みんなの視線を“Only me”にしたい! 芹澤 優の根底にあるオンナノコの欲望

ハキハキとした愛らしい声でインタビューに答えてゆく芹澤 優。朝から続く取材の疲れなど見せない丁寧な受け答えに、目が合うとパッと見せる太陽のような笑顔。そんな彼女にいつのまにか惹かれてしまう――。全員が声優であり、アイドルとしても活動しているハイブリッドユニットi☆Ris(アイリス)のメンバーである芹澤。今年4月にソロデビューを果たし、このたびソロ待望の2ndミニアルバムが発売となる。彼女の根底にある「私だけを見て!」という強い思いがギュッと詰まった1枚となった。

撮影/祭貴義道 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.

“いろんな芹澤 優”が詰まったミニアルバムに

11月29日に発売される、芹澤さんの2ndミニアルバム『only you? only me!』をひと足早く聴かせていただきましたが、芹澤さんのいろんな“可愛い”がギュッと詰まっているなと思って、とても素敵でした!
え〜! ありがとうございます! めちゃめちゃうれしいです!
今回のミニアルバムのコンセプトは何でしょうか?
今回は、“自分が好きな自分”をテーマに、カッコいい自分、可愛い自分、ポップな自分、バラードを歌う自分と、いろんな私を曲で表現しています。私自身も自分のいろんな面が好きなので…(笑)。ファンの方にも、いろんな“私”を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
今年4月に発売された1stミニアルバム『YOU&YOU』とはどんな違いが?
前回は私のことをはじめて見る方にもわかりやすいようにと、私と言えば……“可愛さ”だよね、みたいなところを押し出して…。って、自分で言うとすごく恥ずかしいんですけど…(笑)。
芹澤さんといえば“可愛い”ですもんね。
芹澤 優だってパッとわかりやすいものを考えたときに、“可愛い”かなと思って。前回は、人から見られたときの“芹澤 優の可愛さ”を表現しましたが、今回は自分から見て、自分の発信したい部分、という色を強く出させていただきました。
芹澤さんのいろんな部分…というお話がありましたが、表題曲の『PRINCESS POLICY』は衣装を含め、すごく小悪魔チックですね。芹澤さんにも小悪魔的な要素があるということですか?
小悪魔…と言うと聞こえがいいですが、要はワガママなんです(笑)。
ワガママなんですか?(笑)
すぐ、ライブでもファンの方に「優だけを見て!」、「せりこ(芹澤さんの愛称)は可愛いでしょ?」って自分で言っちゃうんです。それを小悪魔と言うと、すごく可愛く聞こえますね(笑)。でも、自分からそういうことを言うのは、ほかの人にはない私らしさだと思っているので大事にしているんです。
もともと、そういった「私だけを見てほしい」って思う性格なんですか?
もともとそうなんです。親から「世界一可愛い」って言われて育ってきたので、すべては親に愛されすぎたゆえです(笑)。今となれば可愛い人はたくさんいるってわかっているんですけど、それでもあえて自分で言っちゃうという(笑)。
『only you? only me!』というタイトルからも、「私を見て!」っていう強い思いが伝わってきますね。
前回もですが、「you」という言葉は絶対に入れたくて。「あ、この子、人に見られたい子なんだな」っていうのがパッと見てわかりやすいかなと思って、このタイトルにしました。
すぐに出てきましたか? それともけっこう考えました?
けっこう悩みました! 「you」を入れたいなと思いつつも、何がいいんだろう…と考えて。ただ、今回は『PRINCESS POLICY』の曲中にも『Only you』という言葉が出てくるので、ちょうどいいんじゃないかなと思いました。

思いがたっぷり込められた、こだわりの全6曲を解説!

個性豊かな6曲ですが、芹澤さんから要望を出した点などはありますか?
今回は、本当に私の意思を尊重してくださった1枚になっています。プロデュースを担当してくださっているSCREEN modeの太田(雅友)さんが、「こんなに自由度が高いアルバムは次いつできるかわからないから」と言ってくださって、私の思いを細部まで反映したいとおっしゃってくださったんです。
具体的にどんな要望を?
曲のメロディーを聴いて、6曲すべてに「こういう歌詞にしてください」って作詞家さんに細かいイメージを書いて送らせていただきました。なので、歌詞は私の意思が込められていてこだわった部分です。
全曲の歌詞のイメージを芹澤さんから提案されたのですね。ぜひ1曲ずつ、そのこだわりを教えていただきたいです。
はい! 話したいことはたくさんあるんですけど、あんまり長くなっちゃうといけないですよね…。
いえ、ぜひゆっくり聞かせてください! 1曲目の『PRINCESS POLICY』は?
『PRINCESS POLICY』は表題曲だったので、「芹澤 優だな」とみなさんにわかってもらえるような曲にしたいなと思っていました。歌い出しのサビ「みんな同じなんて 言われたくないの 女の子は褒められたい“PRINCESS” どのカワイイか好きか決めなきゃ もちろん私? 当然だよね!」は、私を見たことがある方だったら「芹澤 優ってこんな子だよね」っていうのがわかってもらえると思います。
芹澤さんらしい「私だけを見てほしい!」という思いが存分に詰まったところですね。
自分で言うとただただ辛いんですけど(笑)、私は「あざとい」って言っていただくことがあって。その「あざとい」感を出せたらなと思って、歌詞も“小悪魔感”、“男の子がドキッとする感じ”とお願いしました。
途中に入る「Only you…でしょ?」っていうセリフは、女の私でもドキッとしてしまいました。
ははは! ありがとうございます! 急にセリフが入ってきて「おっ、何だ?」って感じがしますよね。じつはこのセリフ、レコーディング時は、太田さんが「入れなくてもいいんじゃないか」と言っていたんです。
そうだったんですね。
歌を全部録り終わったあと、私から「セリフを言ってみてもいいですか?」とお願いしてやってみたんです。そうしたら、最終的にはセリフが入ったものになっていました。一曲通して聴いてみると、セリフを入れてよかったなと思っています。
では、2曲目の『お願いWeekend』は?
ファンの方たちが汗をかいてウォオオ! って盛り上がっている姿はライブでいつも見ているけれど、みなさんにもちゃんと日常はあるじゃないですか。平日は仕事をして、「疲れたな」って思う瞬間はある。でも、週末に君に会えるから平日を頑張ろうって…ファンのみなさんが私に対して思ってくれていたらいいなという気持ちを歌にしました。
週末はライブなどで芹澤さんに会えるから、平日は仕事を頑張ろう! って?
はい。そう思ってもらえていたらいいな…って。でも、私も同じ気持ちで、週末にファンのみなさんに会えるから、「疲れたな」って思ったときも、「頑張ろう!」って思えるんです。
では、3曲目の『ハウ?トゥ!パーティー☆』はいかがですか?
いろんな活動をさせていただいているので、ソロのライブはあまり頻繁にできなくて。そんななかで、曲を聴いてすぐに盛り上がれる曲って大事だなと思うんです。だいたい、ライブ4回目くらいでノリをつかんできたかな? っていうことも多いと思いますが、私の場合はそれだと遅い!(笑)
頻繁にライブができないからこそ、一発で盛り上がれる曲にしたかった?
そうなんです! かけ声も簡単でわかりやすいものをたくさん入れて。みなさんにライブで盛り上がってほしいなという思いで作りました。

恋愛ソングは、ポップなものよりバラードが好き

4曲目の『今夜も月がきれい』は、しっとりとしたバラードですね。
同じアニソンアーティストのTRUEさんに作詞をお願いしました。もともと面識があって、すごくお綺麗な方なんです。「待ってました!」と言わんばかりに、曲にぴったり合った素敵な歌詞が上がってきて。レコーディングでも、この曲は何度も撮り直しました。
素敵な歌詞だったからこそ、納得のいくように歌いたかったのですね。
私はバラードの切ない恋の歌がとても好きで。「もっとこういうふうに歌いたいのに」っていう思いがあったんですけど、なかなか表現できなくて何度も歌わせてもらいました。感情が入りすぎているのも「どれだけ切ない恋の歌が好きなんだよ!」って思われそうなんですけど、感情が入っていないのはラブソングじゃないと思うので、そのいい感情の入り具合には、何度もこだわって歌いました。
恋愛ソングだったら、ポップな感じよりバラードのほうが好き?
好きです! もう「君が好き!」って感じよりかは、「好きすぎて辛い…」っていうほうが、「ああああ〜!」(顔を覆う)ってなります!
5曲目の『No Regulation』は、ロックで聴かせていますね。
これは、中学生時代の自分を歌った曲です。歌詞の「ゲージに押し込んだら」とか「ルールに縛りつけて」とかは、ゲージが教室で、ルールは校則。学校のルールに縛られて、そこから逸脱したら怒られて…。でもみんなと同じはイヤなんだ! みたいな気持ちを曲にしてほしい、とイメージを長々と書きました。
「だっていつも息が詰まる」という歌い出しも印象的ですね。中学生時代は息が詰まる思いをしていたんですか?
校則に縛られて、みんなと同じようにしないといけないのかなって、小学生や中学生の頃はよく考えていました。自分はこの色のカーディガンが好きだけど、校則ではダメで…みたいな。自分のなかに溜まっていたものを、ここで吐き出した感覚ですし、きっと共感できる方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。
たしかに、そうやって「息が詰まる」思いをしている方も多いかもしれません。歌い方もどこか吐き出すような感じで、6曲のなかだと印象が違いますね。
そうなんです。今までとは少し違う感じですよね。とくに歌い方を意識して変えたというわけではなく、メロディーと歌詞の感情がうまく乗って、無意識にロックな感じの自分が出たなという気がします。
では、最後に6曲目の『パラレルスターズ』はいかがですか?
ライブの最後の定番曲になったらいいなと思って作っていただきました。ライブの最後って寂しいけど盛り上がって終わりたい。「今日のライブ、最高だったね」という気持ちと、いつもMCで言う「次に会えるまで待っていてね」という気持ちが伝わったらいいなと思いました。『パラレルスターズ』は、自分もスマホでずっと聴いているくらいお気に入りの曲です!
それには何か理由があるんですか?
作詞を古屋 真さんにお願いしたのですが、私はもともと古屋さんの歌詞が大好きで。いつかお願いしたいなと思っていたんです。それを太田さんにお話したら「今でいいじゃん!」と言ってくれて。「じ、じゃあ…」という感じでお願いしました。もともと曲も気に入っていたんですけど、歌詞がすごく素敵なんです。
サビの言葉の選び方やつなげ方がとても可愛いですよね。
そうなんです。とっても可愛いんですよ! サビの「手と手が天に星を 振りまくように 振って振って って見つめて」って、すごく言葉の選び方が可愛くて。曲中に手を振るバイバイの振りをみんなで一緒に踊れるんじゃないかなと思いました。作詞家さんって本当にスゴいなって感じます!
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