森川 葵が恋に落ちたら…? 天性の女優の意外な素顔
つかみどころがない。ふわりと柔らかい、見た目そのままの雰囲気で話していたかと思えば突然、大胆不敵な言葉が飛び出す。映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』で、森川 葵は広瀬すず演じるヒロインの親友の女子高生を演じた。ちなみに、10月14日にスタートしたドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)で演じるのは高校教師。そこに違和感を持たせず、作品ごとにビジュアルどころか、発する空気もガラリと変えてしまう“カメレオン”タイプ。森川 葵は天性の女優なのだ。
撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc『あの花』で知られる脚本家、“岡田麿里”の名前に感激!
- 映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』は河原和音さんの人気漫画を原作に、内気な女子高生・島田 響(広瀬すず)と高校教師・伊藤貢作(生田斗真)の純愛を描きます。森川さんが演じるのは、響の親友で、自身も教師の関矢正人(中村倫也)に恋する千草 恵ですね。最初にオファーがあったときの心境は?
- 台本を開くと監督やスタッフさんの名前があるんですけど、“脚本”のところに「岡田麿里」とあって…!
- アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『心が叫びたがってるんだ。』のシリーズ構成で知られる岡田さんですね。
- 私はアニメが大好きなので。岡田さんの名前を見た瞬間に「(この作品は)絶対、成功する!」って(笑)。
- ちなみに岡田さんの作品でとくにお好きなのは?
- うーん、いっぱいあって選ぶのは難しいけど、とくに好きなのは…シリーズ構成を務められているアニメ『凪のあすから』ですかね。あとは『迷家-マヨイガ-』とか。いっぱい見ていたので、岡田さんの書いた作品に自分が出られるってことが本当にうれしかったです。
- 今回の『先生!』に関しては?
- 「あぁぁぁぁ…岡田さんの本だっ!」って思いながら一気に読みました(笑)。岡田さんならではの青春物語でさすがというか、フィクションと実際にありそうな感じのバランスがすごく好きですね。
- とくに岡田さんらしさを感じたり、印象深かったセリフやシーンがあれば教えてください。
- 千草の言葉で「好きになっちゃいけない人なんていないよ、絶対!」というのがあって、それはすごく好きですね。あとは千草が「人を好きになるって、やっぱいいなぁ!」とか、ストレートに気持ちを言葉にしていて、いいなぁって。
- 過去に演じてきた役と比べても、かなり素直に感情を出す役柄ですね。
- そうなんですよ。私がひねくれているからなのか…(苦笑)、変人の役が多いんです。これだけストレートに誰かの背中を押したり、好きな人にまっすぐなタイプの役ってあんまりなかったので。
- 演じてみて、いかがでした?
- 難しかったけど、変に考えずに響の恋を応援して、千草の「好き」という気持ちを素直に表現してみました。できあがった作品を見た周りの人に、「よかったよ」と言っていただけることが多くてホッとしてます。こういう役柄もいいなって思いました。
「代わりになる人はいないと思った」広瀬すずの存在
- メガホンを握ったのは映画『アオハライド』、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などで知られる青春恋愛映画の旗手・三木孝浩監督ですね。三木監督の演出はどうでしたか?
- 撮影前に「こういう雰囲気を作りたいんだ」と、三木さんが編集されたイメージCDをいただいたんです。そのメロディをずっと聴きながら脚本を読んだりして、自分なりに世界観を作り上げて現場に入りました。ご一緒してみて感じたのは、三木さんには三木さんにしかわからない「もうちょこっと…」というのがあるんですよ(笑)。
- 「もうちょこっと…」?
- そう。そこにどうやったらたどり着けるんだ…? と考えつつ。重ねるときは何テイクも重ねるけど、その「もうちょこっと…」の加減は三木さんにしかわからない。コップから水があふれそう。いま、(表面張力で)コップの上に盛り上がってる…って感じで。
- 演技に、微妙なさじ加減やニュアンスが求められるんですね。
- そこは、私が「これくらいの演技をしよう」と考えてもしょうがないので、実際に演技を見てもらって、あとは三木さんに調整をお任せするしかないんだなって。
- 完成した映画で、岡田麿里さんの脚本をもとに、三木監督が実写として作り上げた世界、そこに映っている自分の姿を見ていかがでしたか?
- 「私、この世界にちゃんと入れたかも!」って思えました。アニメとは確実に違う実写で、響や伊藤先生をはじめ、登場人物たちがキャラクターになりすぎずに『先生!』の世界を生きてるなって。千草は、映画でも他の人物と比べて、少しキャラクター性が強い部分はあるけど「あぁ、いるよね! こういう感じの子」って。
- 千草は、広瀬さんが演じた響、そして竜星 涼さんが演じたクラスメイトの川合浩介と3人で一緒にいるシーンが多かったですが、おふたりとの共演はどうでしたか?
- すずちゃんは、やっぱりここ数年で大きな作品もやってきて、(役を)つかむのが早いし、うまいですよね。広瀬すずが演じる役は、広瀬すずじゃなきゃダメ! 代わりなんていない完成された存在だなって、横で見てて思いました。年齢は私より年下なんですけど「いやいや、負けるわ」って。現場ではワイワイとご飯の話ばっかりしてましたね(笑)。
- そこに竜星さんが男ひとりで加わるって、不思議な感じです。
- 竜星くんとは以前も共演したことがあって、会ったらワッと盛り上がって「久しぶり〜!」って感じになりました。そこにすずちゃんもスッと入って、3人で打ち解けられました。3人でいると、兄妹みたいな感じなんですよね。
- 竜星さんが一番上のお兄さんで…?
- 私が真ん中で、すずちゃんが末の妹(笑)。
- 演じたのは同級生なのに…。
- でも、映画の中でも響って、ふたりに背中を押される感じで、同い年なのに妹キャラなんですよね。その感じがそのまま出ていました。