一筋縄ではいかない子育ても、奥さんと一緒に考えたい。横山だいすけの“理想の家庭”

今の日本の子どもたち、そしてお母さんたちのヒーローといえば、間違いなく“だいすけおにいさん”だろう。昨年、9年間務めた『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)からの卒業時には“だいすけロス”現象を巻き起こし、その後開設したブログの読者数は早くも17万人超に。俳優、歌手と活躍の場を広げつつ、現在公開中のディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』の日本版では声優に挑戦している。映画にちなみ、インタビューは家族の話題に。もしも結婚したら…と仮定しながら、“理想の父親像”の質問にも真摯に向き合ってくれた。

撮影/倉橋マキ 取材・文/古俣千尋 制作/iD inc.

大好きなディズニー映画で、声優として“お父さん”を演じる

うたのおにいさんの卒業から約1年。今回、ディズニー/ピクサーの最新作、映画『リメンバー・ミー』の日本版に声優として出演されています。最初にお話がきたときはどんなお気持ちでしたか?
ぼく、ディズニーが大好きなんです! 小さい頃から作品もたくさん見てきたし、ディズニーランドにもよく行きました。いつかお仕事で関わらせていただけたらいいなと思っていたので、その夢が叶いました。(両手のこぶしを突き上げながら)「やったー!」という感じでしたね。
嬉しさが伝わってきます(笑)。
でも「やったー!」とともに、「あ、本当にきたんだな」と。自分がいただいた役を全力で頑張ろうという決意で臨みました。
『リメンバー・ミー』は“死者の国”に迷い込んでしまった少年・ミゲル(声/石橋陽彩)を通して描かれる、家族の絆の物語。横山さんが演じる役は、ミゲルのお父さんですね。
そうなんです。おにいさんがお父さんになっちゃった!(笑)
(笑)。お父さん役として、心がけたことはありますか?
もし自分に子どもができたら、親としてどんな言葉をかけられるだろう? 何をしてあげられるだろう?とたくさん想像しました。子どもがいる友人に「親になるってどんな感じなの?」って聞いてみたり。親が子どもと話をするときの声や声色なども、勉強させてもらいましたね。
日本版のお父さんの声、とても自然でした。ミゲルのことを怒るシーンも、グッときました。
ありがとうございます! 怒るシーン、なかなか苦労したんです。
ミゲルはギターの才能があり、ミュージシャンを夢見ている男の子。ところがミゲルの家では代々“家族の掟”によって音楽を禁止されています。お父さんは、音楽をやりたいと言うミゲルに反対するわけですが…。
そうですね。でも、子どものやりたいことに反対するというよりは、「靴職人である家業を継いでほしい。それがミゲルにとって幸せなんだ」と思っているんです。だからこそ、親として子どもをちゃんと諭そうとするんですよね。
子どもの幸せを思うからこその反対なんですね。
反対するのも賛成するのも、どっちも親としての愛情なんですよね。それを言葉だけで表現するのは難しいなと思いつつも、親としての愛情をしっかり持って、芯のある言葉を意識してしゃべるようにしていました。

家族の応援があったから、夢を叶えられた今がある

『リメンバー・ミー』は家族の絆を描いた物語…ということで、ここからは「家族」をテーマにおうかがいできたらと思います。ミゲルと同じように「音楽をやりたい!」という夢を持っただいすけ少年にとって、ご両親はどんな存在でしたか?
両親ともに、全力で応援してくれましたね。歌との出会いを作ってくれたのは母でしたし、父も言葉数は少ないんですけど、大事なときには必ずアドバイスをくれました。ぼくが「音楽をやっていきたい」と話したときも、父が「自分のやりたいことが見つかったなら、一生懸命頑張りなさい。家族みんなで応援するから」って言ってくれて。
ミゲルの家とは正反対ですね。
ぼくは3人きょうだいの一番上で、妹と弟がいるんです。うちは普通の会社員の家庭なので、音楽系の大学に進学すると、長男のぼくにお金がかかってしまうのが申し訳ないという思いもありました。でも、妹と弟も「お兄ちゃん頑張ってね、応援しているから」って…。
家族みんなで応援してくれたんですね。
今の自分が、歌を聞いてくれる人たちに元気や楽しさを届けられることができているのも、家族のおかげです。だから歌を通して、その恩返しをさせてもらっているような気持ちもありますね。
先ほど「歌との出会いを作ってくれたのは母」とおっしゃっていましたね?
はい。母が音楽好きで、常に家の中に音楽があふれている環境でした。あるとき母が、ディズニーの『青きドナウ』という映画をレンタルビデオ屋さんで借りてきてくれたんです。実写映画で、ウィーン少年合唱団のお話でした。ぼくはそのとき3歳ぐらいだったんですけど、それを見て「どうやったらあの人たちと一緒に歌えるの?」って言ったみたいなんですよ。
3歳のときに…スゴいですね!
「自分は目も青くないし、髪も金色じゃないけど、彼らと一緒に歌いたい!」と思ったみたいなんです。ぼく自身は、言ったことを覚えていないんですが(笑)。でも、それがきっかけで歌うのが好きになったらしいんです。
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