本が好き…毎日が更新され「生きている」って実感できる

先ほど、読書のお話が出ましたが、普段からよく本を読まれるんですか?
仕事とは関係なく好きですね。読書も観劇もそうなんですけど、純粋に物語が好きなんです。毎日、同じではない一日一日を生きてはいるんですけど、ふと日々が同じことの繰り返しのように、錯覚してしまうことがあるじゃないですか?
忙しければなおさら、そうなってしまいがちかもしれません。ましてや、平野さんの場合、舞台公演で同じ演目を毎日、繰り返すわけですから。
でも、小説や演劇を通して自分の中に物語を入れていくことで、繰り返しではなく、更新されて、「生きている」「前に進んでる」って実感できるんですよね。
どうやって読む本を選んでいますか? よく読まれる作家やジャンルなどはありますか?
作家さんで選ぶってことはあまりないんですよね。たとえばいま、村上春樹さんの新作(『騎士団長殺し』)を読んでるんですけど、とくに“ハルキスト(※村上春樹のファンの通称)”というわけでもなく。本屋に行って、タイトルや表紙のデザインで選ぶことが多いですね。
『それから』だけでなく、坂口安吾の『桜の森の満開の下』や、梶井基次郎の『Kの昇天〜或はKの溺死〜』など、文学作品が原作の舞台に出演されてきました。一方で、タイプの違う2.5次元作品にも数多く出演されていますが、これらのジャンルの違いについて、どのように捉えていらっしゃいますか?
僕は舞台を始めたのが遅くて、芸能界を一度、やめる以前は映像作品しかやってなかったし、復帰してしばらくは映像ばかりで。舞台に出るようになったのは、この8、9年なんです。
最初に出演されたのは『ラフカット2008 愛のメモリー』ですね?
ストレートプレイで、性同一性障害の繊細な人物を演じて、その次がミュージカル『テニスの王子様』。そこから正直、何もわからないままに次々と出演を重ねていって…。最初の作品で、舞台の面白さを知り、次の『テニスの王子様』では、人に伝えることの素晴らしさ、見せ方というのを教えてもらいました。
タイプはまったく違えども…。
どちらもすごく面白いし、学ばせてもらうことがたくさんありました。ただ、2.5次元作品に対して「あんなのは、舞台としては…」みたいな声を耳にすることもあって…。僕は、それは悲しいことだし、そこで自分の可能性を狭めてしまうのはもったいないと思っていました。
当時から、どちらのタイプの作品もやりたいという思いがあったんですね?
「役者はこうあるべき」という信念は大事ですが、それが自分の景色を狭めてしまうのはもったいない。どちらが優れているとかではなく、それぞれの個性、それぞれにしかない魅力があると思います。

無意識のうちに、ふと気づく心をもつことが大事

実際にさまざまなジャンルの作品に出演し続け、多彩な役柄を演じられるのは、平野さんの類まれな“表現力”があってこそだと思います!
表現力って、あくまでも自分の中にある“何か”を表現する力だと思うんです。だから、自分の中に10のものしかなければ、伝えられるのはMAXでも10だし、それが100あれば、表現力を磨いて最大限に発揮すれば、100のことを伝えられる。
自分の中に存在する“何か”が、表現の材料として必要なんですね?
じゃあ、その“何か”って何なのか…? それは台本や小説の読解力だったり、舞台空間を把握する力だったり、想像や妄想力だったりするし、ユーモアも必要かもしれない。そういうものを織り交ぜて、舞台上で繊細にセリフと肉体で伝えていく――それが表現力の一連の流れだとしたら、生きていく中で積み重ねていくものが大切だなと。
生活の中で感じることや経験が重要だと?
20歳のときと60歳のときで、同じセリフを言うにしても、重みや渋みに違いがあるのと同じ。そこは、真摯に人生を歩んでいけば、自然と育まれていくものなのかなとも思います。ただし、それは何もしなくても勝手に育つという意味ではなくて、「そうありたい」という気持ちを見失わないでいることが大事なのかなと。
意識して特別なことをするわけじゃないけど、かといって無意識ではなく…? 難しいですね。
難しいところです(苦笑)。そのあんばいまでは、僕は仏様じゃないのでわかりませんが…。でもたとえば、桜が咲いていても、気づかない人もいるじゃないですか?
先ほどの「日々が、同じ繰り返しであるかのように錯覚しそうになる」という感覚に近いかもしれませんね。
僕も気づかないことってあると思います。「あれ? もう冬じゃないんだ?」とか(笑)。そういう一瞬一瞬を見逃すって、何かに心が囚われているということだと思います。意識的に特別なことを実践するのも大事なんでしょうけど、むしろ無意識のうちに、ふと気づく。そんな心を持っておくことが大事だなって思っています。
平野 良(ひらの・りょう)
1984年5月20日生まれ。神奈川県出身。B型。中学時代から俳優としてテレビドラマなどに出演。一時、芸能界を離れるが、その後、復帰し2008年よりミュージカル『テニスの王子様』で一氏ユウジを演じ注目を集める。2009年には『パラレル・ライフ・パーティー』、『地図から消された島』『灰頭』と立て続けに主演を務め、その後も『ふしぎ遊戯』シリーズ、『メサイア』シリーズ、『ハンサム落語』、舞台『インフェルノ』、ミュージカル『さよならソルシエ』など、話題の舞台や朗読劇に次々と出演。今年は、文劇喫茶シリーズ 舞台『それから』に続き、舞台『ハイスクール!奇面組』の公演も控える。

出演作品

文劇喫茶シリーズ第一弾 舞台『それから』
5月3日(水・祝)〜14日(日)@俳優座劇場
原作:夏目漱石
脚本:田中洋子
演出:山田佳奈(□字ック)
<出演>
長井代助役:平野 良、平岡三千代役:帆風成海、平岡常次郎役:今立 進

©文劇喫茶ライブラリー

DVD発売決定!
発売日:2017年10月末日頃予定
※製造状況によっては、多少変動する場合がございます。
販売価格:6,400円(税込) 仕様:1枚組
収録内容:本公演映像(収録日:5月10日(水))
(特典映像:全公演ゲスト日替わり映像)
公演会場と通販サイトCLIE-TOWNにて
ご予約頂いたお客様には、CLIE先行予約特典として【千秋楽全景映像(非売品)】をプレゼント!

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、平野 良さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2017年5月8日(月)12:00〜5月14日(日)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/5月15日(月)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから5月15日(月)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき5月18日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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