「"列島沈黙"、日本、UAEにPK戦の末敗北」(サッカー専門誌『ベストイレブン』)
「日本沈没、アジアカップ8強でUAEに敗れる異変」(一般紙『中央日報』)
 
 PK戦の末にアジアカップ準々決勝で姿を消すことになった日本敗退のニュースは、試合直後から韓国でも大きく報じられた。総合ニュースメディア『イーデイリー』などは「信じた兎に足首を掴まれた日本、UAEに敗れ8強脱落の屈辱」と報道。"信じた兎"とは、本田と香川のことだ。

【マッチレポート|日本1(4PK5)1UAE】

「香川と本田、エースの背信で崩れたチャンピオン」(スポーツ紙『スポーツ朝鮮』)
「本田と香川、ふたりのエースの没落」(サッカー専門メディア『FOOTBALLIST』)
「本田と香川がPK失敗、信じていたから、なお痛恨」(サッカー専門メディア『インターフットボール』)
 
 韓国でも広く知られる日本の両エースが、まさかのPK失敗に終わったことをクローズアップしながら、日本敗退を知らせるメディアが多かった。「本田、"サッカー人生最悪のシュート"で自滅」と報じた総合ニュースメディアの『JOY NEWS24』は、記事を次のように締めくくっている。
 
「アジア最高の舞台であるアジアカップで、しかもアジア最高のキッカーである本田のとんでもないシュート。おそらく彼にとって、サッカー人生最悪のシュートとして記憶されるだろう」
 
 もっとも、韓国メディアはふたりのPK失敗だけが敗因だとは思っていない。次のように、日本の決定力不足を敗因に挙げる記事も多かった。
 
「シュート30本以上が霧散の日本、19年ぶりに最悪の成績」(総合ニュースメディア『マイデイリー』)
「35-3、圧倒的なシュート数でも日本は泣いた」(スポーツ新聞『スポーツ京郷』)
「35本のシュートで1得点の日本、うんざりな決定力の低さが敗因」(FOOTBALLIST)
 
「日本、ひどかった決定力不足に泣いた」と見出しをつけた『スポーツ韓国』も、「試合内容では圧倒しながら決定力不足で足首を掴まれた日本は、ほろ苦く帰国の途につくことになった」と報道。「"逆転勝ちゼロ"の日本、どこか不吉だった」との大見出しをつけた総合ニュースメディアの『MKニュース』などは、「逆転勝ちがないアギーレジャパンとしては、先制点を許してしまった時点で敗北の影が忍び寄っていたかもしれない」と、「試合を支配して一方的に進め倒したがUAEの密集守備を破るのに手を焼いた」とも報じた。
 また、総合スポーツメディアの『エックスポーツニュース』は「柴崎、輝けなかった"次世代の遠藤"」と、同点ゴールを決めた柴崎をクローズアップ。「柴崎は自らの潜在能力を示したが、日本を救うことはできなかった」と報じた。
 
 『FOOTBALLIST』も「遠藤というジレンマに悩む日本の脱落」と題した記事で、「今大会の日本は過度に主力メンバーに依存し、毎試合、後半になると体力の低下とともにパフォーマンスも下落した。特に今月35歳の誕生日を迎えるベテラン、遠藤は起用すること自体がジレンマだった。 彼のパス技術は素晴らしいが、パス以外での貢献度が落ち、UAE戦では不調だった。アギーレ監督は遠藤に代えて柴崎を投入し、柴崎は遠藤よりも精力的に動いて努力した」と報道。
 
「ただ、レギュラーメンバーに過度に依存したことが日本にとっては残念だった。柴崎や武藤など、他の選手にも先発でプレーする機会を与えていれば、もっと良いコンディションで試合を戦うことができた」と指摘した。
 
 ちなみに、韓国メディアでは日本やイランの敗退を受けて、「イランも日本も帰路に……笑う韓国」(一般紙『京郷新聞』)「難敵たちが脱落、55年ぶりの優勝が近づいた」(ベストイレブン)、「日本、アジアカップ8強脱落の異変は、シュティーリケ号にとっては好材料?」(スポーツ新聞『スポーツ・ワールド』)と、自国代表への期待感を煽る報道も目立った。
 
 "永遠のライバル"の脱落によって最も安堵しているのは、韓国のメディアやファンたちかもしれない。
 
取材・文:慎武宏(スポーツライター)