岩永徹也、ウワサの“イケメンインテリ王子”が持つ独特な世界観

天才、と言うのは彼のことを指すのだろうか。この日、岩永徹也と対面して感じたことだ。186cmの身長にすらりと伸びた手足、甘いマスク、完璧なプロポーションでカメラに収まる岩永だが、その語り口はゆったりと穏やか。それでいて、頭のなかでは何手も先を考えているのだろうか、「それはどういうこと…?」と何度も聞いてしまう、予想を上回る答えが返ってくる。『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)の出演に加え、最近では博識さに注目が集まりクイズ番組に引っ張りだこ。“イケメンインテリ”と呼ばれる彼の素顔を探った。

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

「B'zのようになりたい」が芸能界を目指すきっかけ!?

芸能界に入られたきっかけからうかがっていきます。もともと芸能界に興味はあったんでしょうか?
中学生くらいから、将来は芸能活動をしたいと思っていました。音楽が好きでB'zさんにハマっていまして、あんなふうになれたらいいなと。
芸能界と言ってもアーティストのほうだったんですか! とはいえ、デビューのきっかけは2009年の『MEN'S NON-NO』(集英社)の専属モデルオーディションに合格したことなんですよね。なぜモデルのオーディションに応募を?
アーティストだけじゃない別の個性も欲しくて、「モデルもいいな」と思っていました。それまで、何社か事務所さんからスカウトを受けていたのですが、事務所を選ぶ判断基準がわからなくて。自分が知っているオーディションを受けようと思って、『MEN'S NON-NO』のオーディションを受けました。
オーディションに合格して、モデル活動をはじめてみていかがでしたか?
そこまで洋服に興味があるわけではなかったのですが、モデルは自分ではなくて洋服を見せないといけない仕事だったので、洋服の知識や、綺麗な見せ方は先輩たちに話を聞いたり、自分で研究することもありました。
難しさなどを感じることもあったのでは、と思いますが…。
そんなに難しいと思うことはなかったです。ポージングや撮られ方も、やっていくなかで学んでいくという感覚が大きかったです。
モデル仲間の方との交流はいかがでしたか?
ハーフで、僕より3つ年上のナオミさんという方はずっとカッコいいなと思っていて憧れです。男性なんですけど。ちょうど2009年頃はハーフモデルが流行っていて。一緒に活動させていただくなかで、とても刺激を受ける存在でした。
仲良くされていたのですか?
はい。普段のファッションのことはもちろん、ナオミさんの日常生活のこと…「何時に起きて、何時に寝るんですか?」みたいなことまで聞いていました。あとは、ナオミさんが刺激を受けた本や映画とかを教えてもらって、それを読んだり、見たり。
それだけ人として魅力を感じたのですね。
ナオミさんの人間性に刺激を受けて。どういうものを見てその感性が生まれるのか、すごく興味がありました。当時、僕は「何かしたい!」というやる気に満ちていて、そういう方たちと積極的に話したりしていました。
同期のモデルさんとの交流はいかがでしたか? やはり、ライバル意識が強かったのでしょうか?
みんなタイプが違うモデルだったので、ライバル心はなかったですね。たとえば、「この服を着るならこの人だ」というのがモデル同士でもわかっていて。それぞれにモデルとして光る個性を持った人が多かった印象です。あとはモデル以外の個性もそれぞれみんな持っていて、ゲーマーがいたり、音楽をやっている人がいたり……そういうところが面白いなと思っていました。
岩永さんの個性というと……。
僕は当時、薬剤師の勉強をしていたのでそこでした。

“なぞなぞ”を解く感覚。岩永流・勉強との向き合い方

福岡大学薬学部を卒業し、慶応義塾大学大学院の薬学研究科に通われていたというのは、薬剤師になりたかったとか、そういう理由ではなかったのですか?
薬剤師になりたいというより、医療系は学問として興味があったので、それを勉強したいという思いだけでした。
勉強したい思いがあったとしても、薬学部に入るってハードルが高くないですか…? 決して簡単なことではないと思うのですが…。
あまりハードルが高いと感じなかったです。勉強は自分の努力次第ですぐに結果が出るので難しくないです。ただ、僕は習うことが好きじゃなくて、自分でサーッと勉強したいタイプなんです。
…と言いますと…?
数学や英語が好きなんですけど、それはわざわざ誰かから習う必要がないからで。
習う必要がない…?
学校で英語の授業を受けるよりも、外国のモデルさんと遊びながら英語を学んだほうがすごく効率がいいと思っています。数学も、数学者さんの論文や伝記を読めば自分で学べるし、わざわざ教わることはないなと。その点、薬については薬学部に行かないと免許が取れないし、触れない薬品もあるので、学ぶ価値があるなと思いました。
薬学の勉強は、岩永さん的にも教わる価値があったんですね。いつ頃からそういうスタンスに?
小さい頃からです。もともと勉強は好きなタイプで、クイズ、なぞなぞみたいな感覚なんです。幼稚園や小学校の頃から、なぞなぞも自分なりの解き方を編み出したりしていました。そういう自分なりの解き方を考えるのが昔から好きで、いろんな教科の問題でやっていました。
えっと、簡単にたとえると引き算をどう解くかも、なぞなぞを解くような感覚ということですか…?
そうです。習う前からオリジナルの解き方を編み出してやっていました。だから、新しい解き方を学校で習っても、自分で編み出した解き方のほうが価値があるなと思っていたので、教わったものは使わずに自分のやり方で解いていました。
例で言えば、筆算をして解く方法を教えてもらいますが…。
筆算はしないですね。
どうやって解くんですか?
たとえば、「302−196=」という問題があったとしますよね。これを筆算すると…1を借りてきたり、ややこしいじゃないですか。なので僕は、「302」だったら、だいたい「300」、「196」だったら、だいたい「200」と考えて、「300−200=100」。「302」と「300」の差が「2」、「196」と「200」の差が「4」なので、これを足して、「100+2+4」、これを解くと、「106」になります(実際に岩永さんが紙に書いて説明)。
わ……! 本当ですね。こちらのほうがわかりやすい。
だから、筆算って効率が悪いんです。もっと簡単な解き方は探せば絶対にあります。僕も別のなぞなぞを解いているなかで、「あ、こうすればいいのか!」と思って考えついた解き方なんです。
筆算を教えてもらったときは、「こう解けばいいのか!」というひらめきがありましたし、教わっているので、普通に“筆算で解けばいい”と考えますよね。
逆にミスを招きやすいかなと感じます。この解き方のほうがミスも少ないと思います。

台本やマンガは、頭のなかでページをめくるイメージ

英語や数学だけでなく、ほかの教科はどうですか?
社会などは言ってしまえば、単に知識なのでパッと覚えて終わりな気がします。覚えられるものは覚えられるし、覚えられないものは覚えられないものなので、「覚え込もう」という意識はないです。
では、どういうふうに勉強を?
教科書を見て、それを思い出す練習をしていました。テストのときなどに「この答えは教科書のここに書いてあったこれだ」と、頭のなかに教科書を思い浮かべて、それを書き写すような特訓ですね。
それはどう特訓するんでしょうか…?
もうとにかくパッと見て、それを頭のなかで思い起こすというのを何回もやりました。書いてあるもののイメージをぼやーっと頭に入れて。それを思い浮かべる。
絵はイメージで思い浮かべられそうなのですが、文字列となると難しいような…。
絵も文字も一緒ですね。たとえば「2833222」って文字が並んでいたら、「2」が三つ並んでいるな、「8」は「2」の隣にあったなとか。
な、なるほど。ちなみに、お芝居のときの台本とかはどういう感覚なんでしょうか?
これも一緒です。読んだらそのストーリーが頭のなかに入るので、思い返していきます。それをどう演技で表現するのかは別の話ですが、台本も覚え込んだりはしないですね。だから、週刊のマンガ誌とか、1話を読んだらもう頭のなかにコマ割りまで入っているので、わざわざ現物を見なくても、頭のなかでページをめくることができるんです。
えー……!? マンガを読んでいて「あ、あのシーンいいな、泣けるな〜もう一回読み直そう」っていうのも…。
頭のなかにあるマンガをめくって読み返します。たぶん、そういうことが好きなんだと思います(笑)。興味があって、隅々まで見ちゃうんですよね。それが頭のなかに残るんです。

“王子”と呼ばれることには…「素直にうれしい」

2013年からは『テラスハウス』(フジテレビ系)の出演がありましたね。
視聴者のみなさんはすごく興味を持って見られているんだなと思いました。僕も覚えていないようなことまで覚えていて、「お茶碗が三つあったから、あのときは三人いたんでしょ?」とか言われたことも(笑)。
身長の高さと甘いマスクから、「王子」の愛称で親しまれていました。
僕自身は「王子」だと思っていないので、どこか『テラスハウス』に出ていた僕を、あるキャラクターとして呼ばれている感じで。気恥ずかしさとかはなく、率直にうれしいです。
『テラスハウス』が終わった今でも、ファンの方から「王子」と呼ばれたりしませんか?
言われます。4年も前から覚えてくれているんだって、うれしい気持ちです。それに、僕のなかですごくわかりやすくて。
わかりやすい?
ファンの方が僕のことを「王子」って呼んでくれると、「あ、『テラハ』のときから知ってくれているんだ」と思うし、「岩永さん」って呼ぶ人は『MEN'S NON-NO』からの方が多い。逆に「神」って呼んでくれる人は『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)から知ってくれたんだな、と。僕のことをどこで知ってくれたのかすごくわかりやすいです。
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