[画像] 歓喜の銀メダル!期待と重圧を背負い、世界王者の責任を果たしたなでしこJAPANの巻。

世界でひとつの銀メダル!

なでしこJAPANがロンドン五輪での戦いを終えました。ワールドカップ世界一の瞬間から、今日この日の金メダルを目指してきた一年間。結果はアメリカに1-2で敗れ、銀メダルを獲得することになりました。目指してきた目標とは色が違いますが、それはほんのわずかに痛みを感じるかどうかだけの違い。もしなでしこ本人たちが悔やんだり、悩んだりするようなら、万雷の拍手で忘れさせてあげたい…そんな眩しい銀メダルです。

なでしこは今大会で相手チームとのみ戦ったわけではありません。この一年でガラリと変わった自分たちの立場・責任・重圧と戦ってきたのです。世間的にはまるで予期されていなかったワールドカップ世界一と、大きな期待を受けてのロンドン五輪ではワケが違う。なでしこは初めて「国民の期待」というものに曝されました。メダルを獲得しなければ皆がガッカリする。あまりにヒドイ結果ならワールドカップ世界一にも疑問符がつく。失うもののある戦いに臨んだのです。

それは、なでしこの、日本女子サッカーの地金が問われる戦いでした。期待に潰される選手は数多くいます。ひとつの勝利に満足し、努力を忘れる選手は数多くいます。誘惑に負ける選手は数多くいます。そうなってもおかしくない熱狂に、なでしこは包み込まれていました。人としての弱さを曝け出させるような熱狂の中に。

しかし、なでしこは北京の悔しさを胸に、自分自身を見失わず、誠実に目標に向かってきました。そのことを何より確かに証明してくれるのが、なでしこの獲った銀メダル。銀は金に挑戦した者だけが得られるメダルです。金の資格を持つ敗者に与えられるメダルです。「ワールドカップより五輪が上。五輪の金を獲る」と宣言したなでしこが、言葉どおりの実力を持ち、そのための努力をしたからこそ、この色にまでたどり着けたのです。眩しくないわけがありません。


同じ日に行なわれた女子レスリング55キロ級の決勝を見ながら、僕はこんなことを考えていました。吉田沙保里さんの3連覇は素晴らしいことだけれど、寂しいことでもあるな、と。強すぎるのも考え物だな、と。伝説に残る王者がいるのに、それにふさわしい強敵がいないことが残念に思われたのです。

スポーツは競い合ってこそ面白いもの。人生は勝ったり負けたりするから面白いもの。吉田さんを苦しめ、ときに敗北させるライバルがいたなら、相互の高め合い・競い合いがどれほど面白かったことか。金メダルの数は減るかもしれませんが、「伝説の名勝負」がそのぶん増えたはずです。

その点、女子サッカーの決勝は紛れもない名勝負でした。最後の最後まで金と銀の間を両チームが揺れる激闘でした。それはひとえになでしこが強かったから生まれたもの。名勝負を作るのは敗者です。勝者を苦しめ、追い詰め、震えさせ、ギリギリのチカラを引き出す敗者がいて、初めてそんな勝負が生まれるのです。ワールドカップの決勝があれほど感動的だったのも、強いアメリカをギリギリの戦いで跳ね除けたからこそでしょう。今回は、役回りが逆になりましたが、なでしこはイイ仕事をしたと思います。強き良き敗者だったと思います。

日本の代表が、ひとつの競技の最高峰の実力者として、8万人の大観衆と十数億人の視聴者の前でプレーし、こんな名勝負を演じられたのです。その競技を牽引する責任を立派に果たしてくれたのです。嬉しい話じゃないですか。この試合を見て、未来のサワや未来のワンバックが生まれるかもしれないと思ったら、誇らしいじゃないですか。しかも銀メダルというお土産までもらえて。


メダルの色は残念ですが、逆に言えば、メダルの色以外で残念なことは何ひとつありません。

五輪の金メダルは、銀製の地金に金メッキを施して作られています。実質的な銀メダルです。違うのは本当に表面の色だけ。なでしこも、そんな存在なのではないでしょうか。惜しくも金色にはなれませんでしたが、地金は立派なものでした。金メッキしなくても十分に輝いていました。メイクし忘れちゃったけど、すっぴんで十分キレイだった…そのくらいの気持ちで色のことを忘れてしまえばいいんじゃないでしょうか。ちなみに僕は、メイクした澤さんより、メイクしていない澤さんのほうが、見慣れているっていう意味で好きですしね!

とにかくメダルがもらえて本当によかった!

おめでとう、ありがとう、なでしこJAPAN!!


ということで、最後を笑顔で終われた清々しさとともに、「ロンドン五輪女子サッカー決勝 日本VSアメリカ戦」をチェックしていきましょう。



◆さっき泣いた宮間たんがもう笑った!そしてふざけた!

ウェンブリースタジアムに詰め掛けた80203人の大観衆。スタジアムの座席は隙間なく埋まり、この一戦への期待の高さをうかがわせます。なでしこはその期待に見合う試合ができるのか。満足させてあげられるのか。「女子サッカーって面白いね!」と唸らせることができるのか。僕の緊張も高まります。

しかし、なでしこたちはいつもどおりの笑顔。にこやかに入場を待つスタメンと、入場列の脇から仲間の顔を覗き込むサブメンバー。どうせまたサブ組が何か悪さをしたのでしょう。金メダルを前に硬くなるどころか、笑いを押し殺さなくてはいけないほど和やかな入場。辛いときも苦しいときも悲壮になんかならない。撫子のしなやかな強さ。五輪の決勝戦でもそれは変わりません。

両チーム選手が交わす握手。キャプテン宮間は「パン!」と音を鳴らす強さで、ライバルの腕を叩きます。バロン澤は親友ワンバックを抱き締めます。この戦い、この組み合わせが、金を奪い合うものではなく、高め合って金に手を伸ばすものであることがちょっと嬉しい。「いい試合ができたなら負けてもい…」と言葉がこぼれそうになるほど。

そして始まった試合。日本はおなじみのメンバー。しっかり守って高い位置でボールを奪おうとする日本。強力なFW陣にボールを当てて一気に攻め落とそうとするアメリカ。違うサッカー、違うスタイル。違っているからこそ勝負をしたくなる…胸躍るような立ち上がり。

試合が動いたのは前半8分。左サイドからヒースが持ち上がると、中央に折り返し。中央でボールを受けたモーガンはトラップで岩清水のマークを外し、余裕を持って再び中央へ。ここに後方から走り込んだロイドが詰め先制点。日本はやや棒立ちのまま相手の動きを見てしまう感じもあり、勿体ない失点となりました。

↓モーガンさんが撃って外す想定だったのに、ほかの人が撃つなんて聞いてない!



モーガン逃げるな!

キミがアメリカのストライカーだろう!

キミが撃つんだ!


厳しい試合で先制を許す展開。守備を中心として、守り勝ってきた今大会を思うと、早い時間帯での失点を喫する厳しい状況。しかし、そもそも無失点で勝てるほどアメリカの攻撃は甘くないでしょう。相手が点を取ったらコチラも取り返すだけ。なでしこはここから猛反撃を見せます。

前半17分には澤のスルーパスに反応した川澄のシュート、その跳ね返りを詰めた大儀見と、連続してアメリカゴールに肉薄。直後の前半18分には川澄のクロスに大儀見がヘッドで合わせるも、相手GKソロに阻まれ、シュートはクロスバーを叩きます。

↓さらに前半26分にはPKとなってもおかしくないプレーも!
http://cgi2.nhk.or.jp/olympic/common/player/news/view.cgi?params=1,type=clip&clip=522531&mtype=1&keepThis=true

日本:「ハンドだろ!」
日本:「ハンドですよね!」
日本:「これがハンドじゃなきゃどれがハンドなのよ!」

一回手を出さないように身体を縮めたあと、ゴールに向かって身体の脇を抜けていくボールに手を出しちゃってるじゃねぇかwww

これは本人も「しまった」と思ってるだろwww

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入らない日はえてしてこんなもの。シュートが外れる、ポストを叩く、クロスバーを叩く…なでしこの猛攻はなかなか得点につながりません。とにかく「入らない日」なのか、日本ゴール前での岩清水のヘッドがポストを叩いて外れるという「惜しい」場面も。前半33分の宮間のシュートも合わせると、日本は前半だけで3度も枠に当てることになります。まるでワールドカップ決勝で外しまくったアメリカに意趣返しでもするかのよう。相手ゴールにも自分ゴールにも入らない展開に、観衆もヤキモキさせられます。

↓ヤキモキした佐々木監督は、守備に関する指示出しではおさまらず、重大なハンドの反則を犯す!

主審:「故意にお尻に向かって手を出していますね(尻が手に向かって寄ってきたわけではない)」
主審:「手を伸ばしてますよね(偶然当たってしまう、避けられない距離ではない)」
主審:「手が身体から離れてますよね(完全に触る気でやってますよね)」

FIFAの基準に照らしてみても、これは完全にハンドです!しかも、セクハラかつパワハラ!

鮫島さんが訴えたら勝てます!

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佐々木監督に対して、僕の中のピーポ君がサイレンを鳴らして終了した前半。1点ビハインドで折り返した日本は、後半に入っても動きはありません。このあたりが史上最強女子チームの難しさ。スタメンを超える人材がベンチにはいない…よくも悪くも動きづらい編成により、自分たちから変化をつけることができません。

↓日本はセットプレーなどでアメリカゴールに迫るが、得点は奪えない!


熊さんがもっと薄幸の美少女だったなら…。

包帯で雑にグルグル巻にしてもいい感じのワイルド熊さんでなかったら…。

「ラグビー式タックルされてカワイソウ」と思ってもらえたのに…!


↓逆にアメリカは「それを決めるか」というファインゴールで追加点!


これは苦しい!

こういうのが決まっちゃうのは勝つ流れ!


撃って撃って外しまくる日本と、簡単ではないゴールを決めるアメリカ。ワールドカップ決勝戦と裏返しの展開で、日本は痛い2点差をつけられます。追い込まれた日本は、もはや動くしかありません。どうなるかわからないけれど、どうにでもなれという気持ちで、後半14分に阪口を下げて田中を投入。そして、日本はこの交代によって、この大舞台で放つあっすーの輝きによって、新たなシンデレラを誕生させながら、追撃の一発を決めたのです!

↓後半18分、福元→鮫島→熊谷→岩清水→熊谷→川澄→鮫島→大儀見→大野→宮間→大野→近賀→田中あっすー→宮間→大野→宮間→大野→澤→澤→大儀見とつないで日本追撃弾!


あっすーが起点となった!

ていうか、なでしこ全員がボールに想いを込めての全員ゴール!


よく決めた。よくやった。アメリカを震えさせ、日本を勇気づけるゴール。今大会はワールドカップで奇跡の活躍を見せたバロン澤が結局無得点でしたが、エース大儀見が3戦連発で日本を支えます。バロンがいれば心強いが、バロンがいなくてもきっと上手くやれるだろう…そんな予感漂う得点でした。

結局日本は、このあと追いつくことはありません。岩渕・丸山というジョーカーとババのダブル投入も、川澄を左SBに下げる奇策も、世界一のプレースキッカー宮間あやのFKも、勝敗を変えることはできませんでした。それでも最後まで戦った。殴りつづけた。ガードを崩すことはできないまでも、アメリカの腕を真っ赤に腫らすパンチを放ちつづけた。なでしこは強く立派に戦いました。相手のほうが強かった…ただそれだけです。

↓そして、なでしこは敗れた…。


あー、負けたな!

死力を尽くして負けたな!気持ちよく負けた!


抱き合うアメリカ。慰め合う日本。岩清水は目を潤ませ、田中はユニフォームに涙を吸わせ、岩渕は自分のプレーを引きずるように肩を落とす。そして、仲間のぶんまで重圧を背負い込んでいた宮間は、その重荷を降ろすようにピッチに崩れ落ちました。でも涙だけではない、悔しさだけではない満足感。近賀が、大儀見が、仲間を抱き締めて笑顔を見せていました。大野が誰よりも長く、誰よりもギュッと宮間を抱き締めました。

勝負には必ず勝ち負けがあります。ずっと勝ちつづけることはできません。ほとんどは負けます。負けを立派に乗り切ることが、人生の大半。なでしこは北京の悔しい負けを乗り越えて、ここにきました。女子サッカー初、日本サッカー最高の銀メダル。お土産つきの負けなら、次はもっと上手に乗り越えられるでしょう。この負けが、もっと遠くまで進める原動力になりますように…。

↓早速、表彰式の頃にはもう元気になり、悪ふざけ全開の一同!
http://www.gorin.jp/result/FBFBW400/index.html?bctid=251490028002

・グレイシートレインのように全員連なっての入場
・でも、大儀見だけちゃんとつながらない照れ具合
・途中からは手をつないでスキップしながら表彰台へ
・行き過ぎちゃって微調整する一幕も
・メダル授与では小躍りしながら登壇
・ウェーブのようにひとりずつ順番にお辞儀してバンザイする仕込み芸
・近賀はインテルの長友さんを彷彿とさせるお辞儀パフォーマンス
・近賀、岩清水がカメラに向かって悪ふざけピース
・熊さんの「イェーッ!!」
・川澄ちゃんのジャージの胸元の開け方がエロい
・宮間、川澄、安藤のトリプルピース
・笑う澤
・FIFAのブラッター会長を無視してチョリーッスする大野
・カメラに向かってアヘ顔ダブルピースの丸山
・丸山にやれと指示を出す田中
・実況の「永里で金、大儀見で銀」という適当な煽り

わりと楽しそうじゃないかwwww

よかったね、ほしかったメダルが獲れて!

2012年カレンダー 澤穂希

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大儀見さんの例にならい、宮間で金、宮間で銀、フモフモで金を狙え!


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内容紹介記事は→コチラ  と コチラ と コチラ