昨年末、英国のテレビ番組で奇妙な恐怖症の重症患者を扱ったドキュメンタリーが放送された。恐怖症といえば、高所恐怖症や先端恐怖症が知られているが、他にも数え切れないほどの種類がある。そんな中でも今回番組に登場した患者たちの症例は恐怖症に対する一般人の理解を遙かに超えている。

スー・ウィリアムズ(37)はひざを恐れるあまり16年間自分のひざにすらさわったことがない。そればかりか「ひざ小僧」などと口にしようものなら、たちまち泣き出してしまうほどの“ひざ恐怖症”だ。彼女は番組中で行われたセラピーを受けるまで、ひざを洗うことができず、夫のひざを見ることもできなかった。セラピストは彼女にひざの写真を見せるなどして、“ひざが少しも怖い存在ではないこと”を再認識させた。セラピーの最終段階で彼女はひざ専用パンツを着用し、パンツ越しにひざを見た。

ルイーズ・アーノルドはスーパーの冷凍食品コーナーを通れないほどの“エンドウ豆恐怖症”だ。彼女はエンドウ豆を恐れる理由をこう説明する。「奴ら(エンドウ豆)はよってたかって髪の毛をひっぱって首を持ち上げたりして私を脅すの。だから私は店に入る前に奴らが陳列されている場所を知っておかなければいけない。そんなわけで今では生活を完全に乱されてるわ。娘の学校に行くときぐらい大人しくしてたいんだけど、同じ部屋に奴らを食べた人がいるかと思うと・・・」
この人はちょっと違う病気のような気もするが重症であることは確かだ。自分の体験に照らしてわずかでも思い当たる節があれば、あとは想像で補って共感することもできるが、ここまで何でもないものを怖れられては笑うしかない。以下に数ある恐怖症の中から耳慣れないものをピックアップした。
恐怖症に対する恐怖症(以下“恐怖症”を省略)/ほこり/歩行/風/関節固定/花/無限/ピーナッツバター/不均衡・不対照的な物/ボルシェビキ(ボル シェビキ=ロシア社会民主労働党の多数派)/愉快・陽気/色/向かって右側にあるもの/正義/ほめられること/自由/10代/良い知らせを聞くこと/笑っ てる人(笑い声)/味/歌/喜びを感じること/太陽/長い単語/アイデア/着席/宇宙現象/かがむこと/名前/8/家(家の周りも含む)/何かが始まること/患者のための鎮痛剤を処方する医者/目を開けること/天国/全て/頭がはげている人/義父母/テクノロ ジー/ワロン(ワロン=ベルギー南東部に住む人々)/ゼロ/神 などなど。
こうして見てみると、恐怖症患者にとっては森羅万象が怖れの対象になり得ることがわかる。だとすると、恐怖が特定の対象に固着して膨れあがるような心や脳の状態が改善されない限り、再発のリスクがつきまとうことになる。恐怖症って本当に怖い・・・あ、これが恐怖症恐怖症か。

(編集部:こてつ/イラスト:acca)

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