映画『007 スカイフォール』でメガホンを取ったサム・メンデス監督が、本作に盛り込んだというシリーズ過去作へのオマージュについて、ブルーレイ&DVDの特典映像で詳しく語った。

 シリーズ第1作『007/ドクター・ノオ』が公開された1962年から、ちょうど50年というメモリアルイヤーに公開された本作。過去の作品のキャラクターであるQやマネーペニーの登場、『007/ゴールドフィンガー』に登場した赤い隠しボタンのあるアストンマーチン・DB5といった、『007』シリーズを象徴するような人物やガジェットに思わず歓喜した観客も多いだろう。ほかにも過去シリーズ全22作へのオマージュがそこかしこにちりばめられており、「さすが50周年」と熱狂的ファンをニヤリとさせた。

 そんなオマージュの数々を、ブルーレイ&DVDのサム・メンデス監督によるオーディオコメンタリーでチェックしてみるのも面白い。例えば、マカオのカジノでボンドがコモドドラゴンの背中に飛び乗るアクションは3代目ジェームズ・ボンド、ロジャー・ムーアの『007/死ぬのは奴らだ』を意識したもの。ボンドと敵であるシルヴァがデッド・シティーで対決するシーンに出てくるウイスキーのラベルに印字された蒸留年が1962年だったり、ラストに登場する上司Mのオフィスが『007/ドクター・ノオ』のセットのある1点を除いて忠実に再現されていたりといったことが明かされる。

 そのほかにも興味深いエピソードや話題が満載。本作に影響を及ぼした作品として数々の名作を挙げていき、そのタイトルは『第三の男』や『めまい』(1958)から『ホーム・アローン』までと幅広い。黒澤明監督作品の地形を生かしたアクションシーンが特に参考になったという、日本のファンにはうれしいコメントも。特典映像でいろいろな情報をインプットして作品を観れば、さらに楽しめるだろう。(文:岩永めぐみ)

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