気がします。
でも、自覚症状がないからねえ……。無自覚で選択したりするから、僕を支えてくれている人たちはちょっと困ると思う(笑)。「あれ? 昨日言ってたことと違う。えー!?」って。そのときの感覚で判断することが多いので……そろそろ安定させたいです。
ライブドアニュースさんの取材をきっかけに、いまハッとなりました。変化じゃなくて、これからのテーマは安定感ですね(笑)。
いえいえ、これからも変わっていく藤井さんを見ていきたいです(笑)。
ありがとうございます。でも安定も目指してみます。ははは!
藤井 隆(ふじい・たかし)
1972年3月10日生まれ。大阪府出身。A型。1992年に吉本新喜劇に入団し、お笑いタレントとしてバラエティ番組に多数出演。2000年には『ナンダカンダ』で歌手デビュー。同年のNHK紅白歌合戦にも出場した。2015年には、自ら主宰する音楽レーベルからベストアルバム『ザ・ベスト・オブ 藤井隆 AUDIO VISUAL』をリリース。映画、ドラマ、舞台など、俳優としても多くの作品に出演し、活動の幅を広げている。俳優としての主な出演作品は、NHK大河ドラマ『真田丸』、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)NHK連続テレビ小説『わろてんか』など。9月1日からは、舞台『贋作 桜の森の満開の下』に出演する。

出演作品

『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーen film(アン・フィルム)』
2018年8月4日(土) ロードショー
http://www.build-lupin-vs-pato.jp/

劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、藤井 隆さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年8月3日(金)12:00〜8月9日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/8月10日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月10日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき8月13日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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