12月19日、日本サッカー協会内にてブラジル・ワールドカップの日本代表キャンプ地に関するブリーフィングが開催され、サンパウロ州イトゥ市にキャンプ地を定めたことを発表した。

 原博実技術委員長(この日、原氏は専務理事に就任したが、この件は技術委員長としてのコメント)は「昨年のW杯予選抽選会のころから情報を集め、実際に観てもきていた」とした上で、「サンパウロ州郊外のイトゥ市にあるスパスポーツリゾートと仮契約を結ぶことになった」と明らかにした。

 選考理由は「グループリーグ3試合を戦うために、集中して練習して、リラックスして滞在できること」(原委員長)。そのために、「ホテルを新しく建築する段階にあり、日本側の要望を汲んでくれる」状況にあったことも大きかったようだ。たとえば、「(各部屋に)バスタブが欲しい」という日本側の要望が通ったのも大きかったようで、「日本と違って向こうのホテルだと、シャワーだけというところが多い」のに比べて、大きなメリットと映ったようだ。

 ほかにも原委員長は「敷地内に練習場があり、移動の負担がないこと」「室内プールが併設されていること」「散歩できるような場所があること」「新しく建設されるホテルの建物を貸し切りに近い状態で使用できること」「サンパウロ市が近く、日本食も調達できるし、困ったときに現地の人にお願いできること」などを挙げている。

 デメリットとしてグループリーグの各会場から距離があり、「移動は確かに遠い」ことが挙げられるが、「カンピーナス空港まで車で30分と近く、しかも小さい空港なので利便性が高い」ことを挙げ、移動距離はあっても実質的な移動負荷はそれほどでもないとしている。

「日本人にとっては、移動に時間がかかっても静かにリラックスして過ごせる時間を確保できることが大事だと思う。(南アフリカW杯のキャンプ地だった)ジョージがそうだった」(原委員長)と、4年前の経験を踏まえて、気候や移動などよりも何より「キャンプ地での日常」が平穏で、選手がリラックスできる環境であることを重視したキャンプ地選考だったことを、あらためて強調した。

 キャンプ地には開幕の1週間前くらいに入る見込みだが、決勝トーナメント以降についてはキャンプ地を移す可能性があることも示唆した。唯一不安があるとすれば、日本代表が宿泊予定のホテルがまだ「建築中で、4月くらいに完成する見込み」(原委員長)だということ。何事にものんびりな“ブラジル時間”で建設が進まなければいいのだが…。

文●川端暁彦