リニア中央新幹線「品川新駅」の完成予定地で4日、見学ツアーが開かれました。品川〜大阪間を最短67分で結ぶ計画に期待の声が上がる一方、「本当に完成する?」との声も。課題である大井川の水量問題で対策を進めるなど、JR東海は開業を急いでいます。
■品川新駅の完成予定地で見学ツアー
都内にある、地下13メートルの巨大な地下空間。ここは、リニア中央新幹線の品川新駅の完成予定地です。現場の真上には、東海道新幹線の品川駅があります。JR東海が4日、工事などへの理解を深めてもらおうと、近隣住民を対象とした見学ツアーを開催しました。
参加した近隣住民
「初めて知ることばかりで。もっと大きいもので掘っているのかと思ったら小さくて、これをずっと掘っていくのかと思ったら、すごく気の遠くなる仕事だなと思いました」
■品川〜大阪間、最短67分で結ぶ計画
リニア中央新幹線は、東京・品川と名古屋間をつなぎ、神奈川・山梨・長野・岐阜のそれぞれに駅を建設するという計画です。完成すれば、品川〜名古屋間を最短40分で結べることになり、将来的には大阪まで延伸する計画です。
地上の品川駅の目の前には、大きなリニアの看板が設置されています。そこには「世界初、品川発。」と書かれています。
■「いつ完成するのか」という声も
関西から旅行に来た人は「新幹線だと(品川から大阪まで)2時間半くらいかかるので、それが(リニアで)67分となったら、だいぶ時間が短くなるのでうきうきです」。
北海道から旅行に来た子どもも「乗ってみたい!いろんなところ行くのが(楽しみ)」と声を弾ませます。
期待の声が聞かれた一方で、「いつ完成するのか」という声も上がります。関西から来た人は「ずっと『もうちょっとで完成できる』ってあるので、『本当に完成するのか?』というのが正直な思いですね」と言います。
■課題は…トンネルの上を通る大井川
品川〜名古屋間について、当初は2027年の開業を予定していたリニア中央新幹線。しかし今年3月、JR東海の丹羽俊介社長は「残念ながら品川〜名古屋間の2027年の開業は実現しない、実現できないと考えているところでございます」と断念を表明しました。
沿線ルートを通る、静岡県のトンネル工区の着工を県が認めず、開業のメドが見えない状態に。課題となったのは、トンネルの上を通るという大井川です。周辺地域の生活を支えている河川で、もし何も対策せずに工事を進めた場合、水量が減る恐れがあるといいます。
■名古屋〜品川間開業、2034年以降に
JR東海側も、工事で出た水を川に戻す対策を示すなど、県側と議論を交わし、話を進めています。
関西から旅行に来た人は「使いたいという気持ちはあるので、できるだけ早く、いつくらいまでと(完成時期を)出してほしいなとは思いますね」と望んでいます。
1日も早い開業を目指しているJR東海。名古屋〜品川間での開業は2034年以降になる見通しだとしています。
(11月4日『news zero』より)