トゥーロンで崩れてしまった五輪代表を関塚監督は実にオーソドックスな方法で強化することに成功した。不安な守備陣をOA枠の吉田と徳永で強化し、前線には献身的な守備ができ、またイマジネーションも豊富な清武、東、大津を配置、そしてトップにはスピードある永井という布陣で固く守り速攻を仕掛けるという形を徹底している。後ろがしっかりしたおかげでボランチの山口、扇原は自信を持ってプレーできるようになり、また吉田とコンビを組む鈴木は数ヶ月前とは別人のような威圧感あるDFになった。

 この中で野性味あふれる永井の存在は大きなストロングポイントだ。本来テクニシャンではない彼は、自らがボールを支配しゲームを作らなければいけない相手となるとフィットしにくいだろう。誤解を恐れずに言えば、弱いアジアレベルでは彼の良さは出にくかったと言っていい。

 一方で日本より格上と思われる相手には彼のスピードは脅威になる。長い距離をトップスピードで走りDFに迫る彼のプレースタイルは当然フィニッシュの精度を低くしてしまうが、信じられないプレーができるという点で相手DFに与えるプレッシャーは並ではない。今の安定した守備の日本であれば彼が何度失敗しようとも1回でも決めればそれが決勝点となる。

 今日対戦するホンジュラスは前回のモロッコ同様ラフに攻めてくるタイプ。組織的守備が身上の日本は割と苦手とするタイプでもある。ハードスケジュールの中、コンディションの問題でどのような先発メンバーとなるかは不明だが、決勝Tで日本が勝つためには間違いなく彼の爆発が不可欠だと言えよう。(おわり 編集担当:田村和彦)