[画像] みずほ銀行がメインの企業が増加、都内シェア拡大と地方での力量発揮が課題

 みずほ銀行をメインバンクとする企業数は8万773社で前年から0.4%増加した(「2024年企業のメインバンク」調査、8月21日号掲載)。4位のりそな銀行(3万9,777社)との差は4万996社で、3位維持は盤石だが、トップの三菱UFJ銀行(12万6,642社)、2位の三井住友銀行(10万442社)との差は広がっている。
 他のメガバンクとの相違点などを「メインバンク調査」の企業データを用いて分析した。

都内企業が6割

 1999年、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の統合が決まったのち、2000年のみずほホールディングス設立、2003年のみずほフィナンシャルグループ設立などを経て、2013年にみずほ銀行とみずほコーポレート銀行が合併し、現在のみずほ銀行が誕生した。システム障害などの問題はあったが、メガバンクの一角として存在感を示し続け、今回の調査母数である158万5,849社の5%、20社に1社がみずほ銀行をメインバンクとしている。

 みずほ銀行がメインの8万773社の本社は、東京都が4万8,810社(構成比60.4%)と集中している。自行をメインとする企業(メイン企業)の都内の占めるウェイトは、三菱UFJ銀行42.5%、三井住友銀行41.3%に比べると、みずほ銀行は突出している。
 市区郡別では、港区(東京都)が6,039社で最も多く、次いで、千代田区4,835社、中央区4,833社と上位20位はすべて23区だ。
 東京都以外では、神奈川県が8,156社(同10.1%)、大阪府6,307社(同7.8%)、埼玉県3,804社(同4.7%)、千葉県2,703社(同3.3%)と続く。1都3県で6万3,473社(同78.5%)と約8割を占め、首都圏を主戦場にしている。


 取引支店(店舗)では、青山が1,351社でトップ。2位は本店で923社、3位は渋谷中央で867社だった。上位20支店で都内以外の支店は、17位の難波のみで、20位以下では21位に神戸、24位に船場、33位に横浜駅前、40位に川崎が入った。

10年間で取引企業の利益が3倍に

 東京商工リサーチ(TSR)のデータベースから、2023年(1-12月期)と10年前の2013年のメイン企業の売上高と最終利益を比較した。比較可能なデータ(売上高約2万5,000社、利益約1万6,000社)を分析した。
 2013年の売上高合計は166兆3,393億円、2023年は180兆683億円で、2013年から8.2%増(13兆7,290億円増)の成長だった。
 最終利益合計は、2013年が4兆990億円、2023年が13兆2,794億円で223.9%増(9兆1,803億円増と3.2倍の大幅増益だった。

売上高100億円以上が4%超

 売上階層(対象7万2,832社)をみると、最多は1億円未満の3万4,087社(構成比46.8%)だった。次いで、1億円以上5億円未満が1万9,897社(同27.3%)と中小企業が中心だった。1億円未満の構成比は、三菱UFJ銀行49.1%、三井住友銀行48.5%で、いずれもみずほ銀行より高い。口座を開設し、対外的に「メガがメインバンク」と公表して信用を高めるニーズを抱える中小企業は少なくないが、みずほ銀行は3行の中ではやや弱いようだ。一方、売上高100億円以上は3,233社(構成比4.4%)で、三菱UFJ銀行の3.4%、三井住友銀行の3.2%より高い。
 8万773社の産業別は、サービス業他の2万2,425社(構成比27.7%)がトップ。次いで、卸売業の1万2,324社(同15.2%)、建設業の1万1,912社(同14.7%)と続く。
 みずほ銀行はサービス業他の構成比が三菱UFJ銀行(同26.5%)、三井住友銀行(同26.4%)よりやや高い。

直近1年で3,219社のメインに

 2023年3月末にみずほ銀行がメインバンクだったが、2024年3月末までにメインから外れた企業は2,870社だった。理由は、廃業や解散・合併などが1,158社(構成比40.3%)だった。次いで、他行変更が953社(同33.2%)、倒産が236社(同8.2%)だった。
 一方、この1年で新たにメインとなった企業は3,219社だった。3,219社の産業別は、サービス業他が1,030社(構成比31.9%)で最多。次いで、卸売業401社(同12.3%)、情報通信業399社(同12.3%)、建設業376社(同11.6%)、製造業329社(同10.2%)と続く。本社は、東京都が1,856社で約6割(同57.6%)を占める。このうち、94.1%が23区内(1,748社)だった。


 みずほ銀行のメイン企業数は8万社前後で足踏みが続き、その間に三菱UFJ銀行、三井住友銀行との差が開いている。イノベーション起業支援「M’s Salon」によるビジネスマッチングやバックアップの強化などに取り組んでいるが、首都圏以外でのシェア拡大が課題に浮上する。
 全都道府県に拠点網を持ちながら、都市圏への一極集中が目立つ。今後は地方の有力企業との取引を増やし、成長支援につなげられるか、メガバンクのみずほ銀行への期待は尽きない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年10月18日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)